『なつまち』OPでデビューを飾るRayの「いままで」と「これから」

　Rayとは「光線」という意味で「まっすぐ、力強く在りたい」といった願いが込められてるという。不純物を濾過してピュアなエネルギーだけを汲み取ったかのような透明感溢れる歌声を聴けば、名前に込められた想いについつい頷いてしまう──。

　北海道出身・在住のシンガー、Rayさんが人気テレビアニメ『あの夏で待ってる』OPテーマ「sign」で輝かしいデビューを飾る。「sign」はKOTOKOさん（作詞）、折戸伸治さん(作曲)、高瀬一矢さん（編曲）という豪華面々が制作陣として肩を並べたノスタルジックなポップ・ソング。どんな思いでこの曲に挑んだのか、そして今後の展望とは？　Rayさんに訊いた。

Rayさん

「ポップスからロックまでなんでも聴いてました。実はメタルも大好きなんです」

──まずは歌手を目指したきっかけから教えてください。

Rayさん（以下、Ray）：昔から歌がすごく好きで、親がいうには物心つく前から歌ったり踊ったりしていたらしいんです。童謡を大声で歌いながら道路を歩いてたり、セーラームーンのマネをしたり──あ、私はジュピター役だったんですけど（笑）。そんな私を見て親がアクターズ・スクールを勧めてくれて小学生のころからスクールに通い始めたんです。最初は「親に勧められたからなんとなく」っていう感じだったんですけど、だんだん「実際にステージに立って歌いたいな」って思い始めて2か所のスクールに通うようになって……。

　そんな中、テレビの子供向けのど自慢番組に出てゲスト賞をいただいたんです。それが小学校3年生の時だったんですけど、ゲストの方が生で歌う姿を見て「私もこんな風に歌えるようになったら良いな」って思って、オーディションを受けるようになったんです。今考えるとそれがきっかけだと思います。

──どんな音楽を聴かれてたんでしょうか？

Ray：ポップスからロックまでなんでも聴いてました。実はメタルだって守備範囲なんですよ（笑）。正直アニソンはあまり詳しくなかったんですが、兄の影響で水樹奈々さんの曲を聴いて衝撃を受けました。そこからアニメを見るようになって、アニソンを聴きまくるようになって（笑）。そんな中、デビューのお話をいただいたんです。

──デビューが決まったときの気持ちは？

Ray：本当に嬉しくて……周りのかたも凄く喜んでくれました。最初はなんの情報もなかったんですよ。「ちょっといい話あるから、覚悟しておいてね」って事務所のかたに言われていて（笑）。で、その報告を母親と受けたんですけど会社の方々がいるのでその場では冷静を装っていたんですが、家に着いた瞬間に二人揃って「どうする!?　アニソンだよ!?」ってパニックになって。お父さんは「あ、そう。ふーん」ってクールぶってましたが実はすごく喜んでてくれたみたいで、家族一同大興奮でした（笑）。でもまだデビューの実感がないんですよ。アニメイトさんに行くと私のポスターが貼られていて「きゃーっ！」って思うんですけど「……これ私だけど、本当に私なのかな？」って（笑）。

──まだCD発売前ですしね。でも、Ray さんのポスターの前にご本人がいるっていうのも凄い状況ですね（笑）。Rayさんに気付いたかたもいたのでは？

Ray：昨日アニメイトの秋葉原店に行ったときにチラッと見られた気がしたんですけど……「あれ？　バレたのかな。ちょっと嬉しい」って（笑）。別に声をかけられるわけでもなかったので、気のせいだったのかもしれませんが（苦笑）、「私のこと知っててくれるのかな？」って考えたら嬉しかったです。まだ実感はないと言いつつも、「ああ、デビューするんだな」って思っちゃいました。

「今回の曲のイメージが白だったら黒っぽいロックな曲も歌ってみたい」

──ちょっとノスタルジックで爽やかなポップ・ソング「sign」を聴いたときはどんな印象を受けましたか。

Ray：最初は歌詞がない状態でメロディーを先に聴かせてもらったんですけど、「可愛い曲だなぁ」って思いつつ「ああ、これが私のデビュー曲なんだ！」って大興奮でした（笑）。そのあと歌詞をいただいたんですけど、すごく爽やかで初々しくてもどかしくて青春を詰め込んだ１曲だなって。オリジナルアニメ作品なので予備知識もなくて歌詞を読んでも分からないところがあったんですけど、雑誌でアニメの情報を収集しつつ何度も何度も歌詞を読み直して、どう歌ったら良いのかなって研究していきました。

──作詞をKOTOKOさんが、作曲を折戸伸治さんが、編曲を高瀬一矢さんが担当という、豪華な制作チームに恵まれたことに関してはどう思っていますか？　北海道出身だけあって喜びも大きかったのではないでしょうか。

Ray：すごく失礼なお話なんですけど、I'veさんっていう存在を知らなくて、知らずに川田まみさん、KOTOKOさんの曲を聴いてきてたんです。だからお話をいただいて調べているうちに「……私みたいので良いのかな」って恐くなっちゃって（苦笑）。しかも皆さんフレンドリーで、「私、本当に恵まれているな」って思いました。

──レコーディングはどうでしたか？

Ray：レコーディングは緊張しちゃって途中で歌詞が分からなくなっちゃったり（笑）。高瀬さんと一緒にレコーディングしたんですけど、そういう時はその場を和ませてくれたり「ちょっと休憩しようか」って声をかけてくれたりして、自分が歌詞を読んで共感した気持ちを表現できたんじゃないかなって思ってます。少ない青春時代を思い出しながら歌いました（笑）。

──歌詞のなかに「夏の香り」「木々のざわめき」「空の青」「蜃気楼」といったアニメの舞台である長野県の壮大な風景がパッと思い浮かぶような単語が多く出てきますが、Rayさんも自然に囲まれて育ったんでしょうか。

Ray：そうですね。うちは都会ではないので自然はすごく多かったんですよ。だから「夏の香り」「木々のざわめき」って単語は私自身すごく身近にあったものなのでイメージしやすかったです。すごく爽やかで聴きやすい曲になったんじゃないかな。カップリングの「向日葵」もそうなんですけど歌詞を見ながら聴いてもらえれば、より共感してもらえると思います。

──川田まみさんが作詞を手掛けているカップリング「向日葵」の歌詞は、「sign」とはちょっと違った切なさがありますよね。

Ray：そうですね。少しネガティブな感じがあって、女性のかたに共感していただける曲になっていると思います。男性にも「女の子はこんな気持ちなんだよ」っていうことが伝わったら嬉しいですね（笑）。川田まみさんが作詞してくれる、って聞いたときはテンションがおかしくなりすぎて大変でした（笑）。

──では、Rayさんにとって『なつまち』とはどんなアニメですか？

Ray：青春や初々しさ、淡い想い出……一言では言えないですがいろいろな気持ちが混ざり合っているアニメなのでたくさんのかたに共感してもらえる作品だと思います。私はリアルタイムで観れないこともあるんですが、放送日はいつも家族と一緒に真剣な表情で観てるんですよ（笑）。

──どんな世代の方が観ても面白いアニメですもんね。では最後に、Rayさんの今後の展望を教えてください。

Ray：皆さんに親近感を持ってもらえるようなアーティストを目指しつつ、今後はいろいろなRayを見てもらいたいなって思っています。今回の曲のイメージが白だったら黒っぽいロックな曲も歌ってみたいし、猫耳とかつけてアイドルっぽいこともしてみたいし……やりたいことはたくさんあります！　いろいろと挑戦していきたいですね。

◆「sign」／Ray
発売日：2012年2月8日（水）
価格：
初回限定盤 1890円（税込）
通常盤 1260円（税込）
※初回限定盤特典・特典DVD（Sign PV+MAKING）

>> Ray公式サイト
>>『あの夏で待ってる』公式ホームページ

［インタビュー＆文・逆井マリ］