アキバで馬琴トーク!? 「『伏 鉄砲娘の捕物帳』公開記念イベント出張版 馬琴忌スペシャルトークショー」レポート! 宮地昌幸監督、小西克幸さんが裏話を大公開!!
2012年11月6日(火)、東京・秋葉原のRMバーガー&ブレイク アキバスタイルにおいて、現在公開中の映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』のスペシャルトークショーが行われた。
当日は、劇中にも登場した『南総里見八犬伝』の著者・滝沢馬琴の命日=馬琴忌にあたるため、イベントでは『伏』と滝沢馬琴についてトークされたのだった。
この日は、ササキチさん(アキバのブロードバンドキャスター)がMCを務め、宮地昌幸監督、道節を演じた小西克幸さん、聖地巡礼プロデューサー・柿崎俊道氏が登場してくれた。この日だからこそ語られる、興味深いトークの数々に、お客さん達も聞き入っていたぞ!
●監督は1人東京を歩き回る!? そして道節は小西さんそのもの!?
本作を作る前に宮地監督は、ロケハンのために、東京にある江戸の資料館など、1人であちこちを歩き回ったという。まだ、作品になるかどうかも分からない状態だったのだが、やがて「これはいける!」と目星がつき、その後はスタッフと一緒に、改めて選りすぐりを回っていったそうだ。
そしてロケハンなどを進めていく内に、江戸は川の町と分かり、脚本の大河内一楼氏はベネチアをイメージ。江戸をそのまま描写するのは、色味的に地味なので、「“乙女チック江戸”みたいなものを作れないかと思った」と話してくれた。しかしそのためには、一度史実を調べ、そこから飛躍する必要があった。ただのウソ(フィクション)ではなく、ホントのようなウソ(フィクション)が、宮地監督の目指すところなのだ。
本作の主人公の兄・道節についてだが、小西さんはアフレコ時に「小西さんに“当て書き(※予め演者の個性に合わせて登場人物を描くこと)”しました」と監督に言われたという。つまり宮地監督は、絵コンテ作成時から、小西さんにこの役をやって欲しいと思っていたのだ。
そのため小西さんは、当初、ごついイメージで役作りをしていたが、「もっと“小西さん”にして下さい」と声をかけられ、ちょっと声の高い、普段の自分の感じで演じたそうだ。
実は小西さん、宮地監督の『亡念のザムド』にも出演していて、予告も担当していた。その際、とっぴな予告原稿でムチャ振りする宮地監督! それに受けてたつ小西さん! といった攻防があったそうだ。そんな経緯もあって、今作の『伏』も同じことがあったという。
道節の初登場シーンで、干し柿をとろうとしている際の台詞だが、宮地監督は「せっかくだから“干し柿”と“柿が欲しい”が分かるような台詞にして」とムチャ振り。小西さんは、劇中で見事に応えてくれているぞ。
ほかにも、柿崎氏が実際に、滝沢馬琴誕生の地(現在の江東区)や馬琴の住居があった場所(現在の千代田区)、観光地の伏姫籠窟(千葉・南房総市)といった“聖地”を訪れ、そのスライドと共に馬琴の足取りを解説。劇中では、ほんの一部しか出番のない馬琴だが、今回のトークで、馬琴の人となりや人生が、深く語られたのだった。
映画制作やアフレコの裏話、あまり知られなかった馬琴の秘密など興味深いイベントとなっていた。
■映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』
【キャスト・スタッフ】
浜路/寿美菜子、信乃/宮野真守、冥土/宮本佳那子、道節/小西克幸、船虫/坂本真綾、 凍鶴/水樹奈々、馬加/神谷浩史、家定/野島裕史、
住職/竹中直人、世四郎/劇団ひとり、滝沢馬琴/桂歌丸
原作/桜庭一樹著「伏 贋作・里見八犬伝」(文春文庫刊)
監督/宮地昌幸
脚本/大河内一楼
ビジュアルイメージ/okama
人物設計/橋本誠一
美術監督/吉原俊一郎
美術設計/青木薫
音楽/大島ミチル
主題歌/Chara『蝶々結び』(Ki/oon Music)
アニメーション制作/トムス・エンタテインメント
配給/東京テアトル
>>映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』公式サイト
>>寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ!
[取材&文・小俣猛]