池袋でリアル冥土ちゃん登場!? 「公開記念四週連続イベント第四弾 宮地昌幸監督×桜庭一樹さん×okamaさんトークショー」レポート! クリエイター達が制作裏話を大公開!!
2012年11月18日(日)、東京・シネ・リーブル池袋にて、現在公開中の映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』の公開記念イベント第四弾が行われた。
今回は、宮地昌幸監督、原作者の桜庭一樹氏、映画でビジュアルイメージを担当したokama氏によるスペシャルトーク! このレアな顔ぶれで、映画制作の裏話がバンバン飛び出していたぞ!
●淡い色合いの江戸! そして、どんどん増えるよドクロ犬!?
最初の話題は、okama氏の担当した美術やコンセプトデザインについて。okama氏は「江戸の資料をいっぱい見て、色んな形を拾ってきて組み立てて……。ギリギリまで形を壊して新しい形にできればいいなと思いました」と話してくれた。
そのokama氏があげてきたビジュアルイメージに、桜庭氏は「SFにあるような近未来な感じがして面白かったです(笑)」とコメント。宮地監督も、okama氏には“アバンギャルドな方向で”と、イメージを広げてもらっていたそうだ。
また、桜庭氏は映画版のポップな色合いがお気に入りの様子。実は原作内では、西洋のゴシック建築、モノクロの世界をイメージしていたというのだ。「原作は冬だったんですが、映画では春になったというのもあって、桜がふわーっとしてて、町や季節の色彩が全然変わっていて、温度も感じました。原作とは全然違うんだけど、自分が観たかった景色でもあったので、すごく好きでした」と話してくれた。
ちなみにその色合いも、okama氏が描いていた桜の色味や、淡いタッチから、映画の全体的な印象が決まっていったと、宮地監督は明かしてくれた。
続いての話題は、原作小説『伏 贋作・里見八犬伝』の文庫版表紙のお話。この表紙は、なんとokama氏が手がけている。顔はドクロ、身体は犬のドクロ犬が中央手前にいて、その後方には、犬の形のような不気味なお城が浮かび上がっているのだ。
このドクロ犬だが、もともとは、最初の単行本版表紙に登場している。その時の表紙を描いた鴻池朋子氏が“伏”をイメージして生み出したものらしく、本編には登場していないキャラだ。さらにドクロ犬は、コミカライズ版『伏 少女とケモノの烈花譚』(漫画・hakus氏/「月刊ビッグガンガン」連載)にも登場している。「絵を描く人にはたまらないツボがあるみたいです(笑)」と桜庭氏は話してくれた。
ほかにも、okama氏は、原作の中で鈍色(にびいろ)というキャラがお気に入りとのこと。映画では出番が無かったのだが、当初は鈍色のパートをやる気満々だったという。キャラデザインもしていたそうだが、それを知った桜庭氏は「見たい! 見たい!」と、大きく食いついていたぞ。
そして最後に、宮地監督から桜庭氏へのサプライズプレゼントが贈られた。映画本編で、冥土が被っていたものと同じ帽子だ。因みに宮地監督曰く、映画の冥土は、桜庭氏がモデルだそうだ。
宮地監督と脚本の大河内一楼氏が、物書きである冥土を作っていく中で、「物書きっていうのはこういう気持ちが分かるんじゃないか。きっと先生もそういう気持ちを持っていたのでは」と投影していったそうだ。
それについて桜庭氏は「(冥土の)首が肩に埋まってる物書き特有の姿勢とか、いきなりバッと動き出すとか、へっへっへって善玉か悪玉か分からない態度をとるとか、すごく身に覚えがあって……」と大照れだ。
などなど、ボリュームあるトークの数々は、観客達にも大ウケであったぞ! 映画本編は、現在、絶賛上映中なので、未見の人は是非とも『伏』世界を体感してみてほしい!
■映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』
【キャスト・スタッフ】
浜路/寿美菜子、信乃/宮野真守、冥土/宮本佳那子、道節/小西克幸、船虫/坂本真綾、 凍鶴/水樹奈々、馬加/神谷浩史、家定/野島裕史、
住職/竹中直人、世四郎/劇団ひとり、滝沢馬琴/桂歌丸
原作/桜庭一樹著「伏 贋作・里見八犬伝」(文春文庫刊)
監督/宮地昌幸
脚本/大河内一楼
ビジュアルイメージ/okama
人物設計/橋本誠一
美術監督/吉原俊一郎
美術設計/青木薫
音楽/大島ミチル
主題歌/Chara『蝶々結び』(Ki/oon Music)
アニメーション制作/トムス・エンタテインメント
配給/東京テアトル
>>映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』公式サイト
>>桜庭一樹 『伏』|文藝春秋 特設サイト
>>寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ!
[取材&文・小俣猛]