『サクラ大戦 活動写真 Blu-ray』発売記念イベントで秘話続出! 新たなサクラが動き出す!?
2001年12月に劇場公開された『サクラ大戦 活動写真』が待望のBlu-ray化、2013年1月25日(金)に発売される。それに先駆け、去る2012年12月1日(土)には発売記念イベントとして公開から11年ぶり、一夜限りの劇場上映と、上映前ゲストトークショウが角川シネマ新宿にて開催された。
ゲストは真宮寺さくら役の横山智佐さん、アイリス役の西原久美子さん、李紅蘭役の渕崎ゆり子さん、総合プロデューサーの広井王子さん、スーパーバイザーのあかほりさとるさん。司会には漫画誌『花とゆめ』(白泉社 刊)『サクラ大戦奏組』より、雅音子役(声優キャスト)の田中真奈美さんが抜擢された。
キャストの3人は公開当時の想い出話に花を咲かせ、広井さんは制作秘話から幻の企画まで初披露。中でも同時上映作品として企画されていたという短編アニメ『魔法少女アイリス』には、アイリス役の西原さんが俄然興味を示し、今後何らかの映像特典などでの実現を熱望していた。
また広井さんは終始緊張気味に司会を務める田中さんに対しても、本来奏組は帝國歌劇団のオーケストラ担当なのでステージ下のオケピットにいるはずだとツッコみ、田中さんが申し訳なさそうにステージから降りようとするなど、笑いどころを演出。あたふたする田中さんをさらにいじりに行く広井さんが、「若い子はいじめたほうがいいんだって!」と持論を展開すれば、横山さんが「これから若い子に面倒見てもらうんですから」となだめ、広井さんも「そうでした! すいません、よろしくお願いします!」と頭を下げ、会場も爆笑につつまれる。時間は30分余りと短いながらも、毎度おなじみの『サクラ大戦』らしいキレの良いトークショウとなった。
――11年ぶりに劇場で、今夜限り『活動写真』が復活するということで、みなさまには想い出深いエピソードをお願いします。
真宮寺さくら役・横山智佐さん(以下、横山):今日のトークショウを迎えるにあたり、11年前の何を話そうかなと思って、当時の写真を見返したんです。映画は2001年12月22日に公開だったんですね。その前日の21日に、大阪のウェスティンホテルで初めてのディナーショウをやったんですよ。紅蘭、マリア、さくらの3人で行ったのですが、帰ってきた時に山手線の新橋駅のホームのベンチに、『サクラ大戦』の映画の大きなパネルが出来ていて、記念に写真を撮ったんです。それがとても嬉しかったですね。
それからサクラ大戦新春歌謡ショウ公演の青山劇場に行く前に、映画の劇場(新宿東映会館)で舞台挨拶をしたのですが、当時都営バスで真宮寺さくらのラッピングバスが作られたんですね。そのバスにみんなで乗って、劇場から劇場へ移動したことを思い出しました。
アイリス役・西原久美子さん(以下、西原):『活動写真』だったか、TVアニメの時だったかは記憶があやふやになっているのですが、収録の時に私と田中真弓さん(桐島カンナ役)は出番がないと、ロビーでジャグリングの稽古(2001年の新春歌謡ショウ向け)をしていたんです。いつも道具を持って歩いて、暇さえあればジャグリングの稽古でした。
智佐ちゃんたちが収録でがんばっている時に、私と真弓さんはロビーで「行くよ! せーのっ、イーチ、ニーイ、ハイッ!」とか言いながら――(横山「カバンから色とりどりの輪っかが見えていましたね」)そうそう! いつも重い荷物を持って、稽古していたのを思い出しました。
李紅蘭役・渕崎ゆり子さん(以下、渕崎):やっぱりディナーショウがすごく思い出深いですね。小さいほうのお稽古場に、ディナーショウ用のセットのツリーが飾ってあったんですけど、DVD特典映像の『花組カメラ』を見ると真弓さんがその中に潜り込んで遊んでいたりとか、そういうことをすごく思い出しますね。それと、ちーちゃんと折笠愛さん(藤枝かえで役)と私が12月が誕生日の12月トリオで、いつもケーキを用意していただいたりして、とても幸せでした。
広井王子さん(以下、広井):この映画には特別な思い入れがあるんですよ。1999年の暮れに、映画にしようという話が持ち上がったんですけど、ちょうどゲームの『サクラ大戦3』を制作していた頃なんです。『3』のオープニングでは、CGでカメラが回り込みますが、当時の技術ではあれをやるのに、3Dのモデリングに1枚1枚テクスチャーを手で貼りつけているんですよ。非常に手間がかかって、スタッフからは手描きより大変だと言われました。でもProduction I.Gがすごくがんばってくれて、ちゃんと出来たので、あれを映画のオープニングでもやりたいと考えたんです(冒頭の「奇跡の鐘」ステージの回り込み)。
それと戦闘シーンが暗いのは、粗が目立つからです。まだそこまでCGが発達していないので、暗くせざるを得なかったんです。今なら真昼間に戦闘をやります。そのくらい、10年という時間で技術はすごく進歩したなと思いますね。今ならフェイスモーションも出来ますし、バーチャルカメラで人間の動きをそのままCG化することも可能です。
あとはとにかく、全員出したかった。『サクラ』を知らない方が観たら、ついてこれないところもあるかもしれないけれど、『サクラ』をずっと応援してきてくださったお客様のために全員出したかったんです。もうひとつ、僕らの想いというのもあって。当時は5年で歌謡ショウが終わると言っていた、その5年目を夏に終えていたんですね。それを受けてのこの作品だったんです。
だからもう1人も欠けることなく全員出そうと。そうでないと、声優さんたちが「えっ、私は出られないの!?」って話になるじゃないですか。だからこそ、僕としてはちょっと物語が破綻しても、とにかくお祭り騒ぎでやりたかった。昔は東映お正月映画といったら、オールスターキャストで、ストーリーはどうでもいいんだ! みたいなノリがあった。そんな気分だったんですね。そういう中で、本郷みつる監督がすごくがんばって調整してくれたと思います。
それと当初は『冬のサクラまつり』という企画だったんですよ。その後二転三転して『冬の角川まつり』になりましたけれど、元々は映画本編と、『魔法少女アイリス』という5分アニメと――(西原「えっ!?」渕崎「見たかったー!」西原「やりたかったー!」)あと『さくらちゃんハーイ!』という学園モノの3本立てというので企画されていたんですね。もういいでしょ、時効だからね。それで話も作って、コンテも出来ていたんですよ。全部ナシになりましたけどね。
そういういろんな想いがこの映画を観ると出てくるので、実はこれまでDVDでは観てないんですよ。でもこの前Blu-rayプレイヤーを買ったので、今度は観ようと思います。10年経って、やっと浄化された気分で、改めて客観的に観てみたいと思います。今ならもっと付け足したいところや、直したいところもあるだろうし、そういう想いも含めてもしも次に劇場版を作らせてもらえることがあるなら、みなさんにより良い形でお目にかけたいなと思います」
あかほりさとるさん(以下、あかほり):『サクラ』では広井さんが必ず発進シーンに凝るという部分があったのですが、広井さんがどうしてもやりたいと言っていた、地下鉄のダイヤを作成する人がスーッと線を引くというシーンがあるんです。あれをどうしてもやりたいとゲームの時からずーっと言っていて、やっと映画で出来たんですよ。
広井:轟雷号の発進シーンはゲームの時からうまく出来なくて、やっと映画で精密に作ることができたよね。帝都の街中の雰囲気とか、情感や匂いみたいなものも、ゲームではなかなか出来ないので、そういうところも映画ならではだと思うんですよ。『サクラ』のテイストがたっぷり入っていると思いますね。
ちなみに、歌謡ショウを観たことがある人は?(客席から続々と手が挙がる)わーっ、すごいな! 本当にありがとうございます。またやりたいよね!(客席から大きな拍手)ただ、一回やめちゃったからさ。なにか節目がいいよね。ゲーム発売20周年記念で帝都花組特別公演とかさ。あと4年後くらい? 『四谷怪談』やりたいんだ。
――その時にはぜひ『魔法少女アイリス』と『さくらちゃんハーイ!』も。
西原:あっ、やるー! やりたーい!
広井:今ならそんなに予算をかけなくても技術があるから、やれる可能性はあるんだよね。たとえば『歌謡ショウ Blu-ray 10年セット』とか。
横山:欲しい~っ!!
広井:その時に『魔法少女アイリス』を作って付けちゃうとかさ!(会場中が大喝采)買ってくれた人のために、俺が作る!
西原:手伝いますっ!
――最後に一言ずつ、今日会場にいらしてくださったみなさんにメッセージをお願いします。
横山:見慣れたお顔の方も多数お見受けすることができて、とても嬉しいです。前回みなさんの前に並んだ時は、武道館だったかもしれないですね。こうして近い距離でお会いできるということもとても嬉しいので、またこんな機会を作っていけたらなと思います。
西原:智佐ちゃんが言った通り、知ってる顔がたくさんいて嬉しいなと思いました。今日初めていらしてくださったお客様もいらっしゃると思いますが、本当に私たちは幸せですね。広井さんが言うことって、大抵実現するんですよね。なので、『魔法少女アイリス』を私はとても期待しております!
渕崎:実は私、去年の今頃から歌謡ショウのDVDをすごい観ているんですよ。1本観たら面白くて、スタッフさんとお客様とキャストのみんなで作り上げてきたものって、こんなに素晴らしかったんだなと思っています。それから、夏にちーちゃんが上野でやったライブを拝見した時に、私最近、広井さんの歌詞がものすごく胸に来るんですよ。『サクラ』の歌って、大人のための歌が多いんだなということを改めて思っています。私は20周年の歌謡ショウ『四谷怪談』を楽しみに待ちたいと思います!
広井:本当にお客様があってのことだと思います。僕が最初に歌謡ショウをやった時に、お客さんが入るかなってすごく心配しました。そしてやってみたら、99%男性だったんですよ。それが女性の方も観に来てくださるようになり、お子様も来てくださるようになり、すごく幸せな10年間を過ごせました。もちろんゲームも、こうやって映画も出来て、『サクラ』はすごく幸せだなと思っています。みなさんの応援をいただいて、また新しい『サクラ』ができるといいなと思います。
あかほり:みなさんが応援してくださることによって、『サクラ』はまだまだ続けられると思っています。スタッフもなんとか『サクラ』を続けたいという想いで、色々な試みをしていますので、ぜひ応援していただきたいなと思います。
『サクラ大戦 活動写真 Blu-ray』は、豪華特典仕様で2013年1月25日発売。初回数量限定生産版には、劇場公開時のフィルムを5コマずつカットした特製フィルムブックマークをランダムで封入。初回数量限定生産版7,875円(税込)、通常版5,040円(税込)。