テレビアニメ『俺ガイル』OPテーマ歌う、やなぎなぎさんに直撃!

テレビアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』OPテーマ歌う、やなぎなぎさんに直撃!

 ソロデビュー1周年を迎えたばかりのやなぎなぎさんが、5作目となるシングル『ユキトキ』をリリースする。タイトル曲『ユキトキ』は4月より放送の話題のテレビアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』のオープニング・テーマ。歌詞はやなぎなぎさん、作・編曲は花澤香菜さんのプロデュースなどでも知られる北川勝利氏が担当。爽やかなハイトーン・ボイスとポップなメロディで弾ける、これまでのイメージを一新させるスプリング・ソングとなっている。

 どんな気持ちで新曲に挑んだのか、やなぎなぎさんに直撃した。

●「イメージを崩してまで会うのはどうなんだろう?って」

――ソロデビュー1周年という節目を迎えて、いまはどんな心境ですか?

やなぎなぎさん(以下、やなぎなぎ):シングル4枚を通して、以前よりも聴いてくださっているかたの年齢層が幅広くなったことが嬉しいです。下は小学生から上は40代・50代のかたまで……イベントなどでお手紙をいただいたり、直接お話する機会も増えて。今までは自分のなかにあるものを好きなようにアウトプットするという作業が多かったんですけど、最近は“自分から”何か発信できるものはないかな?という考え方に変わっていきました。

――デビュー前まではパソコンを通じてリスナーとコミュニケーションを取ってきたわけですけど、直接会って話をするというのはやはり大きい?

やなぎなぎ:そうですね。メールで感想をいただくことはあったんですけど、直接お話するってすごく重要だなと思いました。説得力が全然違って。今まで見えない所で歌っていたので、それぞれの「やなぎなぎ像」が出来上がっているはずで、それを崩してまで会うのはどうなんだろう?って気持ちもあったんですけど、シングルの枚数を重ねるたびに曲の感想も増えていって、自分の気持ちも変わっていきました。

――音楽性にも必然的に変化が出てきますよね。

やなぎなぎ:そうですね。前々回のシングル『ラテラリティ』(2012年11月リリース)のなかにセルフプロデュースした『link』という曲があるんですけど、それは詞も含めて外に向けて意識して書いた曲になりました。もともと自分の内側で完結するような音楽をやっていたので、外に出るようになっていろいろな人とやり取りができるようになったのは大きな出来事ですね。

――「いろいろな人とやり取り」と言えば、これまでのシングルのリード曲の作曲はそれぞれ違うクリエイターが手掛けらてますが、これは敢えて?

やなぎなぎ:そうですね。毎回新しいことにチャレンジしたいなという気持ちがあるので。今まで書いて下さったかたも皆さん素晴らしい作家さんばかりですが「もっと多くのひとのうたを歌ってみたいな」って。それぞれ持っているセンスが違うので、毎回すごく楽しいし、面白いです。

●「周りを頼れない雪乃さんを救ってあげたい」

――今回のタイトル曲は北川さんが手がけられていますが、どんな印象でした?

やなぎなぎ:北川さんは渋谷系のかたなので私の知っているポップスとは違ってすごく独特の展開をしていて、かつオシャレで。北川さんの持ってるセンスがあって、アニメのオープニングという点でも掴み所のあるキャッチーさもあって、すごくステキな曲だなぁと思いました。

――どういう気持ちで歌詞を書いたんでしょう?

やなぎなぎ:大きなテーマに雪解けがあって。歌詞のなかに<とける>というワードがいくつか出てくるんですけど、固まった感情や気持ちが優しくほぐれることを “雪解け”ことに例えていて。季節が変わって温かくなって雪が解けて……心のなかで凝り固まっていたモノが解けて流れていくイメージを持って書いてました。

――やなぎなぎさんの曲のなかにはお花がモチーフとなることが多いですが、今回は歌詞のなかにアザレアが登場します。この曲でアザレアを選んだ理由は?

やなぎなぎ:ツツジ科の春の花なので通常は4月や5月に咲くんですけど、まれに2月に咲くことがあるらしくて。それってすごく救いがあるなと思って。今回の曲にピッタリかなと思ったんです。

――確かにすごく救いがある曲ですよね。例えば<今 季節が終わろうとしても/ついてくるのは自分の影ひとつ>という一節は言葉にすると切ないんですけど、すごくカラッとした歌い方をされているじゃないですか。あれは意図的に?

やなぎなぎ:ハイ。やっぱり全体を通して光があって欲しいので。歌詞的にはちょっと暗いところがあるんですけど「自分が気付いていないだけで常に側に光があるよ」って言いたかったので全体的に柔らかい気持ちで歌いました。渋谷系の流れを汲んだ音楽なんだけど、自分側に寄せた歌い方と良い脱力感が合わさって聴きやすい形になったんじゃないかなと。

――レコーディングはどうでした?

やなぎなぎ:スムーズに進みました。北川さんとはその場でコーラスのやり取りをさせてもらったりして。「もうちょっと息の成分を多く」とか、細かくアドバイスをいただきました。一緒に話しながら歌っていくのは久しぶりでしたね。

――北川さんのお人柄もあるんですかね?

やなぎなぎ:そうですね。音楽に対してまっすぐで熱いかたで。雑談も含めて(笑)、お話をさせていただくなかで「良いモノを作ろう!」って気持ちが伝わってきました。

――この曲はアニメの主人公・比企谷八幡くんをテーマにした曲なんでしょうか。

やなぎなぎ:どちらかというとヒロインの雪乃ちゃんなんです。彼女は自分ひとりでなんでもできるタイプじゃないですか。そのせいで周りを頼れない雪乃さんを救ってあげたいというか、そういう気持ちになってしまって(笑)。

――(笑)ああ、なるほど。その想いが<難しい数式 誰も頼らず/解いて明かしてきた/当たり前だって思っていたから/何も疑わなかったけど>という歌詞に繋がるんですね。では、作品はどんな印象でした?

やなぎなぎ:原作とアニメのシナリオを何作か読ませてもらったんですけど、原作は登場人物のマシンガントークが印象的で、パロディも多くてすごく楽しめました。アニメでは言葉のやりとりの面白さがテンポよく映像になっていくんじゃないかな。活字が苦手で原作が読めない人でも、心地よく観れると思います。

――2曲目『音のない夢』も引き続き、作・編曲を北川さんが手がけられていますが、直球型のタイトル曲とは真逆で浮遊感のある静かな曲で。どういうモチーフで作られたんですか?

やなぎなぎ:最初にこの曲をいただいたときにタイトルに“サイレンス”ってつけられていて、すごく曲のイメージに合ってるなぁと思って。そこから世界を広げていったんです。「もし一番大切な言葉を失くしたら自分には何が残るんだろう?」というところから、たとえ失くしても頑張って前に進むしかないって気持ちで最後に向かっていく物語です。

――曲のなかに出てくる<その手になにか抱えていた/私と違うもの>という言葉が物語の核となっていると思うんですが、この<私と違うもの>が指すモノって言葉にするとコンプレックスのようなものでしょうか。

やなぎなぎ:そうですね。個性というか。周りのひとたちは自分にないものをたくさん持っているのに「なんで自分にはないんだろう?」と悩んでいる……そういう葛藤の表れですね。でも何も無くても光に向かって進まないといけないという強い気持ちを最後の<いつかすべてのみこんで/息を継いで継いで水面へ>という言葉に込めました。

――曲調もテイストも違うんですけど、もがいている雰囲気は3曲目『Surréalisme』にも通じるものがありますね。

やなぎなぎ:そうですね。辿って行けば一緒のところというか。自分のなかで 「どうしたらいいんだろう」と迷っている曲なので。

――『Surréalisme』(20世紀に発生した前衛芸術の形態、思想、 運動のこと/直訳すると超現実主義)は美術にまつわるワードが散らばってますよね。シュルレアリスムの技法で有名なルネ・マグリットなど、そういう絵が好きなんですか?

やなぎなぎ:大好きです。高校は美術を専門でやっていたので、マグリットやダリの幻想的で不思議な感覚になる絵に惹かれます。シュルレアリスムは夢で見たものをそのまま描いたり、実際にはないけど意識下にあるものを引き出すような絵が多くて。この曲はシュルレアリスムの絵を実際に見ながら書いていきました。自分のなかでこういうテーマの曲を書きたいなっていうのはずっと思ってて。「冷たいところと温かいところが混在している曲にして欲しい」……と、きくおさんにリクエストをして作ってもらいました。

――この曲は作・編曲を新進気鋭のプロデューサー・きくおさんが担当されてますが、タッグを組まれた経緯は?

やなぎなぎ:前々からきくおさんの曲が大好きでずっと聴いてたんですけど、今回のシングルを作るにあたって、きくおさんの持ってる……ひとが歌っているというより、楽器が歌っているような感覚の曲を入れてみたくて、お願いすることにしました。

――実際お会いしてみたらどんな方でした?

やなぎなぎ:すごくお若いんですけど新しいモノを提案してくれるかたで。純粋なんだけど攻撃的な音楽を提案してくれる方というか。今回もすごく素敵な表現をしてくれたと思います。

――新しい感覚があちこちに散りばめられてますよね。序盤はおとぎ話のようなちょっと不穏な空気もあるんですけど、後半に進んでいくにつれてどんどんと変化していって。

やなぎなぎ:サビにいくところでジャズの要素が入って、後半にいくにつれて明るくなって。そこは私のリクエストをきくおさんがうまく形にしてくれました。

――歌い方もかなり挑戦的で、早口のリーディングというか、独特の歌い回しで進んでいく部分があります。

やなぎなぎ:早口リーディングというか、早口メロディというか(笑)。あれは練習をたくさんしました。きくおさんのアイディアだったんですよ。「こういう形でやったら面白いと思う」って。最初に「これでやったら面白いバージョン」と「それが無理だったら別バージョン」の2曲を送ってくれていたんです。後者はもうちょっと音数を間引いたような形の曲だったんですけど、きくおさんが面白いって言うんだったら難しいほうでやろうと。実際はやっぱり難しくて収録中に何度か噛みましたけど(笑)、挑戦してよかったと思っています。

●「新しい景色が見せられたんじゃないかなと」

――これまでのシングルでもさまざまなカラーの曲を聴かせてくれましたけど、今作は今まで以上に光の射したシングルになっているように感じます。

やなぎなぎ:曲調はそれぞれ違うんですけど、シングルとしてはいい流れになったのかなと個人的には思っていて。『ユキトキ』という大きな曲があって、それに付随するような静かな曲『音のない夢』、冷たいところからサビで一気に爆発する『Surréalisme』があって。特に『Surréalisme』は一曲のなかの感情の起伏も激しくて、新しい景色が見せられたんじゃないかなと思っています。

――今回のジャケットもまた違った色が出てますね。

やなぎなぎ:春を押し出してみました。アザレアを降らせた春っぽい写真になっているんですけど、マフラーを巻いたり髪に雪の結晶をつけてみたり、冬を感じさせるアイテムもあって。冬から春に変わっていく瞬間をこの1枚で切り取れたんじゃないかなぁと思っています。写真を見るとジャンプしている風に見えるんですけど、実はこれ寝転んでいるんですよ。光を透過する台の上に寝ころんで下からライトを当てた状態で上から写真を撮っているんです。当日はほぼブツ撮りに近い状態というか(笑)。「動かないで!」って感じでした。


●「まだまだ始まったばかり」

――これからもいろいろな景色を見せてくれそうですね。いちリスナーとしてすごく楽しみです。

やなぎなぎ:まだまだ知らないモノがあると思うので知らない景色、知らない音をもっと自分のなかにため込んでいきたいですね。それによって今まで出してきたシングルとは違う曲調の楽曲ができるかもしれないですし、歌い方も変わっていく可能性もありますし……。

――やなぎなぎさんの尽きない野心ってどこから出てくるんでしょう。

やなぎなぎ:どこからだろう……? とにかく新しいコトが好きなんです。自分のなかにひとつ引き出しができるという感覚が楽しいので、それをどんどん増やしたいなって常に思っています。まだまだ始まったばかりというか。もっといろいろなことができるんじゃないかなって気持ちが強いです。

――常にアンテナを張っている感じというか。

やなぎなぎ:そうですね。雑食感があるというか(笑)。自分のアンテナに引っかかったらなんでも調べてみるクセがあります。

――最近やなぎなぎさんのアンテナに引っかかったモノってなんですか?

やなぎなぎ:最近は……ZEDDかな? ダンス・ミュージックのアーティストなんですけど、最近出たデビューアルバム『クラリティ』を買ったらすごく良かったです。クラブで聴いてアガるような曲もあれば、しっとりと落とすような曲もあったりして、そういうメリハリも面白いなと。

――では最後に4月21日赤坂BLITZで行われるやなぎなぎさん主催のイベント『ittle snow&sunny spot』についてメッセージをください。

やなぎなぎ:前回の『Zoetrope』、今回の『ユキトキ』……ライヴで歌ったら盛り上がるだろうなって曲が増えたので、ファンのかたと盛り上がりたいなと。そのなかに『Surréalisme』のような独特の世界観を持った曲を入れることで、いろいろな世界が混在しているようなライヴにできるんじゃないかなと……。今はいろいろな演出を練っている最中です。当日にしか出せない空気感を含めて、音の世界を感じていただけたら嬉しいなと思っています。

――ありがとうございました!


◆5th Single『ユキトキ』/やなぎなぎ
発売日:2013年4月17日(水)
価格: 1,260円(税込)

【収録曲】
1. ユキトキ 作詞:やなぎなぎ/作・編曲:北川勝利
(テレビアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』OPテーマ)
2. 音のない夢 作詞:やなぎなぎ/作・編曲:北川勝利
3. Surréalisme 作詞:やなぎなぎ/作・編曲:きくお
4. ユキトキ (instrumental)
5. 音のない夢 (instrumental)
6. Surréalisme (instrumental)

【購入者特典】
・やなぎなぎ×「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」B3リバーシブル ポスター


<ライヴ情報>
☆公演タイトル: やなぎなぎ 主催公演「little snow&sunny spot」

日時: 2013年4月29日(月・祝) OPEN 17:30/START 18:00
会場:赤坂BLITZ ☆出演:やなぎなぎ、熊木杏里

<ラジオ情報>
●やなぎなぎ初のレギュラーラジオ番組

番組名: green grass grow
初回OA: 4/5(金)24:00~24:30
放送局: FM FUJI (TOKYO 78.6/KOFU 83.0)
※auのアプリ「LISMO WAVE」からも試聴可能、iPhone/iPadをお持ちの方も「LISMO WAVE」をダウンロードしていただくと試聴が可能です。
放送日時: 毎週金曜日24:00~24:30
番組へのメッセージ: yanagi@fmfuji.co.jp
FM FUJI: http://www.fmfuji.co.jp/


>>やなぎなぎ Official Website

[インタビュー&文・逆井マリ]

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