声優
7月新番組『義風堂々!!』のアフレコ現場の様子をレポート!!

7月からテレビアニメ放送開始! 『義風堂々!! 兼続と慶次』に出演する佐藤拓也さん、浪川大輔さん、ボブ白旗監督が魅せられる戦国武将たちの生き様とは?

 「月刊コミックゼノン」で連載中の『義風堂々!! 直江兼続-前田慶次 酒語り-』がテレビアニメ化され、7月より放送が開始する。

 『北斗の拳』で知られる原哲夫氏と、「月刊コミックゼノン」編集長の堀江信彦氏が共作し、作画を武村勇治氏が担当している。シリーズ累計、コミックス発行部数は250万部を超える歴史長編ストーリーだ。

 作中で盟友として描かれる、戦国随一の傾奇者・前田慶次を佐藤拓也さん、愛の前立ての下で義を貫いた直江兼続を浪川大輔さんが演じる。第1話のアフレコが終了した直後の現場で、佐藤さん、浪川さん、監督のボブ白旗さんにお話を伺った。

●男も惚れる男を、全力で演じる

――第1話のアフレコで、それぞれのキャラクターを演じられていかがでしたか?

前田慶次 役・佐藤拓也さん(以下、佐藤):前田慶次は華やかで豪快だけど、すごく優しくて、とにかく老若男女誰からも愛されてしまう人物です。男が惚れるような男。彼の場合は、どんな人間であれ惚れ込んだら一直線の人だと思うので、相手に対しての思いやりの深さや何事に対しても怯まずに楽しみながら乗り越えてゆく姿は、危うい部分も魅力的に見えてしまいますね。彼の懐の大きさや、作品のケレン味をなくさず演じたいなと思います。

直江兼続 役・浪川大輔さん(以下、浪川):兼続は、体も大きくて、実直で真面目な印象だったんですけど、柔和でおちゃらけた部分も持ちつつ、でも行き過ぎず「義」の心を持つ部分とやんちゃな部分のバランスが難しいです。あとは、年齢間の演じ分けや慶次とのバランスは苦戦するだろうなと思っていましたので気をつけたいです。

――監督からは、どのようなオーダーをされましたか?

ボブ白旗監督(以下、監督):慶次はとてつもない傾奇者で、言い方はあれですけどちゃらちゃらしている。兼続は家臣としてしっかりしている部分もあるので、どこかで慶次と同じように傾きたいけどちょっと抑えている。そのバランスは、気をつけてやって欲しいとお願いしました。

――それぞれの役を演じるにあたって、事前に準備されたことや、これから勉強したいことはありますか?

浪川:男性だと戦国ものに携わっている人は、多いと思うんですよね。分かりやすく言うと、織田信長が好きとか、明智光秀が好きとか。その中でも、直江兼続という人物に、僕のアンテナが初めて向くきっかけをくれました。準備はどの作品でもやるのですが、知れば知るほどいいと思いますので、原作も購入して熟読しています。

佐藤:米沢に前田慶次の寺があるので、ご挨拶に行きたいなと思っています。あと、慶次は琵琶を弾いたりする大変風流な人なので、これをきっかけに僕も今まで触れた事のなかった文化や芸術を勉強してみたいですね。

――オーディションで配役が決まった時はいかがでしたか?

佐藤:タイトルが大きすぎて「これはいっちょやってやらないかんぞ」と気合が入りました。実際にやってみると、難しくも楽しいです。原作でも、慶次の槍の一振りでバサッと10人くらい倒せるじゃないですか。「これは、やってみたいぞ」という、一心ですね。

浪川:どの役でも一生懸命やるだけなんですけど、兼続は体がすごく大きいので、どうやったら、その大きさが出るかな、って考えたところではありました。とにかく自分の気持ちとしては、あの手この手でいろんなことを考えるよりも、この作品の大切なのは、ちゃらちゃらして遊んでいる風に見えても、一本きちんと筋が通っているところが、この作品の良いところなのかなと思うので、自分を信じてやるしかないな、と思っています。

――この作品ならではの苦労された点はありますか?

浪川:喋り言葉が現代で使ってる言葉とは違うので、それは相当大変です。いかんせん、慶次さんがすごく色っぽいんですよね。そことの差はつけたいなと。あとは「義」にはそれぞれあって、前田慶次が「負け戦もいい」という、男の粋さのような部分もあります。現代につながる雰囲気も交えつつ、すべてが戦国時代みたいにはしない。そことのバランスは、気にしながらやっていましたね。


●原作の「原哲夫ワールド」に負けない芝居と映像作り

――ビジュアルからも伝わってくるように、原作がたいへん重厚な作品ですが、これを映像化されるにあたって、気をつけられた点はありますか?

監督:最近、男くさいアニメって少なくて、僕がガキの頃に読んでいたような作品が少ないような気がしていました。それを、まさに「原哲夫ワールド」で男の中の男で、いかに派手にやるかを目指しています。それはフィルムにガンガン出して行きたいなと思います。

――原哲夫先生の絵が、かなりインパクトありますね。

佐藤:絵にすごく圧があるので、演じる方も気合が入りますね。

浪川:出す声が、本当は内側から出て来ないとダメなんですけど、出しても絵にはじかれる。絵のパワーにまけないように、いつもよりエネルギー使う作品ですね。

監督:アニメには原先生もスーパーバイザーとして参加して頂いていて、絵コンテも見て頂くのですが、そこには「原節」と書かれていて。「“原節”って何だろうな……」と考えるところから始まりましたね。キャラクターの芝居づけや構造や、表情とかポーズとかを考えましたね。

――アニメだからこそ、作品の注目して欲しいところはありますか?

浪川:息遣いやエネルギーが濃密に表現されている作品だと思いますので、それを感じて頂ければ、世界に入って頂けるのではないかなと思います。

佐藤:僕は、音ではないかなと思います。絵は皆さんが知っている原哲夫先生のタッチだと思うので、音響もそれに負けないくらいすごいことになっていると思います。さらに、物語に厚みが出るといいなと思います。原作をご存じの方は、これまで自分の息遣いで読まれて来たと思うのですが、アニメではキャラクターの息遣いで鑑賞してもらえるので、また違った印象になればなと思います。

監督:やはり、アニメである以上動くということだと思うんですけど、色がついて、音が入って一つにまとまった総合媒体ですので、そこはのせられるだけのせたいと思っています。

●今の時代だからこそ、共感できる戦国武将たちの熱き生き様

――「義」というテーマが根底にありますが、昨今の日本人からは疎い感覚ですが、そこはどのように表現しようと思われましたか?

監督:俺は「義」というものは「あえて行く」ということだと思っていて、できる限りのことはやりたいと思っています。

――慶次と「義」は相反するものではありますが、いかがですか?

佐藤:そうですね。でも、彼の中での「義」は逆境の中にこそ、自分の存在があるという考え方です。ちゃらちゃらしているのは、修羅の中で自分を見せつけるための手段なのかなって。常に楽しむこととか、自分が死ぬかもしれないという極限にあっても、一つひとつに魅力を見つけられる大きな人だと思うので、演じている僕もすごく憧れる部分ではありますね。

――戦国時代の武将の価値観や生き方を演じられて、もし自分が戦国時代に生きていたらこんなことがやってみたいということなどありますか?

浪川:もちろん義の心ですかね。もし戦国時代に生きていたら、あのきらびやかな雰囲気は味わってみたいと思いますね。遊郭とか。ただ、冷静に考えたんですけど、ガス、電気がなくてアツアツのご飯が食べられないとか、お風呂も入れないとか不便もありますよね。現代の便利さに甘えている自分もいるので、すごい大変な部分もあったんだなと思います(笑)。

――この数年「戦国武将ブーム」ですが、どのようなところが人をひきつけるのだと思われますか?

浪川:それは、僕も考えたことがあって、時代は違いますが憧れがあると思うんですよね。「こんなふうに生きたい」とか「こんなふうに切り返せたら」とか。でも、実際にはそうはできなくて。そういう溝を埋めてくれるのが『義風堂々!!』のような武将を題材とした作品なのかなと思います。堂々とした態度は男として見習いたいですよね。

佐藤:僕が思うのは、みんな常に全力で生きているところだと思うんですよね。「こうしたら、こう言われるかもしれないし、止めておこう」とか考えがちですけど、戦国武将は守るべきもの信じるもののために、全力で立ち向かっていく姿に憧れを抱いているんだと思います。

監督:あの時代って、皆が「人より前に出たい」という思いで生きていたんだと思うんです。だから、名を成した人はこうして後世にまで語り継がれるわけだし、今の時代ではなかなか難しいことですよね。同じことになりますけど、憧れなんだと思います。

――では、最後に放送を楽しみにしているファンにコメントをお願いします。

監督:とにかく本当に慶次や兼続だけでなく、戦国の有名人がとにかくワーッと出て来て、華やかで豪快な場面がどんどん展開していきますので、楽しみにして頂ければと思います。

浪川:期待値の高い作品だと思いますので、もちろん全力でやるだけなんですけど、声が入って初めて新しい印象を受けて下さる方もいらっしゃると思います。アニメを観て原作、原作をご存じでアニメもチェックする、というように皆で盛り上がって頂きたいなと思います。

佐藤:僕自身、前田慶次という大役を仰せつかりましたことを非常に光栄に思います。フィルムになった時に、劇画とはまた違ったエネルギーだとか、そういうものが画面からほとばしるようになっていると思います。観て頂いた方に、慶次や兼続の生きざまに共感してもらえれば、と思いますし、見終えた時に「今日も一本観た!」という爽快感を感じてもらえれば嬉しいです。

◆『義風堂々!! 兼続と慶次』

【放送情報】
テレビ東京:7月2日放送スタート(毎週火曜日 深夜1時40分~)
テレビ大阪:7月5日放送スタート(毎週金曜日 深夜2時10分~)
テレビ愛知:7月3日放送スタート(毎週水曜日 深夜2時35分~)
※初回放送時間が変更になる可能性があります

【スタッフ】
監督:ボブ白旗
脚本:今川泰宏
キャラクターデザイン:河南正昭
音楽: KAZSIN
アニメーションスーパーバイザー:原哲夫
アニメーション制作:スタジオディーン
番組担当:白石誠(テレビ東京)

【キャスト】
直江兼続:浪川大輔
前田慶次:佐藤拓也
茂助:川本成
中西次郎坊:郷田ほづみ
上杉景勝:安元洋貴
豊臣秀吉:上田耀司
前田利家:廣田行生
上杉謙信:てらそままさき
石田三成:加藤和樹


>>『義風堂々!! 兼続と慶次』公式サイト

(C)武村勇治・原哲夫・堀江信彦/NSP 2010,(C)義風堂々 2013
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