テレビアニメ『デス・パレード』制作決定! 意気込みを原作・監督・脚本担当 立川譲さん&主人公・デキム役 前野智昭さんに聞いてみた!!
文化庁により行なわれる「若手アニメーター育成プロジェクト」の通称で、2010年から毎年オリジナルアニメ作品を劇場公開している「アニメミライ」。そして「アニメミライ2013」で上映された力作揃いの中、人間の深層を描くような作風とリドルストーリーの採用で話題を呼んだのが『デス・ビリヤード』である。
それがこの度、ついに『デス・パレード』のタイトルでテレビシリーズ化が決定! それを受けて今回、原作・監督・脚本を担当する立川譲さんと、主人公・デキム役の前野智昭さんへの囲み取材が行われた。テレビシリーズに対する思いなどを語ってもらったぞ!!
●主人公が成長する姿を描く
――テレビシリーズ化に至った経緯を教えてください。
立川譲監督(以下、立川監督):『デス・ビリヤード』の絵コンテを描いている途中で、これはテレビシリーズにできそうだと思い、「できればシリーズ化したい」という意向を会社に伝えました。そこから一年半後くらいにGOサインが出て、それを聞いたときは率直に嬉しかったですね。
前野智昭さん(以下、前野):『デス・ビリヤード』の上映イベントの際に立川さんから「テレビシリーズを視野に入れている」というお話を聞かせていただいて、いつかそうなったらいいなと思っていたんです。で、2014年度のアニメミライで別の作品の収録に携わらせていただいたときに、『デス・ビリヤード』がテレビシリーズになるかもしれないという噂を聞きまして。それがこうして実現して、キャストも変えず続けで出演させていただけて(笑)。
――『デス・ビリヤード』のどのあたりが観客に受け入れられたと思いますか?
立川監督:自分としては結構ストレートに世界観を作ったつもりでした。死者が二人バーにやってきて、自分が死んでいると気づかずに生を語るという、世界観がよかったのかな、と思いました。
――エンディングがどうなったか、物議を醸しましたが。
立川監督:制作者としては、(視聴者の)心に余韻を残したいということがありました。制作者が正解を出してしまうと、それが百パーセント答えになってしまうんですが、謎を残すことによって余韻とか広がりが出るんじゃないかと思って、リドルストーリーの形にしました。
――『デス・パレード』は『デス・ビリヤード』の世界観や人物と同じ設定ですか?
立川監督:そうです。主人公はバーテンダーから「デキム」という名前が付きまして、話数が進むに従って、世界観で描かれていなかったところとか、(謎の)答え合わせみたいなことも出てきます。
――テレビシリーズ化にあたって、意識したことはありますか?
立川監督:毎回バーに客が来て、ゲームをしてドラマを作っていくという要素の他に、主人公のデキムが成長していく姿とか裁定を考え直す姿など、自身の成長に繋がるような話もあります。
――テレビシリーズでデキムを演じるにあたって、監督や音響監督から指示はありましたか?
前野:第一話を収録して音響監督に指摘されたのは「キーが低すぎる」ということでした。当時から二年くらい間が空いて、当時と同じ発声法で臨んだつもりだったんですが、低すぎると言われまして。この二年で若干声が低くなっているんだな、と再確認しました。
――デキムの印象はどのようなものでしたか?
前野:死んだ後の世界で、天国か地獄かをゲームによって裁定するという役どころなので、自分の感情を露にせず淡々と、でもどこかで節をつけなくてはいけない……。当時のアニメミライと同じ心境でやらせていただけたかな、と思います。
――デキムの本心とか正体は聞かされてはいないですか?
前野:そこは僕自身も楽しみにしている所です。監督はもちろんご存知ですよね(笑)。
立川監督:そうですね(笑)。極力モノローグも使わず、微妙な表情の機微やちょっとした動作の変化など、そういったもので構成できればと思っていますので、徐々に現れてくるところかな、と。
――今回、色々な種類のゲームが出るということですが、もし『デス・パレード』のような状況に置かれたら、どのようなゲームで対戦したいですか?
立川監督:レースゲームみたいなのがやりたいと思いました。勝てるとかじゃなくて楽しそうだから(笑)。
前野:落ち物パズル系ゲームとかだったら、ワンチャンあるかもしれないですね(笑)。
――『デス・パレード』の世界観を教えてください。
立川監督:デキムのバーのように、死人を裁定する場所は他にもたくさんあるという設定です。他のバーでは他の死人が、他の裁定者によって裁定されています。
前野:裁定の方法は、どのバーでもゲームなんですか?
立川監督:はい。そしてデキムと同じくらいのキャリアの裁定者や、もっと経験を積んだ裁定者も後に登場します。
――テレビシリーズを実際に手がけられて、難しさを感じる部分はありますか?
立川監督:一話完結のドラマとして成立させながら、デキムの成長とか「生きる」といった抽象的なテーマをちりばめていくのがすごく難しいですね。あと、画面を実写寄りというか、カメラのレンズで撮ったような感じで作成していますので、絵作りの部分でも難しいところはあります。
――最後に作品の見所と、ファンにひとことお願いします。
前野:絵のクォリティがすごく高いので、僕たちもそれに負けないように頑張りたいと意気込んでいます。「クイーン・デキム」というバーに来るゲストの話になるんですが、その中でデキムの存在感を示せるような芝居を心がけたいと思っていますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
立川監督:『デス・ビリヤード』を作っていた当初から、簡単に消化されないというか、心に刺さる作品を作りたいと思っていました。テレビシリーズでもそのスタンスは変わってなくて、色々な種類のゲームと共にさまざまな客のドラマを見つつ、主人公の成長を見ていくような作品に仕上がっていると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
――ありがとうございました!
■テレビアニメ『デス・パレード』
<STAFF>
原作:立川譲/マッドハウス
監督・シリーズ構成:立川譲
キャラクターデザイン
・総作画監督:栗田新一
美術監督:平栁悟
撮影監督:川下裕樹
色彩設計:堀川佳典
CG監督:廣住茂徳
編集:河西直樹
音楽:林ゆうき
音響監督:本山哲
制作:マッドハウス
<CAST>
デキム:前野智昭
黒髪の女:瀬戸麻沙美
ノーナ:大久保瑠美
ギンティ:細谷佳正
>>テレビアニメ『デス・パレード』公式サイト
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