怒涛のように飛び出す新発表の数々に会場仰天!キャスト陣によるトークショーも行われた『ノイタミナプロジェクト発表会2015』レポート
2014年11月27日お台場 シネマメディアージュにて、「ノイタミナプロジェクト2015発表会」が開催された。ノイタミナ枠は、フジテレビ系列などで放送される深夜アニメ枠。『のだめカンタービレ』や『東のエデン』など、他の深夜アニメとは一風変わった作品を数多く送り出してきた放送枠だ。今回のイベントでは、その2015年のノイタミナ枠に関する様々な新発表に加え、キャスト陣を招いてのトークショーも行われた。その模様をお届けしていこう。
本日の司会を務めるのは、「よっぴー」ことニッポン放送の吉田尚記アナウンサーと、アシスタントの高見侑里アナウンサーのコンビ。熱心なアニメファンとして知られ、ノイタミナラジオも担当する吉田アナは当然ながら、実は高見アナウンサーもノイタミナ枠で放送されていた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の大ファンなのだそうで、今回の発表会でも、気になるノイタミナ作品がたくさんあるのだと語ってくれた。
●『君嘘』『冴えカノ』トークショーでは、早見さんの意外な過去も明らかに
そんなノイタミナ大好きな2人による進行の元、最初にステージに現れたのは現在放送中の『四月は君の嘘』から早見沙織さん(井川絵見役)と梶裕貴さん(相座武士役)、そして1月に放送を控えた『冴えない彼女の育てかた』より大西沙織さん(澤村・スペンサー・英梨々役)、安野希世乃さん(加藤恵役)ら4名のキャスト陣。トークはまずこの日に第8話が放送される予定であった『四月は君の嘘』に関する話題からスタートした。
それぞれが演じた役柄について、「派手な見た目に反して繊細な所があるキャラクターです。公生に苛立ちのようなものを覚える熱さも持ちながら、演奏直前に緊張して吐くシーンがあったり……必死に自分をなんとか奮い立たせている努力型のタイプだと思っています」(梶さん)、「負けん気が強くて、からかわれるとすぐカッとなる所もあり、いかにもライバルらしい言動が多いのですが、本心は目標に向かって努力をして、自分の力で立ち向かっていくまっすぐな女の子です」(早見さん)と紹介。抜群の歌唱力をもつことでも知られる早見さんだが、実は高校生までピアノを習っていたそうで、当然、いつか早見さんの演奏を……という流れになりかかるも、「代わりに絵見ちゃんに弾いて頂くので」と絶妙な切り返しを披露してその場を切り抜けていた。
さらに会場では、作中に登場する演奏シーンの制作過程も公開。実写の演奏と音に絵でタイミングなどを後から合わせるという非常に手間の掛かる工程で作られており、キャスト陣も映像で実際の工程を見るのは初めてだという。
「同じ演奏シーンでも、公生と絵見、武士ではそれぞれに演奏の個性みたいなのが出ていて、すごくこだわれて作られているんだなと思います(早見さん)」とハイクオリティな演奏シーンに感心している様子だった。
一方の『冴えない彼女の育てかた』ではメインキャストの2人が原作を読んだ時の印象として、「これは青春ラブコメというジャンルに収まらない作品だなと(笑)強烈な個性のキャラクターが大勢登場するので、彼らの面白さであったり、高校生ならではの葛藤であったりも見所です」(大西さん)、「ライトノベルでありながら、ライトノベルというジャンルに挑戦しているような作品だなと感じました。いろいろな属性であるとかアニメ的なネタがたくさん登場するのですが、恵ちゃんは本当に普通の女の子なので、普段あまりアニメを見ない方の入口になってくれるんじゃないかと思っています」(安野さん)とそれぞれ原作の見所と一緒に語ってくれた。
尚、原作者である丸戸史明氏がシリーズ構成・全話脚本を担当していることでも話題を呼んでいる本作は、原作にはないオリジナルエピソードが第1話になるという。既に原作を読んでいるというファンも新鮮な気持ちで楽しめること間違いなしだ。
さらに初公開となるPVとメインビジュアルも上映されたのだが、なんとメインヒロインであるはずの加藤恵は、拡大しなければ分からないほど小さくしか映っていないことが判明。このヒロインらしからぬ扱いこそ「冴えない彼女」たる所以であり、普通の地味な女の子である恵がヒロインとしてどのように成長していくのかも注目ポイントの1つとなりそうだ。
そして、本作はいろいろな意味でギリギリを狙っているそうで、英梨々の絶対領域とスカートが翻って見えそうで見えない位置となっているちょっとセクシーなビジュアルも公開。アニメでは原作よりスカートの丈がかなり短くされているようで、2015年のノイタミナの1発目を飾るに相応しい(?)サービス満点の作品となりそうだ。
また、『四月は君の嘘』2クール目の新OPと新EDがコアラモードの「七色シンフォニー」と7!!の「オレンジ」に、『冴えない彼女の育てかた』のOPとEDが春奈るな「君色シグナル」沢井美空「カラフル」に決定したことも明らかにされ、会場ではビデオメッセージでそれぞれのアーティストが両作品にかける意気込みも語られていた。
●驚きの作品が目白押しの2015年TVシリーズラインナップが発表
その後は、ノイタミナ元編集長・山本幸治氏と現ノイタミナ編集長・森彬俊氏が登壇し、気になる2015年のラインナップがいよいよお披露目となった。先陣を切るのは、脚本に「Ever17」などの名作AVGゲームのシナリオで知られる打越鋼太郎さん、音楽にあの数々の名曲を生み出してきた小室哲哉さん、そして制作が『神撃のバハムート』などを手がけるMAPPAという超豪華なスタッフによって制作される『パンチライン』。本作には「主人公がパンツをみると世界が滅亡する」というとんでもない設定があるそうで、この豪華スタッフの面々から一体どんな作品が生まれるのか期待が高まる。
さらに江戸川乱歩作品を原案に脚本・上江洲誠氏、監督・岸誠二氏のタッグによる『乱歩奇譚 Game of Laplace』、現在TVドラマも放送中の森博嗣氏の代表作『すべてがFになる』、そして『進撃の巨人』でおなじみ荒木哲郎監督と『コードギアス反逆のルルーシュ』の大河内一楼氏が脚本を担当するオリジナルアニメ『甲鉄城のカバネリ』の全4作品が発表された。10周年を記念し、投票によって決定する歴代のOP・ED曲を収録したベストアルバムと、月刊ニュータイプ編集部によるノイタミナ枠初のアーカイブムック「ノイタミナクロニクル」も発売される。
また現在は1クールにつき2作品が放映されているノイタミナ枠だが、2015年からは1クール1作品の30分枠へと戻り、その分ノイタミナ・ムービーに力を入れていくことになるという。なお今までノイタミナを支えてきた山本氏は既にフジテレビを退社しているが、フジテレビの企画を担当する新会社「ツインエンジン」として今後もノイタミナへ関わっていくそうでファンとしては一安心といったところだ。
●『虐殺器官』『ハーモニー』に続いて、『屍者の帝国』の劇場アニメ化も決定!
続いてもう1つの目玉であるノイタミナ・ムービーのコーナーでは、2015年1月に公開される「劇場版PSYCHO-PASSサイコパス」より常守朱役・花澤香菜さんが登場。話題はまず放送中のTVシリーズ2期についての話となり、これまで2期では一切姿を見せなかった狡噛が第7話で(朱の頭の中とはいえ)登場したことが、花澤さんは非常に嬉しかったそうで、「私達は狡噛さんを必要としていたんだと改めて感じましたね。本当に幸せな時間でした」と興奮気味に語ってくれた。
気になる劇場版に関しては、メインビジュアルや劇場で実際に流れる予告映像が初公開。劇場版では日本でのみ導入が進んでいたシビュラシステムが海外へ導入されることとなり、単身その視察へと赴いた朱の戦いが描かれる。
1月公開の作品であるため当然ながら既にアフレコも終了しており、先の展開を知っている花澤さんは「本当に面白いですよ~!」と出来の良さをしきりにアピールし、一刻も早く内容を伝えたくウズウズしている様子だった。さらに「1月まで待てない!」という視聴者に向け、12月19日に花澤さんらメインキャスト陣も出演するトークショーも行われる完成披露試写会が開催される。
そして次に、2014年3月に発表された、伊藤計劃氏の作品を映像化する計画「Project Itoh」に関する発表となったが、ここでサプライズゲストとして声優の櫻井孝宏さんが登場!サイコパスでも雛河翔・槙島聖護役の2役で出演している櫻井さんだが、花澤さんと共に「Project Itoh」のプロモーション映像のナレーションも担当している。
ナレーションは槙島聖護自身が読んでいるという設定ではないものの、新編集版の追加シーンで「Project Itoh」について触れるという場面があったこともあり、「槙島自身は間違いなく伊藤計劃氏の作品をリスペクトしているだろう」という確信の元に演技を行ったという。
また「Project Itoh」の新情報については、『虐殺器官』『ハーモニー』のメインスタッフに加え、伊藤氏が残した序文を円城塔氏が書き継ぐ形で完成させた『屍者の帝国』の劇場アニメ化が発表!『虐殺器官』が村瀬修功氏監督に制作がmanglobe、『ハーモニー』がなかむらたかし氏とマイケル・アリアス氏によるダブル監督、制作がSTUDIO4℃。
そして『屍者の帝国』が牧原亮太郎監督と制作・WIT STUDIOというコアなアニメファンにはたまらない豪華な布陣。キャラクターデザイン原案は全てredjuice氏が担当し、3作共に2015年の劇場上映を予定している。
山本氏曰く伊藤計劃作品を映像化するには長編3作品を全てやりきる必要があるだろうと、相応の覚悟をもって制作にあたっているという。
吉田アナウンサーは今日の発表会を通じて「映像作品は後で見ればいいと思われている方もいるかもしれませんが、その時代の空気を含んで楽しんでこそという考え方もあります。個人的に本日発表された作品、特に伊藤計劃作品に関しては本当にリアルタイムで見て欲しいと思います」と1ファンとしての熱いメッセージを寄せていた。
最後には本日の出演者が再び勢揃いして観客との記念撮影も行われ、新発表が目白押しのイベントは幕を閉じた。10周年を迎えてなお進化を続けるノイタミナ。12月3日に行われた秩父夜祭で『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』スタッフによる新作劇場アニメのタイトルが『心が叫びたがってるんだ。』であることも判明し、今後もますます目が離せない展開が続きそうだ。なお今回発表された情報は、こちらの記事にもまとめられているので気になる方はチェックしてみて欲しい。
>>ノイタミナラインナップ
(C)2015丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA富士見書房刊/冴えない製作委員会
(C)パンチライン製作委員会
(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN
(C)Project Itoh / HARMONY
(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES