坂本真綾さん「幸せな気持ちで、任務完了しました」 『攻殻機動隊 新劇場版』公開初日舞台挨拶レポート!
2015年6月20日(土)より全国ロードショーとなった、『攻殻機動隊 新劇場版』の初日舞台挨拶が同日、新宿バルト9にて行われた。
『攻殻機動隊』は、1989年に原作・士郎正宗先生によるSFコミックで、1995年には劇場版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が公開され、様々な分野に影響を与えた人気シリーズ作品だ。その後、数々の劇場作品とTVシリーズで映像化され、現在は2013年に劇場上映した『攻殻機動隊ARISE』のTVシリーズ版『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』が絶賛放映中。そしてARISEの後日談となる最新作、生誕25周年記念作品『攻殻機動隊 新劇場版』が、いよいよ公開初日を迎えた。
上映終了後には主人公である草薙素子役の坂本真綾さんが登壇。また、総監督・キャラクターデザインを務めた黄瀬和哉さん、脚本の冲方丁さん、監督を担当した野村和也さん、さらにProductionI.Gの石川光久さんや、音楽を担当したコーネリアスさんといった、非常に豪華な面々が登場。今回は舞台上で繰り広げられた25周年に相応しいトークの様子を、皆様にお届けしていこう。
■ 舞台挨拶のテーマは「坂本真綾、25歳、青春」
それぞれ6人の挨拶がスタートすると、石川さんから「完成披露上映会、公開前夜オールナイト、今回の初日舞台挨拶とすべてテーマを設けております」との発表が。「完成披露では、NAOTOさんが出たので、若い女性のハートを鷲掴みにする。公開前夜は、疑似記憶を植え付けるという事なんですね。ローマ字表記にすると、KIOKUとなるんですが、Kは黄瀬のK、Iは石川、Oは押井守さん、Kは神山健治で、Uは冲方のUなんですよ」と、歴代監督がテーマとなっている事を明らかにした。
そして、今回の舞台挨拶テーマは「坂本真綾。25歳、青春」とのこと! 劇場版1作目で、少女義体素子(通称:コドモトコ)を演じた坂本さんは当時15歳。現在の演技を見た押井さんが「真綾うまくなったねー。1作目に出た時は5歳ぐらいだったよね?」と、言っていたのだとか。「つまり、私は今25歳ということになりますがいいんですか? ってことですよね(笑)」(坂本さん)というやり取りをしていたことが、今回のトークテーマの元のようだ。
また、青春というのは野村さんが今回の映画で描きたかったテーマのようで「最初の脚本を作る時、野村監督から、僕は青春がやりたいんですよ! と言われた時はどうしようかと思いました」(冲方さん)と、困惑した様子で語っていたが、前夜祭では冲方さんの脚本を押井監督がベタ褒め! 石川さんは「あの押井さんが人の脚本を褒めているのを初めて見た」と驚いたようで、さらに冲方さんも「この人でも褒める事あるんだなってどうしちゃったんだろうと思いましたよ。黄瀬さんも褒められていましたし」と重ね、「ちょっと良い事言っておかないと、そろそろ誰も仕事してくれないと思ったんじゃない?」(黄瀬さん)と、冗談の連発で観客の笑いを誘っていた。
■ 坂本さん「素子の事が、より好きになれました」
押井さんからうまくなったね、と褒められた坂本さんは「15歳の時に、はじめて『攻殻機動隊』という世界に参加させて頂いた時は、まさか20年後に自分が素子を演じるとは思ってもいませんでした。当時は、ネットや電脳の世界がピンときていなかったので、お話の内容もすごく難しく感じていました。ですが、最近はすごく“攻殻”という世界に近づいていて、SFの世界を自分の事のように想像できるまで時代も変わっている中で攻殻機動隊を演じるというのは不思議な感覚です」と、『ARISE』から草薙素子を演じている思いを語った。
続いて、素子の魅力について聞かれると「自分が演じる前にファンとして見ていた素子は、完璧で強くて、色気があって、自分とはかけ離れたミステリアスな魅力に惹かれてたんですけれども、『ARISE』からは、もっと失敗したり怒ったり、人間的なんですよね。そういう所を知って、未熟な部分も魅力に感じ、そういう経験があるからこそ、あの素敵な素子になっていったんだなって同じ女性として励まされますし、共感という点でまた素子の事が好きになりました」と、素子への愛がより深まったそうだ。
長編映画の音楽制作はこれが初という小山田さんは「画面の情報量は実写と比べて少ない。かといって、あまりにも情報量を入れてしまうと、効果音やセリフとぶつかってしまう。なので、そういうバランスを大事にした」と答えていた。さらに、小山田さんは主題歌も坂本さんと手掛けている。坂本さんとのエピソードを尋ねられ「坂本さんは異常に歌入れが早くて、昼ぐらいからレコーディングを始めて、夕方には終わっちゃうんで、5回とか……」と、驚きの話が飛び出した。「結構難しい曲だと思うんですけど、練習しました?」と、小山田さんが尋ねると「練習してないって言うと変なので……練習しましたって言ったほうがいいですか?(笑)」と、笑顔の坂本さん。「難しさに燃えました。ただ、普段は結構長く歌ってるんですけど、小山田さんがすぐオッケーとおっしゃので……」(坂本さん)と答えると、「いやもう全然、バッチリなんで、あのもうすごい綺麗な声で……。あの…すごい、ですよ?」(小山田さん)と、照れながらも坂本さんを絶賛していた。
■ テーマは、卒業
いよいよ終わりも近づき、石川さんは「今回、『ARISE』から『新劇場版』に至るまで、攻殻機動隊が誕生するまでの話をゴールにして、一丸となってやってきた結果ですね、そこに見えたのはゴールではなく、新しい種が産まれたと思いました。是非みなさんの力で、この新しい種を育てて頂きたいと思っております」とファンに熱い思いをぶつけた。野村さんは「お話を頂いて、長い時間苦しみつつもこの日を迎えることができました。感無量の気持ちでいっぱいです。是非、沢山の人に見てもらいたいです」と、劇場公開の喜びをかみしめていた。冲方さんは「非常に重いバトンでした。ひいひい言いながら作っていたのですが、全監督のご助力のもと、ようやく形にできました。このバトンが誰かに引き継がれるにせよ、『攻殻機動隊』が次の25年も生き続けてほしいと願っています。そのためにも皆さん是非、新劇場版を応援してください」と、次回作への期待を語った。
そして最後に、坂本さんは「素子との出会い、スタッフさんとの出会い、すべてに感謝しています。そしてこの劇場版で、草薙素子役の……、と言うのが最後になるのかなと思っています。この映画のテーマは卒業なのですが、収録が終わった時もちょうど桜が満開の季節でした。」と、この映画で卒業することを明かした。「とても寂しいですが、とても良い気持ちで、幸せな気持ちで、任務完了したと思います」と語り、会場内は暖かな拍手で包まれ終了となった。
■解説
1989年、士郎正宗先生による原作「攻殻機動隊」が誕生。1995年、押井守監督による映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が公開され、その圧倒的な作品世界と映像表現により、ウォシャウスキー姉弟(『マトリックス』)やジェームズ・キャメロン(『タイタニック』『アバタ―』)をはじめとする世界中のクリエイターに影響を与え、後のSF映画の映像表現に革命を起こした―。そして、原作誕生より四半世紀を経た2015年。完全新作の長編アニメーション映画『攻殻機動隊 新劇場版』が6月20日(土)より公開となる。
EXILE/三代目J Soul BrothersのNAOTOさんは、本作の新キャラクター・藤本修(ふじもとおさむ)役として声優に初挑戦。NAOTOさんが演じるのは、首相補佐官・藤本修役。父である首相の補佐を務めながら国の未来のために主人公・草薙素子に特務権限を与え、攻殻機動隊部隊設立に寄与する重要な役どころ。兄の影響で子どもの頃から攻殻機動隊が「大好き」というNAOTOさんは、まさか出演オファーを受けるとは夢にも思っていなかったため「ひとつ夢がなかった」と喜びのコメントを発表した。
さらにウォルト・ディズニー・スタジオが、スカーレット・ヨハンソンさん主演で実写版「攻殻機動隊」を正式に発表するなど、国内外で盛り上がりを見せている。
■キャスト
坂本真綾、塾一久、松田健一郎、新垣樽助、咲野俊介、中國卓郎、上田燿司、中井和哉、沢城みゆき、野島健児、浅野まゆみ、潘めぐみ、麦人、宮内敦士、NAOTO(EXILE/三代目J Soul Brothers)
■スタッフ
原作:士郎正宗
総監督・キャラクターデザイン:黄瀬和哉
脚本:冲方丁
音楽:コーネリアス
監督:野村和也
総作画監督・サブキャラクターデザイン:大久保 徹
美術監督:竹田悠介・益城貴昌
撮影監督:田中宏侍
3DCG監督:井野元英二
音響監督:岩浪美和
色彩設計:広瀬いづみ
メカニックデザイン:柳瀬敬之・竹内敦志
モーショングラフィック:荒木宏文
特殊効果:村上正博
編集:植松淳一
主題歌:坂本真綾
コーネリアス「まだうごく」
サウンドトラック:フライングドッグ
攻殻機動隊25周年記念作品
ヤングマガジン創刊35周年記念作品
アニメーション制作:Production I.G
製作:『攻殻機動隊 新劇場版』製作委員会
配給:東宝映像事業部
>>公式サイト
>>攻殻機動隊25周年記念サイト