あんな風に過ごしたかった……胸が「ぎゅっ」となる、青春に焦がれる夏アニメ20選
みなさん、2015年夏を満喫していますか?
8月の半分が過ぎ、現実世界を満喫している人や2次元世界を満喫し過ぎ現実世界への戻り方を忘れてしまった人、逆にコミケに行けなかったり、アニサマチケットを確保できず絶望を味わっている人と、いろんな人がいると思います。今回は、そんな満喫している人も絶望している人も夏休み後半戦を幸せに過ごすため、アニメイトTVのライターが心にぽっかり空いた穴を埋められるような、胸が「ぎゅっ」となる夏アニメを集めました!
全部で20作品……みなさんの心に空いた穴を埋められるような、多幸感に包みこむことができるアニメに出会えたら嬉しいです。
のんのんびより
【作品概要】
学校に通う子供は小中合わせて5人のみ、バスは5時間に1本しか来ず、家の鍵が存在しない……。
「のんのんびより」はそんなド田舎に住む宮内れんげ・一条蛍・越谷夏海・越谷小鞠ら4人の少女たちの日常を描いた「ゆるゆるド田舎コメディ」です。
2013年10から12月かけて全12話(後に単行本特典OVAで13話が制作された)放映され、その絶大な癒やし力に、放送終了後、数々の難民を生み出しました。
アニメーション制作は第1期・第2期ともにSILVER LINK.が担当し、OP主題歌においても第1期「なないろびより」・第2期「こだまことだま」ともにnano.RIPEが歌います。
■ライターコメント
この作品のイメージは、一言で言うと、理想の田舎暮らしです。
徒歩で山に潜って虫取りや山菜採りが出来るほど自然との距離が近く、年齢は違えど気の合う友達とともに過ごす日々……。こんな子供時代があればどんなに良かったかと感じずにはいられません。
そんなある意味「ファンタジーな世界」を生きる少し変わった少女たちの日常は、彼女たちには当たり前のもので、海水浴や家出、都会から遊びに来た少女との突然の別れなど小さなイベントはあるものの、基本的には、まったり、のんびりしています。
彼女たちにとってはなんてことのない日常でも、大人になってしまった私たちには2度と味わうことの出来ないかけがえの無いものだからこそ、私たちの心を掴んで離さないのです。
何も考えず遊びまわれた子供時代の思い出、そんなものを再び感じさせてくれるアニメです。
[ライター/大槻]
公式サイト
ハチミツとクローバー
【作品概要】
羽海野チカによる同名漫画を原作としたテレビアニメ。とある美術大学に通う竹本祐太が、同じ大学の花本はぐみと出会い、一目ぼれするところから物語が動き出す。
竹本と同じアパートに住み、大学の先輩でもある真山巧、森田忍や、真山と同級生の山田あゆみなど、主となる男女が多く存在する群像劇で、各人の恋模様も丁寧に描かれているのが特長。
現在も続くフジテレビ・ノイタミナ枠の一作目として、2005年4月より全24話放送。
翌年6月末からは第2期が全12話で放送された。監督は、第1期がカサヰケンイチ、第2期が長井龍雪。アニメーション制作は、第1期・第2期ともにJ.C.STAFFで、主題歌も第1期「ドラマチック」・第2期「ふがいないや」ともにYUKIが歌う。
■ライターコメント
胸を締め付ける青春、夏。このテーマについて考えたときすぐさま頭をよぎったのは、まぶしい日差しのなか自転車を漕ぐ「自分探し中」の竹本くんの姿でした。
物語が終盤にさしかかり、恋に将来にとみんなの心が一層揺れていた時期。竹本くんは、この旅で登場人物全員の心のざわめきまで体現してくれていたように思います。
そんな重みがあるからこそ、私の心をますます締めつけたのかなと。
また、芸大卒の私にとっては「あるある」だらけの作品でもありました。天才肌の学生がいたり、その人の作品も含めて恋に落ちたり、一方で制作に追われる緊張感があったり……。
片思いの切なさはもちろん、芸術系大学ならではの空気感まで感じ取ってしまい、一瞬一瞬がたまらなかったです。当時の気持ちを思い出したくて、何度もDVDを観るほどに。
感情移入とは「自分の感情を芸術作品に投射する」という意味もあるそうですが、そう考えると私にとってはハチクロ自体が壮大な芸術作品でした。
[公式サイト]
耳をすませば
【作品概要】
1995年に公開された、スタジオ・ジブリ製作の劇場版アニメ。読書の虫の中学三年生の月島雫と、ヴァイオリン職人を目指す天沢聖司との「出会いと奇跡の物語」。
糸井重里の映画キャッチコピーは「好きなひとが、できました」。脚本・絵コンテには宮崎駿が参加しています。OP主題歌「Take Me Home, Country Roads」は、海外で女優兼アーティストとして活躍するオリビア・ニュートン=ジョンが歌っています。
■ライターコメント
密かな恋心を抱いていた相手・聖司からの突然の告白で相思相愛な関係になる雫。そんな二人が、お互いの距離を近づけていくとそこには大きな隔たりが……。
高校にも行かず留学してヴァイオリン職人を目指す聖司と、自分がわからないモラトリアムな雫。
そんななか、相手への想いと一緒に「相手にふさわしい自分でありたい、本当の自分を知りたい」と、もがき悩む雫の姿は、少女が大人になる通過点を観ているようで、切なくも美しい。
雫の姿に筆者の中学時代に共鳴するような青春の眩しさを感じ、また、社会に出てから観た雫の姿には、「あなたはいま、全力で生きているの?」と問いかけられているような胸のつかえがあったのを覚えている。
どこか見たことあるような町並みと匂いまで思い出せそうな空気感の中に、世代や性別をさえも超え、自分の体験のように染みこむストーリーは、アニメではなく、すでに細胞にまで刷り込まれた「私自身の夏の思い出」なんじゃないかなと思う。
時をかける少女
【作品概要】
『時をかける少女』(以下『時かけ』)は、俳優としても知られる小説家・筒井康隆が執筆したSF小説(および、それを原作とする作品群)で、2006年に細田守監督のもと、劇場版アニメとして公開されました。
本作は、60年代に起きた小説のヒットから現在に至るまで、さまざまな形で途切れることなく語り継がれてきた傑作です。
アニメーション制作はマッドハウスが手がけ、主題歌は奥華子の「ガーネット」。
■ライターコメント
名作のストーリー解説をするのも野暮なので、ここでは割愛する。ひとまず「女の子が時間を超えるんだな」とだけ覚えてもらえれば大丈夫だ。
主要登場人物はたったの3人であり、作品の要点も人間関係にフォーカスされているため、なんだったらSFというジャンルも、『時かけ』というタイトルも忘れてしまってかまわない。むしろ余計な情報は入れないほうが良いだろう。
本作の大きな魅力は、その単純さだ。
ストーリーの中で描かれるのは、3人の登場人物による等身大の青春劇であり、あらゆる要素がその表現のために働いている。作品全体が「青春」を表現するためだけに作られている、とすら思えてくる(と、筆者には感じられた)。
青春といって思い描く風景は何か……それは夏の青空と入道雲だ。恋愛と言って思い描く風景はなにか……それは夕暮れと自転車とあぜ道だ。
『時かけ』という作品は「多くの人が思い描いていたであろう青春」を、とても的確に表現しているのだ。
青春とは縁遠い生活を送っていた筆者ですら「それ」を感じられるのだから、まさに青春の只中にあるアニメ好きであれば、もはや言わずもがな。心身に青色が残っているうちに視聴せねば、モッタイナイと言わざるを得ない。
難しいかもしれないが、その際には「名作を観るんだ」と気負うことなく視聴してほしい。また、視聴後は道路を一直線に走り出したくなる可能性がある。
まったく止めないが、交通事故には注意しよう。骨は折れると意外と痛い。
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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
【作品概要】
2011年4月~6月までフジテレビ・ノイタミナ枠などで放送(全11話)された『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』。
幼なじみの宿海仁太、本間芽衣子、安城鳴子、松雪集、鶴見知利子、久川鉄道ら6人が「超平和バスターズ」というグループを結成し、秘密基地で遊ぶ仲だった。
しかし突然の芽衣子の死をきっかけに、彼らの間には距離が生まれてしまう。芽衣子の死という過去を抱えた6人の、淡い恋や罪の意識、絆や成長を綴ったストーリーは、アニメファンのみならず、幅広い層からの支持を受けた。
アニメーション制作はA-1 Picturesで、OP主題歌「青い栞」はロックバンドのガリレオ・ガリレイが歌っています。
■ライターコメント
定番ですが、夏アニメといえば外せない作品。トラウマや葛藤を抱えた登場人物たちが、自分を責め、生きることに葛藤しながらも、芽衣子のために動き、自らの道を歩んでいく姿は胸がギュッと締め付けられます。
リアルな心情が描かれているので、6人のキャラいずれかに感情移入をしてしまうことでしょう。
自然豊かな故郷、秘密基地、そこで起きるひと夏の奇跡は、自分の幼少期を彷彿とさせ、ノスタルジーを感じることができるはず。
ラストシーンの仁太の語りは、仲間を大切に思う気持ちと、大人になっていく切なさが伝わり号泣必至。蝉の鳴き声を聞きながら、ぜひご覧になっていただきたいです。
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あの夏で待ってる
【作品概要】
2012年1月から3月まで放送(全12話+特別編)された『あの夏で待ってる』。
主人公・霧島海人を中心に巻き起こる青春ラブコメディの本作品は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の長井龍雪(監督)と田中将賀(キャラクターデザイン)、『おねがい☆ティーチャー』の黒田洋介(脚本)と羽音たらく(キャラクター原案)によるオリジナルアニメ。
野県小諸市が舞台となっており、地元の「小諸フィルムコミッション」や小諸市が制作に協力しています。
アニメーション制作はJ.C.STAFFで、OP主題歌は『AMNESIA』や『凪のあすから』などの楽曲も歌うRayの「sign」。
■ライターコメント
主人公とその仲間たち、そして宇宙からやってきた女の子。ただの青春ラブコメではなく、SF(すこしふしぎ)という組み合わせがおもしろい。
夏が始まるたびに感じる「何かが起こりそうなワクワク感」はきっと共感できるはず。仲間たちとの掛け合いや笑い、そして甘酸っぱい恋心は、うらやましい思うほど鮮やかで楽しげ。
夏の雰囲気とよくマッチしています。普段、妄想ばかりしている海人の時折見せる男らしさも胸アツ。そしてラストにはホロリとするシーンも。観れば、高校生の夏休みを思い出すはずです。
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凪のあすから
【作品概要】
『凪のあすから』は、2013年10月~2014年4月頭まで放送されたアニメで全26話の作品です。2013年夏から『月刊コミック電撃大王』で漫画先行公開されていたこともあって、夏イメージのアニメです。
舞台は、いまだ海の中で生活する「エナ」を持つ人々と、陸に上がって生活する人々がいる世界。
ある日、海で暮らす4人の少年少女は、海村の学校が廃校になってしまうために陸の学校へ通うことに。そこで出会う陸の少年と一緒に、海の人と陸の人との間の溝に向き合いもがく、少年少女の物語です。
アニメーション制作はP.A.WORKSで、OP主題歌である第1クール「lull~そして僕らは~」・第2クール「ebb and flow」を歌うのはRay。
■ライターコメント
「海と陸」の間にある人種差別をテーマとして扱いながらも、その中身は真剣に恋をしてぶつかっていく少年少女たちの青春群像劇。
海の少年・先島光は、同じ海の少女・向井戸まなかが好き。まなかも光が好きだけれど、友達の少女・比良平ちさきもまた、光が好き。そして3人の友達の少年・伊佐木要は、ちさきが好き。さらに陸の少年・木原紡もまた、ちさきに恋をする…実は他にもたくさんの恋が出てくるのですが、そのどれもが切ない!
自分の気持ちも大事、だけど友達だって大事、今の関係は壊したくない、だけど好き。そんな恋心は、胸がぎゅっと掴まれたように苦しくて、同時にすごく甘く焦がれる思いがします。
また、少年少女の世界だけにとどまらず、「大人の事情」にも全力でぶつかっていく様子は、まさに青春。あんなに情熱的に、たくさんの大切なモノを想いながら過ごせたなら、きっと世界が180度変えられるんじゃないかな、と思う作品です。
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雲のむこう、約束の場所
【作品概要】
舞台は北海道が「蝦夷」という独立国家として、本州と南北に分断された戦後の日本。
アニメーション制作は、『秒速5センチメートル』や『ほしのこえ』で知られる新海誠さんが2004年に手がけた映画で、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞も受賞されました。
また、主題歌は▼(ハートマーク)こと、川嶋あいが歌う「きみのこえ」。
■ライターコメント
蝦夷出身の筆者がオススメする本作品の物語は、青森県の夏、二人の少年と一人の少女のお話です。
ユニオンの塔に憧れる藤沢浩紀(CV:吉岡秀隆)と白川拓也(CV:萩原聖人)は津軽海峡を越え、塔に行こうという野望のため、自分たちで飛行機を作成していました。
また、その二人が恋心を抱く沢渡佐由理(CV:南里侑香)も、ユニオンの塔に憧れがあり、夏のある日、浩紀と拓也は「佐由理をユニオンの塔まで連れていく!」と約束するのです。
しかし、その日以来、佐由理は二人の前からいなくなってしまいます。なぜなら佐由理は、謎の病によってずっと眠り続けていたのです。二人も飛行機を完成させる気力が失せ、心もバラバラになり、数年が経ちました。
少し大人になった浩紀は東京、拓也は青森と離れた学校に通い、佐由理もずっと眠り続けたまま。3人の青春は、あの夏の1日から、ずっと止まっているんです。そう思うと、心が苦しくてたまりません。
物語において夏のお話はそのシーンだけなのですが、冬でも秋でもどこか夏の面影を感じさせるのは、3人の心が夏に置き去りになっている現れなのではないでしょうか。
そして、塔と佐由理の関係が明かされると、浩紀と拓也は再会し、もう一度飛行機を作り始めるのです。
佐由理は目を覚ますのか? 彼女との約束を果たすことはできるのか? 心がぐっと苦しくも、これぞ青春というような恋愛物語。ぜひ、ご覧なってください。
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イリヤの空、UFOの夏
【作品概要】
OVAとして2005年2月から同年6月にかけて発売された『イリヤの空、UFOの夏(全6巻)』。アニメーション制作は東映アニメーションで、OP主題歌「Forever Blue」は女優の今井ちひろが歌っています。
■ライターコメント
夏、そしてOPテーマを聴くと、ふと蘇るあの日の思い出……著・秋山瑞人/イラスト・駒都えーじによるライトノベルを原作としたアニメ『イリヤの空、UFOの夏』。
本作では、主人公・浅羽直之と謎多きヒロイン・伊里野加奈との触れ合いが描かれています。
「夏休み最後の夜、学校のプールで美少女と出会うという夢のようなシチュエーションでの出会いから、互いに魅かれていき、そして壮絶な現実を目の当たりに……」
中学生には重すぎる責任を背負った伊里野が、好きになった浅羽のため、「世界」ではなく「彼」だけのためにその身を犠牲にしていきます。
甘いだけではない、青春の一つの形なのかなと今でも感じます。リリースから10年もの月日が経ったいま観ても、なんとも言えない切なさがある作品です。
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ラムネ
【作品概要】
アニメ『ラムネ』は、アダルトPCゲームメーカー「ねこねこそふと」の同名ゲームをアニメ化したもので、とある海辺の街を舞台にした学園青春ラブストーリーが繰り広げられます。
アニメーション制作はすでになくなっている、トライネットエンタテインメントとピクチャーマジックの共同制作で、2005年の10月から12話が放送されました。
OP主題歌は、「月は東に日は西に ~Operation Sanctuary~」や「FORTUNE ARTERIAL」などのゲーム主題歌を担当した真優が歌う「ラムネ色のメロディ」です。
■ライターコメント
夏と言えば夏祭り! お祭りでは屋台の焼きそばやラムネを買うのが大好きな筆者ですが、そんな『ラムネ』というタイトルのアニメがあるのをご存知でしょうか。
物語をざっくり紹介すると、主人公・友坂健次(CV:谷山紀章)と隣家の幼なじみ・近衛七海(CV:後藤邑子)、そしてその友人たちの日常が描かれていきます。
この幼なじみの七海が「ぽんこつ」と呼ばれファンから愛されているのですが、語ると本筋から大きく脱線するので割愛しておきます。へっぽこっぷりが気になる方はぜひ本編をご覧あれ。
さて本題の胸キュンポイントですが、七海が健次にベタベタで、「こんな幼なじみが欲しかった」となること請け合い。花火や天体観測といった青春感あふれるイベントも盛りだくさんです。
舞台がひなびた港町なのでノスタルジーを刺激されるのも、高ポイントなところ。また、本作、ストーリーにそこまで派手な展開はありません。その分、何気ない日常の描写、そしてキャラ同士の交流が丁寧に描かれているので、本当に七海が愛おしくなり、キュンキュンしてしまいます。
派手さはないが、的確にポイントを突いてくる。そんな「隠れた名作」としてオススメなアニメなのです。
CLANNAD
【作品概要】
『CLANNAD』はKeyより発売された恋愛シュミレーションゲームを原作としたアニメ作品です。2007年に第1期、2008年に第2期が放送され、番外編や総集編を合わせると全49話にも及ぶビッグタイトルとなっています。
アニメーション制作は第1期・第2期ともに京都アニメーションが手がけ、OP主題歌においては、音楽ユニットのeufoniusが第1期「メグメル 〜cuckool mix 2007〜」を、第2期「時を刻む唄」はLiaが歌います。
■ライターコメント
ファンの方は「夏アニメじゃねーじゃん!」と思うかもしれないが、まぁ待ってほしい。
夏“も”描かれている作品なのは間違いないし、なにより筆者がオススメしたいのは夏のシーンだからだ。
主人公・岡崎朋也がヒロイン・古河渚に告白するシーンなんて、そのロマンティック具合は見ているだけで吐血モノ。
放課後の夕暮れが迫る教室、2人きりで文化祭の余韻を楽しむひととき、渚は朋也がいたずらで日直欄に書いた彼女の名前を見て朋也の名前を横に書き足す……そして満面の笑みで一言こう言うのだ。
「お返しです」
なぜ俺の高校時代はこうではなかったのか!? と頭を抱える始末だが、こんな可愛い女の子はアニメの中にしかいない。個人的なマイエンジェルは藤林杏だが……。
そんな青春をリベンジさせてくれる作品が『CLANNAD』なのである。しかし、青春だけには留まらない。全話を見た後、君はこの作品が「人生」であることが理解できるであろう。
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蛍火の杜へ
【作品概要】
2011年9月17日に44分ほどの中編アニメ映画としてレイトショー公開された作品「蛍火の杜へ」。
触れると消えてしまうという、人でも妖怪でもない不思議な存在の少年と、人間の少女の儚い恋物語。「夏目友人帳」の著者・緑川ゆきによる漫画作品および同作品を表題とした漫画短編集が原作。
アニメーション制作はブレインズ・ベースで、主題歌の「夏を見ていた」は民族音楽などのノンジャンルで活躍する、おおたか静流が歌っています。
■ライターコメント
主人公・ギンとヒロイン・竹川蛍が醸し出す距離感、優しさに包まれた独自の空気から、お互いを思う気持ちと切なさがじんわりと伝わってきます。
大きな事件や派手な演出はないのですが、その分、繊細な心の動きを感じとることができるはず。深い森、蝉の声、にぎやかなお祭り……夏の色合いや雰囲気も美しい。
夏しか会えないというシチュエーション、お互いの心が近づきつつも、叶うことのない恋が胸をギュッと締め付けます。映画は44分という中編ですが、充足感はバッチリ。通りすぎたいくつもの夏を愛しく思うことができる作品です。
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とらドラ!
【作品概要】
『とらドラ!』は2008年10月~2009年3月に全25話で放送されたアニメ。高校生活を舞台に家族事情や恋愛模様を描いた青春ラブコメ作品。
鋭い目つきで周りから敬遠されがちな主人公・高須竜児と可愛らしいルックスとは裏腹に凶暴な「手乗りタイガー」こと逢坂大河の恋愛事情を軸に、徐々に竜児に惹かれていく「みのりん」こと櫛枝実乃梨や、その美貌から同級生の男子たちを魅了する川嶋亜美が加わり、複雑な心境や青春を感じさせる物語です。
アニメーション制作はJ.C.STAFFで、OP主題歌において第1クール「プレパレード」は逢坂大河・櫛枝実乃梨・川嶋亜美(釘宮理恵・堀江由衣・喜多村英梨)が、第2クール「silky heart」は堀江由衣が歌う。
■ライターコメント
「この世界の誰一人、見たことがないものがある。それは優しくて、とても甘い。たぶん、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。だからこそ、誰もそれを見たことがない。そう簡単には手に入れられないように、世界はそれを隠したのだ。だけどいつかは、誰かが見つける。手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。そういうふうにできている」
※作品冒頭の語りから引用
第1話の冒頭から意味深な語り始まる本作品。しかし、物語を進めて行くうちにその「優しくて、とても甘い」ものが何なのか、じわじわと細胞から理解できます。
物語は、学生生活の1年間を通して展開されているので、「夏……?」と思われてしまいがちなのですが、夏のある日、あるタイミングで「なるほど!」と納得するシーンに出会うでしょう。
大河と竜児の双方に対する心境の変化、また、みのりんの竜児に対する心境の変化に「こんな学生時代送りたかった!」という己の激しい嫉妬に加え、胸をグシャグシャにされるほどの切なさと喪失感を味わいます。
しかし、その辛みに耐え、最終話を迎えた時、あなたは今までにない多幸感を味わうことができるでしょう。
そんな辛さと幸せが入り交じる最高のアニメです。
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アオハライド
【作品概要】
『アオハライド』は、2014年7月~9月に放送された全12話のアニメ。咲坂伊緒先生の漫画が原作で、「アオハル(青春)+ライド(ride/乗る)」という意味の込められたまさに青春作品です。
主人公の吉岡双葉は、高校1年の終わり、中学時代に急に転校してしまった初恋の人・田中洸と再会を果たすのだけれど、3年ぶりに会った洸は、双葉の記憶とは別人。性格はやたらクールで人を寄せ付けない雰囲気だし、苗字まで変わっている。
そんな洸の3年間に少しずつ触れていく双葉は、また洸に恋をして、一緒に前に進んでいく恋物語です。
アニメーション制作はProduction I.Gで、OP主題歌を歌うのはCHiCO with HoneyWorksで「世界は恋に落ちている」。
■ライターコメント
愚直なくらいにまっすぐな主人公・双葉と、親の離婚や母親との死別などですっかり不器用になってしまった洸の、一筋縄ではいかない恋がきゅぅと胸を締め付けてくるアニメです。
原作も読んでいたので、アニメは物足りないんじゃないかと思ったりもしていましたが、アニメもたまらなく切なくて、完全にハマってしまいました。洸役の梶裕貴さんがまた、切ない良い声を出すんです。
もちろん、苦しいだけではなくて、ほんのちょっとしたことでドキドキしたり、嬉しくなったりする、女子高生特有の恋の旨みのようなものもたくさんあり、双葉と一緒に泣いたり笑ったりしながら観ていました。
双葉と一緒になって「洸のバカ!」とか言っちゃうくらいでしたね。だから、洸が弱さを見せてくれた時には、やっぱり双葉と一緒に泣きました。
決して「特別」ではない高校生なのに、心がめいっぱい揺れ動くアニメです。
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ハナヤマタ
【作品概要】
2014年7月から9月まで放送された『ハナヤマタ』。夏の風物詩でもある「よさこい」をテーマに少女達の成長を描いた全12話の作品であり、引っ込み思案で、何にも自信が持てない主人公・関谷なるが「よさこい」に出会い、友情を通じて少女から大人へと少しずつ成長していくストーリーになっています。
また同名の原作マンガで読者を魅了している独創的で美しいイラストを、アニメーション制作会社・マッドハウスがアニメに違和感なく取り入れているのは原作ファンからも好評です。
OP主題歌は、作品でヒロインを務める上田麗奈が演じる関谷なる、奥野香耶が演じる笹目ヤヤ、田中美海が演じるハナ・N・フォンテーンスタンド、大坪由佳が演じる西御門多美、沼倉愛美が演じる常盤真智から成るチーム「ハナヤマタ」が歌う「花ハ踊レヤいろはにほ」。
■ライターコメント
青春にも様々な形があるが、『ハナヤマタ』で描かれるのは「友情」である。
「友情」といっても萌えアニメに代表されるような絵に描いたような仲の良さではなく、綺麗事抜きの不器用な関係性が繰り広げられていくのがおもしろい。
まだ大人になりきれていない多感な中学生たちが「よさこい」を通じて助け合い、分かち合い、ぶつかり合う。誰もが弱い部分を持っていて、それを隠さずにいられるのが本当の友達なんだ、と気づかせてくれる作品だ。
自分のやりたいこと、なりたいものを想って涙を流せる等身大の彼女達を見ていると、胸の奥にしまっていた甘酸っぱい青春を思い出せるかもしれない。
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おおかみこどもの雨と雪
【作品概要】
『おおかみこどもの雨と雪』は、2015年7月11日より公開中のアニメ映画『バケモノの子』でもおなじみの細田守さんが監督を務め、2012年の夏に公開された劇場版アニメ作品です。
アニメーション制作は細田監督作品をつくり上げるための場所として、本作『おおかみこどもの雨と雪』制作時に起業した「スタジオ地図」。
「おおかみおとこ」を好きになった女性・花と、その子供たち、姉の雪と弟の雨、二人の「おおかみこども」をめぐる親子の物語が描かれます。
OP主題歌はシンガーソングライターのアン・サリーが歌う「おかあさんの唄」
■ライターコメント
本作は、すごく青春しています! 無論、花たち「おおかみこども」の親子に降りかかる苦難や、成長が主軸であることに疑いはありません。
それでも僕がこの作品に青春を感じたところは、母親である花の手を離れ始めた雪と雨が、自分たちがこれから生きる世界を、それぞれ悩み、時には姉弟でぶつかり合うような苦難がありながらも、自分自身の手でそれを見つけて選んでいく点です。
異性との恋愛や、仲間たちとなにかひとつのことを頑張ってみるなどではないかもしれませんが、子供たちが自分の手で世界を広げ、生き方を定めていく。そんなところに惹かれる映画です。
『バケモノの子』の公開をはじめ、過去の細田監督作品のTV一挙放送など、今年の夏は細田監督作品が熱い!
この夏は、その中のひとつである『おおかみこどもの雨と雪』で、それぞれ違う世界で生きる事を選んだ姉弟の未来に想いを馳せてみたい。
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STEINS;GATE
【作品概要】
2011年4月から全24話で放送された『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』。企画/原案は志倉千代丸であり、WHITE FOX(ホワイトフォックス)がアニメーション制作を手がけています。
OP主題歌は、ゲーム版の主題歌も担当した、いとうかなこの「Hacking to the Gate」
■ライターコメント
本作は、5pb.Games(ファイブ・ピー・ビー・ゲームス)が販売する同名ゲームソフトが原作です。ストーリーについては、ほぼゲームのトゥルーエンドストーリーに沿った内容となっています。
また、2013年4月にはトゥルーエンド後を描いた完全オリジナルストーリーの『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』が公開。2015年7月には本作再放送が決定するなど、今もなお多くの人に愛されている作品です。
主人公・岡部倫太郎の中二病っぷりは、見ていて痛々しいものの、自信に満ち溢れた姿には人を惹きつける魅力があります。
彼がまとめる発明サークル「未来ガジェット研究所」のメンバー(通称:ラボメン)には、コスプレ好きな幼馴染の椎名まゆりやハッキングを得意とする橋田至などが所属。
ストーリーが進むにつれて癖のあるラボメンがどんどん増え、タイムマシーン作成を目標に活動していくのですが、あるできごとをきっかけに思わぬ方向に……。
仲間と目標のために突き進むキャラクターたちを見ていると、もし自分がこんな夏休みを送っていたのなら、うだるような暑い夏が来ても毎年ワクワクしていたのだろう……と、後悔とも羨望とも取れる複雑な気持ちが胸を締めつけます。
前半のコメディタッチなストーリーと、後半のシリアスなストーリー、どちらも魅力的で目が離せない作品です。
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秒速5センチメートル
【作品概要】
2007年3月3日に公開された劇場版アニメ『秒速5センチメートル』。
アジアパシフィック映画祭「最優秀アニメ賞」、イタリア・フューチャーフィルム映画祭「ランチア・プラチナグランプリ」を受賞した作品で、映像美を通して多くの人を魅了しました。
監督や脚本、絵コンテ、演出など、ほとんどを新海誠が務めた本作の主題歌は、山崎まさよしの「One more time, One more chance」。
■ライターコメント
胸を締めつけるアニメとして真っ先に思い浮かぶのが、新海誠さんが監督、脚本、演出などを手がける『桜花抄(おうかしょう)』、『コスモナウト』、『秒速5センチメートル』の短編3話の作品。
作品自体は全63分でストーリーが展開していきます。
春のイメージが強い作品ですが、筆者が好きな2話『コスモナウト』を夏アニメとしてオススメいたします。
本作は、小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里を中心に話が進み、『コスモナウト』は貴樹に片思いをしている澄田花苗の視点で展開していきます。
花苗の恋心がとても切なく、美しい映像と細かい心情の変化を表した言葉の数々に胸が苦しくなってしまいます。
貴樹には特別な想いを寄せる女性がいるのだろうと花苗が気付いてしまうとき、「あぁ、この恋は無理なんだ…」と、花苗と一緒に悲しくなり思わず涙がこぼれます。
また、本作ラストに流れる「One more time, One more chance(歌:山崎まさよし)」は鳥肌もので、見終わるとボーッと宙に浮いたような不思議な気持ちを味わうことでしょう。
まだ見ていない方は、この夏『秒速5センチメートル』にぜひ心を鷲掴みされてください。
[公式サイト]
サマーウォーズ
【作品概要】
2009年8月1日に全国にて公開された細田守(監督)初の長編オリジナル作品であり、劇場版アニメ作品。
天才的な数学力を持つも、引っ込み思案で内気な少年・小磯健二が、ふとしたことから片田舎の大家族に仲間入り。田舎の大家族とともに、ネットとリアルの世界、両方の崩壊の危機に立ち向かうストーリー。
アニメーション制作はマッドハウスで、主題歌はJ-POP界の伝説的な存在・山下達郎が歌う「僕らの夏の夢」。
■ライターコメント
「田舎」、「親戚」、「憧れの先輩」と、夏の三拍子が揃った作品。次々に襲いかかるピンチとチャンスに、真っ正面から向き合う主人公とヒロイン。
一度は夢見る「憧れの先輩とひと夏の大事件」というシチュエーションに、思わず胸が高まります!
デジタルネットワークのパワーと家族や親戚、人の絆というアナログパワーのぶつかり合いも見どころ。爽快感もあるので、夏のジメジメした空気をスカッと晴らしてくれます。
ネットとリアルを行き来する。サマーウォーズの世界が、現実になりつつある今だからこそ見て欲しいです。
[公式サイト]
デジモンアドベンチャー
【作品概要】
1999年からの一年間、54話に渡り放送された東映アニメーション制作のTVアニメ『デジモンアドベンチャー』。
子供会のサマーキャンプに参加した主人公・八神太一(CV.藤田淑子)を始めとした7人の子供達が、あるきっかけでデジモン達の住む謎の世界「デジタルワールド」に迷い込んでしまう。
学年や性別も違う小学生の子供たちと、未知の生物「デジモン」が力を合わせながら冒険していくというストーリーになっています。
OP主題歌は、和田光司が歌う「Butter-Fly」。
■ライターコメント
本作を語る上で外せない要素と言えば、デジモンたちがより強い姿に変わる「進化」だが、進化するのはデジモンたちだけではない。
突如として異世界を冒険することになった子供たちは、「現実世界へ無事に戻れるのか」「親は心配していないか」という不安もあり、時に喧嘩や挫折をしてしまう。
しかし、仲間がいることによって「力を合わせることの大切さ」や「乗り越える勇気」に気づき、子供たちも少しずつ心の進化を遂げていく。
ひと夏の冒険で経験する多くの出会いや別れ、そして困難を乗り越えることによって描かれる子供たちの成長物語は、きっと観た方の胸を熱くさせることだろう。
本作の続きが描かれた新作映画も2015年11月に公開を控えているので、この夏は、”また”デジモンたちとともに過ごしてみてはいかがだろうか。
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