歌手 黒崎真音の表現のリアル「気にしていたら何もできない」
アーティストの生み出す作品が「表側」ならば、創作の源やプロセスといった「裏側」には何が潜んでいるのでしょうか。
アニメイトTVが贈る新連載シリーズ「
第1回のゲストは、歌手の黒崎真音さん。2010年にメジャーデビュー後、主にアニソンシンガーとして活躍中です。愛称である「ヲ嬢(=オタクなお嬢様)」の通り、アニメや乙女ゲームが趣味であることでも知られています。
聞き手は元宝塚歌劇団員で、現在は舞台やラジオなどでも活動中の花奈澪(はななみお)さん。ゲームやアニメなどにも詳しく、黒崎真音さんが大の宝塚ファンでもあることから、ふたりはプライベートでも親交があります。
そんな2人の最終回となる今回の対談では、黒崎真音さん自身の歌やファンへの向き合い方などの話で盛り上がりました。
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前編:歌手 黒崎真音の表現のリアル「私の歌詞には『自分の限界を超えろ!』が多いんです」
中編:歌手 黒崎真音の表現のリアル「宝塚歌劇団の照明使いをライブに取り入れてみたい!」
■執事ゲーム、制作希望?
執事さん:失礼いたします。お食事をお持ちしました。こちらがイングリッシュアフタヌーンティーセットのAnna Mariaでございます。
花奈澪(以下、花奈):すごい! サンドウィッチめっちゃかわいい!
執事さん:本日ご用意いたしましたお食事でございますが、下段からフィンガーサンドウィッチの3種類の盛り合わせでございます。
ソフトサラミをマリネにしたもの。紫芋とチーズを合わせもの、栗を少し甘く煮たものです。中段にはプレーンのスコーンに、クロテッドクリームといちごのコンフィチュールを、上段は日替りのデザートをご用意しております。
黒崎真音(以下、黒崎):へー、凝ってる!
執事さん:お皿にお取りいたしますが、お嬢様どちらにいたしますか。
黒崎:え、お嬢様どちらにしますか?
花奈:じゃあスコーンにします。
執事さん:スコーンですね、かしこまりました。
黒崎:本当に深夜(※特別に閉店後にご協力いただきました)まですみません……。
執事さん:使用人に休みはございません。お嬢様方が眠るまでが仕事です。
花奈:キャー!
黒崎:素敵。
花奈:あー、今持っていかれた心。
黒崎:持っていかれました。ゲームの世界だね。
花奈:執事ゲーつくってほしいな。
黒崎:Swallotailさんプロデュースで。
花奈:その時は、オープニングテーマは黒崎真音ちゃんに(笑)。
■ファンとのやり取りは、いい刺激の与え合い
花奈:じゃあ、スコーンいただきましょうか。 わぁ、あったかい。真音ちゃんって普段はスイーツ食べる人ですか? フライドポテトばっかり食べているイメージなんだけど(笑)。
黒崎:スイーツはたまにくらいで、ポテトばっかり。今日もロッテリアに行こうか迷って、ちょっと我慢した。
花奈:エネルギー源なんですね。
黒崎:そう、元気でると思って。
花奈:ライブやるにも元気は必要だし。さっき緊張するって言っていたけれども、大きなステージだとやはり緊張は変わりますか?
黒崎:あんまり変わらないかも。近いほうが緊張する。
花奈:それはありますな!
黒崎:前に仙台でライブしたときに、もう本当に近くって。近いほうが聞いてくれるみんなの表情がわかりすぎちゃって、「あれ私、変なこと言ってるかな?」とか思っちゃう(笑)。
花奈:反応が気になっちゃうんだよね(笑)。でも、もっと身近にファンの方と、それこそ握手会とかで接触することもあると思う。そういう機会はやはり嬉しいものですか?
黒崎:うん! 「この曲がすごく好きで」とか、いろいろ教えてくれて、私は嬉しいし、楽しいかな! 握手会とかサイン会とか終わったあと、元気になっちゃうもん。
花奈:いろいろと表現を続けていると、握手会に来てくれるのもそうだけど、人に何かしらのきっかけや影響を与えることもありますよね。「私、彼らの人生を変えちゃったな」みたいに思うこともあるんですか。
黒崎:「アニソンシンガー目指します!」って言ってくれる子が、男女問わず結構いるかも。夢を書いたお手紙をいただいたり、歌っているときの写真を送ってくれたりとか、それはすごく嬉しくて。自分が目指していたころをすごく思い出すというか、いい刺激のし合いみたいな。
花奈:逆に、真音ちゃんの側から、歌や表現を通して伝えていきたいことってありますか。
黒崎:私って特技も得意な科目もなくて、特に秀でて何かができるわけでもないし、学生時代も目立たないタイプで。
「そんな自分にもできることがないかな」ってずっと探していて、歌に行き着いたんです。地味な自分を形にして人に伝えられる手段として、一番しっくりきたというか。
だから、歌や表現の全部を含めて、自分がしたいと思ったことを叶えることで、見ている人が「ああいう生き方もあるんだな」って感じてくれたらいいと思って。私は歌詞を自分でほとんど書いているんだけど、「自分の限界を超えろ!」みたいな歌詞がすごく多いの(笑)。
花奈:真音ちゃんの曲は、自分に対するメッセージも多いんですね。
黒崎:歌手を目指したときも、周りの人にすごく反対されたの。「現実を見ろ」とか「厳しい世界なの知ってる?」とか言われて、最初はそれでへこたれてできなかったんだけど、「気にしていたら何もできないな」って、ちゃんと目指すことにして。
そこで否定されて劣等感を抱えてしまった自分もどこかに残っているから、そんな私が「自分の限界を超えて」行動することで形にしていくものを一つひとつ一緒に見て、勇気付けてもらえたらなって思って。この5年間活動してきて、そのテーマはぶれないですね。
花奈:ファンの人に見てもらいたい部分でもあるし、真音ちゃん個人として、人生で表現していきたいテーマでもあるんですね。
黒崎:アニソンだけに絞って言うと、やっぱりカッコイイ曲がどんどん増えてきていて、古き良きアニソンもカッコイイんだけど、どんどん進化して新しいものが取り入れられていて。
まだアニソンを知らない人にも、「音楽のつながり」から知ってもらえたらいいなって思います。ツイッターとかブログとかでも何か発信していくことで、まだアニソンを知らない人が引っかかってくれたらいいなって。
そのときに「この曲カッコイイじゃん、アニソンすげーじゃん」って言ってもらえるようなものを作っていきたいです。
花奈:真音ちゃん自身がそう感じて、アニソンシンガーを目指したようにね。そろそろ時間も遅いので、このあたりで。執事さんも最後まで背筋がピンとされていて、さすがです。本当に素敵なお時間をいただいて、ありがとうございました。
黒崎:ね!ありがとうございました。
【取材協力】
執事喫茶 Swallowtail(スワロウテイル)
http://www.butlers-cafe.jp/
東京都豊島区東池袋3-12-12 正和ビルB1F
TEL:非公開
※「予約制」のため、利用の際は上記公式ウェブサイトよりご予約ください。
執事:椎名
フットマン:伊織
【今回ご提供いただいたお料理】
アンナマリア:
紅茶:スワロウテイル
- スワロウテイル - (ダージリン)
シンブリ農園より届いた、高標高で栽培されたダージリンファーストフラッシュです。ダージリンの系譜を思い出させる、武夷岩茶のような甘くスパイシーな香りが特徴です。若々しさが珍重されるファーストフラッシュの中では珍しいタイプですが、渋みも柔らかく丸みのあるダージリンです。
黒崎真音 Twitter:https://twitter.com/kurosakimaon
花奈澪 Twitter:https://twitter.com/namio_dao
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[取材・構成:松本塩梅、織田上総介]