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アニメ
TVアニメ『リゼロ』監督・渡邊政治&音楽・末廣健一郎が語る劇中音楽へのこだわり
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)の声優陣やテーマソング担当アーティストの特別インタビューを連続で掲載していく「Re:ゼロから始める取材生活」。
アニメイトタイムズにて掲載中の本企画、第15回では監督・渡邊政治さん、音楽を担当する末廣健一郎さんが登場。今回は渡邊監督が末廣さんに音楽を依頼した経緯、末廣さんが監督から受けたオーダーや音楽制作の際に意識されたことなどについて語っていただきました。
好評のリレーインタビュー企画では、前回登場の小林裕介さんと水瀬いのりさんからの質問にもお答えいただいていますので、お見逃しなく!
――16話までオンエアされましたが、現時点での感想をお聞かせください。
監督 渡邊政治さん(以下 渡邊):スバルの鬱パートは特にチェックに力を使っているので、キツかったですね。アニメの制作はまだ絶賛作業中なので、気を緩めることができない状況はずっと続いています、大変です(笑)。 音楽 末廣健一郎さん(以下 末廣):原作を見た時点で泣きながら読んでいましたが、監督の絵コンテを見て泣いて、放送を見てまた泣いて。最近の15話でも。改めてすごい作品だなと思っています。
渡邊:確かにあんなのを見せられたら泣けますね。
末廣:あんなに感情移入できる作品の仕事ができてうれしいなと思いました。
渡邊:僕、ドラマが好きでよく見ているんですけど……『リゼロ』の作業に入ってからほとんど見れていませんが(笑)……音楽を誰に頼もうか、考えた時、できれば“問題作”をやったことがある人にお願いしたかったんです。
社会性だったり、衝撃を受ける作品とか。『死の臓器』(WOWOW)という医療ドラマを見ていたら、最後に死体が止め絵で映っているカットがあってバックで流れていた曲に衝撃を受けて。それで作った人の名前を調べたら末廣さんで、「どこかで名前を見たことあるな」と思ったらほかに見ていたドラマでも音楽を担当されていて。毎回自分が泣いていたドラマや、好きなアニメのED曲も末廣さんで「何者!?」みたいな(笑)。
末廣: (笑)。
渡邊:よくよく調べると(作曲家の)エンニオ・モリコーネさんが好きみたいで。
末廣:はい。大好きです。
渡邊:僕もエンニオ・モリコーネさんが音楽を手がけた『ニュー・シネマ・パラダイス』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の曲も好きで、好みまで僕と似ていて。あと山羊座ですよね?
末廣:そうです。監督も山羊座なんですね。
渡邊:これでイケると思いました。山羊座特有?(笑)の緊張感や研ぎ澄まされた感じが音楽に出ていたような気がしたので『リゼロ』も出してもらえるだろうと。
末廣:そんなこと初めて言われました(笑)。
渡邊:例えば、15話が最終的にあんなEDになっちゃったのも最初は違うED曲を使う予定だったんですけど、末廣さんから音楽が上がってきた瞬間に、吉川さん(WHITE FOX アニメプロデューサー)から「この曲は15話EDの黒バック縦ロールでいきましょう」との声を元に、僕の方が「黒バックより、スバルの死体の方が絶望感が出るんじゃないか」という流れが生まれました。まさに曲で決まったEDなんです。
末廣:そうだったんですね。放送で見てビックリしました。すごい使われ方してるって。 渡邊:普段だと尺の問題で断片的にしか使えないので、「ここから曲が盛り上がるのに使えないのか!」というもどかしさもありました。どこかで全尺使いたいなと。7話でスバルがレムに殺されそうになっている時も全尺使っていたり、要所要所では全尺使いたいと思ってるんです。
末廣:アニメでは珍しいですよね。長尺で曲を使うのは。15話のEDに使われた曲もは7分まるまる使っていましたよね。 すごいなと。
渡邊:絵を当ててみたら曲の転調でカットが切り替わったり、たまたま偶然曲と絵が合ってて。
末廣:山羊座だから?
渡邊:山羊座だから(笑)。 あと、原作の長月達平さんが“持っている”んでしょうね。そうじゃないとこんなにうまくいかないと思うんです。
末廣:最初の打ち合わせの時、大きく分けて3つくらい言われました。まず死に戻りの描写で人の声を使ってほしい、心情面の描写をきっちりやりたいのでドラマや映画のような音楽の作り方をしてほしい、サスペンス描写をかなり本格的にやりたいということ。なので、そこは意識してやりました。
渡邊:僕が思っていた以上の強烈な曲が上がってきました。
末廣:ありがとうございます。 ――章ごとのイメージでのオーダーはあったんですか?
渡邊:第1、2章1クール目はサスペンス、3章2クール目からは恋愛ものみたいな感じで。例えば『ダークナイト』などの音楽を手がけたハンス・ジマーのサウンドが好きなので、「『ダークナイト』っぽい感じで」とか。1話でスバルとエルザが戦ったり、9話でレムが鬼化して暴れまくる時は声を使ったり、サスペンスっぽい曲をお願いしました。『ダークナイト』でジョーカーがガンガン殴られる時にかかるギターが「ギュイーン」と鳴るのが好きなのでお願いしてみたり。
――オーダー後、末廣さんから届いた音楽を聴いた時、どう思いましたか?
渡邊:打ち込みが1クール目、生楽器が2クール目みたいなイメージがあったんですけど、上がってきたらガンガン重たい曲が届いて驚きました。みんなで「アニメっぽくないね」と話をしていました。
『リゼロ』も動きが激しいわけじゃなく、会話劇が多かったり、画面は静かだったりするので、別のもので盛り上げなきゃいけないとは思っていたので、緊張感を出す意味でも大切なのは音楽かなと。まだ音楽が入っていない1話を見た現場の人が「これ、おもしろいんですか?」という反応だったのに、音楽がついたら「鳥肌たちますね」と。音楽がなかったら本当に危なかった(笑)。
末廣:いえいえ(笑)。
渡邊:音響さんの音の使い方もうまいんですけど、今回は本当に音楽に助けられていると思うし、手応えも感じています。
末廣:ありがとうございます。
末廣:絵コンテや打ち合わせの段階から監督から説明があったので、たぶんアニメっぽくない作品なんだろうと想像できたので、思い切りドラマや映画っぽく音楽を作ったんです。だから、実際に作品が完成するまでは「大丈夫かな?」という心配もありました。でも、見たらすごいシンクロをしてて、ハマっていて驚いたし、監督がやりたかったことが1話を見て納得できました。
渡邊:そうですか? リップサービスありがとうございます(笑)。
末廣:いや本当にすごかったですよ!
――ロズワール邸でのお話はコメディやラブロマンス、シリアス、サスペンス、バトルなど様々な要素があって、音楽的にもいろいろ表情が見えた気がしました。
末廣:ロズワール邸に限らず、日常の曲に関してだけはちょっとアニメっぽくて大丈夫と言われていたので、そこだけは切り替えて作りましたね。それと、ファンタジーではなく、スバルの目線でオーソドックスな日常が欲しいとも言われたので、ファンタジーになり過ぎないように注意はしました。でも世界観が強いので、自然とファンタジーのほうへ向いてしまって。迷いながらも打ち合わせの言葉を反すうしながら作りました。
アニメイトタイムズにて掲載中の本企画、第15回では監督・渡邊政治さん、音楽を担当する末廣健一郎さんが登場。今回は渡邊監督が末廣さんに音楽を依頼した経緯、末廣さんが監督から受けたオーダーや音楽制作の際に意識されたことなどについて語っていただきました。
好評のリレーインタビュー企画では、前回登場の小林裕介さんと水瀬いのりさんからの質問にもお答えいただいていますので、お見逃しなく!
目次
- 末廣さんを泣かせまくった『リゼロ』
- 渡邊監督と末廣さんを繋ぐたくさんの共通点と縁
- 末廣さんの楽曲を聴いて演出プランが変更されることも!?
- 監督からのオーダーと音楽制作で意識した点は?
- ドラマや映画っぽい音楽の中、日常シーンはオーソドックスに
- 2人が好きな劇伴とは?
- アニメ音楽とは違うアプローチで作品を音楽でサポートしたい
末廣さんを泣かせまくった『リゼロ』
――16話までオンエアされましたが、現時点での感想をお聞かせください。
監督 渡邊政治さん(以下 渡邊):スバルの鬱パートは特にチェックに力を使っているので、キツかったですね。アニメの制作はまだ絶賛作業中なので、気を緩めることができない状況はずっと続いています、大変です(笑)。 音楽 末廣健一郎さん(以下 末廣):原作を見た時点で泣きながら読んでいましたが、監督の絵コンテを見て泣いて、放送を見てまた泣いて。最近の15話でも。改めてすごい作品だなと思っています。
渡邊:確かにあんなのを見せられたら泣けますね。
末廣:あんなに感情移入できる作品の仕事ができてうれしいなと思いました。
渡邊監督と末廣さんを繋ぐたくさんの共通点と縁
――今作の魅力の1つとして音楽を挙げるファンやキャスト陣が多いですが、渡邊監督が末廣さんに音楽を担当してもらおうと思ったきっかけと経緯を教えてください。渡邊:僕、ドラマが好きでよく見ているんですけど……『リゼロ』の作業に入ってからほとんど見れていませんが(笑)……音楽を誰に頼もうか、考えた時、できれば“問題作”をやったことがある人にお願いしたかったんです。
社会性だったり、衝撃を受ける作品とか。『死の臓器』(WOWOW)という医療ドラマを見ていたら、最後に死体が止め絵で映っているカットがあってバックで流れていた曲に衝撃を受けて。それで作った人の名前を調べたら末廣さんで、「どこかで名前を見たことあるな」と思ったらほかに見ていたドラマでも音楽を担当されていて。毎回自分が泣いていたドラマや、好きなアニメのED曲も末廣さんで「何者!?」みたいな(笑)。
末廣: (笑)。
渡邊:よくよく調べると(作曲家の)エンニオ・モリコーネさんが好きみたいで。
末廣:はい。大好きです。
渡邊:僕もエンニオ・モリコーネさんが音楽を手がけた『ニュー・シネマ・パラダイス』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の曲も好きで、好みまで僕と似ていて。あと山羊座ですよね?
末廣:そうです。監督も山羊座なんですね。
渡邊:これでイケると思いました。山羊座特有?(笑)の緊張感や研ぎ澄まされた感じが音楽に出ていたような気がしたので『リゼロ』も出してもらえるだろうと。
末廣:そんなこと初めて言われました(笑)。
末廣さんの楽曲を聴いて演出プランが変更されることも!?
――そんな相性ばっちりのお二人が出会うのは必然でしょうか?渡邊:例えば、15話が最終的にあんなEDになっちゃったのも最初は違うED曲を使う予定だったんですけど、末廣さんから音楽が上がってきた瞬間に、吉川さん(WHITE FOX アニメプロデューサー)から「この曲は15話EDの黒バック縦ロールでいきましょう」との声を元に、僕の方が「黒バックより、スバルの死体の方が絶望感が出るんじゃないか」という流れが生まれました。まさに曲で決まったEDなんです。
末廣:そうだったんですね。放送で見てビックリしました。すごい使われ方してるって。 渡邊:普段だと尺の問題で断片的にしか使えないので、「ここから曲が盛り上がるのに使えないのか!」というもどかしさもありました。どこかで全尺使いたいなと。7話でスバルがレムに殺されそうになっている時も全尺使っていたり、要所要所では全尺使いたいと思ってるんです。
末廣:アニメでは珍しいですよね。長尺で曲を使うのは。15話のEDに使われた曲もは7分まるまる使っていましたよね。 すごいなと。
渡邊:絵を当ててみたら曲の転調でカットが切り替わったり、たまたま偶然曲と絵が合ってて。
末廣:山羊座だから?
渡邊:山羊座だから(笑)。 あと、原作の長月達平さんが“持っている”んでしょうね。そうじゃないとこんなにうまくいかないと思うんです。
監督からのオーダーと音楽制作で意識した点は?
――音楽制作にあたって、渡邊監督から末廣さんにどんなオーダーがあったのでしょうか?末廣:最初の打ち合わせの時、大きく分けて3つくらい言われました。まず死に戻りの描写で人の声を使ってほしい、心情面の描写をきっちりやりたいのでドラマや映画のような音楽の作り方をしてほしい、サスペンス描写をかなり本格的にやりたいということ。なので、そこは意識してやりました。
渡邊:僕が思っていた以上の強烈な曲が上がってきました。
末廣:ありがとうございます。 ――章ごとのイメージでのオーダーはあったんですか?
渡邊:第1、2章1クール目はサスペンス、3章2クール目からは恋愛ものみたいな感じで。例えば『ダークナイト』などの音楽を手がけたハンス・ジマーのサウンドが好きなので、「『ダークナイト』っぽい感じで」とか。1話でスバルとエルザが戦ったり、9話でレムが鬼化して暴れまくる時は声を使ったり、サスペンスっぽい曲をお願いしました。『ダークナイト』でジョーカーがガンガン殴られる時にかかるギターが「ギュイーン」と鳴るのが好きなのでお願いしてみたり。
――オーダー後、末廣さんから届いた音楽を聴いた時、どう思いましたか?
渡邊:打ち込みが1クール目、生楽器が2クール目みたいなイメージがあったんですけど、上がってきたらガンガン重たい曲が届いて驚きました。みんなで「アニメっぽくないね」と話をしていました。
『リゼロ』も動きが激しいわけじゃなく、会話劇が多かったり、画面は静かだったりするので、別のもので盛り上げなきゃいけないとは思っていたので、緊張感を出す意味でも大切なのは音楽かなと。まだ音楽が入っていない1話を見た現場の人が「これ、おもしろいんですか?」という反応だったのに、音楽がついたら「鳥肌たちますね」と。音楽がなかったら本当に危なかった(笑)。
末廣:いえいえ(笑)。
渡邊:音響さんの音の使い方もうまいんですけど、今回は本当に音楽に助けられていると思うし、手応えも感じています。
末廣:ありがとうございます。
ドラマや映画っぽい音楽の中、日常シーンはオーソドックスに
――末廣さんが完成版の1話をご覧になったときの感想は?末廣:絵コンテや打ち合わせの段階から監督から説明があったので、たぶんアニメっぽくない作品なんだろうと想像できたので、思い切りドラマや映画っぽく音楽を作ったんです。だから、実際に作品が完成するまでは「大丈夫かな?」という心配もありました。でも、見たらすごいシンクロをしてて、ハマっていて驚いたし、監督がやりたかったことが1話を見て納得できました。
渡邊:そうですか? リップサービスありがとうございます(笑)。
末廣:いや本当にすごかったですよ!
――ロズワール邸でのお話はコメディやラブロマンス、シリアス、サスペンス、バトルなど様々な要素があって、音楽的にもいろいろ表情が見えた気がしました。
末廣:ロズワール邸に限らず、日常の曲に関してだけはちょっとアニメっぽくて大丈夫と言われていたので、そこだけは切り替えて作りましたね。それと、ファンタジーではなく、スバルの目線でオーソドックスな日常が欲しいとも言われたので、ファンタジーになり過ぎないように注意はしました。でも世界観が強いので、自然とファンタジーのほうへ向いてしまって。迷いながらも打ち合わせの言葉を反すうしながら作りました。
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(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会