山下大輝さん、逢坂良太さんが演じるコンビは“クズ”と“アドレナリン全開”男子!?『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』インタビュー
江戸川乱歩の人気シリーズ『少年探偵団』を原案に、2030年代の近未来を舞台とした完全オリジナルアニメ『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』が2016年10月より放送開始します。
キャストですら物語の顛末を知らされていないという、多くの謎に包まれた本作。今回はメインキャラクターである小林芳雄役の山下大輝さん、花崎健介役の逢坂良太さんにインタビューを実施。物語の中ではコンビとしても活躍するお二人に、作品の魅力や見所を語っていただきました! 小林、花崎、正反対なコンビがどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
良く言えば個性的、悪く言えば変人──魅力的なキャラが作る新しい乱歩の世界
山下大輝さん(以下、山下):出てくるキャラクターは小林だったり、花崎だったり、明智小五郎(CV:小野大輔さん)だったりと江戸川乱歩の作品に関わっているんですけど、『少年探偵団』の名前を借りているだけで別の新しい物語になっているんですよ。だから歴史を感じるってよりは、乱歩をまったく知らない人でもとっつきやすい作品になってるかなと思います。
逢坂良太さん(以下、逢坂):江戸川乱歩の名前に囚われて“小難しいことやってるんだろうな”と思われるかもしれないんですけど、全然そんなことなくて。むしろ変な奴しかいないんですよね。
山下:そう、個性的ですね(笑)。
逢坂:良い意味で言うと個性なんですけど、悪い意味で言えばただの変な奴ら(笑)。9割は変な奴しかいない作品なんで、その辺りも気軽に見てもらいたいですね。そういうのを見て“なんだこいつら……”と思ってもらうのも楽しみ方の一つかなと思っています。
「テンション高くて疲れそうだなって」「クズですね(笑)」
──2人が演じているキャラクターの魅力や見所はどんなところでしょうか?
逢坂:魅力かあ……。多分1話を見ると、小林は良い印象を持たれないと思うんですよねえ……。
山下:なかなかね……。小林はキャラ作りの段階から可哀想な子に見えて欲しいということだったので、1話はまだ良いんですよ。ただ2話からとにかくちょっとクズ要素が出てきちゃって。どうしようもない自己中なんですよ。
逢坂:小林は人と関わってこなかったので自分のことしか考えられないんですよね。
山下: 1話では“凄い闇を抱えてるのかな?”と心配になる印象を感じると思うんですけど、2話からは病んでるなんてレベルじゃなくなっていくので。小林はそのギャップを楽しんでもらえたらなと思います。基本的にはコミュニケーションが下手な男の子なので、見ていてちょっとイラッとする部分もあると思うんです。ただ、たまに見え隠れする素直な部分はとても可愛いんじゃないかなと思ってます。
──逢坂さんが演じる花崎はどうでしょう?
逢坂:小林とは正反対で、とにかくテンションが高いです。アドレナリンが常に出続けているんじゃないかと心配になるくらいに。凄く良いやつなんですよ。ただ、困ってる人は助けたくなっちゃうんですけど、それがよく空回りする。助けられる人からしたら良いことかもしれないけど、周りには大分迷惑がかかっていたりして(笑)。
山下:確かに……(笑)。
逢坂:そんなところもあったりするので、良い印象は持たれにくいかなと思ってます。ただ花崎はキャラクターごとに違う見え方をする面白いキャラクターなんですよ。物語もいろんな人物の視点で描かれているので、花崎の印象も話が進むごとに変わってくるのかなと思っています。
それぞれのキャラクターの視点で描かれる物語
──名前を借りているとはいえ「少年探偵団」ですから、やはり物語のメインは探偵モノなんでしょうか?
逢坂:探偵というか……便利屋だよね?
山下:花崎は特にそんな感じですね(笑)
一同:(笑)。
山下:迷子探しとか猫探しとか、雑草を抜いたり掃除もやったりしますし。
逢坂:花崎の場合、それがメインではなくて、周りで大きなことが起こっていたからついでに解決しちゃおう、くらいの感覚で首を突っ込んでる感じです。
──前情報では謎が多い作品ですが、意外と日常シーンも描かれているんでしょうか?
逢坂:僕たちも物語の核心を教えてもらってないんですよ。何に向けて話しが動いているのかわからないんです。
山下:それぞれ目的は違うっていうのもあるんでしょうね。明智さんは怪人二十面相を止めることが目的かな? って感じだし、小林はただ死ねると聞いたからついてきただけなので、それがどうなって変わっていくのかも見所だと思ってます。
逢坂:今のところ1話完結の話が展開されているだけなので。今後物語が進むに連れてどんどんいろんなことが明かされていくのかなと、僕らも楽しみにしています。
先の見えないオリジナル作品での演技プランは?
──今回のようなオリジナル作品で先の展開が知らされていない場合、演じるときに先の展開を考えてみたりしているのでしょうか?
山下:本当に聞いておかなきゃいけない部分があるなら言って頂けると信じているので、特には意識していないですね。逆に聞いちゃうとそれに向かって演技をしちゃうと思うんですよ。
逢坂:そんな雰囲気をにじませることでなんとなく伏線にはなると思うんですけど、“こいつ何かあるな?”と思わせすぎるのも、演じる側としては何か癪なんですよね。
山下:“結局こうなってしまうんだ”と考えているとそれが演技にも出ちゃうと思うんですよ。でも、それは何か違うかなって。それに、なにも知らなかった方が楽しいですしね。
逢坂:例えば、花崎みたいなハイテンションの奴が過去にいじめられてた経験があったとして、それを演技に出しちゃうと要素が多すぎてキャラクター性がわけわからなくなっちゃうじゃないですか。それよりは、わかりやすい花崎らしさを大切にしたいなと。
小林:その中で突然暗い話が来たら、そこに凄いギャップが生まれるんですよ。“あんなに元気だったのにこんな重い過去があったの!?”と、サプライズ感も出るし、印象が大きく変わってくると思います。
逢坂:まあ過去にそんな重い話があるかどうかも知らないですけどね(笑)
一同:(笑)。
──お互いのキャラクターに対する印象は、どう思いましたか?
山下:花崎は表情がコロコロ変わる、忙しいキャラクターだなって思いましたね。凄い沈んでたと思ったら急に明るくなって走りだすようなキャラだから、アフレコを見ていて「いそがしそうだなぁ!」って(笑)。小林はどっちかというと暗くて一言ボソって言うようなキャラクターなので。花崎は見ていて凄く楽しそうでした。今まで僕は元気な役が多かったので、「ああ、朝から発散できて良いなあ」なんて思ってもみたり(笑)。
逢坂:朝からあのテンションに持っていくのがどれだけ大変だと思ってるんだよ!(笑)
山下:でしょうね(笑)。小林にとっては大事なキャラクターに今後なっていくと思っているんですけど、掛け合いの中の距離感が難しいんですよね。最初あった心の壁が話が進んでいくうちに無くなっていくのか? 無くなるならば、この回ではそれをどれくらい崩して良いのかが毎回手探りで。“この一瞬だけだったら崩せそう”というポイントを見つけては少し歩み寄った感じを出してみたりしています。
──山下さんはそう仰っていますが、逢坂さんが感じた小林の印象はどうでしたか?
逢坂:クズですね(笑)。
一同:(笑)。
山下:ええ!? 結構良いこと言ってたのにそれですか(笑)。
逢坂:だって監督も言ってるんですよ。「こいつはクズです」って。
山下:自己中心的な面が強すぎるところはありますよね……。
逢坂:まあそんな小林が、花崎と居ることによって少しずつ変わっていくのを見るのは楽しいんじゃないですかね。
──2人の関係はどんな感じに描かれているんでしょう?
逢坂:ディレクションでも時々言われるんですよ、「今の芝居は女の子が喜ぶやつだね。でも男は苛つくよ」って(笑)。
山下:(笑)。
逢坂:ただ別に狙ってやってるわけではなくて、ストーリーを軸にして芝居は成り立っているので、そうならざるを得ない場面ではそうなってるだけなんです。今はまだ花崎や明智に視点を置いて物語が語られているので、小林については全然明らかになってないんですよ。小林との関係がどうなっていくのか、僕らも楽しみですね。
個性的なキャラクターを演じる上で気を使ったポイントは?
──演じる上で難しかった部分や挑戦した部分はありますか?
山下:第1話のときに苦しむ演技を凄くリアルにやってほしいって言われたんです。だからオエオエなるシーンが有るんですけど、そこは聞いてる方にはリアルに汚い感じで聞こえるんじゃないかなと思ってます。
逢坂:聞いていてこっちが気持ち悪くなっちゃうくらいだったよね。
山下:とにかくリアルに汚く、ということでしたからね。完成したものは僕も聞いていないので、オンエアーが恐くもあり、楽しみな部分でもあります。あとはキャラクターとの距離感を大切にしたいと思って意識して演じています。花崎もそうなんですけど、明智や井上に対してもそれぞれの距離感が小林の中にあるんですよ。それを毎回ちょっとずつ変化させていく調節は、難しい部分でもありますね。
最近はこういった影がある役もいただくようになってきたんですけど、ここまで歪んでいる一癖も二癖もあるキャラというのは珍しいし、僕としてもまだいろいろと探りながらチャレンジしている最中です。とてもやりがいがあって楽しいです!
逢坂:花崎は基本的に頭を空っぽにすることですね。なにも考えない、目の前のことにしか集中しない奴ですから。台本は読んでいるんだけど、気持ちはその場で新鮮に感じたことを出そうと思って演じています。考えて行動しているのがちょっとでも見えた瞬間に、それは花崎じゃなくなると思うんですよ。ある意味反射神経が凄く求められるキャラクターだなと思いますね。ただ、その場で出そうと身構えちゃうのもダメなんですよね。僕の中では、空っぽだけど隅っこにちょっとだけ脳みそが残ってる、というのをイメージしてるんですけど、なかなか難しいですよね。
でもまっすぐなところは意外と自分に似ているんですよ。まあここまでテンションは高くないですけど(笑)。だから難しいけどやりにくいわけじゃないんです。難しくは考えないで、ちょっと自分を大げさに表現するくらいが丁度良いかなと考えています。
オリジナルだから自分たちも一緒にキャラクターを作っていける
──アフレコで印象的なエピソードはありますか?
逢坂:そんなに多くはないんですけど、細かい言い回しとかは現場でちょくちょく変えてるんですよ。特に花崎はよく喋るので“そんなに真面目に言わないかな?”と思ったところを変えてみたりして。それが採用されて、次の台本から言い回しが変わってたりもしますね。
山下:そうやって、僕らの考えで台本も変わっていくというのはオリジナル作品だからこそですよね。原作があるとそう簡単にはいかないですから。
逢坂:“自分たちも一緒に作品を作っている”というのを感じられますよね。だからって全部が許されるわけじゃなくて、ダメなところはハッキリとダメと言ってもらえますから。そこには柔軟に対応しています。
──アフレコの様子はどんな感じでしょうか?
逢坂:みんな大体イメージ通りだと思いますよ。梅原くん(井上了役・梅原裕一郎さん)は年下ですけど、どっしりとしていて。本当に井上がいるみたいな感じがしましたね。
山下:良く「緊張してる?」と聞くと「してるしてる」っていうんですけど、絶対に嘘ですよね……あれ。
逢坂:飄々としてますよね。梅原くんらしいというか僕が年上に見えないくらい落ち着いてますからね。まあ僕が歳の割に落ち着きがなさすぎるんですけどね(笑)。
一同:(笑)。
逢坂:小野さんはやはり周りの方に凄く目を向けてらっしゃいますよね。新しく来た方にもその場限りのゲストの方にも気さくに話かけていて、余裕があるなって感じますよね。それも明智と似ている部分で、事件が起こっても“なんとかなるでしょう?”みたいな感じがあります。
山下:余裕が有るんですよね。でも中身は凄く考えている感じ。周りに緊張感を出さないというか、なんか凄くみんながやりやすい空間を自然に作っちゃう方ですよね。それでいて芝居にはストイックな姿勢を崩さないですから流石だと思います。あ、あとお菓子を買ってきてくれます(笑)。
人を惹きつけるカリスマ性を持った明智小五郎
──江戸川乱歩が原作の作品にはいろんな明智小五郎が登場していますが、本作の明智はどんな人間なのでしょうか?
山下:見た目はちゃらんぽらんで、気分屋だし遊び人のような、一見したら“本当にこの人探偵かよ”と感じるんですけど、本当は誰に対しても広い窓口を持っている器の大きい人間なんですよ。だって実際に沢山の人が明智に集まってるわけですから。ただの遊び人だったらそうはならないだろうし、カリスマ性がある人なんでしょうね。
逢坂:そうじゃないとあんなデカイ探偵事務所作れないですよね。
山下;本当ですよね。天井どんだけ高いんだよっていう……。でもびっくりするほど頭は良いだろうし、戦うってなっても凄く強い人なんでしょうね。
逢坂:今のところ一人で行動するところが多いですからね。僕らも今後が楽しみです。
──楽しみですね(笑)。それでは、最後に読者に向けたメッセージをお願いします。
逢坂:さっきも言いましたとおり、最初は何も考えずに見ていただいたほうが楽しめるんじゃないかなと思っています。何回も見直してみると違う面も見えてくるでしょうし、いろんな目線で楽しむことが出来ますから。先の展開を推理しながら見るのも楽しいだろうし、小林みたいな中二病を楽しむことも出来るだろうし、十人十色の作品になっています。江戸川乱歩の名を借りていますが、脚本もわかりやすく楽しめますし、もしちょっと話が難しくなっても僕らのキャストの演技で伝わりやすくしていきますので、気軽に見ていただければと思います。
山下:オリジナルなので、みなさんが新鮮な気持ちで見られる作品になっています。僕ら自身もその気持ちで作ってますし、前情報も全く無いので毎回ドキドキしていただけたら嬉しいですね。この作品は2クールという大きい尺の中でやらせていただいているので、キャラクターの心情がゆっくりと変わっていって、僕らとしても感情移入しやすいんです。みなさんとの掛け合いも楽しかったですし、どんな風に仕上がっているのか、一緒にオンエアーを楽しみにしていただけたらなと思います。
──ありがとうございました!
[インタビュー/石橋悠 文/原直輝]
『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』作品情報
死ねる事件、求ム
<放送情報>
2016年10月3日(月)よりTOKYO MXほかにて放送開始!
TOKYO MX:10月3日より毎週月曜25:05~
読売テレビ:10月3日より毎週月曜25:59~
BS11:10月4日より毎週火曜25:30~
※放送時間は予定です。変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
<あらすじ>
彼は死ぬために、探偵の道を選ぶ……
時は2030年代。謎の探偵、明智小五郎の下に集う『少年探偵団』。
彼らは大小様々な事件を持ち前の行動力で解決に導いてきた。
ある日、メンバーの花崎健介は謎の少年、小林芳雄と出会う。
『正体不明の靄(もや)』により「死ねない」身体となってしまった小林は、自身の死を望み、他人との接触を拒んでいた。
そんな彼の存在に興味を抱いた花崎は「『少年探偵団』へ入らないか」と持ちかける・・・
小林と花崎。彼らの出会いはやがて、世紀の犯罪者である怪人二十面相と明智小五郎の因縁と絡み合い、
二人の運命を動かしていく・・・
<STAFF>
監督:向井雅浩
脚本・シリーズ構成:吉田恵里香
キャラクターデザイン:PEACH-PIT
アニメーションキャラクターデザイン:ヤマダシンヤ
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント、シンエイ動画
OP主題歌:GACKT「キミだけのボクでいるから」
ED主題歌:田所あずさ「1HOPE SNIPER」
<CAST>
小林 芳雄:山下大輝
花崎 健介:逢坂良太
井上 了:梅原裕一郎
野呂 誠:木戸衣吹
勝田雅治:増元拓也
大友 久:古川慎
山根たすく:山谷祥生
中村奈緒:田所あずさ
明智小五郎:小野大輔
怪人二十面相:GACKT ほか
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