かわいい見た目と、高校生の心をもった生命体!? 『ポッピンQ』田上真里奈さん、石原夏織さん、本渡楓さん、M・A・Oさん、新井里美さん演じる“ポッピン族”にインタビュー
東映アニメーションが創立60年の節目におくるオリジナル劇場作品『ポッピンQ』が、12月23日(金・祝)より全国約221の上映館にて公開されます。中学生の女の子5人が、異世界“時の谷”での冒険を通じて、自分の心に向かい合っていく本作。そのなかで重要な役割を担うのが、人間と一心同体でつながる生命体、時の谷に暮らす“ポッピン族”です。
かわいい見た目に反して、「踊ることでエネルギーを生み出し、世界の時間を決められたとおりに動かす」という大事な役目をもっているポッピン族たち。今回は、ヒロインたち5人と心を通わすポッピン族5体を演じる、声優の田上真里奈さん(ポコン役)、石原夏織さん(ルチア役)、本渡楓さん(ダレン役)、M・A・Oさん(タドナ役)、新井里美さん(ルピイ役)にインタビューを実施。「かわいいけれどしっかり者」だというポッピン族について、主に演技の面から語っていただきました。
――みなさんが演じる“ポッピン族”の5体について、まずは、それぞれどんなキャラクターなのか教えていただけますか?
ポコン役・田上真里奈さん(以下、田上):ポコンは、伊純の“同位体”です! そもそも同位体ってなに? という方のために説明させていただくと、主人公たち5人それぞれに1体いる「心を通わす存在」です。ポコンには、伊純の考えていることや悩みが言葉にしなくてもわかります。
ポコンは5体のなかでもリーダー的なポジションで、みんなを引っ張っていくしっかり者です。伊純に対しても、彼女の気持ちをしっかり理解しながら、どこまで助言してあげるべきかを考えたりしています。ポッピン族のなかでも、特にいろいろと逡巡(しゅんじゅん ※ためらう事)があるキャラクターなのかもしれません。ポコンの成長物語としても、映画を楽しんでいただけると思いますよ!
ルチア役・石原夏織さん(以下、石原):私が演じるルチアちゃんは蒼ちゃんの同位体で、ちょっとクールな女の子です。とてもしっかりしていて、リーダーのポコンを後ろから支える「影のリーダー」的な存在です(笑)。
ダレン役・本渡楓さん(以下、本渡):ダレンくんは小夏ちゃんの同位体で、男の子だけど「ゆるふわ」な雰囲気で、とってもかわいい子です!
ポッピン族って、時を進めるためにダンスをする役目があるんですけど、踊っているダレンくんがまたかわいくって……。手足が短いんですけど、一生懸命がんばるんです。でも首を振るような動きをすると、たれ耳が目に当たっちゃったりして、見ていてとっても癒されます。劇中でも、小夏ちゃんに抱っこされるシーンが多いんです。そんな役だからか、私も小夏ちゃん役の種﨑(敦美)さんとお話すると、どこか安心してしまうようになりました(笑)。
タドナ役・M・A・Oさん(以下、M・A・O):タドナちゃんはポッピン族のアイドル的な存在で、すごくかわいらしい女の子です。同位体のあさひさんと同じく、「かわいいもの好き」でもあります。あさひさんのかわいい仕草にタドナちゃんがすごく反応する、かわいいとかわいいを掛け合あわせたようなシーンもあるので、細かいところまで注目していただきたいです!
ルピイ役・新井里美さん(以下、新井):ルピイは沙紀ちゃんの同位体で、しゃべったり主張したりするのが苦手な男の子です。とっても臆病なんですけど、心を閉ざしてしまっている沙紀ちゃんと、ほかのみんなとの間を取り持とうと必死にがんばります。声も手も震わせながら、仲間たちに沙紀ちゃんの気持ちを一生懸命うったえていって……。それがすごく健気なので、娘を心配するお母さんのような気持ちも、ちょっと演技に入っているかもしれません(笑)。私自身もルピイの同位体になったような気持ちでした(笑)。
――お話をうかがっていても、ポッピン族はかわいらしい見た目に反して、どこか大人な印象を受けます。そのあたり、難しい役どころではなかったですか?
新井:ポッピン族の子たちって、基本的に精神年齢が高いんです。世界の時間を司っているという責任感を持っているので、そういった意味でも達観してるところがあって。私たちの住む世界とは時間の流れ方も違うので、人生経験も豊富なんだと思います。
田上:私たちの日常とは、スケール感の違う世界で生きている生命体なんですよね。宮原(直樹)監督に、人間でいうと何歳の感覚で演じればいいのかお聞きしたら、「伊純たちのひとつかふたつ上くらい」だと教えていただきました。ポコンは男の子だから……高校生男子なんです!(笑)
一同:(笑)
田上:ただ、あくまで微妙な年齢差なので、高校生のもつ「若い」面も、同時に心がけました。
石原:ルチアちゃんはポッピン族のなかでも特にクールな子なので、監督からは「もっと大人に寄せて大丈夫です」と、ディレクションしていただきました。
――ポコン、ダレン、ルピイは男の子で、ルチア、タドナは女の子……という性別については、演じる上でどのくらい意識されましたか?
M・A・O:タドナちゃんの場合は「ポッピン族のアイドル的存在」ということで、中性に寄せるというよりは、やっぱり女の子らしく、お姉さんの気持ちでやらせていただきました。
本渡:ダレンくんは、気を抜くと女の子っぽくなってしまいそうだったので、気をつけました。でもお兄さんというよりかは、小夏ちゃんの隣に寄り添うようなイメージでしたね。
――アフレコの前段階として、スタッフ&キャストで集まって読み合わせの機会があったそうですが、そこでいくらか役をつかむことができたのでしょうか?
田上:役作りのために、じっくり監督とお話しすることができましたね。読み合わせがあって本当によかったです!
新井:「こんな方が作品を作っていらっしゃるんだ! この仲間たちと一緒に演じるんだ!」といったことが事前にわかって、すごく心強かったです。そこでチーム感も生まれたと思います。
田上:あとは、読み合わせからアフレコまでたっぷり時間があったことも、役に近づくことができて良かったと思います。私と石原さんと本渡さんはアフレコ前にイベントもあったので、ずっと役と一緒に歩んでる感がありました。
新井:みんなバッチリ役をつかんでいたので、アフレコ本番でも、演技に関する基本的なディレクションはほぼなかったですね。
――宮原監督は『ポッピンQ』が長編初監督作品ですが、みなさんから見た監督の印象は?
石原:収録では、すごくドキドキしていらっしゃるみたいでした!
本渡:(雰囲気が)ふわふわ!
田上:ドキドキしてらっしゃるんですけど、場をすごく和ませてくださるんですよ。
新井:「とても良いと思います!」という言葉を、たくさん聞いた現場だったなぁと思います。
本渡:監督、最初から最後まで笑顔でしたよね!
新井:私たちは作品づくりのほんの一部分にしか関われませんけど、監督にしてみれば何年もずっと育ててきた作品なんですよね。そこにいよいよ命が吹き込まれるということで、やっぱりうれしかったんじゃないかなと思います。
ポッピン族目線でヒロインたちを“見守る” 楽しみ方も
――完成した映画をご覧になって、みなさんはどんな感想をもたれましたか?
本渡:ものすごく爽やかで、青春をまた経験したような高揚感がありました。晴れやかで、幸せな気持ちで見終われる映画だと思いました!
田上:監督の人柄が、現場にも作品にも出ているんです。
新井:そう! 監督の愛があふれてます。まず、女の子の描き方がすごく丁寧なんですよね。お話も共感できますし。「男性がこういう映画を作っちゃうんだ! すごい!」と思いました。
一同:(笑)
田上:ジェットコースター的にストーリーが加速していくんですけど、その根底に「女の子たちのリアルな心情」という筋が、きちんと一本通っているんです。
――伊純たち5人は自分の悩みに向き合っていきますが、共感する部分などはありましたか?
新井:やっぱり10代のころって、親には話せない思いとか、自分ひとりで抱えてしまう悩みがあるよねぇ……と。そんなことを思い出しましたね。
田上:伊純は「なんであんなこと言っちゃったんだろう……」と悩むタイプで。私も似たような経験があったので、まさに同位体として感情移入できたかもしれません。私の場合、伊純ほどさっぱりしていなくて、もっとウジウジしていたんですけれど(笑)。伊純のそういうところは羨ましいな、とも思いました。
M・A・O:私も完全にタドナちゃん目線で(笑)、あさひさんが沈黙を破って自分の心の中を打ち明けるシーンにグッときました。「すごいなぁ、勇気出したんだなぁ」と思えて……。
石原:私は蒼ちゃんを見ていて、10代のころ、なにか「選択」をしなきゃいけないたびに戸惑っていたことを思い出しました。「悩みを誰かに打ち明けられれば、世界が変わって見えることもある」ということを、蒼ちゃんから発見させてもらった気がします。
――それでは最後に、公開を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
田上:『ポッピンQ』は、言いつくせないほど見どころがあって……。絵も音楽も素敵で、お客さんを引き込む力が強いんです。完全に劇場向けの作品なので、ぜひ映画館に足を運んでいただけたらなと思います!
M・A・O:ダンスシーンやアクションシーンも満載で、本当に色々な感情で楽しんでいただけると思います。伊純さんたち5人の少女たちと一緒に悩んで、一緒に解決の糸口を探して、最後は瀬戸(麻沙美)さんたち5人のキャストが歌う卒業ソング『さよなら。ありがとう。』を聴きながら、作品の余韻に浸っていただけたらうれしいです!
石原:『ポッピンQ』は、キャラクターがとってもかわいいんですけど、ストーリーがとにかく素晴らしいです。特に10代の方にとっては、今後の自分を考えるきっかけになるような作品かもしれない……とも感じているので、ぜひ見てほしいと思います!
新井:12月23日公開ということで、師走の大変忙しい時期でございますが(笑)、『ポッピンQ』は大切なお時間を使っていただく価値のある、素敵な映画になったと思います。年齢、性別関係なく楽しめますが、私は特に「中学校に通う娘とそのお母さん」が一緒に見ていただけたら、とってもうれしいです。
本渡:『ポッピンQ』は、まっすぐ心に刺さるセリフが、あっちこっちに散りばめられている映画だと思います。駅の改札を通ろうとしたら時の谷にいた……そこから冒険が始まるように、日常の世界とファンタジーの世界が、すぐ隣にあるように感じられる映画でもある気がします。時の谷に行く前と、帰ってきたあとに、つながりをすごく感じたんです。見終わったあと、普通に生活していくなかで、ふと伊純たちのことを思い出せる。そのたびに勇気をもらえる映画だと思います!
[取材&文・小林真之輔]
『ポッピンQ』作品概要
12月23日(金・祝)全国拡大ロードショー
>>映画『ポッピンQ』公式サイト
>>映画『ポッピンQ』公式Twitter(@POPIN_Q_staff)
【ストーリー】
「別々の方向を見ていた、その時までは―。」5人の少女たちが過ごす、特別な時間の物語。
春、卒業を控えた中学3年生の伊純(いすみ)は悩んでいた。不本意な成績で終わってしまった陸上の県大会。あの時出せなかったパーソナル・ベストを出したい。このままでは東京へ転校なんてできない。伊純は、毎日放課後にタイムを測っていた。だが、そんな伊純の行動は、県大会で勝った同級生へのあてつけだと周囲には受け止められていた。
卒業式当日、ふらりと辿りついた海で“時のカケラ”を拾った伊純の前には、見たこともない風景が広がる。そしてポッピン族のポコンが現れる。ポコンは伊純と心が通じ合っている“同位体”だった。
伊純が迷い込んだ場所は“時の谷”。ポッピン族は、様々な世界の“時間”を司る一族。ところが、その“時間”がキグルミという謎の敵のせいで、危機に瀕しているという。
“時の谷”には、伊純と同じく“時のカケラ”をひろった少女たちがいた。勉強のためなら友達なんかいらないという蒼(あおい)。プレッシャーでピアノのコンクールから逃げだしてしまった小夏(こなつ)。父のすすめる柔道と母のすすめる合気道のどちらも選べないあさひ。みな悩みを抱えたまま“時の谷”へとやってきていた。そして伊純と同様、その傍らには“同位体”のポッピン族がいた。彼女たち“時のカケラ”の持ち主が、心をひとつにしてダンスを踊ることで“時の谷”を守ることができ、元の世界に戻ることもできる。だが5人目の少女、沙紀(CV:黒沢ともよ)はみんなと踊ることを拒絶する。「私は元の世界になんか戻りたくないから」。
その言葉に伊純の心はうずく。「私だって元の世界に戻って前にすすめる自信なんてない」──。
【スタッフ】
監督:宮原直樹
キャラクター原案:黒星紅白
企画・プロデュース:松井俊之
プロデューサー:金丸裕
原作:東堂いづみ
脚本:荒井修子
キャラクターデザイン・総作画監督:浦上貴之
CGディレクター:中沢大樹
色彩設計:永井留美子
美術設定:坂本信人
美術監督:大西穣
撮影監督:中村俊介
編集:瀧田隆一
音楽:水谷広実(Team-MAX)、片山修志(Team-MAX)
主題歌:「FANTASY」(Questy)
配給:東映
アニメーション制作:東映アニメーション
製作:「ポッピンQ」Partners
【キャスト】
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ
田上真里奈、石原夏織、本渡 楓、M・A・O、新井里美
石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ
内山昴輝、羽佐間道夫、小野大輔、島崎和歌子