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『劇場版SAO』LiSAさんがAR空間でユナとバトンタッチ!

LiSAさんがAR空間でユナとバトンタッチ!『オーディナル・スケール』が実現する未来は遠くない!?『劇場版 SAO』ARライブ&ARトークショーをレポート

 2017年2月15日、神奈川・DMM VRシアターにて、『劇場版 ソードアート・オンライン ‒オーディナル・スケール-』ARライブ&ARトークショーが開催されました。

 今回行われたのは、「AR」をフューチャーしたイベント。筑波大学で図書館情報メディア系助教を務める落合陽一さん、女優として活動する傍らプログラミング等のIT分野でも活躍中の池澤あやかさん、そして、『SAO』シリーズを手がける伊藤智彦監督を加えた3名が登壇しました。

 さらにシークレットゲストとして主題歌を担当しているLiSAさんが登場! 本稿では、イベントの模様と、イベント後に行われた囲み取材の模様をレポートしていきます。

会場には最新技術を応用した演出も!
 会場では、まずTVシリーズの『ソードアート・オンライン』のダイジェスト映像と、2月18日より劇場公開されている『オーディナル・スケール』の冒頭20分映像が上映。

 その後、登壇者が集まり、ARをはじめとする最新テクロノジーと、『ソードアート・オンライン』に関するトークがスタートしていきました。

 今回のトークではARを活用した特殊な演出を用意。「『SAO』の世界がもし現実になったら」という話題で、「フェアリィ・ダンス編のように空を飛びたい」と願いを明かした伊東監督の映像が空中に映し出されたり、落合さんが作中のキリト達のように指をふるジェスチャーをすると、アインクラッド編でお馴染みのメニュー画面が出現するなど、まるで『SAO』の世界が現実になったかのようなギミックが満載。

 『SAO』の世界では、キリトとアスナにとって娘のような存在であるユイが、妖精のような姿で登場します。登壇者によると、ユイに近いものとして、空中に3次元像を映し出すディスプレイを作ったり、超音波によって物体が存在していると錯覚するような「触覚」を感じるための研究が進んでいるのだとか。

 落合さんによると、視覚や聴覚に比べると触覚の研究は遅れ気味で、現在は「ざらざら」「つるつる」といった一つの特徴を再現する程度の基礎研究段階ではあるものの、「任天堂さんのゲーム機(Nintendo SwitchのHD振動機能)にも搭載されますし、今後は話題になることも多くなると思います」と将来性について分析。

 また伊東監督も、ARというこれまでとは異なる題材を描くにあたり、演出として表現しやすい視覚・聴覚に対し、触覚情報をどう使うかという部分に特に気を使ったのだそうで、触覚の重要性に関する議論が白熱していました。

観客の目の前にARアイドル・ユナが!
 『オーディナル・スケール』の作中では、物語の鍵を握るARアイドル・「ユナ」を映し出すためのドローンも特徴的。どうやらこれにも裏話があるようです。劇場版の制作を行っていた時期に、現実でドローンに関連した騒動が起きていたらしく、「今後(ドローンが)東京の空を飛ぶのは難しくなりそうな情勢だったので、せめて作品の中では飛ばしてあげたかった」という監督の想いも込められていたのだとか。

 なお偶然落合さんも、空中にガスを噴射し、そこに映像を投影するという『オーディナル・スケール』に登場するものと同じ発想のドローンを実際に制作していたという、意外な共通点があったことも判明します。

 また落合さんは、現在近未来的なデバイスを制作している開発者の多くが、『SAO』を見て育ち、その影響を大きく受けている世代であることを指摘。「『SAO』の世界まであと何年というより、むしろ『SAO』が10年後の現実世界に影響している」と現状を分析します。

 事実、伊東監督は本作に登場するデバイスについて、「原作小説からイメージを膨らませたうえで、デザイナーやテクノロジーに詳しい方々と相談し、10年後の未来にありそうなもの」と考えているそうで、近未来的なデバイスの数々がどのような発想で生み出されてきたものであるかを明かしていました。

 そんなトークの後には、いよいよ『オーディナル・スケール』に登場するVRアイドル・「ユナ」によるARライブも実施されます。壇上にユナがその姿を現すると、客席からは大きな歓声が上がり、彼女をとりまく空間が様々な色合いや模様に立体的に変化。通常のライブでは見られない幻想的な光景に、来場していたファンの多くが虜となっていきます。

 さらにそこから畳み掛けるように、今回のシークレットゲストとして本作の主題歌「Catch the Moment」を歌うLiSAさんが、ユナとのバトンタッチを決める形で登壇! このサプライズ的な演出に、会場のボルテージは最高潮に達することになります。

 ステージへと上がったLiSAさんの周囲には色とりどりの美しい光条が出現し、その歌声を引き立てる一方、ステージの様々な場所には「Catch the Moment」の歌詞が表示されるというARライブならでは演出も披露。現実と非現実が融合し、何が本物で、何が映像なのかが分からなくなっていく中、最後にLiSAさんから「私は本物です!」とメッセージが飛んでライブが締めくくられることに。

 ここでしかできない未知の体験の数々に、会場の誰もが衝撃を受けていた様子でした。

『SAO』の世界を実現するには、ネットワーク速度が最大の障害に!?
 またイベント終了後には、今回のイベントに出演された落合さんとLiSAさんへの囲みインタビューが行われました。最後にその模様をお届けしていきます。


──イベントの感想をお願いします。

落合陽一さん(以下、落合):ここはすごくいい舞台で、他ではできないCGの見せ方や演出ができました。映画の中で派手に描かれている技術が目の前で起こるのは、まるで『SAO』の世界に浸れたかのようで感動的でした。『SAO』のファンとして嬉しかったですね。

LiSAさん(以下、LiSA):こうした場所で歌わせてもらうのは初めてでした。昨日ユナちゃんが歌っているのを見させてもらって、「この中に自分が入れるんだ」と感じられました。すごく夢のある舞台だと思いましたね。


──ARとVRとはどういったものなのでしょうか?

落合:ARとVRをざっくり言うと、CGを現実世界に重ねたり、僕らがCGの中の世界に入ったりする技術だと思って下さい。ARやVRがライブの中に入ることで、プロジェクターやスクリーンがあれば、目の前にいろんなものが飛び出してきたり、人が分身したりという現象が起こせます。それは魔法みたいで面白いんじゃないでしょうか。


──今回のステージの演出には、落合さんも関わられていたのでしょうか?

落合:僕のパートに関してはかなり手を入れさせてもらいましたね。僕自身も原作の大ファンなので、「ここは絶対やりたいよね」という希望を出したり(笑)。とても楽しませていただきました。


──イベントは大成功に終わったかと思いますが、それを終えた実感としてはいかかですか?

落合:もう最高ですね。普段のライブは音作りや喋りがメインになってくると思うんですが、総合的にCGが入ってくると、1本の映画を作る時のような作業が発生するんです。実現したのは本当にスタッフさんの頑張りありきで、感謝しています。

LiSA:私はほとんどユナちゃんになっているような気分でした。最初は皆が私のことを本物だと分かってくれるか不安だったので、ステージに上がった瞬間に皆さんが「おおー」と歓声を上げてくれた時は安心しました(笑)。『SAO』の世界の中に自分自身が入ったみたいで楽しかったです。


──ステージから見た客席というのはどんな様子だったのでしょう?

LiSA:私は自分が人間だとしたら、逆に観客の皆さんのいる側がARの世界なんじゃないかと感じていました。

落合:そうなんです。ステージと演者の間にスクリーンがある分、客席と距離感があるんですよ。そして、自分の姿を確認するには一度デジタルのモニターを介さないと見えなくなっています。その点も調整が大変でしたね。


──ステージ上では、落合さんが『SAO』のメニュー操作も実演されていました。

落合:メニュー操作はモーションキャプチャーをつけてやっているのですが、かなり大変でした。ミスすると次の項目に行ったりするので、どうやってエラーをなくして進行するか、今朝まで試行錯誤していましたね。最終的には、モーションキャプチャーやホロレンズ、スイッチをリスクに応じて切り替えるという方式をとっていました。


──LiSAさんは、初のARライブということで普段のライブとの違いや印象に残ったことはありましたか?

LiSA:登場する時にユナちゃんとハイタッチして、その瞬間にユナちゃんが消えるという演出がありました。ユナちゃんが目の前からいなくなるのを私自身が体感してしまって、本当にユナちゃんと共演していたような気分になりました。

もっといろいろなこともできるんだろうなとも思っています。ユナちゃんに自分のライブに登場してもらったりするのも夢じゃないんだなと考えると、ワクワクしてきますね!


──「Catch the Moment」には、どんな想いが込められているのでしょうか?

LiSA:今回、作品に関わらせていただく時、監督が「見終わった人たちが大切な人にありがとうを言いたくなるような作品にしたい」と仰られていました。そこから私もシナリオを読ませていただき、「作中のキャラクターの皆にも、現実の世界に生きている人たちにも、これから続いていく時を一つずつキャッチして頂きたいな」という願いを込めて、「Catch the Moment」を作りました。


──仮にこの先『SAO』のような世界を実現していくには、今後何が課題となってくるのでしょうか?

落合:まず必要なのは、広視野角で透過型のヘッドマウントディスプレイですね。『SAO』のように全視界にCGが表示されるようにするには、現在製品化されているものでは視野角が3倍くらい足りないんです。あとはデバイスの大きさも問題ですが、そのあたりは日夜研究が進んでいるので、遠くない内に解決されるのではないかと思います。

大きなネックになるのは、今よりもスピードの早い高度なネットワークでしょう。CGはものすごくデータ量が多く、現在の4G回線では到底支えきれないので、それ以外のデータのやり取りの方法が生まれてこないと厳しいのではないかと思います。他には、音や光をどう出力するか、デバイスとしての物理側の問題も課題は多いですが、目と耳に送り込む情報に関しては解決までそう時間は掛からないのではないかと思います。


──最後に、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の公開に向けたメッセージをお願いします。

LiSA:『ソードアート・オンライン』には1作目のTVアニメから関わらせていただいていますが、『ソードアート・オンライン』のファンはもちろん、未来に夢を見ている皆さんにも楽しんでもらえる作品になっていると思います。よろしくお願いします!

落合:僕は『ソードアート・オンライン』を無限に作り続けて欲しいと思っているくらいのファンなのですが、その中でも今回はARをテーマにしていて、すごく現実味があったなと感じられました。進んできた科学技術と世界観がマッチし、「もう少ししたらここに到達するんだな」とリアリティをもって受け入れられるSFだなと。もしそれを見て今の中高生さんが、工学やサイエンスに興味を持ち、作る側に回ってくれるようなことがあれば、研究をしている身としては冥利に尽きるなとも思っています。是非劇場にお越しください!


[取材・文/米澤崇史]

『劇場版 ソードアート・オンライン –オーディナル・スケール-』作品情報
タイトル:『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』
2017年2月18日(土)より全国ロードショー中
配給:アニプレックス
上映時間:119分

●イントロダクション
TVアニメ『ソードアート・オンライン』シリーズは、第15回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原 礫氏による小説が原作となる、謎の次世代オンラインゲーム《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた作品である。2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、日本国内での累計発行部数は1,250万部を突破(全世界1,900万部)。そして2度のTVアニメ化やゲーム化、コミカライズ、グッズ制作などを行っており、幅広くメディアミックス展開されている。そして2017年春、川原 礫氏の完全書き下ろしによる『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の公開が決定。世界中のファンがその日を待ち望んでいる。

●ストーリー
2022年。天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫―― その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。それから4年……。≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。≪オーグマー≫。フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン。≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。その爆発的な広がりを牽引したのは、、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。アスナたちもプレイするそのゲーム に、キリトも参戦しようとするが……。

●オーディナル・スケールとは
≪オーグマー≫専用ARMMO RPG。最新技術を用いた次世代的ゲームとして話題となり、発売と同時に世間を席巻した。現実世界をフィールドとして、各所に出現するアイテムの蒐集、モンスター討伐などを経てプレイヤーの≪ランク≫を上げていく。≪オーディナル・スケール(OS))の特徴はこの≪ランキング・システム)で、全てのプレイヤーのステータスは、基数(カーディナル数)ではなく序数(オーディナル数)であるランクナンバーによって決定される。ゆえに、ランク上位のプレイヤーには圧倒的な力が与えられ、ソロのPvPにおいては、ランクの順位が勝敗の大きな要因となる。

●AR(拡張現実)型情報端末《オーグマー(Augma)》とは
小型のヘッドホンのような外見の次世代ウェアラブル・マルチデバイス。そのコンパクト性はVRマシン≪アミュスフィア≫をはるかに凌駕する。フルダイブ機能の代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた。覚醒状態の人間に視覚・聴覚・触覚情報を送り込むことが可能で、フィットネスや健康管理をゲーム感覚で楽しんでいるユーザーも増えている。

●STAFF
原作:川原 礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:伊藤智彦
脚本:川原 礫・伊藤智彦
キャラクターデザイン・総作画監督:足立慎吾
モンスターデザイン:柳 隆太
プロップデザイン:西口智也
UIデザイン:ワツジサトシ
美術監督:長島孝幸
美術監修:竹田悠介
美術設定:塩澤良憲
色彩設計:橋本 賢
コンセプトアート:堀 壮太郎
撮影監督:脇 顯太朗
CG監督:雲藤隆太
編集:西山 茂
音響監督:岩浪美和
音楽:梶浦由記
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO MOVIE Project

●CAST
キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞
アスナ(結城明日奈):戸松遥
ユイ:伊藤かな恵
リーファ(桐ヶ谷直葉):竹達彩奈
シリカ(綾野珪子):日高里菜
リズベット(篠崎里香):高垣彩陽
シノン(朝田詩乃):沢城みゆき
クライン(壷井遼太郎):平田広明
エギル(アンドリュー・ギルバート・ミルズ):安元洋貴
茅場晶彦:山寺宏一
ユナ:神田沙也加
エイジ:井上芳雄
重村:鹿賀丈史

●主題歌
LiSA 「Catch the Moment」

>>『劇場版 ソードアート・オンライン –オーディナル・スケール-』公式サイト
>>アニメ「ソードアート・オンライン」公式ツイッター(@sao_anime)

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