湯浅監督が、谷花音さん、下田翔大さん、篠原信一さんへ“本当の思い”を語る!『夜明け告げるルーのうた』公開記念舞台挨拶をレポート!
2017年5月20日(土)にTOHOシネマズ新宿にて、『夜明け告げるルーのうた』の公開記念舞台挨拶が行われました。本作は現在公開中の映画『夜は短し歩けよ乙女』や、『マインド・ゲーム』などで有名な湯浅監督による最新作。フランスで開催される、アヌシー・アニメーション国際映画祭の長編部門にもノミネートが決まるなど、国内外からの注目を集めています。
ステージには人魚の少女ルー役の谷花音さん、中学生の少年カイ役の下田翔大さん、ルーのパパ役の篠原信一さん、そして湯浅政明監督が登壇し、公開を迎えた喜びを熱く語りました。
また、舞台挨拶の後半には、本作のテーマ「ほんとうの気持ちを伝える」にちなんで、湯浅監督自身がキャスト3名にあてた手紙を朗読するというサプライズもありました! そんな見どころ満載な公開記念舞台挨拶のレポートをお届けしていきます。
「素晴らしい演技だったので、癒されながら見ていました」 湯浅監督がアフレコ現場での思い出を語る
本作の主題歌でもある「歌うたいのバラッド」の曲と共に、湯浅監督とキャストの皆さんが登場します。湯浅監督が「映画を楽しんで頂けましたでしょうか?」と会場に投げかけると、大きな拍手が起こりました。
谷さんは「ルーちゃんは恥ずかしさが無く、伝えたいことがあったらすぐに言葉にすることができる、素直な人魚の女の子です」と、自分の役であるルーの魅力を語ります。また、アフレコでは、ルーの天真爛漫さが表現できるよう、照れを出さないようにイメージしたとコメント。
さらに、「アフレコ現場で監督は、いつも自分の演技を笑顔で見ていてくれていましたが、実際にどう思われていたのか少し心配でした」と当時の思い出を語ります。それを受けて湯浅さんは、「素晴らしい演技だったので、癒されながら現場を見ていました」と嬉しそうに応えました。
カイ役の下田さんは、『四畳半神話大系』の頃から監督の大ファンだったことを話し、自分がオーディションに選ばれた時の喜びを語ります。また、今までに声優の経験がなく、不安になりながらも精いっぱいの演技ができたとコメント。
さらに、歌を熱唱するシーンのアフレコでは、監督自ら歌ってアドバイスをしてくれたと、収録中のエピソードを披露しました。
ルーのパパ役の篠原さんは、「私の素晴らしい演技を見て下さり、ありがとうございます!」と自信たっぷりとコメント。さらに「最初は主人公役で呼ばれたと思っていました」と冗談交じりに話し、会場の笑いを誘います。
続けて篠原さんは、台本には「ウォー!」「ガルルルル!」など、吠える・叫ぶセリフしかなく、「自分の演技が正しいのか少し不安だった」と当時の思いを語ります。それを受けて湯浅監督は、「(演技が)想像以上に良かった」と話し、篠原さんがホッと胸をなで下ろす一面が見られました。
谷さんも思わず涙…! 湯浅監督が、キャスト3名へ宛てた手紙を朗読
舞台挨拶が終わると、湯浅監督が3名への手紙を朗読するというサプライズが! ここではその一部を抜粋してご紹介します。
●篠原信一さんへの手紙
篠原さんをルーのパパにキャスティングしたのは、その見た目です。…ウソです(笑)。娘を想う気持ちが強く、大きな包容力を兼ね揃えていることも重要だったので、ベストファーザー賞を取られていることも大きなポイントでした。世界でとても強い所と、バラエティではとぼけた陽気なパーソナリティをTVで発揮されていたのが決定的でした。
クライマックス、パパがルーの元へ走るシーンは映画の中でも私が力を入れた重要なシーンですが、篠原さんの声が乗ることで気持ちが入り、シーンが完成したと思います。子の安否を願う気持ちが大変強く伝わりました。篠原さん、最高のパパでした。
●下田翔大さんへの手紙
下田君を最初に見たのはオーディションで、後から映画も見ました。オーディションでは皆さんに貝のセリフを演じていただき、最後に「好きだ!好きだ!大好きだ!」と叫んでもらいました。下田くんが叫ぶと心から感動しましたし、胸に迫るものがあり、「この人だ!」と思いました。
収録途中、遊歩役の寿美菜子さんや国夫役の斉藤壮馬さんと一緒の日がありましたね。二人が今まで下田君がどう絡んで行くか、少し心配して見守っていましたが、頭からガツンとあわせて行きましたね。さすが役者、やはり下田君を選んだ僕らの目に狂いはなかったと改めて思いました。
二人にリードもされ、どんどん成長していく下田くんは本当にカイそのもののようで、目頭も熱くなりました。僕が一番こだわった最後の「好きだ」のセリフは「歌うたいのバラッド」を、声が枯れるまで歌った後に録ったものを採用しました。あの「好きだ」は、ここ近年一番の「好きだ」だと確信しています。
●谷花音さんへの手紙
谷さんがスタジオで初めて「ルー!」と声を発した時、「本当にルーがいる。これでこの映画は大丈夫だ」と安心しました。声優としては初めての主演、しかも女の子だけど人間ではないという役なので、難しい所もあったと思います。最初の歌のシーンは悩んでくれましたね。人魚だから、メロディを口ずさむときも人間みたいに「ラララ」とは歌わない。
はじめは、ルーも後で声に効果音を乗せようと考えていましたが、これはすぐにやめることにしました。谷さんの声はまっすぐな力強さ、透明感、素直さがあり、これを活かすことでルーのキャラクターが完成すると思ったからです。収録中ずっと、僕たちは谷さんの声に癒されていましたし、誠実なプロとしての仕事にも感心していました。ルーがこんなに魅力的なキャラクターになったのは谷さんのおかげだと思います。
ピュアで、やさしく、元気いっぱい。でも少し大人な所もあるルーのキャラクターは、谷さん無くしてはできませんでした。こんな魅力的な声で演じられる、谷さんの今後も楽しみです。きっと素敵な役者さんになられることだろうと思っています。
笑いあり、涙ありの舞台挨拶で、作品の魅力がしっかりと伝わってきました。絶賛公開中なので、まだ見ていない人は是非会場まで足を運んでみて下さいね!
[取材・文・写真/島中一郎]
作品情報
『夜明け告げるルーのうた』全国公開中
【あらすじ】
寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)を舞台に、心を閉ざした中学生の少年・カイ(下田翔大)が、人魚の少女・ルー(谷花音)との出会いと交流を通して、本当の気持ちを伝えることの大切さを教えてくれる、青春感動ストーリー。
【キャスト】
ルー:谷花音
カイ:下田翔大
ルーのパパ:篠原信一
じいさん:柄本明
国夫:斉藤壮馬
遊歩:寿美菜子
江曽島:大悟(千鳥)
髭の漁師:ノブ(千鳥)
【スタッフ】
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子 湯浅政明
音楽:村松崇継
主題歌:「歌うたいのバラッド」斉藤和義(SPEEDSTAR RECORDS)
キャラクターデザイン原案:ねむようこ
キャラクターデザイン/作画監督:伊東伸高
美術監督:大野広司
フラッシュアニメーション:アベル・ゴンゴラ ホアンマヌエル・ラグナ
撮影監督:バティスト・ペロン
劇中曲・編曲:櫻井真一
音響監督:木村絵理子
制作プロデューサー:チェ・ウニョン
アニメーション制作:サイエンスSARU
製作:清水賢治 大田圭二 湯浅政明 荒井昭博
チーフプロデューサー:山本幸治
プロデューサー:岡安由夏 伊藤隼之介
企画協力:ツインエンジン
制作:フジテレビジョン 東宝 サイエンスSARU BSフジ
配給:東宝映像事業部
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