TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』1話の主人公・綾小路清隆(CV:千葉翔也)の演技に隠された秘密/声優対談
2017年7月12日(水)より放送開始となった『よう実』こと、TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』(原作:衣笠彰梧/キャラクター原案:トモセシュンサク)の連載企画がアニメイトタイムズでスタート!
題して、「ようこそ実力至上主義の広報室へ ~すべての人間は生まれながらにして知らんことを欲す~」! 本連載では、声優陣やアーティスト、スタッフに作品について、たっぷりとお話を伺っていく内容となっています。
その第1回目に登場いただくのは、主人公である綾小路清隆 役・千葉翔也さんと、ヒロインの堀北鈴音 役・鬼頭明里さん! お二人には第1話の物語を中心に次回の物語の見どころまであますことなく語っていただきました!
――ついに1話が放送されますけど、どんな気持ちですか?(※インタビューは放送前に実施)
綾小路 清隆 役・千葉翔也さん(以下、千葉):すでに原作ファンの方がたくさんいる作品ですので、そういう方たちの反応と、初めて見る方たちの反応がどうなるんだろうって、ドキドキしています。でも1話は、いろんなキャラクターが出てきて、その顔見せ的な部分もあるので、一人でも気になったキャラクターが見つかったら、そこで引っかかってくれたらいいなぁと思います。
堀北 鈴音 役・鬼頭明里さん(以下、鬼頭):原作ファンの方が多い作品なので、私の堀北鈴音を受け入れてもらえるのかなというのがすごく不安で、ずっとドキドキしています。早く皆さんの反応が見たいです。
――ではまず、この原作を読んだ第一印象を教えてください。
千葉:読んでいる側の予想を裏切るような、びっくりさせられるシーンが、進んでいくにつれて増えていくんです。なので綾小路の目線で進んでいって、綾小路に感情移入しているつもりなんだけど、他の人物の気持ちにびっくりさせられたりするから、すごく面白くて。綾小路以外のキャラクターにもすごく魅力を感じましたし、うまく操られているなぁって思いました(笑)。
鬼頭:鈴音も綾小路も、すごく癖があって、目が離せないというか。しかも彼ら以外もひと癖もふた癖もあるキャラクターばかりなので、続きが気になって仕方なくて。この人たちはどんな人たちなんだろうって思いながら、原作はスラスラと読んでしまいました。
――鬼頭さんは、キャラクターの推しとかも考えて見るタイプかもしれないですね。
鬼頭:そうですね。推しのために見る感じです(笑)!
千葉:はははは(笑)。
鬼頭:最初は綾小路が気になって、だいぶ先ですけど、軽井沢恵が気になって、今はそのために原作を読んでいます(笑)。あと堀北鈴音と堀北学が気になるので、あの二人は今後も追いかけてみようかなと!
――キャラクターの方向性というところで、役作りで苦労したところはありますか?
千葉:オーディションの際に原作を読み進めていたんですけど、原作では普通の高校生の部分を残していた綾小路が、アニメではかなり浮いている存在になっていたんです。
――確かに個人的にも、違和感はありました。
千葉:そうですよね。最初に他のキャストの方と掛け合いしたときも「こんな静かなんだね」とか「こういう感じなんだ」って、意外に思われたみたいなんですけど、だんだん、こういう人だよねって納得していただけたみたいで。それと原作だと、モノローグが普通の男の子っぽいというか、テンションが高いところがあるんですけど、逆にそこは外していくというか。ディレクションの中でも、ちょっと他と違う感じで、違和感を与えられたら勝ちみたいなことをおっしゃっていたので、なるほどと思っていました。
――鬼頭さんはいかがですか?
鬼頭:オーディションの時点から、もっと淡々とやっていいよと言われていたので、そこに気を付けながらやっていました。鈴音は本当にツンケンしているので、アフレコが始まってからも「もっと強く当たっていいよ」と言われるんですけど、私、普段から、あまり人に嫌われたくないタイプで、そんなに強く言うことってないんです(笑)。でも鈴音は人に好かれたいとも思ってないし、友達もいらないと思っているからこそ強く言えるので、それを出していかなきゃと思って、人に嫌われたくないという気持ちを捨てて頑張りました(笑)。
――なかなかそういう人は現実でいないですからね。
鬼頭:そうですね。嫌われるのは怖いですから(笑)。
千葉:鈴音は最初、名前を聞いても名乗りすらしてくれなかったですから。
鬼頭:シカト……。
――そもそも名簿がなくて、自己紹介をしないとクラスメイトの名前がわからないって面白いですよね。
千葉:なかなかないですよね。でもそれすら、学校側の意図を感じますよね、今思うと。
――2人で掛け合ってみたときは、どうでしたか?
鬼頭:綾小路もうわべだけで話すし、堀北も一方的に言うだけだったり、跳ね返すだけだったり。噛み合っているのか噛み合っていないのか、会話しているのかしていないのか、すごく不思議な感覚でした。でも、やっぱりそれがこの作品の会話なんだなと思って、しっくり来ました。
千葉:掛け合いのとき、僕の中でひとつのキーだなと思ったのが、最初、堀北に「会話の組み立てが下手ね」みたいなことを言われるんですけど、それこそがこの二人の会話なんだろうなと。鬼頭さんも言っていた、噛み合っているようで噛み合っていないところは逆に意識したというか。まっすぐの拒絶に対して、のらりくらり会話する綾小路みたいな。綾小路って、たまに冗談を言ったりするんですけど、本気で笑いを取りに行っているのかわからないんですよね。
――そのギャグは、誰が笑うんだ?って思うことは多いですね(笑)。
千葉:そうなんですよ! なんか思いついて、これが面白いのかどうなのかも考える前に、言葉を発しているんだろうなって思いました。たまに自分もそういうことあるんですけどね(笑)。
『よう実』衝撃の1話、二人が映像から感じたモノとは
――1話を振り返ってみていかがですか? まず千葉さんのモノローグからスタートしますが。
千葉:1話はすごく無感情なほうに振り切って作ったんですけど、1話の冒頭って普通、もっとあおりみたいなモノローグだと思うんですよ。でも綾小路は淡々と、平等について考えているけど、そこに特に感想は持っていないみたいな感じで。だから、ストーリーがこれから始まるよ!っていう感じよりは、ただ綾小路が思っていたことをそのまま口に出すだけのモノローグで、聞いた人はびっくりするかもしれないですね。実際、自分で1話を見て「こんな入り方する作品ってないよな」って思いました(笑)。
――そこから、バスで席を譲る譲らないのシーンになるのですが、普通、席譲るでしょ!って思いました。
千葉:そうですよね! 原作を読んだときも思ったんですけど、主人公じゃなさすぎる!っていう(笑)。
鬼頭:始まりから異質ですよね。席、譲らんのかい!みたいな(笑)。そこがすごく面白かったです。あと1話って、最後のオチが、ここで切るんだ!って感じなんです。いい感じのところで終わっていて、すごく感動しました。完璧にまとまってる!みたいな。
――Dクラスにポイントが入っていないというところですね。
千葉:最後のスリリングな感じとか、すごく暗い教室の雰囲気だったりが、ここで変わっていくんだと感じさせてくれるというか。ここで、これはこういう作品なんだっていう答えを出してくれるのは、演じていたのに、初めて見たときにびっくりして。すごいなぁって思いました。
鬼頭:私が一番ゾクッと来たのは、茶柱先生が教室を出ていくところで。扉が閉まる先にカメラがあって、扉が向かってきて“ドン”って暗転するんですけど、ゾクッと来て! こういう作品なんだっていうのがすごく見えたというか。
――人を疑いたくなるような、不穏な空気感をそういうところで出していますよね。
千葉:そうですね。このキャラは、本当に本心でしゃべっているのか?とか。だから少し見進めたあとに1話を見返したら、たくさんの発見があるかもしれないですね。
――小説から取捨選択するところは、アニメだとどうしても出てきてしまうけど、表情とかでそれを補っていたりするんですよね。
千葉:綾小路がコンビニの前で監視カメラを見ているシーンも、セリフはなかったんですけど、意味のないシーンっていうのはこの作品にはないので、そこも見逃さずに見ていただけたらと思います。
――1話で気になったキャラクターはいますか?
鬼頭:私は断然、高円寺六助ですね。なんかBGMからしてちょっと違う世界の人みたいで(笑)、視聴者の方も気になったんじゃないかなと。態度も声も異質! 原作を読んでいるときより、アニメのほうがより不思議な人になっている気がしました。
――実際、そんな人いるのかよ!ってところから、高円寺いるわ……ってなりました。
鬼頭:そこにちゃんと存在していました(笑)。
千葉:声が付いたとき、不思議な笑いが出ましたね。突き抜けてるなぁと。声が付いたというところでは、櫛田桔梗も、みんなに好かれる人物というのが、本当に1話で出来上がったなと思いました。
――すごくかわいいですよね。
千葉:かわいいですね。ただ、僕は堀北推しなんですけどね……。
鬼頭:あははは(笑)。
千葉:でも会話は噛み合わないんですけど。
――鬼頭さんは、鈴音のキツさ、1話で出し切ってましたか?
鬼頭:出せていたと思います。私の精一杯の当たりのキツいところを出したので。
千葉:僕、あれが好きですね。「バスの中で私のほうを見てたけど、何なの」ってセリフ、めっちゃ好き! 本当に冷たいなと。あれをマイクの隣で感じられたので、堀北らしいなと思いました。
――あの、千葉さんはちょっとMが入っているかもしれないですね。
千葉:いや! やってる僕の気持ちと、綾小路の気持ちはまったく別ですからね(笑)。
鬼頭:でも、千葉くんだからこそ、強い感じが出せたのかもしれない。言いやすかった。
――それは、千葉さんがいじりやすい的なところがあるから?
鬼頭:そうですね。梅原さんに、いつも(愛のある)シカト芸をかまされているんです。
千葉:梅原さんにいじられるのがめっちゃ嬉しいんですよ。1話は特にキャストが多かったので、スタッフを交えてご飯に行ったり、皆さんと話す機会も結構多かったんです。だから収録も和気藹々としていて。でも、考えてみれば確かにいつも僕がいじられてますね(笑)。
鬼頭:毎回ツッコミどころを用意してきてくれるから、いじりやすいんですよ。
千葉:自分では、まったくそんなつもりはないんだけどな(笑)。でも、逢坂良太さんが、前のアニメでずっと一緒だったこともあって、本当に最初からラフに接してくださったので、「この人は、何を言っても大丈夫だな」って周りの方々が理解してくださったと思います(笑)。こちらとしても、変な壁もできなくて良かったです。演じているときは、(綾小路のように)死んだ目をしていますけど、休憩時間はよくしゃべっています。
――1話では、堀北と仲良くなるために、綾小路が櫛田に協力を頼まれるものの、それを看破されるシーンもありました。
鬼頭:シカさん(久保ユリカ)のことも大好きだし、櫛田もめちゃくちゃかわいいと思っているので、とても心が痛かったです! ここでも私は櫛田が好きじゃないんだ!と思いながら演じていました。
――千葉さんだと強く行けるのに(笑)。
鬼頭:綾小路より、ハードルは高かったです(笑)。
千葉:そのへんって、堀北の生き方を体現しているなと思いました。櫛田が綾小路に「お願いがあるんだけど」って来るときも、この子は分かってる子だなって思うし、視聴者からも絶対に好かれると思うんだけど、堀北は何なんだ?っていうところで、自然と対比させられているというか。
――そうですね。でも僕も堀北さんの冷たい感じ、好きです。
千葉:いいですよね! 声が付くことによってあれですよね、字面でキツいこと言われるよりいいですよね。何言ってるんですかね、僕(笑)。
――(笑)。で、最後は強烈な引きで終わった1話でした。
千葉:サブタイトルが個性的で、1話も「悪とは何か――弱さから生ずるすべてのものだ。」というサブタイトルで、台本をもらうと、まずそこを気にするんです。毎回その回のテーマになるようなことを言っていると思っていて、Dクラスが、ポイントを取れなかったのも自業自得だよみたいなところで、タイトル回収にもなっていて面白いなと思いました。
――では最後に、2話の見どころをお願いします。
鬼頭:1話でめちゃめちゃ気になる落とし方をしたので、皆さん気になって仕方ないと思うんです。2話は、Dクラスの人たちをさらに掘り下げていく回にもなっています。面白いので、ぜひ見てください。
千葉:1話を見たとき「おお!すごい!」って思ったんですけど、2話を見たとき「面白い!」って思ったんです。綾小路と堀北の関係性も、噛み合ってない1話から、噛み合ってないまま関係ができていたので、先に進んでいるなと感じました。2話では、1話で見せなかった堀北と綾小路の面がたくさん見られるし、1話を見てもやもやしたところもたくさん回収してくれると思うので、2話もよろしくお願いします。
作品情報
【放送情報】
AT-X:毎週水曜 夜11時30分~
【リピート放送】
毎週金曜 午後3時30分~
毎週日曜 朝8時30分~
毎週火曜 朝7時30分~
TOKYO MX:毎週水曜 深夜1時05分~
テレビ愛知:毎週水曜 深夜2時35分~
KBS京都:毎週水曜 深夜1時05分~
サンテレビ:毎週水曜 深夜1時30分~
TVQ九州放送:毎週水曜 深夜2時35分~
BS11:毎週金曜 夜11時00分~
【スタッフ】
監督:岸 誠二 × 橋本裕之
シリーズ構成:朱白あおい(ミームミーム)
キャラクターデザイン:森田和明
アニメーション制作:Lerche
製作:ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会
【キャスト】
[Dクラス]
綾小路清隆 千葉翔也
堀北鈴音 鬼頭明里
櫛田桔梗 久保ユリカ
佐倉愛里 M・A・O
軽井沢恵 竹達彩奈
平田洋介 逢坂良太
高円寺六助 岩澤俊樹
須藤 健 竹内栄治
池 寛治 阿部大樹
山内春樹 岩中睦樹
幸村輝彦 郷田翼
[Aクラス]
坂柳有栖 日高里菜
葛城康平 日野 聡
[Bクラス]
一之瀬帆波 東山奈央
神崎隆二 若山晃久
[Cクラス]
龍園 翔 水中雅章
伊吹 澪 小松未可子
[生徒会]
堀北 学 梅原裕一郎
橘 茜 小原好美
[教員]
茶柱佐枝 佐藤利奈
星之宮知恵 金元寿子
【音楽情報】
・OP:ZAQ「カーストルーム」(2017年8月9日発売)
・ED:Minami「Beautiful Soldier」(2017年8月23日発売)
【STORY】
この社会は平等であるか否か。真の『実力』とは何か――。東京都高度育成高等学校。それは徹底した実力至上主義を掲げ、進学率・就職率100%を誇る進学校である。そこに入学して1年Dクラスに配属された綾小路清隆だったが、学校は実力至上主義の看板とは裏腹に、生徒に現金と同価値のポイントを月10万円分も与え、授業や生活態度についても放任主義を貫く。夢のような高校生活の中で、散財を続け自堕落な日々を送るクラスメイトたち。しかし、間もなく彼らは学校のシステムの真実を知り、絶望の淵に叩き落とされるのだった……!
落ちこぼれが集められたDクラスから少年少女たちが見出すものは、世界の矛盾か、それとも正当なる実力社会か。