OVA『クビキリサイクル』遠藤綾さんが語る「姫菜真姫」の演技のベースになった人物とは
一癖も二癖もあるキャラクターたちによって繰り広げられる戦慄のミステリーと会話劇が話題のOVA『クビキリサイクル』(原作:西尾維新)。孤島で起こった殺人事件の謎、その全てが明かされる最終巻の発売と連動し、アニメイトタイムズではインタビュー連載企画として出演キャストをお招きしてのトークをお送りしています。
連載第6回は、「過去を知り、未来を知り、人を知り、世界を知り、全てを知る超能力者」こと姫菜真姫役の遠藤綾さん。何故全ての謎を知るはずの真姫は、事件を傍観していたのか。姫の行動に潜む謎や、キャラクターについての遠藤さんなりの捉え方、共演されたキャストの方々のお話など、幅広くお話を伺いました。お楽しみください。
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【第 1回】玖渚友 役・悠木碧さん
【第 2回】逆木深夜 役・浜田賢二さん
【第 3回】千賀てる子 役・後藤邑子さん
【第 4回】赤神イリア役・伊瀬茉莉也さん
【第 5回】班田玲 役・桑島法子さん
イマココ⇒【第 6回】姫菜真姫 役・遠藤綾さん
――『クビキリサイクル』の映像をご覧になっていかがでしたか?
姫菜真姫役・遠藤綾さん(以下、遠藤): スパンスパンとカッコよく首と体が離れていくので、登場人物みんな首切られるのかな? と思うような凄いインパクトがあるオープニングですよね(笑)。
――役をいただく前、原作はご存知でしたか?
遠藤:台本をいただいてから真姫が予知能力を持っていると知ったので、それなら先のお話を知っていても大丈夫だと思い、1話の収録が終わったあとに読ませていただきました。どういう登場人物がいて、どなたが声をあてるのか分かっていた上に、キャラクターの方向性や「ぼく(CV:梶裕貴)」に対する演技についてディレクションを受けていたので、読みやすかったです。西尾さんのデビュー作なんですよね?
――そうですね。2002年の作品になります。
遠藤:すごく面白かったんですが、私の場合、どうしても自分が演じる真姫の目線で読んでしまったので、あまり客観的な見方にはなっていなかったとは思うんです(笑)。なので他の方が読んだ印象とはまた違う感じ方になったと思います。
鶴岡(陽太)音響監督からは、「テンポを重視して、一字一句違えず、句読点もきちんと意識して読んでください」という指示があったんですが、原作を読んだおかげで西尾さん特有のリズムを理解できたと思います。
――アニメのアフレコ現場では、台詞の末尾を省略したり、句読点をずらすこともありますが、『クビキリサイクル』ではそういうことはなかったんですね。
遠藤:自分が演じる役の呼吸に合わせて、多少はセリフを変えてしまっても大丈夫だと言われる現場が多いのですが、この作品に関してはそのままやることによって“らしく”なるんです。
そもそもセリフが長い上に凄く多いので、一言一句違えず句読点もずらしてはいけない、という指示を受けてのアフレコはやりがいがありました。一言一言に感情を込める隙間がないんですけど、でも話し続けていると口から勝手に西尾さんのリズムが出てくるんです。
まるでキャラクターにセリフを言わされているようにも、自分の意思で言っているようにも思えました。キャラクターもコロコロと表情が変わるのですが、それにセリフが合わさるとまたしっくり来るんです。その点は西尾さんの作品ならではの気持ちよさを感じる、面白い経験でした。
――セリフの感覚がほかの作品とは全く違うんですね。
遠藤:そうですね。他の作品だとキャラクター同士の掛け合いをもっとしますし、見ている人がはっきりわかるくらいの間をとったりします。『クビキリサイクル』では真姫のセリフだけを見ても、「『ぼく』に対して何か恨みでもあるのかな?」っていうくらい言葉のチョイスも辛辣で、一方的に話し続けるのが楽しかったです(笑)。
――具体的に気に入っているセリフはどこでしょう?
遠藤:2話のリビングでお酒を飲んでいるシーンの、「ぼく」に向かって「さっきは悪かったね、痛いところを突いちゃって」っていうセリフの言い方が、嫌な女っぽくて面白かったですね(笑)。「ぼく」がそれは言われたくないってわかっていること知っていて、わざと怒らせようとしてるのかなと(笑)。
――真姫は心を読む能力を持っているので、おそらくかなり早い段階で謎の真相を知っていたはずなんですよね(笑)。
遠藤:そうなんですよね(笑)。だから、天才たちのなかにひとり超能力者を入れたのは冒険だったと思います。だって真姫は全部分かっちゃうじゃないですか。だから彼女は、それはそれ、これはこれみたいに、不思議な感覚で生きている、捉えどころのない人だと思いました。全部知っているという顔もしないですし、いつかどこかで言うのかなと思っていたんですけど、最後まで言いませんでしたよね。
――玖渚友(CV:悠木碧)は心と過去が読めないのですが、どう思われました?
遠藤:玖渚ちゃんは能力的な癖はあるけど、お風呂に入りたがらないのを除けば割とちゃんとした子でしたね、結構ぼくに対してバシッと言ってるシーンも多かったと思います。
真姫を演じるときは石塚運昇さんをイメージしていました(笑)。
――真姫には様々な能力がありますが、演じる際に気を付けた点はありますか?
遠藤:能力があるからという理由で演技を変えることはありませんでした。ただそれをひっくるめた演出からの指示だったのかもしれませんが、自分が使った台本にはもっと「冷静に」とか「淡々と」とか「冷たい」という字がいっぱい書いてあったんです。1話の時はもっと明るく演じていたんですが、そうしたらもっと覇気の無い、けだるいめんどくさそうな感じの方向性と言われて、それからはやる気ない感じでしゃべっていました。
真姫は何もかも分かっているからこそ暴れないというか、逆に冷静というか、自分が言ったところで何も変わらないみたいに感じていたんじゃないかなと思います。天才の人たちと一緒にいるけれど、あんまりグイグイ行かない。事件に興味はあるんでしょうけど、一歩引いているような感じがありましたね。あまり若いテンションではなく、「ぼく」に対しても冷たいんですが、いじわるをするわけでもないポジションだったと思います。
――「ぼく」の心の中の声に反応するシーンもありますね。
遠藤:「ぼく」の心の声を聞いて、真姫だけニヤって笑うシーンは演じていて楽しかったですね。あのとき、この人は状況を楽しんでいるなと思いました(笑)。あと、実は収録をする上で、音響監督の鶴岡さんから石塚(運昇)さんみたいにと言われていたんです。ほかのキャストのみなさんも、私がそう言われていたことを覚えているんじゃないかなぁ。
――真姫の演技は石塚さんベースなんですか!?
遠藤:台本に例えとして、あちこちに「運昇さんみたいに」って書きました(笑)。運昇さんの名前って老若男女問わず色々なところから出てくるので、すごいなって思っています。
――石塚さんのお名前は、完全に予想外でした(笑)。
遠藤:真姫は髪型にしてもポニーテールだったりツインテールだったりして、ビジュアルは凄く可愛いんです。でもお酒を飲んでしゃべっているところはすごく大人の印象を受けるんですよ。
でも、ただの綺麗な女性ではないんです。何でも知っていて、落ち着いてお酒を飲んでいる余裕がある人物なので、運昇さんを参考に、ゆったりどっしり構えている、浮ついていないキャラクターになるよう注意して演じていました。セリフの言い回しも結構男っぽい感じがしますし、鶴岡さんからは「もっとおじさんっぽくして」と指示されたこともありました(笑)。
――元々おっさんっぽい設定が入ってるのかもしれませんね(笑)。
遠藤:そうかもしれませんね(笑)。それと園山赤音(CV:嶋村侑)をはじめとして、『クビキリサイクル』には気だるい感じのキャラが多いので、差別化のためのおっさん化があったのかもしれません。
――真姫はしょっちゅうお酒を飲んでいますが、遠藤さんも真姫のようにお酒を飲んだりダラダラしたりしますか?
遠藤:もちろんダラダラします!(笑)。 みなさんもしますよね?(笑)。真姫みたいなお酒の飲み方は嫌いじゃないです。でも、「ぼく」に対して辛辣なことを言う時みたいな悪い絡み方は流石にやりませんけど(笑)。
自分のセリフじゃないところも、しっかり見ています。
――『クビキリサイクル』の現場は、男性が梶さんと浜田(賢二)さんのおふたりだけで、あとは実績のある女性が多かったと思います。現場の雰囲気はいかがでしたか?
遠藤:先の展開を推理しあったり、どうなるんだろうね? みたいに作品について話すことがあったので、楽しかったですね。梶くんは一番芯になる役でしたし、原作も多分読んできていたと思います。年齢の近い女性が多い現場って、やっぱり安心しますね。
――ベテランの多い現場と若手の多い現場での雰囲気の違いは?
遠藤:基本的に私は、自分が上の立場で現場に入る場合は、こんな読み方はないんだよって教えてあげたりしています。教えてあげられることを発見しようと思っています。
自分も過去にそうやってアドバイスを貰っていたことがあったので、積極的に気づいたことを教えてあげたほうが、後々自分のためにもその子のためにもなるんだなって思っているんです。だから自分のセリフじゃないところも、ちゃんとしっかり見ています。
――ちなみに、本作のようなミステリーには普段から触れているのでしょうか?
遠藤:実は私、ドキドキするのは苦手なんですけど、今回『クビキリサイクル』に参加させていただいて、ミステリーは面白いなと感じました。
でもホラーは絶対ダメです! 『呪怨』とか『リング』とか日本のものは単語を聞いただけで無理なんですよ(笑)。アメリカとかのだったら違う日常、違う世界って感じがあるのでまだ大丈夫なんですが。日本やアジアのものだと、日常が同じじゃないですか。色合いとか空気感が本当っぽくて、苦手なんですよ(笑)。
――反対にお好きなジャンルは?
遠藤:ファンタジーですね。
――最後にファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
遠藤:西尾さんのデビュー作を映像化することになって、待ち望んでいた方が沢山いらっしゃったと思います。その当時に映像化されていたらどうなっていたのかというのも興味がありますが、今だからこそ映像化できたのではという想いもあります。
当時読んでくださった方のイメージと、このアニメがみなさんにどのように感じて貰えるのかも知りたいです。一巻に1話、全8本もありますので、最後までこのミステリーを堪能してください! 私オススメの首が切られるオープニングにも注目です!
[取材・文/早川清一朗]
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【第 1回】玖渚友 役・悠木碧さん
【第 2回】逆木深夜 役・浜田賢二さん
【第 3回】千賀てる子 役・後藤邑子さん
【第 4回】赤神イリア役・伊瀬茉莉也さん
【第 5回】班田玲 役・桑島法子さん
イマココ⇒【第 6回】姫菜真姫 役・遠藤綾さん
音楽情報
■「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣いSound Collection」:10月25日(水)発売
▲アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
価格:3,500円+税
収録曲:全34曲
仕様:◆CD2枚組 ◆描き下ろしジャケットイラスト
パッケージ情報
★「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」全巻購入特典
渡辺明夫さん&okamaさん描き下ろし"全巻収納BOX"をプレゼント!
※応募〆切:2017年11月30日(木)
※2~8巻巻封入の応募券を集めて、1巻封入の台紙に貼り付けてご応募ください。
※画像はokama氏によるイメージラフです。実際の商品とは異なりますので、ご了承ください。
■第一巻:2016年10月26日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、長瀞とろみ(CV.折笠富美子)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募台紙
(キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろし全巻収納BOX)
○クリアケース
■第二巻:2016年11月30日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、因原ガゼル(CV.神田朱未)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
購入
■第三巻:2017年1月25日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、軸本みより(CV.野中藍)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第四巻:2017年2月22日(水)発売
▲アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、石丸小唄(CV.浅野真澄)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第五巻:2017年3月29日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・佐々沙咲(CV.佐藤利奈)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第六巻:2017年5月31日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・長瀞とろみ(CV.折笠富美子)・因原ガゼル(CV.神田朱未)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第七巻:2017年8月30日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・佐代野弥生(CV. 池澤春菜)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第八巻:2017年9月27日(水)発売
▲アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・ぼく(CV. 梶裕貴)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
作品情報
【INTRODUCTION】
日本海に浮かぶ孤島、鴉の濡れ羽島。
そこに建つ屋敷には、島の主の赤神イリアによってあらゆる分野の天才たちが客として招かれていた。
だがある朝、屋敷の中で、首斬り死体が発見される。
そして事件は、それだけでは終わらなかった――
原作は、西尾維新のデビュー作にして第23回メフィスト賞受賞作『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』。〈物語〉シリーズを手がけてきたシャフトによって、西尾維新の原点とも言える作品が映像化される。
【STAFF】
原作:西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」(講談社ノベルス・講談社文庫)
キャラクター原案:竹
総監督:新房昭之
監督:八瀬祐樹
シリーズ構成:東冨耶子・新房昭之
脚本:木澤行人・中本宗応
キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺明夫
総作画監督:鈴木博文
イメージボード:okama
美術設定:大原盛仁
美術監督:内藤健
色彩設計:日比野 仁・渡辺康子
3DCGディレクター:越田祐史
3DCG制作:オレンジ
撮影監督:江上 怜
編集:松原理恵
音響監督:鶴岡陽太
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:シャフト
製作:アニプレックス・講談社・シャフト
【CAST】
ぼく:梶裕貴
玖渚友:悠木碧
園山赤音:嶋村侑
伊吹かなみ:川澄綾子
逆木深夜:浜田賢二
姫菜真姫:遠藤綾
佐代野弥生:池澤春菜
赤神イリア:伊瀬茉莉也
班田玲:桑島法子
千賀あかり:桑谷夏子
千賀ひかり:新谷良子
千賀てる子:後藤邑子
哀川潤:甲斐田裕子
【THEME SONG】
オープニング・テーマ:三月のパンタシア「群青世界」(コバルトワールド)
エンディング・テーマ:Kalafina「メルヒェン」
>>OVA『クビキリサイクル』公式サイト
>>西尾維新アニメプロジェクト公式Twitter(@nisioisin_anime)