『ブレードランナー ブラックアウト 2022』へのこだわりを、渡辺信一郎監督が語る!
──『2022』のラストは、ある意味『ブレードランナー』を象徴するメカであるポリススピナーが全滅してバラバラと降ってくるというのも、終焉の示唆に富んだものに思えたのですが?
渡辺:今回、「ブラックアウト」という歴史的な事件を描きつつ、かといって単に説明だけの作品になっちゃ面白くない。なおかつ、キャラクターのドラマ的な部分も入れ込みつつ、それをわずか13分ぐらいに収める、という離れ業をやらなきゃいけない。そのため、すべてを見せるんじゃなくて間の出来事を省略して見せたり、象徴的な表現にしてる所もあります。
見た人がそこは埋めてほしいというか、補完して見てもらえればと。「あのラストのハトはどこから来たのか」とか、「(トリクシーを慕う)レンはだまされてるのかどうか」とかね。
ひとつだけ言うなら、レンはすべて分かったうえでトリクシーのために協力しているというつもりで描いていて、実は無償の愛の物語でもあるんです(笑)。
──ところでブラックアウトの原因が核ミサイルの爆発による電磁パルスという、図らずも現実の2017年ではリアリティのあるものとなっていますが……。
渡辺:もちろん作ってる時点じゃこういう国際情勢になるとは思ってもなかった。タイムリーすぎてあわや配信中止になるとこでした(笑)。
今までにも、作ったアニメの内容が現実を先取りしてしまう事があるんですけど……まあ、「真に先進的な作品はときに時代を予見するのだ」……と書いといてください(笑)。
あながち冗談でもなくて、本当にそう思ってるんですけどね。
(インタビュー・文:大黒秀一)
『ブレードランナー ブラックアウト2022』 作品情報
『ブレードランナー ブラックアウト2022』
メインスタッフ 監督・脚本:渡辺信一郎 / キャラクターデザイン・作画監督:村瀬修功 / 音楽:Flying Lotus / 制作:株式会社 CygamesPictures
メインキャスト イギー:松田健一郎 / トリクシー:青葉市子 / レン:古川慎
ブレードランナー ブラックアウト 2022
※日本語吹替版
『ブレードランナー 2049』 作品情報
『ブレードランナー 2049』
10月27日(金) 全国ロードショー
製作総指揮:リドリー・スコット/監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、ロビン・ライト、ジャレッド・レト、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、
カーラ・ジュリ、マッケンジー・デイヴィス、バーカッド・アブディ、デイヴ・バウティスタ
そして、2049年――。
ロサンゼルス市警の“ブレードランナー”K は、違法レプリカント“処分”の任務にあたる最中、レプリカント開発に力を注ぐウォレスのを知る。そして、その陰謀を暴く重要な鍵を握るのは 30 年間行方不明だったブレードランナー“デッカード”だった。彼が命をかけて守り続けて きた〈秘密〉とはいったい何なのか?
デッカードがこつ然と姿を消してから30年、キャッチコピーである“知る覚悟はあるか――”という言葉が物語るように、本作では知られざるが明かされることになる。今なお色あせることなく、映画界と世界中のカルチャーを魅了し続けている「ブレードランナー」。『ブレードランナー 2049』で描かれる30年後の世界は、その圧倒的な映像美をよりパワフルに引き継ぎ、ベールに包まれ多くの謎を抱えながらも、新たな映画新時代の幕開けを感じずにはいられない。