ハガレンが育んだ2人の縁!実写映画『鋼の錬金術師』衣裳家の西原梨恵さんと声優・朴璐美さんの仲良し親友トーク
12月1日からの全国ロードショーが迫る実写映画『鋼の錬金術師』(原作・荒川弘/監督・曽利文彦)(以下、『ハガレン』)。本作の衣裳を担当するのは、衣裳家の西原梨恵さんです。そして、西原さんは、なんと『ハガレン』のアニメシリーズでエド役を演じた朴璐美さんと大の仲良し!西原さんは、古典演劇などの舞台を中心に、ライブ・スペクタル「NARUTO -ナルト-」や「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪」 と、衣裳家として活躍の場を広げていて、アニメとの接点も多数。
アニメイトタイムズでは、このお2人の独占インタビューを行いました。10年来のお付きあいとのことですが、揃ってメディアに出るのは初めてという西原さんと朴さん。写真撮影中は、「まさか2人でインタビューを受けるなんて」とおどろきつつも、楽しくおしゃべりをしていました。
お2人の出会いから、西原さんの衣裳へのこだわり。そして、朴さんの『ハガレン』実写化に対する思いをじっくりと伺います。
――おふたりは、昔からの大親友と伺いました。どのような出会いだったのでしょうか?
アニメ「鋼の錬金術師」エド役・朴璐美さん(以下、朴):はじめて一緒にお仕事をしたのは、私の所属していた演劇集団円で上演したシェイクスピアの「オセロー」というお芝居ですね。その時の衣裳家が、西原梨恵ちゃんでした。私は若くて初々しい愛に溢れるデズデモーナというヒロインを演じなければならず、衣裳に助けてほしくて「この色はちょっと大人に見えてしまうかも」とか「こういう袖のパターンではなく」とわりと注文してしまっていたんです。対して梨恵ちゃんも、頑として譲らず。「なんて強情な衣裳家だ!」と。(笑)
実写映画『鋼の錬金術師』衣裳担当/西原梨恵さん(以下、西原):私も、「なんて強情な役者だ!」って思ってた。
朴:え? そう思ってたの? 言ってよ!(笑)
でも彼女が作り上げてくる衣裳が本当に素晴らしく、「私が悪うございました」となりました。それ以来、私が舞台をやるときの衣裳は必ず梨恵ちゃんにお願いするというスタンスをとっています。とても信頼している友人のひとりです。
――初対面で、実はお2人とも気が合っていたということですね(笑)。西原さんは一緒にお仕事をする前から、朴さんをご存知だったのですか?
西原:実は「オセロー」の前に、朴さんが出演したゲーテの「ファウスト」の衣裳を担当していたんです。そのとき朴さんは声の出演のみでしたので、「何か凄い人なのかな?」と思っていました。
朴:「璐美さん、アニメの声をやっているんですか」という認識ぐらいだったよ。それに、「ファウスト」も担当してたんだ。いま、初めて聞いた!
――西原さんが実写映画『鋼の錬金術師』の衣裳を担当されると聞いて、朴さんはどう思われましたか?
朴:「え?聞き間違いかな、梨恵はそんな冗談を言う子だっけ?」とよく分からない感じになっていました。なぜなら彼女は、ずっと古典演劇を中心とした舞台で活躍をしている衣裳家です。そこへ映像の、しかも『ハガレン』の衣裳をやることになったなんて……。いやね、これは驚くでしょう?
西原:私が初めて漫画を原作とした舞台の衣裳に関わらせていただいたのが、ライブ・スペクタル「NARUTO -ナルト-」でした。
そのビジュアルを曽利文彦監督がご覧になったそうで、今回お声がけいただいたのです。お話をいただくまでは、『ハガレン』を読んだことはありませんでした。
【アニメイトオンライン】舞台 ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-
朴:エドを演じた縁で、何かと錬金術にまつわる作品に出演することが増えました。さきほど話していた、ゲーテの「ファウスト」に出てくるホムンクルス役もそうですね。それにも、梨恵ちゃんが関わっていたなんて。
西原:ベン・ジョンソンの戯曲「錬金術師」では、朴さんに赤いフードがついたコートの衣裳を作りましたね。脚本に「赤いフードの女」とあったからですが、いま思うとエドをイメージしていたのかな……。
振り返ってみると、『ハガレン』とはどこか、ずっとご縁が続いていたのだなと思います。
朴:『ハガレン』は私にとっても、一言では語り尽くせないほど自分の中に染み込んでいる作品です。実写化の話を聞いた時、何度かお仕事ご一緒している曽利監督が監督を務められ、そして友人である梨恵ちゃんが衣裳を担当するとのことで、また縁深さを感じましたね。
【朴璐美さんコメント①】「実写化と聞いた時にすごくうれしかったんです。『実写化するんだ、どの監督さんがどういうふうに作るんだろう』って思ってたら、曽利文彦監督だって聞いて、驚いて。曽利さんとは昔お仕事を一緒にさせて頂いたことがあるんです。(続く)」#ハガレン #鋼の錬金術師 pic.twitter.com/IlS0YGmcpw
— 映画『鋼の錬金術師』公式 (@hagarenmovie) 2017年9月11日
【朴璐美さんコメント②】「(続き)でもこれを実写化するのってすごく大変だろうなとも思ったんだけど、トレイラー第1弾を見せていただいたとき、『めっちゃくちゃいいじゃん! もうこのまま行っちゃいなよこの世界観で!』って思いました」#ハガレン #鋼の錬金術師
— 映画『鋼の錬金術師』公式 (@hagarenmovie) 2017年9月11日
重くて暑いけど、動いた時が美しい! 朴璐美が惚れ込む西原梨恵の衣裳とは
――衣裳は、どのようにして作られたのでしょうか。
西原:デザインは原作を参考にして、細部の細部までこだわりました。朴さんが参考にとアニメのDVDを用意してくださったのですが、自分で映像は見ないと決めました。アニメも原作をもとにデザインを起こし色を付けていますし、改めて原作へ立ち戻ろうと。荒川先生が描かれた純粋な絵から、デザインを起こしていますね。
監督に最終のデザインスケッチをお見せするまでに、デザインをコピー用紙5枚くらいは描いています。キャラクターごとにそうでしたが、何度も「これでいいか、いいか?」と繰り返し考えたのはエドのデザインですね。衣裳のラインから素材すべて、こだわりを重ねました。
【アニメイトオンライン】【DVD】TV 鋼の錬金術師 第1巻
――エドの衣裳を着た山田涼介さん。朴さんから見て、どのような印象でしたか。
朴:スクリーンの中に山田くんではなくて、エドがいました。
自分の中心に、『ハガレン』という作品を捉えようとしている、そして捉えているということを感じ、すごく嬉しく思っています。それに梨恵ちゃんの衣裳は、着て体が動いたときにとても美しく見えるように作られているんですよ。
――アクションシーンで見られた、衣裳が持つ重厚さを保ったままの軽やかな動きは、きれいでした。
朴:ひとつ言いたいことは……、ものすごく重い衣裳であることかな。着ている役者としては、重くてしんどいです(笑)。だから山田くんのエドの衣裳も「革で重いんだろうな、暑いんだろうな。……でも、めちゃくちゃキレイに動くんだよな」と思っていました。
西原:エドの衣裳は革だけじゃないんですよ。革のみにすると重いので、布の加工を重ねています。
朴:それは、すごい。彼女は加工の技術が素晴らしいんです。これまでに紙で衣裳を作ることもありましたね。染めの技術も本当に天才的です。奇抜な衣裳を作るときも、絶対に品格が残っています。
西原:さすが、わかってますね。
朴:衣裳家としての彼女らしさが出ているのは、ホムンクルスのひとりラストの衣裳でしょうか。一番、得意なデザインですね。
――また映画本編の中で、エドとウィンリィが2人で汽車に乗るシーンがあります。あのときのウィンリィの服に、おや?と思いました。
西原:監督から「かわいいテイストのウィンリィを、旅のシーンで出したい」というリクエストをいただいて。デザインを勝手に作るのもおこがましいので、荒川先生の原画集を元にしていますね。ウィンリィの私生活が分かる絵から花柄のワンピースを着ている彼女を選び、ベースにして想像を起こしました。あのデザインも、何枚も何枚も描きましたね。
――デートのような感じで、とてもキュートでした。ウィンリィの女の子としての気持ちが、衣裳を通して伝わってくるようでした。
監督・キャスト・衣裳と、多くの人たちの愛が詰まった『鋼の錬金術師』
――では最後に、公開を待ちに待っているファンへメッセージをお願いします。
西原:監督が引き出してくださった自分の力を、エド、そしてすべてのキャラクター達へぶつけました。その形をじっくり見ていただけたら最高ですね。
朴:曽利文彦監督の映像技術、主演の山田涼介くんと個性的なキャラクターを演じた役者の方々、そして西原梨恵ちゃんの衣裳と素晴らしいスタッフたちが集まって作られた映画です。多くの方が鋼を愛し生まれた作品ですので、その愛をビシバシ感じてほしいですね。
原作を好きな方、アニメを見てくださっていた方、いろいろなことを考えていらっしゃるかもしれません。まずは劇場まで足を運んで、この愛が詰まった作品を見ていただきたいなと思います。
初めて『ハガレン』に触れる方も、映画をきっかけに原作やアニメも見ていただいて、ハガレンのテーマ性を深く、深く感じてくださったら幸いに思います。よろしくお願いします。
(取材・構成・文/マチコマキ、撮影/トヤベコウヘイ)
映画『鋼の錬金術師』
12月1日(金)ロードショー!
●概要
本作は、月刊「少年ガンガン」(スクウェア・エニックス刊)で2001年~2010年に渡り連載された、荒川弘氏による大人気コミック「鋼の錬金術師」(略称:ハガレン)の実写化作品。エド役の山田涼介さん、ウィンリィ役の本田翼さんら豪華キャストが集結。監督はジェームズ・キャメロン監督の下『タイタニック』(1997)のCGを手掛け、『ピンポン』(2002)で日本映画の新たな扉を開いた曽利文彦氏です。
●STORY
全世界待望のファンタジー超大作、兄弟の絆を懸けた冒険が始まる!
運命に挑む兄弟エドとアル。幼き日に最愛の母を生き返らせようと、禁忌を犯したエドは手脚を失い、アルは魂だけの鎧の身体になった。必ず弟の身体を取り戻す――そう決心し、鋼の義肢、オートメイル(機械鎧)を身に着けたエドは、国家錬金術師となる。
身体を取り戻す唯一の手がかりは、謎に包まれた「賢者の石」。伝説を求めて旅をする二人は、やがて国家を揺るがす恐大な陰謀に巻き込まれていく…。壮大な旅の果てに、待ち受ける驚愕の真実とは? 兄弟の絆を懸けた、超ド級の冒険がいま始まる!
●キャスト
山田涼介 本田 翼 ディーン・フジオカ
蓮佛美沙子 本郷奏多/國村 隼
石丸謙二郎 原田夏希 内山信二 夏菜
大泉 洋(特別出演) 佐藤隆太/小日向文世/松雪泰子
●スタッフ
原作:「鋼の錬金術師」荒川 弘(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
監督:曽利文彦
脚本:曽利文彦 宮本武史
音楽:北里玲二
主題歌:MISIA「君のそばにいるよ」(アリオラジャパン)
製作:映画「鋼の錬金術師」製作委員会
制作プロダクション:OXYBOT
配給:ワーナー・ブラザース映画
>>映画『鋼の錬金術師』公式サイト
>>映画『鋼の錬金術師』公式ツイッター(@hagarenmovie)
#ハガレン