ディーン・フジオカは、焰の錬金術師をどのように演じられたの――映画『鋼の錬金術師』マスタング大佐役・ディーン・フジオカさん　インタビュー

映画『鋼の錬金術師』が、いよいよ12月1日(金)に全国の映画館で公開となります！本作は、荒川弘氏による大人気コミック『鋼の錬金術師』（以下：『ハガレン』）の実写化作品。禁断の“人体錬成”に失敗したエドとアルの兄弟が、失った身体を取り戻すために必要な＜賢者の石＞を探す壮大なストーリーです。そしてこのたび、軍のトップになる野望を胸に、エリート街道を突き進む焰（ほのお）の錬金術師のマスタング大佐を演じるディーン・フジオカさんにインタビューを実施！

ディーンさんに、マスタング大佐の印象や役作り、撮影の裏話など語っていただきましたので、ぜひご覧ください！

マスタング大佐はミスリーディングが効いたキャラクター
――最初に、マスタング大佐を演じられた感想をお聞かせください。

ディーン・フジオカさん（以下、ディーン）：撮影時期が夏でしたので、軍服がものすごく暑かったですね。

一同：（笑）

ディーン：結構衣装を重ねて着ていたので、本当に暑くて。でも、衣装さんに素材を変えていただいたり、見えないところに穴を開けてもらったりと、快適になるように工夫していただきました。それは、本当にありがたかったです。

――出演のお話をいただいたときは、どのようなお気持ちでしたか？

ディーン：お話をいただいたときは、原作を読む前で、どのような物語なのかなと読み始めたら、すごく密度の濃い世界観に引きこまれました。

漫画の世界ですけど、現実の世界との関連性・共通点を感じさせる深いエピソードがたくさん入っていて、マスタング大佐がどうしてこの道を選んだのかと彼に興味を持ちました。

原作だと、コメディーや可愛らしい部分もあり、そういうところも魅力だと思います。

映画の中では描かれていない部分も含めてとてもやりがいのあるお仕事だと感じ、監督がつくる世界観に自分も貢献できたら良いな、と思いながら演じさせていただきました。

――近年、漫画原作の映画が増えていますが、『鋼の錬金術師』という人気漫画の実写化に出演されていかがでしたか？

ディーン：漫画という世界で人気のある作品を実写化するのは、ある一種の可能性を感じさせられます。今はオリジナル作品が少ないので、原作があるというのはそれだけファンの方の期待値が上がると思うんです。良い意味でその期待を裏切られるように、生身の体を使って何ができるんだろう、と考えました。

役者よりも、監督やプロデューサーのほうが大きなプレッシャーを背負っていると思うので、実写の脚本や監督の演出を信じて自分のベストを尽くしました。そこに、「自分はこうしたい」という気持ちはあまりないですね。

――マスタング大佐は原作ファンからも大人気のキャラクターですが、どのような印象を受けましたか？

ディーン：マスタング大佐は、ミスリーディング（※1）がすごく効いているキャラクターだと思うんです。

ハッキリとした覚悟や信念を持って目標に突き進む人。ときには感情を見せない、厳しい決断をするような生き方をする人だと感じます。

でも、親友のヒューズ中佐やエドとアルの兄弟に対して見せる「人間らしい情」を感じさせるところもあって、その相反する部分がひとりの人間の中にあるというところに魅力を感じました。


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（※1）人を誤らせる、惑わせること。

マスタング大佐に見合った雰囲気づくり
――CGが見どころのひとつですが、撮影はどのように進めていかれたのですか？

ディーン：まずは、指パッチンで焰（ほのお）が出るという流れに慣れるところから始めました。彼は軍人なので、日常的に軍人を感じさせる所作や仕草を心がけて、マスタング大佐のバックグラウンドについても監督と話し合いましたね。

――具体的にどんな話し合いを？

ディーン：マスタング大佐は何を考えているのか分からないような存在にしたい、衣装を含めて存在を大きく見せたい、という指示がありました。監督の中にマスタング大佐のイメージがハッキリとあったので、自分も迷いなく自信を持って演じることができましたし、撮影の過程がスムーズで演じやすかったです。

――細かいカット割りで撮影されたとお聞きしました。

ディーン：そうなんです。最初から絵コンテが緻密で、常に現場で確認しながら撮影しました。まるで、15～30秒のCMを撮影するような感覚ですね。ひとつひとつのカットを確認しながら2時間を超える作品を作りました。

――存在を大きく見せたいという監督の要望に、ディーンさんはどのように応えられたんですか？

ディーン：衣装の厚みがあったので、「自分もその存在に見合った雰囲気を醸し出さないといけないな」と思い、体づくりをしました。

ガタイをよくしたほうが軍人らしさが出るので、体重を増やしたんです。実際に肉体を使うようなアクションはありませんが、軍人は毎日鍛えているので説得力をもたせられるように下準備しなければならないな、という気持ちがありました。

――そうなんですね！　例えば、どのようなトレーニングを？

ディーン：ボクシングしたり、ジムでウェイトリフティングをしたり……。指パッチンで焰（ほのお）を出す撮影では、CGがはハマるように動かなければなりません。体を正確に動かさないといけないときは、今までの経験（トレーニング）が役立ちました。

――マスタング大佐は、エドたち兄弟を見守る側でもありますよね。そんなエドを演じる山田涼介さんとの共演はいかがでしたか？

ディーン：楽しかったですね。山田くんからお笑い芸人さんの動画を見せてもらって、一緒に笑ったりと楽しい時間を過ごしました。ほかにも、お互いの仕事だったり、日本についたりと、いろいろな話をしました。


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感情が解き放たれる最後のシーンは必見！
――世界各国でご活躍されているディーンさんですが、日本の現場で戸惑いはありましたか？

ディーン：今回の作品ではありませんが、初めて日本でお仕事をさせていただいたときは戸惑いがありました。

そのときは、難しい部分がたくさんあり、しんどい部分もあって。自分の伝えたい気持ちが相手に伝わらなかったり、業界用語が通じなかったりと大変でした。

もちろん、自分の経験不足が一番大きいです。でも、あの経験があったからこそ、今の自分がいられると思います。

――今回の現場では、どのようなスタイルで演じられたのですか？

ディーン：基本的に、自分は俳優としての意見は言わないようにしているんです。

俳優は基本受け身で、作品をつくるひとつのパーツだと考えています。どれだけ積極的に受け身になれるか、監督がイメージしているものを受け取って、そのイメージにどれだけはめられるのかを意識しました。

また、現場によってロケーション・気候などが違うので、その場に合わせながら楽しむようにしています。

――なるほど。ディーンさんはアニメの主題歌など、ミュージシャンとしてもご活躍されています。役者とミュージシャン、それぞれ分けているのでしょうか？

ディーン：役者とミュージシャンの仕事をハッキリと分けたい気持ちはあります。

役者として丸々１ヶ月間、撮影で赤道直下にあるインド洋に滞在していましたが、滞在中にミュージシャンとして冬をテーマにした楽曲を制作しなければならなくて……。気候は夏なのに、冬の感覚を思い出して歌詞を書いたりと、役者とミュージシャンが混ざっている状態ですね。
本当は、「この期間は音楽だけに集中する」など分けたほうが効率はいいけど、実際は難しいですね。いろんなことにチャレンジすると自分で決めた以上、その前提でやらないと成立しないと考えてます。

――最後になりましたが、本作でおすすめのシーンがあれば教えてください！

ディーン：考えさせられるシーンですね。絵的に派手だと思うのはアクションシーン。特に、物語の後半でマスタング大佐がピンチになるシーンは、1つのカタルシス（※2）だと思います。後は、キメラ（合成獣）のシーンは見ていられないほど胸が痛くなりますし、エドとアルの兄弟がやり取りするシーンも印象的です。
（※2）：心の中に溜まっていた感情が解放され、気持ちが浄化されること。

――エドとアルが喧嘩するシーンは印象的でした！

ディーン：そのシーンは大きな見せ場だと思います！

――ありがとうございました！

　

■ 作品情報

映画『鋼の錬金術師』
12月1日（金）ロードショー！


●概要
本作は、月刊「少年ガンガン」（スクウェア・エニックス刊）で2001年～2010年に渡り連載された、荒川弘氏による大人気コミック『鋼の錬金術師』（略称：ハガレン）の実写化作品。エドワード・エルリック役の山田涼介さん（『映画 暗殺教室』（2015））、ウィンリィ役の本田翼さんら豪華キャストが集結。監督はジェームズ・キャメロン監督の下『タイタニック』(1997)のCGを手掛け、『ピンポン』（2002）で日本映画の新たな扉を開いた曽利文彦氏です。

●STORY
全世界待望のファンタジー超大作、兄弟の絆を懸けた冒険が始まる！
運命に挑む兄弟エドとアル。幼き日に最愛の母を生き返らせようと、禁断の術を犯したエドは手脚を失い、アルは魂だけの鎧の身体になった。必ず弟の身体を取り戻す――そう決心し、鋼の義肢、オートメイル（機械鎧）を身に着けたエドは、やがて“鋼の錬金術師”と呼ばれる存在となる。
身体を取り戻す唯一の手がかりは、謎に包まれた「賢者の石」。「賢者の石」を求めて旅をする兄弟の前に立ちふさがる美しき最強の敵、ホムンクルス。それはやがて国家を揺るがす強大な陰謀に巻き込まれていく…。壮大な旅の果てに、待ち受ける驚愕の真実とは？　兄弟の絆を懸けた、感動の冒険が、いま始まる！
＜錬金術――それは、あらゆる物質を新たなものに作り変える魔法のような科学＞


●キャスト
山田涼介　本田 翼　ディーン・フジオカ
蓮佛美沙子　本郷奏多／國村 隼
石丸謙二郎　原田夏希　内山信二　夏菜
大泉 洋（特別出演）　佐藤隆太／小日向文世／松雪泰子

●スタッフ
原作：「鋼の錬金術師」荒川 弘（「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊）
監督：曽利文彦
脚本：曽利文彦 宮本武史
音楽：北里玲二
主題歌：MISIA「君のそばにいるよ」（アリオラジャパン）
製作：映画「鋼の錬金術師」製作委員会
制作プロダクション：OXYBOT
配給：ワーナー・ブラザース映画



>>映画『鋼の錬金術師』公式サイト
>>映画『鋼の錬金術師』公式ツイッター(@hagarenmovie)
#ハガレン