映画『BLEACH』福士蒼汰×杉咲花インタビュー「アクション作品として自信の持てる超大作に」
久保帯人氏による全世界シリーズ累計発行部数1億2000万部の国民的人気コミック『BLEACH(ブリーチ)』。その実写映画が7月20日(金)から全国ロードショーとなります。
『BLEACH』は、霊が見えること以外は普通の高校生・黒崎一護が、ある日突然現れた死神の朽木ルキアから力を与えられ、家族や仲間たちのために虚(ホロウ)と呼ばれる悪霊たちと戦うバトルアクション。映画では、原作の「死神代行篇」のエピソードを中心に物語が展開します。
アニメイトタイムズでは映画『BLEACH』の公開を記念して、主演を務める黒崎一護役の福士蒼汰さんと、朽木ルキア役の杉咲花さんにインタビューを実施。キャストに抜擢された際の感想から、撮影時の裏話まで、お二人にお話を伺いました。
実写版『BLEACH』で一護とルキアを演じて
ーー『BLEACH』のキャストに抜擢された際の心境をお聞かせください。
福士蒼汰:『BLEACH』は世界的な人気作品なので、自分自身もこの映画が発表されたときにアメリカ人の友人から連絡が来て、熱いメッセージをもらいました。この作品を実写化するということは、責任がすごく大きいことだと思っていましたね。
黒崎一護というキャラクターはアクションも多いですし、フィクションもファンタジー要素も多い作品の中で、どう実写化されるんだろうという期待感もありつつ、撮影を楽しみに待っていました。
杉咲花:私も『BLEACH』のことは以前から知っていて、同級生の男の子たちもみんな学校で『BLEACH』の話をしていたので、自分がそんな沢山の人に愛されている作品をやらせていただいて、ファンの方々はどう思うのだろうとプレッシャーも感じていました。
でも台本や原作を読んで、演じるルキアのことがすごく好きになって。皆さんに自信を持って「観てください」と言える作品になるよう頑張りました。
ーーお二人とも漫画やアニメなど原作のあるキャラクターを演じることが多いですよね。実写化作品の撮影に臨むにあたって大切にしていることはありますか?
福士:やはり原作ファンの方へどう伝えるかというところはまず大きいと思っています。あと今作では、原作者の久保帯人先生にちゃんと認めてもらえるような作品になるようにと。
実写化作品に臨むにあたっては「映画の良さってなんだろう」という意識を強く持って、観てくださる方に「映画だからこそ良かったよね」と思ってもらえる作品にしたいと心がけていますね。
杉咲:私は原作のある作品に臨む際は、表情や立ち振る舞いを意識したいと思っています。
他の作品をやらせていただくときも、自分の中の儀式みたいになってきているのですが、漫画をコピーして台本に貼ったりして、常に自分の目に演じる役が入るようにしています。台本だけ読んでいると、どうしてもオリジナルになってしまいがちなので、そこを意識して演じています。
ーー今回それぞれの役と対峙してみていかがでしたか?
福士:キャラクターには漫画で完成されたビジュアルがあって、特に一護は「髪の色:オレンジ」と最初に紹介されているので、オレンジにするべきだなと。 カツラとか色々選択肢はあるんですが、やっぱり地毛で馴染ませたいなと思ったんです。何回もブリーチして。笑 そうして髪の色を作ったり、まずは見た目からこだわっていったところが強かったかなと思います。
でもルキアを見て思ったのは、すごく異世界感があるとともに、人間味がすごくあるなと感じて。そのバランスに心を持っていかれるというか。
この人を守りたいとか、この人の言葉が刺さるとか。それを見ていてより感じたので、杉咲さんがルキアを演じてくださってよかったと思いました。すごく凛としていて、芯がある部分がルキアのイメージとぴったりだと感じました。
杉咲:最初は死神の役ということで、 どうやって演じたらいいのかすごく考えたのですが、でも台本を読んでいると、ルキアは死神だけど、彼女にも心があるんだなということを感じました。難しく考えず、普通に相手と向き合ったら、ルキアとしての感情が理解できるかもしれないと思っていました。
福士さんとはもう5回くらい共演させていただいているので、お互い一緒にできることへの安心感がありました。福士さんが目の前に立っていてくださるだけで自分は何も考えなくてよかったというか。
それだけでルキアとして居られたという感覚が最後まであって、それがすごく大きかったなと思います。
佐藤信介監督が描く『BLEACH』のリアルな世界観
ーー今作はCGやVFXを駆使した作品で有名な佐藤信介監督がメガホンを取られましたね。実際に完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
福士:CGで言うと、悪霊の虚(ホロウ)のリアル感は佐藤監督の成せる技だなと思いました。でも現場では何も無い中でダンボールに絵を描いて撮影をしていて、こいつがこう来ますというように。笑
それをイメージするのは大変でしたが、完成したものを見せていただいて、虚(ホロウ)の恐ろしい感じがリアルに仕上がっていて本当に驚きました。
杉咲:私も虚(ホロウ)を見たときは、こんなふうになっていたんだとびっくりしました。それから、ラストシーンで空座町(からくらちょう)のセットをすごい作り込んでいて。でも、その半分くらいはCGだったんです。それを忘れるくらい本当にリアルなCG技術には驚きました。
『アイアムアヒーロー』や『図書館戦争』を拝見していたので、佐藤監督とご一緒できたことがとても嬉しかったです。
福士:佐藤監督は頭の中が純粋な少年のように柔軟なんだろうなという感じがします。笑
映画の中で、尸魂界(ソウルソサエティ)が一瞬だけ映るシーンがあるんですが、頭の中に緻密なイメージがないとできないような世界観が完成していてびっくりしました。
ーー空座町(からくらちょう)のオープンセットで演じられて特に大変だったことはありますか?
福士:ワイヤーアクションで刀を振り回したり、車の上を飛んだり。そのワンカットは演じていて楽しかったですが、刀が長いのでワイヤーに引っかかってしまったりとか、大変なシーンではありました。スタッフ・キャスト全員の心を一つにしなければいけないシーンがいくつもあったので。
杉咲:私はアクションをしていると顔に力が入ってしまうんです。でもルキアは淡々としているので表情が変わらないはずなのですが、必死になってしまって。それが難しかったです。あとは人を傷つけてしまうかもしれないという恐怖心の中で戦わなければいけない状況は本当に怖かったです。
アクションシーンの撮影秘話
ーー殺陣(たて)のシーンでお二人で準備されていたことはありましたか?
福士:撮影前にアクション稽古の時間をとって一緒に何度か練習させてもらいました。その時点で既に杉咲さんの殺陣はすごく良かったんです。
ーー福士さんは『無限の住人』では天才剣士役でしたが、逆に下手な状態からスタートするというのは難しくなかったですか?
福士:難しかったです。大振りにしたり、喧嘩殺法のようなところから研ぎ澄まされていく感じを意識しました。でもルキアとの稽古シーンはすごく楽しかったです。ルキアが乗っているタイヤを引っ張ったりとかすごくコミカルで、部活をやっているような。青春している感覚になれました。笑
杉咲:私は本当に怖かったです。もし福士さんを傷つけてしまったらどうしようと思っていました。一回当たってしまったことがあって。それから怖くなってしまって、そればかり考えてしまいました。でもそれを考えていたらちゃんと戦えないとか、自分の中で一人戦っていました。
ーー撮影中にお互いに助けられたなというエピソードはありますか?
杉咲:私は何度もアクションの練習に付き合っていただいて、こうするといいよというアドバイスも貰ったり本当に助けていただきました。相手が違うだけで動きも全然変わるので、一回動くだけでもキツいのに、もう一回やろうと言ってくださって本当にありがたかったです。
撮影最初の方で、ルキアをどうやって演じたらいいか悩んでいた時期に何人かで本読みをしました。福士さんはその様子を見たときに、お客さんが飽きないためにどうすればいいかというのを考えられていて、アドバイスをいただけたことで、もう一歩自分がルキアに近づけたような気がしました。
福士:自分は杉咲さんがルキアを演じてくださったおかげですごく重みが出たなと思っていて。人間味というか。心を動かされるポイントになっていると思います。作品全体として助けられているなと感じますね。
一番のクライマックスで、一護が白哉に斬られたときに、ルキアが一護に語りかけるシーンがあるんですが、そのシーンは現場でも、完成した作品を観ても感動して、誰にも代えられない存在だなと思いましたね。
役者としてリスペクトしあえる関係
ーー数々の作品で共演されているお二人ですが、今回ご一緒されてお互いの印象に変化はありましたか?
福士:杉咲さんはいい意味で変わらないです。女優さんとしてリスペクトしてますし、見習う部分が沢山あります。一緒にお芝居しているのが怖くなる女優さんの一人だなと思います。霊圧高めみたいな。笑
杉咲:福士さんはずっと優しくて。毎日明るく現場にいらっしゃるので、キャストやスタッフの皆さんも福士さんのことが大好きなんだなというのをどの現場に居ても感じるし、周りのことをしっかり見ているんだなって。誰とでも壁を作らないで接しているので、自分もそうでありたいと学ばせていただく部分が沢山ありました。
自分が演じられたのは、福士さんが一護でいてくださったからだと思います。撮影を迎えるまで緊張していたのですが、ラストシーンを撮り終えて、自分があんなに一護のことを思えていたんだなというのがすごく嬉しかったです。
ーー作品の中で、一護とルキアの関係性はどのように変わっていきましたか?
福士:一護は阿散井恋次が出てきた時点で、ルキアの事情を聞いて腑に落ちる部分と、自分は巻き込まれたくないという部分があって。「でも思い出すと、あの時ルキアは俺を守ってくれたんだよな」というところから信頼が生まれて。ルキアが一護のことを思ってくれたから信頼できたんだと思いますね。
杉咲:一護とルキアは時間が経っていくにつれて、心で通じ合っていくようになっていて。お互いに自分のことよりも相手のことを考えて、命がけで守り合っていきます。
福士:そういう反発しあっていた者同士が仲良くなっていくシーンは心地いいものがありましたね。
杉咲:コミカルに描いているシーンも多い分、ちゃんとそのシーンでルキアとしての感情を自分で噛み砕いてできているんだろうかという心配もあったのですが、気づいたら大丈夫だったというか。福士さんが目の前に立ってくださっているだけで大丈夫だった気がします。
アクション作品として自信の持てる超大作に
ーー原作で好きなキャラクターはいますか?
福士:もちろん一護が好きなのは置いておいて、更木剣八が好きです。超パワー系みたいなキャラクターが好きで。『ドラゴンボール』のブロリーみたいな。笑 あとは浦原さんや藍染も好きですね。藍染は最後捕らえられましたが、最強説もありますから。
杉咲:私は一護のお父さんの一心が好きですね。大きい愛を持っている人で、愛情を教えてくれます。一護と一心の家族のシーンは、唯一ホッとできるというか。一心の大きな愛情に飛び込みたいと思えるキャラクターが好きです。
ーー今作は「死神代行篇」までのストーリーでしたが、原作の人気キャラクターが登場するこの先の物語も見てみたいですね。
福士:自分は一護というキャラクターがすごく好きになったので、この先原作がある以上、こうなっていくんだという期待感はすごく大きいですし、「尸魂界(ソウルソサエティ)篇」は大好きなので。ルキアは捕まってるけどね。笑
杉咲:尸魂界、行ってみたいです。
ーー最後に、お二人にとって映画『BLEACH』はどんな作品になりましたか?
福士:アクション作品として自信の持てる超大作になったなというのと、世界中の人に観てもらいたい作品だと思います。もともと原作が世界中にファンがいる作品でもありますし、だからこそ広がって欲しいなと思います。
杉咲:自分の中では観てもらうまでのこの時間がドキドキしていて、ちょっと怖さもあって、楽しみに待ってくださっているファンの方々がどう思ってくださるかなと。その思いはこれまでやってきた作品の中でも一番大きいです。
でも完成した作品を観て、とても面白いものになっていましたし、人間ドラマでもあり、アクションもあり、色んな楽しみ方ができる作品になっていたので、とても思い入れの強い作品になりました。
ーー素敵なお話をありがとうございました!
インタビュー・文:吉野庫之介
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作品概要
映画『BLEACH』
2018年7月20日(金)全国ロードショー!
<ストーリー>
高校生・黒崎一護はユウレイが見える霊感の持ち主。ある日、家族が人間の魂を喰らう悪霊・虚<ホロウ>に襲われてしまう。そこに現れたのは死神を名乗る謎の女・朽木ルキア。彼女は一護に究極の選択を迫る。このまま家族とともに殺されるか、世の中の全ての人を虚<ホロウ>から護る《死神》になるか――。《死神》として生きていく道を選んだ一護の先には、想像を超えた闘いが待ち受けていた。
<スタッフ>
監督:佐藤信介
脚本:羽原大介、佐藤信介
音楽:やまだ豊
原作:「BLEACH」久保帯人(集英社ジャンプ コミックス刊)
主題歌:ALEXANDROS「Mosquito Bite」(UNIVERSAL J/RX-RECORDS)
製作:映画「BLEACH」製作委員会
制作プロダクション:シネバザール
配給:ワーナー・ブラザース映画
<キャスト>
福士蒼汰
杉咲花
吉沢亮
真野恵里菜
小柳友
田辺誠一
早乙女太一
MIYAVI
長澤まさみ
江口洋介