秋アニメ『からくりサーカス』植田千尋さん&小山力也さんインタビュー|人間が生きる意味って何だろう? 人生のバイブルがここにはある!
『週刊少年サンデー』(小学館刊)で1997~2006年に連載されていた藤田和日郎先生の人気マンガ『からくりサーカス』が遂にアニメ化。10月11日よりオンエア開始となります!
『からくりサーカス』は大企業社長の死により命を狙われることになった勝と、彼を守る人形遣いのしろがね、勝を救ったことから巻き込まれた鳴海達の過去と運命、闇のサーカス団との戦いを描いた作品。また今回のアニメ化にあたり、藤田先生自ら全43巻の内容を再構成しています。
そんな注目作のオンエア直前に、主役の勝を演じる植田千尋さんと、鳴海役の小山力也さんにインタビュー! 作品への愛情と熱量あふれるコメントをご覧ください。
植田さんは初アニメ・初主演! 小山さんは2度目の藤田作品で二千歳から18歳へ!?
──原作をご覧になったことはありますか?
加藤鳴海役・小山力也さん(以下、小山):もちろんです!
才賀 勝役・植田千尋さん(以下、植田): キャラクターがそれぞれ魅力的で、お話も1話ごとの展開が速いし、世界観も壮大で、すごくおもしろくて。何で今まで読んだことがなかったんだろうと後悔したくらい素晴らしい作品だなと思います。
小山:そうですね。キャラクター1人ひとりに共感できるし、通り一遍の短絡的な描き方ではなく、「そんな状況があったらそうなっちゃうよね」と納得できる。それぞれの運命のはかなさと激しさ、人間のきらいなところと醜いところが表現されていて、感動しました。
──出演が決まった時の感想をお聞かせください。
植田:私はアニメ作品の出演自体が初めてだったので、勝役で決まりましたと報告をいただいた時は血の気がさーっと引きました。うれしさもあったけど、プレッシャーものしかかってきて。でも選んでいただいたからには、最後までしっかり勝を演じきらなきゃと気合が入りました。
小山:藤田(和日郎)先生の作品に出演するのは2回目になりますが、前回が二千歳超えで(『うしおととら』のとら役)、今回は18歳ということで、まさに僕にピッタリの役だなと思ってうれしくなりました(笑)。でもみんな、僕に18歳の役をやらせるなんて、何を考えているんだろうと(笑)。
──でも鳴海の見た目は18歳に見えないですから。
小山:そうなんです! 見た目が38歳くらいなので、ホッとしました(笑)。
勝の魅力は素直さと優しさと成長。鳴海は体格以上に大きな心
──ご自身が演じるキャラに感じる魅力を挙げていただけますか?
植田:勝はとっても素直な子。誰かのために自分が何かをしてあげたいと思える優しい子なので、そういうところが魅力的だなと思います。成長して強くなっていく姿がとてもカッコいい!
小山:鳴海は年齢的には若いし、体も人一倍大きいけど、心はもっと大きくて。人間は他人との関わりを避けようとしがちだけど、鳴海は困っている人がいれば、例えやっかいだとわかっていても助けようとするし、積極的に関わっていこうとする姿勢が素晴らしいなと思います。
──一見、あまり人のことを気にしないような風に見えても……。
小山:決して雑な人間ではなくて勝と同じように人を思いやることができる優しい男です。だからこそ人の喜びが自分の喜びに感じられるんだろうし、尊敬できます。
勝は臆病な子を意識。鳴海は中身が深く演じがいがあるキャラ
──キャラを演じる時に心がけていることは?
植田:序盤の勝は常に命を狙われているゆえに臆病な子であり、「声がうわずってもいいから臆病な子を演じてください」というディレクションをいただいたので、意識しながら演じています。
小山:他の作品でも同じですが、その場限りのセリフで終わってしまわないように、すべてのセリフが永遠に続いていくように、常に現在進行形で、足を止めないで挑み続けるように演じています。
──鳴海はストレートで熱い男ですが、内面でいろいろなことを考えたり、抱えている部分は表に出さなくて。魅力的であると同時に難しいキャラかなと。
小山:それだけ中身が深いので、演じがいがあります。もし収録時に足りない部分があれば、音響監督やスタッフさんもアドバイスしてくださるので、新たに進む道も見えてきます。
また「人間の熱さがのっていれば、タイミングや尺は考えてなくていいから」と言っていただいているので、ただのびのびと全身を振り回して暴れるだけで(笑)。だから演じるのが楽しいです。
ベテラン揃いの現場で初出演&主演の植田さんがのびのび熱演
──お互いに演じている様子を見たり、聴いたりした感想は?
植田:鳴海は熱量がすごいし、頼れる存在。そんなカッコイイ鳴海兄ちゃんを演じていらっしゃるのですごいなと。
小山:本当ですか!?
植田:本当ですよ!
──では植田さんが演じる様子を見ている小山さんはどう感じられましたか?
小山:クオリティを求められる厳しい現場なので、最初の頃はテイクを重ねたり、辛い時間も多かったと思います。でも一生懸命に頑張る姿に感動させられたし、すごく勘のいい方なので、役の芯をつかんでしまうとみんなが心配する必要がなくなりました。
今では回転が速くなったと思うし、楽しいもの作りの時間が増えてきたのが心地いいし、すがすがしくて毎回、収録が楽しみになっています。
植田:ありがとうございます。
──ベテランの役者さんのほうが多くて、植田さんのように若い人が少ないアニメーションの現場は珍しい気がします。
小山:皆さんに比べれば、僕なんか経験値が低いほうになりますからね。そういう方達が脇を固める中で、主役を務めるのは本当に大変だと思います。でも腹を決めて、必死に収録に臨んでらっしゃるので、現場もいい感じで進んでいると思います。
藤田先生自ら再構成を手掛け、全36話に!
──原作の藤田先生は自ら再構成をされたり、かなりアニメにも関わられているそうですが、実際にお会いしたことは?
小山:あります。初回の収録にも来てくださって「マンガはマンガ、アニメはアニメとして好き放題やってください」という言葉をいただきました。
植田:「やりきってください」と。
小山:そう言っていただけることもありがたいですし、アニメにも気合を持って臨んでいらっしゃることもうれしいです。
劇場版レベルのハイクオリティ、キャスト陣の演技も加わり高い熱量のアニメに
──完成したアニメの映像をご覧になった感想は?
植田:クオリティが高過ぎて。劇場版じゃないかと思うくらい。作画のレベルも作中の音楽も素晴らしくて。「これがTVで流れるんだ・・・」とドキドキしましたし、感動しました。
小山:1時間もののような中身の濃さが描かれていて、しかもテンポよく、更に激しさや熱さ、迫力も体感できて、そんな映像と音と皆さんの演技でグイグイ引き込まれていきました。
そして原作の魅力でもある、あの荒々しさや猛々しいタッチも再現されていたり、マリオネット達の美しさが再現されていたこともさることながら、1人ひとりの人間描写と何かに突き動かされていく熱が描かれているところがいいなと思いました。
植田:あるるかんとオートマータ達のバトルのスピード感や激しさもすごいですね。
小山:大画面でも見ても素晴らしいクオリティなので、ご家庭でもぜひ大きな画面で見てほしいですね。
娯楽作品を超えた「人生のバイブル」にぜひ触れてください
──改めて『からくりサーカス』という作品の魅力と見どころをご紹介ください。
小山:人間の業、いろいろな想いや感情が描かれていて、例え悪人であろうとも生を懸命に全うしている熱さと激しさがよく出ているところですね。
日常生活の中で、「人間が生きる意味って何だろう?」とか「果たして自分は一生懸命生きているのだろうか?」と考える機会ってなかなかないと思いますが、この作品を見ることでつい自問自答したくなるし、勝や鳴海達に負けてはいられないとパワーを与えてくれる作品です。
娯楽作品としておもしろいことはもちろんですが、その枠に収まらず、きっと見た人の心に何か引っかかったり、残してくれる作品になっていると思いますので、ぜひ体験していただきたいです。
そして、原作も読んで、その広大な世界に触れていただければ。こんな素敵な作品に関われて幸せです。
植田:様々なキャラに、それぞれのストーリーがあって、いろいろな想いが描かれている作品です。
人生のバイブルと言ってもいいくらい、自分のこれまでの人生を振り返ったり、考えさせられます。今回のアニメ化でこの作品と勝に出会えて本当によかったです。
作品を通して勝として、しろがねや鳴海と旅をしていくことで私自身も成長していけたらいいなと思っています。これから始まるサーカスをぜひお楽しみください。
[取材・文/永井和幸]
TVアニメ『からくりサーカス』作品概要
<ストーリー>
「3人の出会いが、運命の歯車を動かす―」
小学5年生の才賀勝は父親の事故死によって莫大な遺産を相続したことをきっかけに命を狙われていた。そんな折、青年加藤鳴海は偶然にも勝と出会い、手を差し伸べることを決意する。しかし、勝を追ってきたのは人間ではなく高い戦闘能力を持つ人形使い達であった。窮地に陥った二人は突如姿を現した懸糸傀儡(マリオネット)を操る銀髪の少女しろがねに助けられる。こうして、日本で出会ったこの3人は数奇な運命の歯車に巻き込まれていく──
<放送情報>
2018年10月11日より
TOKYO MXにて毎週木曜22:30から放送予定。
BS11にて毎週木曜24:00から放送予定。
北海道テレビにて毎週月曜 25:55 から放送予定。
<配信サービス>
Amazon Prime Videoにて日本・海外独占配信。
第1話:日本では10月10日(水)24:00頃より先行配信。
<スタッフ>
原作: 藤田 和日郎 (小学館 少年サンデーコミックス刊)
監督:西村 聡
シリーズ構成:井上 敏樹 / 藤田 和日郎
キャラクターデザイン/総作画監督:吉松 孝博
メインアニメーター:菅野 利之 / 菅野 芳弘
アクション作画監督:平山 貴章
美術監督:清水 友幸
色彩設計:堀川 佳典
撮影監督:魚山 真志
CGIディレクター:高橋 将人
編集:神宮司 由美
音響監督:三間 雅文
音楽:林 ゆうき
オープニング・テーマ:BUMP OF CHICKEN 「月虹」
エンディング・テーマ:ロザリーナ「マリオネット」
アニメーション制作:スタジオヴォルン
製作:ツインエンジン
<キャスト>
才賀勝:植田千尋
加藤鳴海:小山力也
才賀しろがね:林原めぐみ
阿紫花英良:櫻井孝宏
ギイ・クリストフ・レッシュ:佐々木望
タランダ・リーゼロッテ・橘:黒沢ともよ
ヴィルマ・ソーン:井上麻里奈
仲町信夫:江川央生
仲町紀之:岩崎諒太
仲町浩男:石川界人
才賀正二:田中正彦
才賀善治:大塚明夫
ルシール・ベルヌイユ:朴璐美
アルレッキーノ:福山潤
パンタローネ:中田譲治
コロンビーヌ:悠木碧
ドットーレ:大友龍三郎