『ドメスティックな彼女』内田真礼さん×日笠陽子さん 姉妹役キャスト対談|全部が「タブー」の恋愛物
2014年から「週刊少年マガジン」で連載中、現在コミックスは21巻まで発売されている流石景先生の人気恋愛漫画『ドメスティックな彼女』、通称『ドメカノ』がついにテレビアニメ化。1月11日から「アニメイズム」枠などで放送がスタートします。
物語の軸となるのは、一つ屋根の下で暮らすことになった男女3人の禁断の三角関係。小説家を目指す高校生の藤井夏生。夏生が合コンで出会い、初体験をした相手の橘瑠衣。夏生が片思いしている教師で、瑠衣の姉でもある橘陽菜。
夏生の心は、父親の再婚により姉妹となった瑠衣と陽菜の間で大きく揺れ動いていくことに……。
原作では刺激的な展開や描写も多く、どのように描かれるのかも注目されているアニメ『ドメカノ』について、橘瑠衣を演じる内田真礼さんと、橘陽菜を演じる日笠陽子さんから、お話を伺ってきました。
瑠衣は最初のイメージで怖がらず、追いかけて
──最初にご自身の演じるキャラクターを紹介して下さい。
内田真礼さん(以下、内田):瑠衣は、すごく勘違いされやすい子なんです。表面的にはクールに見えて無愛想で、とっつきにくいイメージなんですけれど、実は優しさを秘めていて。そういった瑠衣の本当の人間性は、アニメを追うごとに要所要所で見えてくる部分だと思います。
1話で登場した時にはインパクトが強いし、「この子、何を考えているんだろう」とか思われたりするかもしれないんですけど、徐々に好きになれるキャラクターだと思うので。最初のイメージで怖がらず、追いかけてもらえたら嬉しいです(笑)。
▲内田真礼さん演じる橘瑠衣
日笠陽子さん(以下、日笠):陽菜は、夏生の高校の先生をやっていて。理想の先生像というか。生徒からも男女問わず……あ、女子からはそうでも無いのかもしれませんが(笑)。
内田:そういえば、女生徒と陽菜の話はあんまり出てこないですね。
日笠:そうだったね。女生徒からの評価は分からないのですが(笑)。その世代の女の子には無い大人の魅力を持っていて、男子生徒からはすごく人気のある先生です。
しかも、大人っぽいだけではなくて、明るくてちょっと子供っぽいところや、抜けている面もあるし、外から見ると良い面ばかりが見えるような女性なんですよね。
でも、そういう人って大抵、何か一つ弱点というか、駄目なところがあるもので……。それは物語の中で描かれていく部分だと思います。
▲日笠陽子さん演じる橘陽菜
──原作を未読の人は、陽菜の秘密が気になるところですね。
日笠:いつも明るいけれど、ふと素の部分というか、別の意味での大人の顔が垣間見えることがあって。ぜひ放送を追いかけてもらって、陽菜の別の部分を観てもらえればなと思います。
──ご自身の演じるキャラクターに、共感できる点はありますか?
内田:「お姉ちゃんはできるけど、私はできないから」みたいに内面をさらけ出して卑屈になっちゃっているところは、すごく人間らしいなって思います。
日笠:(弟で声優の内田)雄馬にそういうこと思ったりするの?(笑)
内田:ええ?(笑) それは姉弟でも下の方が持つ感情なのかも。
日笠:じゃあ、雄馬は思ってるかもしれないんだ。
内田:私は従姉妹のお姉さんに対して、そう思っていたことがあって。勉強ができて、ウチに来た時もすごくお手伝いをしてくれるので、お婆ちゃんに「お前は本当に良い子だね」とか言われているのを聞くと。「私はできないから……」みたいに思って、自分の部屋に帰っちゃったりしていました(笑)。だから、瑠衣の気持ちはすごく分かるんです。
日笠:そうなんだ。私は兄がいて、自分は妹なので、お姉ちゃんの気持ちはなかなか分からないんですよね。
内田:陽菜って、いろいろと魅力的過ぎませんか?
日笠:夏生の友達の(栗本)文哉を演じてる江口(拓也)くんも「ズルい」って言ってた。
内田:本当にズルいですよね。こんな人が近くにいたら、男の子はコロって好きになりますよ(笑)。
日笠:それを狙ってやっているわけじゃないんですよね。う~ん、やっぱり私と似てるところは無いかなあ(笑)。
男女の心の動きもしっかりと描かれている
──次は、作品としての第一印象を教えて下さい。
内田:全部が「タブー」だと思いませんでした? 生徒と教師の関係もそうだし。
日笠:血は繋がってないけど、兄妹だったり。
内田:姉妹のどちらとも恋に落ちちゃうとか。あとは、1話の最初から……(笑)。
日笠:いきなりねえ(笑)。
内田:どーんというシーンで始まるじゃないですか。
──原作でも、夏生が瑠衣と初体験するシーンから物語が始まります。
内田:そういった「え? これは少年誌の漫画ですよね?」と驚くような展開も含めて(笑)。アニメでどこまでどう描かれるのか気になります。きっと少年たちは、そういうシーンをドキドキしながら読んでいるんでしょうね。そんな、少年たちが見たいと思うようなところを突いてくる作品というか……。
日笠:でも、女性の先生が描いていらっしゃる分、そういう描写も(男性が思い描く)ドロドロとしたものというよりも、もう少し奇麗なものとして描かれている印象が強くて。愛する人との間に必要なものというか、恋や愛の先にある、もう少し神秘的なものとして描かれている気がします。たぶん(笑)。
内田:きっとアニメでもそうだと思います。ドキドキするようなシーンはあるんですけれど、それも物語の流れの中で描かれる一つの出来事というか。不自然ではなく、恋愛をしたらそうなっていくよね、という感じなんですよね。
日笠:そうそう。恋愛って、男女の心が向き合うことでもあると思うんですけれど。、その心の動きもしっかりと描かれているんです。それに、夏生の心が揺れるのも少年ならではというか。「こういう状況になったら、そうなるよね」って(笑)。
▲2人の姉妹の間で心が揺れる少年・夏生
内田:学校で憧れている先生と同じ家で暮らすことになったりしたら。、それはもう、仕方ないですよ(笑)。
日笠:逆に紳士的過ぎるくらい。
内田:しかも、もう一人、同居することになった女の子は初体験の相手。その二択って、すごいですよね(笑)。この作品はリアルな心の動きを描いているので、お芝居もあまり過剰にならないように、とはスタッフさんからも言われているのですが。状況的には、現実にはなかなか無いことだと思うので。そこも、楽しめるところだと思います。
日笠:人間ドラマとして、人と人の心情の変化だったり、環境の変化による心の動きを細やかに描いていけたらなと思います。
いつも明るい陽菜のギャップも魅力的に演じていきたい
──アフレコもスタートしているそうですが、演じるキャラクターに対する印象に変化はありましたか?
内田:1話のアフレコが始まる前に原作を先の方まで読み進めていたので、そのイメージが頭に残っていたこともあって。最初はわりと優しめというか、人間らしい感じでお芝居をしちゃっていたんですね。
でも、「最初は人間らしさとかは見えなくて良いです」というディレクションを頂いたので、1話は特にぶっきらぼうだし、棒読みくらいの感じなんです。
ただ、瑠衣は、すごく明るくてみんなに好かれるお姉ちゃんと自分を比較して、自分にはできないからって、諦めちゃっているだけなんですよね。そういう人間らしいところも、ぶっきらぼうさの中に残っていたら良いなと思いながら演じました。
──瑠衣にとっても、陽菜の存在はやはり大きいのですね。
内田:姉妹だし一緒にいた時間も長いし、最初は陽菜から受けた影響は大きいと思うんです。でも、そこから夏生に影響されて変わっていくところを描けたら良いなと思っています。
日笠:1話のアフレコよりも前に、監督や(原作の)流石先生やスタッフさんたちと、(メインの)キャストが集まって、キャラクターのお芝居のすり合わせをする機会があったんですね。
その時は「もっと明るく」とか「もっとテンション高く」というディレクションがけっこうありました。実は、私たち二人は、4年くらい前にボイスだけ収録をしたことがあるんですよ。
──「週刊少年マガジン」の連載作品のセリフを声優さんに演じてもらう企画があったそうですね。
日笠:その時、けっこうお姉さんぽくやった印象があったので、最初はその時の感覚でやっていたんです。でも、それから私も成長しちゃっているので、お姉さんぽくやると、その年数の差が出て落ち着いて聞こえてしまっていたのかも。
それに物語が進むと、陽菜も悲しい表情を見せたりするシーンがあるので、そことのギャップを際立たせるために、1話は明るくしようという狙いがあったのかもしれません。
私としても、陽菜のそういったギャップを魅力的に演じていけたら良いなと思っています。
──ちなみに、お二人は姉妹のような関係性の近い役柄を演じられたことがありますか?
内田:姉妹はないですよね?
日笠:無い無い。ガッツリメインの役で共演したことも、あまり多くは無いよね。
内田:そうなんですよ。
──では、今回、姉妹を演じてみて、どのような感覚ですか?
内田:共演は多くないですけれど、事務所(アイムエンタープライズ)の先輩なので以前からよく知っている方ですし、私は嬉しかったですよ。
日笠:私も! 特に今回はキャストの人数も少ないので、たくさん話す機会もあって嬉しいです。いつも二人の間に夏生役の(八代)拓を挟んで、ずっと喋っています。それがすごく楽しくて。居心地良い現場ですよね。
内田:明るい現場で、みんなとずっと喋っています。
日笠:でも、私からすれば「真礼、大人になってしもうた……」って印象はあるかなあ(笑)。
内田:えーどういう意味ですか?(笑)
日笠:最近、真礼だけじゃなくて。他にもウチの事務所の後輩の子と少し久しぶりに共演する機会が多くて。「みんな大人になったんだねー」って気持ちによくなってる。
内田:時間は経ってますもんね。
日笠:出会ってからは相当経ってるよね。真礼は何年目?
内田:8年です。
日笠:うわー8年か。早いねえ。
内田:でも、それを考えると、今までこういう形での共演は無かったのが不思議ですね。
人間関係の深い部分まで見られるドラマのような作品
──瑠衣と陽菜の間で揺れることになる夏生という少年について、演じるキャラクターではなく、内田さんと日笠さんご自身としての評価を聞かせてください。
日笠:私はけっこう腹が立っています(笑)。
内田:原作を読み進めれば進めるほど、「おい、なんでだよ」ってなりますよね(笑)。
日笠:最初は、特にそういうことは思わなかったんだよね。
内田:そうそう。最初は良いんですよ。逆に「君もなんだか大変だね」くらいに思っていたんです。でも、自分の演じるキャラクターとの関係が深まってくると、「え?」ってことが増えますよね。
日笠:陽菜ゾーンから瑠衣ゾーンへ行って、また陽菜ゾーンに来るみたいな。1回くらいならともかく、いくらなんでも行ったり来たりし過ぎ(笑)。
内田:もうこの際、他の子とのことは仕方無い。学校でもいろいろとあるんでしょう! でも、瑠衣と陽菜に関してだけはどっちかに決めてくれ、と(笑)。
日笠:本当にそれなんだよね~。
内田:まあ、決めたら漫画が終わっちゃうんですけど……。
日笠:たしかに(笑)。
内田:それも嫌ですけど(笑)。でも「どうすんじゃい!」ってなりますよね。
日笠:ラッキースケベな感じで、いろんな子と仲良くなるっていうのならまだ分かるんだけど。夏生の場合、そうでも無いんですよね。
──ダブルヒロインだけでなく、夏生の行動にも注目したいです(笑)。では最後に、作品の見どころを含めてメッセージをお願いします。
内田:『ドメカノ』のスタッフさんが「夜10時から始まるドラマのようだ」と話していたんですけれど、たしかに、そんな雰囲気があって。見ようと思ってもなかなか見られない人間関係の深い部分まで見られる作品なので、ぜひ集中して一か所も見逃さず作品を楽しんで頂ければと思います。よろしくお願いします。
日笠:このメンバーでやるのは、もちろん初めてなんですけれど、アフレコ現場の雰囲気がすごく良くて。本当にアットホームでファミリー感があるし、とても楽しくアフレコをしています。そんなファミリー感のある中、真礼と拓は二人だけブースに残されて、セクシャルなシーンを収録したりしていたのですが(笑)。
内田:あはは(笑)。
日笠:そういったテレビ放送できないお楽しみなシーンは、パッケージの特典映像になる予定なので。まだ放送が始まる前ではありますが、ぜひパッケージにも注目していただきたいなと思っています。
放送を観て「原作のあのシーンはあるの? それとも無いの?」と気持ちをどんどん高めて頂きながら、パッケージまで含めて『ドメスティックな彼女』の世界を楽しんでください。放送をお楽しみに。
[取材・文/丸本大輔]
TVアニメ『ドメスティックな彼女』作品情報
2019年1月よりMBS、TBS、BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送
イントロダクション
高校生の藤井夏生は、教師・橘陽菜へ密かに想いを寄せいていた。ふと誘われた合コンに参加した夏生は、そこで出会った橘瑠衣と、初対面で初体験をしてしまう。そんなとき、父が再婚することとなり、再婚相手が連れてきた子供が、なんと陽菜と瑠衣だった……ひとつ屋根の下で暮らすことになった3人の、ピュアで禁断過激な三角関係がスタートする。
スタッフ
原作:流石 景 (講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:井畑翔太
シリーズ構成:髙橋龍也
キャラクターデザイン:井出直美
美術監督:魏 斯曼
美術設定:高橋麻穂
色彩設計:林 由稀
撮影監督:伊藤康行
編集:小島俊彦
音響監督:立石弥生
音響制作:ビットプロモーション
音楽制作:フライングドッグ
音楽:甲田雅人
アニメーション制作:ディオメディア
キャスト
橘瑠衣:内田真礼
橘陽菜:日笠陽子
藤井夏生:八代 拓
柏原もも:佳村はるか
葦原美雨:小原好美
藤井昭人:飛田展男
橘都樹子:日野由利加
栗本文哉:江口拓也
柾岡悠弥:益山武明
木根和志:梶原岳人