【連載】『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第19・20話 感想:松岡禎丞×島﨑信長 対談|アリスと和解するも、今度はユージオがまさかの敵に!?
2018年10月より放送中のTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(SAOアリシゼーション)。第19話「右目の封印」と第20話「シンセサイズ」が放送となりました。
※※※第19~20話のネタバレが含まれています。本編視聴後にご覧いただくことをおすすめします※※※
キリトが会話の中で口にしたセルカという名前や、《整合騎士》の真実を知って動揺するアリス。だがすぐに決意を固め、整合騎士の使命を捨てると口にしたときに、ユージオと同じく右目に《SYSTEM ALERT》の文字が浮かぶ。だが、それすらアリスは強い意志で打ち破ってしまう。
その頃ユージオは、元老長・チュデルキンにより最上階に連行され、そこにいたアドミニストレータに心の隙間に入り込まれてしまう(第19話)。右目の封印を打ち破ったアリスと共に90階の大浴場に辿り着いたキリトとアリスは、そこで石化されたベルクーリにユージオの行方を尋ねる。
そこに捨て置かれた《青薔薇の剣》を手に、チュデルキンの後を追っていくキリトとアリスは、元老院で驚くものを目にするのだった。
そんな第19・20話の感想を、松岡禎丞さん(キリト役)、島﨑信長さん(ユージオ役)の2人がラジオ番組「ソードアート・オンエアー アリシゼーション」で語っていたので、そちらでのトークをお伝えしていきます。
<連載バックナンバー>
□【第1話】アンダーワールド
□【第2話】悪魔の樹
□【第3話】果ての山脈
□【第4話】旅立ち
□【第5話】オーシャン・タートル
□【第6話】アリシゼーション計画
□【第7話】剣の学び舎
□【第8話】剣士の矜持
□【第9話】貴族の責務
□【第10話】禁忌目録
□【第11話】セントラル・カセドラル
□【第12話】図書室の賢者
□【第13話】支配者と調停者
□【第14話】紅蓮の騎士 【第15話】烈日の騎士
□【第16話】金木犀の騎士 【第17話】休戦協定
□【第18話】伝説の英雄 【第18.5話】リコレクション
□【第19話】右目の封印 【第20話】シンセサイズ
第19話:右目の封印に打ち勝ったアリス、その頃ユージオは……
松岡禎丞さん(以下、松岡):アリスが、キリトの魔の手に落ちました!
島﨑信長さん(以下、島﨑):魔の手ってなんやねん!(笑)
松岡:あはははは(笑)。
島﨑:まぁ心を開き始めたこともあるし、アリスが世界の真実と向き合った回でもあったね。
松岡:「リコレクション」の話も若干すると、「リコレクション」は振り返りという意味もあったけど、第18話の最後で「俺の知っていることをすべて話すよ」とキリトが言ったことを受けての意味合いもあっての第18.5話だったんです。そこからの第19話は、あなたのことは一応信じておくけど、何かあったらぶった切るからね、みたいなアリスの言葉から始まるわけだけど。
島﨑:そうだね。でもキリトは、自然体でまっすぐ向き合うから信じられるというか。向き合い方は、ユージオとも一緒なんだよね。男女とか関係ないというか。しかも真っ直ぐだけど押し付けがましくない、話し方もいい感じで、これが全部真実だ!ではなく、俺の知ってることを話すよっていう言い方をするからさ。
松岡:説得説得しすぎないよね。ただ自分が知っていることを話しているだけだから。
島﨑:そこからアリスが自力で封印を破ったのはすごいよね。
松岡:あああ! (力を込めて)良かった!
島﨑:ユージオは、あのシチュエーションがあって、後悔してきた積み重ねとかいろんなものが重なったから破れたけど、アリスは自分の意志の力で、あの場で意識して破ったからね。アリスは心が強い。
松岡:ある意味最高司祭に背くわけでしょ。《SYSTEM ALERT》で抑え込まれそうになったけど、私は私の成すべきことを成すために司祭さまと戦います!と言って封印を破ったところは感動というか。感動という言い方ではないのかな……?
島﨑:感服したよね。自分の意志で、自分で決意して封印を破れるアリスってすごい。戦いが強いとかではなく、心の芯が、人として大事な部分がアリスは強い!
松岡:そして、そこからのユージオですよ。
島﨑:ここは、原作を読んでいらっしゃる方はご存知かもしれないですが、ちょっと原作も読んでほしいなという思いも込めて補足説明させていただきます。
ユージオは愛に飢えているということがあり、アドミニストレータにほだされてしまったんですけど、アニメだけを観るとアドミニストレータに誘惑されたみたいに感じる方もいると思うんです。あとはキリトとアリスがいい感じだったのではないか?というショックとかも重なって、みたいな。
でも、アニメでも、ある意味描写はされているんですけど、よくよく考えると、あれ? ユージオの家族は?という話になるんですよね。セルカがユージオは笑わないと言っていたけど、何で笑わないんだろう。キリトとアリスがいなくなったからって、家族はいるはずじゃないですか。でも家族の描写が全然ないんですよ。
つまりユージオは家族とうまくいってなかったというか、家族からないがしろにされていたんです。ユージオの天職も木こりに決まったということで、《ギガスシダー》を切るというのはルーリッド村に伝わる神聖なものであるから、ユージオ的には誇りを持ってやっていたんです。だけど家族からは、何それ? 働けないじゃん、計算狂うわみたいなことを言われたりする。
でも天職の仕事をしているからお給金は出るんですよね。ただそれも全部家族に取られて、ユージオは最低限のものを使いまわしていたし、ご飯も固いパンとか最低限のものだけで一生懸命働いていたんです。
お金は吸い取られて、ないがしろにされながらもひたすら一人で木を切り続けていた。しかもルーリッド村にいたジンクとかは、自分の天職があり、お給金をもらって、自分の好きなものを買ったりとか、好きにお金を使ったりしているんだけど、そんな自慢もされながらも、ずっとやっていたんですよね、ユージオは。
松岡:そういう境遇もあったのに、よくこれだけ真っ直ぐに生きてこられたなと思うけどね。
島﨑:それはアリスとキリトと一緒のときがあったからだよ。ユージオは本当にあそこしかないんだよね。
松岡:2人が目の前からいなくなっても、ずっと木を切っていたからね。
島﨑:だから愛にも飢えていたし、そこの心の隙間を突かれて、不安定な状態にさせられたなかで、アリス・ツーベルクとキリトがいい感じだったかもしれないというのを見せられたら、さらにユージオの心はぐちゃぐちゃになるわけですよ。だから、……アドミニストレータはひどいよ…。
松岡:そうだよね。とんでもないものを見せるよなと。
島﨑:的確に人の一番弱いところを突いてくるからね。しかもキリトの部分の記憶が抜けているから、そこももろくなっている部分はあるんですよね。だから入り込みやすくもなっていたりして、より心が不安定になって、ああいうふうに傾いていったところはあるので、ぜひ、そういうユージオの事情なんかも知っておいてもらえたら嬉しいなと思います。
松岡:いろんな見方も変わるだろうしね。
島﨑:知っていれば知っているほど、その後もより楽しめると思いますので。あと、アリス・ツーベルクとアリス・シンセシス・サーティというのも大変な問題なんですよね。
松岡:言い方悪いけど、入れ物は同じだけど……ということだよね。
島﨑:魂は違うからね。キリトはアリス・ツーベルクの記憶がないから、ユージオにとってのアリスはアリス・ツーベルクだけど、キリトにとってのアリスは、アリス・シンセシス・サーティみたいなところが今発生しているんだよね。そのへんも少し意識しながら見ていただけると、より楽しく見れるのではないかと思います。
第20話:キリトの前に立ちはだかるユージオ、その目は空虚で……
島﨑:まだ観られてはいないけど、オンエア的にはキリトとユージオが敵対したところだよ。
松岡:ついに来ちゃったね、ホントに。
島﨑:楽しみでもあり、複雑だよね。
松岡:みなさん見てわかる通り、ベルさん(ベルクーリ)とアリちゃん(アリス)がなかなかに師弟愛を感じさせる描写にもなっていて。
島﨑:師弟であり、ちょっとした親子くらいの感じだもんね。
松岡:思ったんだけど、アリちゃんの眼帯、すごく似合うなと思った。
島﨑:どうした? フェチか?(笑)
松岡:フェチではないんだけど、風貌と髪の色とか、いろいろなものが相まって、眼帯似合うな!と。
島﨑:騎士のアリスに眼帯は似合うよね。でも、俺はちょっとツーベルク派なんで(笑)。ツーベルクの雰囲気的には似合わない気がするなぁ。
松岡:信長が言った通り、性格的なものもあるから、そうなるとやっぱり別物なんだよね。
島﨑:でも、女騎士には眼帯は似合うと思うよ。
松岡:あれで、ちょっとだけ怒られてみたいよね。
島﨑:僕は普通にツーベルクのほうに叱られたいけど(笑)。
松岡:すごい……、俺たちの間には深い溝があるな(笑)。
島﨑:あはははは(笑)。禎丞はシンセシス・サーティに怒られたいんでしょ。僕はツーベルクのほうに叱られるとか、背中を押されるとか、ケツを叩かれるほうがいいや。
松岡:怒られたら、お詫びに、家で美味しいご飯を作ってご機嫌をとりたい。
島﨑:でもあれよ、アリスが料理うまいよ?
松岡:っっっ!! ダメだった。
島﨑:そこで料理にダメ出しされるかもよ。
松岡:じゃあ寝る前にマッサージをするしかない!
島﨑:あははは(笑)。それはセクハラチックになるかも。
松岡:となると「ごめんなさい」と謝るのが一番だな!
島﨑:素直に謝れば、どっちのアリスも許してくれると思う。
松岡:何の話かわからなくなってきた(苦笑)。
島﨑:今日のアリストークでした(笑)。そして!
松岡:ついに来た、キリトとユージオの対決。こんな日が来るとは、正直思ってはいたんだけどね(笑)。
島﨑:オープニングもそうだよね。1クール目は2人で同じ方向に進んでいくんだけど、2クール目のオープニングは別れた道に行くんだよね。
松岡:真逆に歩いていく。みなさんはあの第20話の最後のシーンを見てどう思われたのか! 自分は正直、あそこで終わるのは、視聴者のみなさんにとってはすごく良い引きだったと思うんです。そこからですよ。僕たちのアフレコは1週間空くんですよ(笑)! 一週間空いて、あのときのテンションに一気に引き戻して次の回をやるというのが大変……ということもあるわけです。
島﨑:そういう意味では、キリトのほうがそこの持って行き方は大変だったというか。ユージオは冷めた状態でキリトは高まった状態だから。
松岡:第20話のさ、280カットですよ。ユージオのあのセリフ。
島﨑:あぁ。(台本を見ながら)ユージオの「知らない、知りたくない、君のことも誰かのことも。嫌なんだもう」というところ。
松岡:感情のダムが決壊しちゃっていることが伝わってくる感じで。
島﨑:あぁ、思ってもらえた? ここも微細なんだけど、完全に感情がなくなったわけではないというところの揺れ動き? 別にユージオはロボットになったわけではないからね。
他の《整合騎士》もそうだけど、シンセサイズされても感情がなくなるわけではないから、感情が漏れ出すというか。このときのユージオは、アリスがさらわれて、キリトも消えて、キリトに再会するまでのユージオにちょっと近いところがあるんだろうね。
雰囲気は柔らかいけど、どこか閉ざしている、冷たくなっているというか。前回のラジオでユージオの生い立ち、キリトに再会するまでの過酷な環境についての話はしたけど、その時と同じで、心を凍らせてしまっている、閉じてしまっている。そうしないと耐えられないってこともあったんだろうね。
松岡:しんしんと自分の心に雪が積もっていって、凍る寸前まで行っているよね。
島﨑:はははは(笑)。そうだね。キリトと再会したことでユージオの心の氷も溶けたはずだったんだけどね~。
松岡:で、終盤も終盤なんだけど、お前に剣技を教えたのは俺だのあとのセリフで「まだ弟子に、負けてやるわけにはいかない!」とキリトが言ったんです。で、「◯◯するわけにはいかない!」とこれまでもキリトは結構言っている気がして、そこで瞬間的に過去の記憶が蘇ってきたのか、そのときのやつ(言い回し)を引っ張り出して、合成してユージオにぶつけたみたいなところがあるんですよ。
でも、キリトが「◯◯するわけにはいかない!」と言っていたときは、基本的に失いたくないものだったり、決意だったりするから、この言い方が、キリトなんだろうなって。だから信長の演技を聞いて、瞬間的にふつふつとそれが蘇ってきたんですよね。当初はこんな言い方をするつもりはなかったんだけど、ここの言い方はこれしかない!と思って。
島﨑: “まだ”の言い方もキリトらしいと思ったし、ここのユージオは心を閉ざしているからストレートに全部響いたわけではないけど、このへんで少しずつ揺さぶられている感はある気がしますね。来週どうなるかは知らないけど。
松岡:どうなるかはみなさんお楽しみに!ということで。次回もよろしくお願いします!
[文・塚越淳一]
作品情報
【イントロダクション】
「ここは……どこだ……?」
気づけばキリトは、なぜか壮大なファンタジーテイストの仮想世界にフルダイブしていた。ログイン直前の記憶があやふやなまま、手がかりを求めて辺りを彷徨う。
そして、漆黒の巨木《ギガスシダー》のもとにたどり着いた彼は、一人の少年と出会う。
「僕の名前はユージオ。よろしく、キリト君」
少年は、仮想世界の住人――《NPC》にもかかわらず、人間と同じ《感情の豊かさ》を持ち合わせていた。
ユージオと親交を深めながら、この世界からのログアウトを模索するキリト。そんな彼の脳裏に、ある記憶がよみがえる。それは、幼少期のキリトとユージオが野山を駆け回る想い出――本来、あるはずのない記憶。
更にその想い出には、ユージオともう一人、金色の髪を持つ少女の姿があった。名前は、アリス。絶対に忘れてはいけないはずの、大切な名前――。
【放送情報】
TOKYO MX:10月6日より 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
BS11:10月6日より 毎週土曜 24:00~
MBS:10月6日より 毎週土曜 27:08~
テレビ愛知:10月8日より 毎週月曜 26:05~
[配信情報]
AbemaTV:10月6日より 毎週土曜 24:00~(地上波同時配信)
*放送開始日・放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承ください。
【STAFF】
原作:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:小野学
キャラクターデザイン:足立慎吾 鈴木豪 西口智也
助監督:佐久間貴史
総作画監督:鈴木豪 西口智也
プロップデザイン:早川麻美 伊藤公規
モンスターデザイン:河野敏弥
アクション作画監督:菅野芳弘 竹内哲也
美術監督:小川友佳子 渡辺佳人
美術設定:森岡賢一 谷内優穂
色彩設計:中野尚美
撮影監督:脇顯太朗 林賢太
モーショングラフィックス:大城丈宗
CG監督:雲藤隆太
編集:近藤勇二
音響監督:岩浪美和
効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
音楽:梶浦由記
プロデュース:EGG FIRM ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
製作:SAO-A Project
【CAST】
キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞
アスナ(結城明日奈):戸松遥
アリス:茅野愛衣
ユージオ:島﨑信長
【主題歌】
オープニングテーマ:ASCA「RESISTER」
エンディングテーマ:ReoNa「forget-me-not」