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【夏アニメ特集】『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』浪川大輔&上田麗奈インタビュー

【夏アニメ特集】『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』浪川大輔さん&上田麗奈さんインタビュー|アフレコ現場では浪川さんが事件をバラまいていた!?

『Zero』からの10年を振り返って

――ロード・エルメロイⅡ世は、『Fate/Zero』(※1)に登場したウェイバーの10年後の姿が描かれています。そして、TVアニメから数えて、現実世界でもそれに近い時間が流れています。浪川さんは、このウェイバーを演じた10年を振り返って、思い返すことはありますか?

浪川:ウェイバーに関しては、アニメ以外でもゲームなどで何度か演じる機会をいただいています。

思い返すと、僕がはじめて『Fate』に参加したのは、一言しか喋らない“謎のイタリア人の役”でしたね。

その次に『Zero』のサウンドドラマ(※2)でウェイバーを演じたのですが、これが60分くらいの尺で4本あって。収録にも何ヶ月もかかって、とにかく大変でした。


※1:Fate/Zero
虚淵玄氏原作の『Fate/stay night』の前日譚。『事件簿』の主人公であるロード・エルメロイⅡ世は、第四次聖杯戦争に参加したマスターの一人である、ウェイバー・ベルベットの10年後の姿となっている。2011年から放送されたTVアニメも好評を博した。

※2:『Zero』のサウンドドラマ
2009年にHOBiRECORDSより全4巻が発売されていた『Sound Drama Fate/Zero』シリーズ。1巻あたりCD3~5枚組という前代未聞の大ボリュームで、原作小説のラストまで収録されている。なおTVアニメのキャスト陣は、基本的にドラマCDでの配役が引き継がれている。


――ああ、そうでした。あのドラマCD、ボリュームが本当にすごかったですよね……!

浪川:ええ。もうその時に『Zero』の内容をほぼ最初から最後まで演じていたので、アニメ化の時は「あのシーンをもう一回やるの!?」と戸惑った記憶があります(笑)。

それから10年くらいが経ってから、『事件簿』の第1話の収録に臨んだのですが、これがもうウェイバーだらけで、当時の大変だった思い出が自然と蘇ってきました。

もともとウェイバーというキャラクターは、慣れを感じさせてはいけないキャラクターではあったので、これまでの僕の経験を踏まえても、今でも慣れない演技をするのは大変だなと改めて感じました。

――10年後のウェイバーを初めてご覧になられた時はいかかでしたか?

浪川:いや、もうどうしちゃったんだろうって感じですよね(笑)。

エルメロイⅡ世って、他のTYPE-MOONさんの作品にも度々ゲスト的な感じで登場していて、収録に参加したりもしているんですが、その度に「彼には何があったの?」ということをよくディレクターさんに聞いています。

ただ、本作より前の作品では、僕自身も詳しい説明を受けていたわけではなかったので、「きっとこういうことがあったんだろう」と自分なりに想像して役作りをしていました。

それが年月が経つにつれて、少しずつ整合性が取れるようになってきた感覚があります。

やっぱり『Zero』でのライダーとの出会いと別れの経験が、彼をここまで成長させたんだろうなと思っています。

原作の三田先生と話した時にも、「そういうことですよね?」と(自分の予想を)押し付けておきました(笑)。

――(笑)。対して、上田さんは、10年前の自分を振り返って思い出せることはありますか?

上田:10年前は高校に上がったばかりの頃で、まだ声優としてデビューする前でした。

小中と演劇部だったので、演劇部がある高校だけを選んで受験していました。その頃は、ただひたすら「演劇をやろう」と意気込んでいた頃だったと思います。

浪川:いい話じゃないですか。僕にとっては10年前って一昨日みたいなもんですよ(笑)。この歳になると10年なんて本当にあっという間ですからね!

――それは『Zero』視聴者も同意見だと思います(笑)。実は上田さんは、まだ新人だった頃にTVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 』(※3)の収録にも参加されていますよね。

上田:ああ! そうですね。まだデビューしたばかりの頃で、役名のない一般生徒の役だったんですけど、確かに出演させていただいていました。

収録中は周りの声優さんたちを見て「よくCMで聞いていたあの人の声だ!」と興奮したりしていましたが……ストーリーが難しくて、とにかく必死に、自分の台詞を一生懸命喋っていた記憶があります。

浪川:いや、それは本当にそうだと思うよ。僕も最初に台本を渡された時は全然分からなかったし。あと、キャストの人たちのクセもすごいしね(笑)。


※3:Fate/stay night [Unlimited Blade Works]
2011年に放送されていたTVアニメ。『劇場版 空の境界』『Fate/Zero』などの映像化でTYPE-MOONファンからの高い支持を得ているスタジオ・ufotableによって、『Fate/stay night』において遠坂凛がヒロインとなる[UBW]ルートを映像化した作品。

 


――浪川さんは『Zero』の時点でも声優としてかなりのキャリアを積まれていましたが、『Zero』の現場は、それ以上のベテランの方々が勢揃いだったのでは?

浪川:確かに。でも話が進むにつれて、どんどんキャラクターが退場して人数が減っていきました……(笑)。

『事件簿』の現場では、レギュラー陣だと自分と同世代の平川(大輔)さんが年齢的に一番上になっていると思います。

――そうなると、ウェイバーよりもエルメロイⅡ世の方が、浪川さん自身も感情移入しやすくなっているのかなとも思ったのですが。

浪川:そうですね。実際にウェイバーが体験したシーンがオマージュされて出てきたりもしますし、グレイの限定解除のシーンでは僕自身も気持ちが高ぶりました。

『Zero』でのウェイバーは、あくまで主人公ではなく、サブ的なポジションだったので。サーヴァントが宝具を発動するシーンは脇から見ていた立場でしたから。

(上田さんに)ちなみにね、今はこんな顔(エルメロイⅡ世の設定画を指しながら)ですけど、昔はヒロインって呼ばれてたんですよ。

上田:そ、そうなんですか!? そういえば、髪型も黒髪ロングですよね……(笑)。

――でも意外と、エルメロイⅡ世になってもヒロイン的な要素は残っていたりもしますよね。かわいい部分もありますし。

上田:確かに! グレイの台詞でも「弱き者を守る」的な台詞がありましたね……!

浪川:いやいや、それはエルメロイⅡ世のことだけじゃないかもしれないから!(笑)

一同:(笑)。

浪川:でも、構造的に見るとヒーローがグレイで、ヒロインがエルメロイⅡ世と言われるとすごくしっくり来るんですよね。

――上田さんは、グレイというキャラクターに対してどんな印象を抱かれましたか?

上田:最初は何を考えているか分からなかったのですが、演じていくにつれ、やっぱり師匠のことが一番大事なんだなと。収録の時も、自分よりも師匠のことを考えての喋りを意識していましたね。

感情表現はそんなに豊かじゃない印象があったんですが、意外と人懐っこくて、人嫌いする娘じゃないのもかわいいところなんです。

そのバランスを取るのがなかなか難しくて、苦労している部分でもあります。

――グレイは、一見他人を遠ざけそうなタイプのようで、意外と交友関係が広いんですよね。

上田:一番信頼しているであろうエルメロイⅡ世に対しては、あまり自分を出さず、すべてを受け入れるような態度を取ることが多いのですが、ライネスとかに対しては、対等に意見を言って、交流ができるというのも面白いんです。

普通は親しくなるほど、何でも言い合える砕けた仲になると思うんですが、グレイとエルメロイⅡ世に関しては、その逆の部分があるんですよね。

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