この記事をかいた人
- 福室美綺
- 福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。親友であり敵のような複雑な関係性が大好物です。
――次に、オーディオブックについてお話をお伺いしたいのですが、花守さんは以前、『青くて痛くて脆い』(著:住野よる)のオーディオブックに出演されていました。
花守:『青くて痛くて脆い』では、ヒロインの秋好寿乃を演じさせていただきました。こころちゃんとは正反対でありつつも、どこか繊細さを持ち合わせている女の子です。強さを持っていながらふとしたきっかけでバラバラと崩れてしまうような儚さも感じられたキャラクターでもありました。
秋好を演じさせていただいたときも、オーディオブックってこんなにもダイレクトに自分にダメージが来るものなんだな、と思ったんです。どこか心にグッとくるものがあるのだと思います。
――アニメ作品とは違い、オーディオブックだからこそ感じた部分はありましたか?
花守:基本的にはブースの中でひとりで読ませていただくからこそ、よりキャラクターと密に寄り添える素敵な作品の作り方だなと感じました。
今回も地の文も含めてキャラクターを演じさせていただけるということで、どこか心が痛む部分もあるけれど、それ以上に得るものもたくさんありました。
より繊細に生々しく伝わるように演じていけたらなと思いながらも、気持ち任せに読むのとはまた違うので、自分の中でちゃんと計算をしつつ、作品として素敵なものを、オーディオブックとして素敵なものに仕上げられるよう念頭に置きながら読ませていただきました。
――では花守さんにとって、オーディオブックの魅力とは?
花守:本を読んで自分の頭の中で声をつけるわけでもなく、アニメみたいに絵と音と声が全部そろっているというわけでもなく、役者さんの声とSE、音楽だけだからこそ伝わるものがあると思います。
より近く、より生々しく、自分の心の中に流れ込んでくる感覚がオーディオブックというものの1番の魅力かな、と。
耳だけから得られる情報だからこそ、より自分の中に刻まれますし、フィクションでありながらも自分の近くで起こっている感覚になると思います。
自分の中に色濃い情報をより鮮明に刻んでくれる素敵な魅力があり、私も音に気をつけながら演じさせていただいたので、ぜひ聴いていただいてイヤホンを外したときに「まだこの世界から抜け出せない……!」という余韻を楽しんでいただけたら嬉しいです。
[インタビュー・文/福室美綺 写真/鳥谷部宏平]
福岡出身。触れた作品にすぐハマる、ちょろさNo.1ライター。好きな作品は『Free!』『NO.6』『十二国記』『ギヴン』『新世界より』など。好きな声優さんは保志総一朗さんと坂本真綾さん。ハッピーエンドよりも意義のあるトゥルーエンドや両片想いが大好物な関係性オタクで、主にイベントレポートやインタビューを担当しています。最近はVTuberがマイブーム。
【オーディオブック商品詳細】
作品名:『かがみの孤城』
著者:辻村深月
出版社:ポプラ社
価格:1,980円(税込)
収録時間:約19時間10分
制作:オトバンク
配信元:オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」
<作品概要>
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の 7 人が集められていた―― なぜこの 7 人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
<キャスト>
こころ・朗読:花守ゆみり
オオカミさま:東山奈央
リオン:島﨑信長
アキ:伊藤かな恵
マサムネ:小林裕介
スバル:西山宏太朗
フウカ:大和田仁美
ウレシノ:堀江瞬
ほか 豊口めぐみ、千本木彩花、田澤茉純、幸村恵理、など出演