劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のＡＬＦＡ-Ｘ』佐倉綾音さん＆釘宮理恵さんインタビュー｜佐倉さん「ホクトは絶対に理恵さんがいいと思っていたんです」

2019年12月27日より全国ロードショウとなる劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のＡＬＦＡ-Ｘ』。

『新幹線変形ロボ シンカリオン（以下、シンカリオン）』は、実在する新幹線が巨大ロボットに変形し、地球の平和を脅かす敵と戦うロボットアニメです。

TVシリーズでは『初音ミク』や『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボなど、驚きの施策で何度も視聴者の度肝を抜き、大きな話題を集めました。

劇場版では、JR東日本の新幹線試験車両「ＡＬＦＡ-Ｘ（アルファエックス）」が変形した「シンカリオン ＡＬＦＡ-Ｘ」に加えて、ハヤトの父・ホクトが子供の姿で登場。

今回は主人公・速杉ハヤトを演じる佐倉綾音さんと物語の鍵を演じる少年時代の速杉ホクトを演じる釘宮理恵さんを直撃。劇場版の見どころから、声優としてのお二人の関係性など、多岐に渡る話を訊くことができたインタビューの模様をお届けします。

釘宮さんの参加は佐倉さんの願いだった!?

――今回『シンカリオン』への参加が決まった心境について教えてください。

釘宮理恵さん（以下、釘宮）：最初に事務所で話を聞いた時は、「いつもWEBニュースで（タイトルを）見かけるやつだ」と（笑）。

――演じられる速杉ホクトは、大人の時は杉田智和さんが演じられています。杉田さんの声というのは、少し意識されたのでしょうか？

釘宮：キャラクターの設定については、予告映像を収録した時に知りました。「杉田くんの子供時代かぁ」と（笑）。

予告編の時は「あんな（杉田さんのような）イケメンの声は出せないなぁ」と思っていましたが、少年時代のホクトは娘のハルカちゃんと同じ口癖なので、どちらかというとホクトよりもハルカちゃんの方を意識していましたね。

――佐倉さんとしては、一年間TVシリーズを演じてきて、劇場版の話を聞いた時はいかがでしたか？

佐倉綾音さん（以下、佐倉）：子供向け作品の劇場版は、私の中ではお祭り的な感覚がありました。

私自身も小さい頃に見ていたTVアニメの劇場版は、親にせがんで連れていってもらって、映画館までの車の中や道のりはワクワクしっぱなしで、帰りにパンフレットを買ってもらったり、すごく思い出に残っているんです。

今の子供たちがそういう思い出を作るにあたって、『シンカリオン』という作品に触れて、もっと好きになってくれるのはとても嬉しいことだなと。なので劇場版が決まったという話を聞く前から、絶対作って欲しいと思っていました。

その分、実際に決まった時は、嬉しさと同時に身が引き締まる想いでしたね。

自分がさせてもらった素敵な体験を、今度は私が、今の子どもたちに体験してもらうためのお手伝いをするんだと。

――釘宮さんとの親子役ということを知った時はいかがでしたか？

佐倉：年齢感的にも絶妙だなと思いました。劇場版のホクトはハヤトよりも歳下になるんですけど、それでもお父さんであることには変わりないので、「誰がやるんだろう」とずっと気になっていたんです。

実は私は今回のホクトのビジュアルを最初に見た時から、ずっと「理恵さんだったらいいな」と思っていて。他のキャストさんとも、「絶対理恵さんがいいよね！」と話していたくらいなんです。

――すでに佐倉さんの中で、釘宮さんの声でイメージされていたと。

佐倉：そうですね。とはいえ、いろいろな事情があると思いますから、他の方になっても頑張ろうと思っていたのですが、事務所で理恵さんに決まったことを知った時は、大きな声を出して喜んだ記憶があります。願いが叶ったなと。

釘宮：その願いに呼び寄せられました（笑）。

佐倉：私の中で、劇場版にピッタリなスペシャルなキャストと聞いて真っ先に思い浮かんだのが理恵さんで、『シンカリオン』にもずっといて欲しいと思っていたんです。

――実際に、共演してみていかがでしたか？

佐倉：実は私、理恵さんの男の子役の声を、こんなに近くでたくさん聞く機会が今までなかったんです。

釘宮：そういえば確かにそうだ。女の子役の時が多いね。

佐倉：そうなんです。だから、私の中で理恵さんの声を生で聞く時は、かわいらしい女の子の声のイメージが強かったんです。そこから今回の第一声を聞いた時は、「懐かせたい！」と思いました（笑）。

少年ホクトは最初は警戒心が強くてツンケンしていて、ハヤトはそれも意に介さず仲良くなろうとするのですが、私も同じような気持ちでした。警戒されればされるほど、それをこじ開けて笑顔を見られた瞬間の喜びは大きいだろうなと。

口調がハルカと同じだったのも、「家族」というものを感じられて、私としてはほっこりした気持ちになっていました。

釘宮：まさかそんなことを思ってくれていたとは、夢にも思わなかったです（笑）。

実は収録の時、音響監督さんから「いきなり仲良くなりすぎないで」と釘を刺されたことがあって。私自身、「そんなに気にかけてくれるなら好き！」と簡単に懐いちゃう方なので、その気持を必死に封印しながら演じていました（笑）。

距離が少し縮まった後もまだ警戒していて、ということを言われていて、ずっと警戒し通しだった印象があります。

けどその中でも、最初の頃と、少しずつ仲良くなった後の警戒ぶりは少し違っていて、すごく細やかなディレクションがあったので演じ甲斐もありました。

――釘宮さんから見た佐倉さんはいかがでしたか？

釘宮： どんな時も集中していて、理解力がすごく高いなと。私の話を真剣に聞いてくれるし、こっちにも訴えかけてくれて、一緒にいてすごくエネルギーをもらえます。

インタビューの時とかも、すごくいろいろなことを考えながら喋っていて。私は台本の読み込みとかも含めて、感覚的にやっちゃうタイプなので（笑）、すごいなぁと尊敬しています。

佐倉：むしろ私は理恵さんの台本を見て、理解力とか読み込みがすごいと感じていたので、足を引っ張らないようにと必死でした。もし（シンカリオンについて）何か細かい部分を訊かれた時も、ちゃんと答えられるように準備しておこうと。

釘宮：何でも答えてくれるんですよ！（佐倉さんが）訊きやすいから、すぐ訊いちゃうんですけど（笑）、頼もしいです。

――意図せずとも、お互いにお互いを高めあう形になっていたんですね。

佐倉：そういうことになるのでしょうか。私も理恵さんが現場にいるといつも嬉しくて話しかけてしまうのですが、その時に何か訊かれて答えられなくて、「もういいや」と思われたらイヤじゃないですか（笑）。

やっぱり（釘宮さんと）もっとお喋りしたい気持ちがあるので……そういう意味でも、少年ホクトに対するハヤトの気持ちに近いのかもしれないですね（笑）。