冬アニメ『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』福山潤さん×櫻井孝宏さんロングインタビュー|キャスティングが意外だった!? 想像できないオチがかなり面白いドタバタコメディ作品
小雪がいるからこそ花鳥が魅力的に映る
——収録が進む中、ご自身が演じるキャラクターはどんなキャラクターだと思いますか?
櫻井:僕はおそらく、分からないでやっているところがあります。花鳥兜の言っている内容が世間一般でいう中二病のような感覚と発言で、しかもそれがまかり通る学校生活を送っているので、環境がそもそもファンタジックなんです。
たとえば、彼がどういう家庭事情でいるのかなど、何となく本当か嘘か分からないような情報を月宮くん(CV:木村良平)を通して与えられながら進んでいますが、生い立ち云々を取っ払った中二病真っ盛りの花鳥兜というディティールで僕は演技しているので、彼のバックボーンになると分からないところがたくさんあると思います。
でも、そこはまったく気にしてません。
——へぇ! 気にならないんですね。
櫻井:全然気にならないですし、要らない情報だと思っています。キャラクターの理解度に関して、読み込むというよりも肌感や直感でやっているところがあって。
絵がある程度完成されていて、キャストもそろって収録できているので、僕は結構ライブ感で作っていると思います。
——深く考えて過ぎてしまったりと、情報が邪魔になってしまうこともありますからね。
櫻井:アフレコもライブなところがありますし、自分が担当するキャラクターは自分だけじゃなくてまわりのキャラクターが輪郭を作ってくれているところもあるので、その辺は見聞きしながら“こうかな?”と整えてやっています。
あとは思いっきりやる!(笑)
——(笑)。
櫻井:花鳥は見ていてイラっとすることもありますし傍迷惑なところもありますが、憎めない良いヤツなんです。本当に面倒くさいですよね、この子(笑)。
憎めない、放っとけない部分は、持って生まれた才能なのかもしれません。と思うと、小雪が側にいてくれて本当に良かったな、と思います。嫌だ、嫌だと言いつつも小雪は何かと付き合ってくれるので。
ツッコミを入れてくれる小雪がいるからこそ、ボケ扱いされて周囲から面白いと感じられるようになる。
ただ学園生活を送るだけだったら、花鳥は頭が良いので成績優秀の変なヤツになるかもしれませんが(笑)。小雪がいるからボケツッコミの関係が成り立っていて、花鳥がちゃんと魅力的に映っています。
——花鳥はツッコミを待っている、つっこまれるのが嬉しいキャラクターだと感じましたが……。
櫻井:たぶん、花鳥は全然つっこまれると思っていないと思います。なので、あんなに逆撫でするようなことを言ったり、全然分かっていない部分があったり。
結局、彼はいつも一生懸命なんです。ボケツッコミの漫才のコンビのような立ち位置に自分を置いているというよりは、常に全力で生きていて、ただ“ゲシュテーバ(小雪の呼び名)”のことが好きなだけ。
相手にしてほしい、気にしてほしいという気持ちはあるかもしれませんが、それがつっこんでほしいという解釈にはならないですね。ただ、楽しく過ごしたいだけで自分に正直に生きている子なんじゃないかな、と。
——なるほど。福山さんはいかがですか?
福山:僕もあまり考えてないです。
櫻井:あはははは(笑)。
福山:ただ、気をつけようと思っているのが、小雪がツッコンでいるのはあくまでモノローグという部分です。みなさんがそこに気づいて見ていただけたら、大変これは涙を禁じ得ないお話になっていくと思います。
僕は通常小雪の主観でやっているので、きっと同じ感覚で見ていただけると思いますが、実際小雪のモノローグツッコミを全部省いて見てみると、ただ単に変な人たちの中に喋らない子が右往左往しているだけの構図になるんです。
櫻井:お! それ見たい!
福山:小雪本人はツッコミ気質と言っていますが、モノローグでツッコミをしているので周りは誰もそんなことを思ってないはずなんです。なので、無口な人だと思われている可能性もありますよね。
主観と客観のズレが大いにあるということを、見てくださる方がどのタイミングで分かってくれるのかという点で見方が大きく変わると思います。
櫻井:それ、映像特典で作ったら結構話変わるよね!
福山:もう恐怖ですよ(笑)。
一同:(笑)。
福山:だって、変な人たちの中にちょっとオドオドしている喋らない人がいるという構図ですもん。
櫻井:(スタッフに)面白くないですか?
スタッフ:その案、いただいていいですか?
一同:(笑)。
福山:小雪本人は受動的にツッコミをやらされている感はありますが、本人は前向きなんです。最上君影(CV:立花慎之介)に「ぶってくだされ…!!」と言われているときも心の中でツッコンでいるので、周りからは引いているようにしか見えていない。
この世界観で小雪はキャラクター性が正しく伝わっているかどうかすら疑問ですし、周囲から小雪はどう思われているんだろう?と思いながらやっています。そこが、僕が気をつけているところですね。
僕は主観でやっているので“小雪はこういう風にやっている”という部分はありますが、きっと周りはそのように見ていないと思います。
櫻井:それは面白い。
福山:そう思うと、彼らは大変優しい世界にいるんだと思います。モノローグでツッコンでいる以上、小雪は快活な人として見られていない可能性が高いんじゃないかな。
櫻井:心の声だからね。
——モノローグツッコミがない映像がどうなるか、気になります!
櫻井:なかなか違和感のある映像になりそうですよね。
福山:ゾクゾクすると思います(笑)。ツッコミがいないので空中戦しか行われていないですから(笑)。