脚本は映画数本分!?実写ではできないことをアニメでやりたくて――夏アニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督×脚本・シリーズ構成 古沢良太氏インタビュー

世界を股にかける詐欺師のだまし合いを描いたオリジナルアニメ『GREAT PRETENDER』が、2020年6月2日よりNetflixにて、7月8日よりフジテレビ「＋Ultra」ほか各局にて放送・配信スタート！

注目が集まるのは豪華な制作陣。監督は『91Days』『鬼灯の冷徹』などを手掛けた鏑木ひろさん、脚本・シリーズ構成には『コンフィデンスマンJP』や『リーガルハイ』などの脚本を担当する古沢良太さん、キャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』などでおなじみの貞本義行さん、アニメーション制作は『進撃の巨人』『甲鉄城のカバネリ」』などで注目を集めたWIT STUDIOという強力布陣！

そんな夏の話題作『GREAT PRETENDER』の放送を記念して、アニメイトタイムズでは連続インタビュー企画をお届けしています。

第1弾にご登場いただくのは、鏑木ひろ監督と脚本・シリーズ構成の古沢良太さん！　構想・制作のきっかけから設定やキャスティングのポイントなどについて語っていただきました！

老若男女がワクワクできるエンターテインメントを。そして実写ではできないことをアニメでやりたくて

――本作はオリジナル作品ですが、どのように発想されたのでしょうか？

脚本・シリーズ構成 古沢良太さん（以下、古沢）：数年前に和田（丈嗣）プロデューサーから「オリジナルのアニメを作りたいので、一緒に何かやりませんか？」と言われたのが始まりです。エンターテインメントとして老若男女がワクワクできるような明るい作品にしたいという部分は一致していて。あと僕はいつか詐欺師の物語を作りたいと思っていたので僕から提案しつつ話を作っていって、鏑木さんに相談しました。

鏑木ひろ監督（以下、鏑木）：最近、マンガ原作のアニメが多いけど、オリジナル作品でもマンガっぽいものがたくさんあって。今回のような現実ベースの作品はなかなかやりにくいし、出資してくれるところも少ないけど、この作品が動くようなことがあれば、おもしろくなりそうだなと。

――古沢さんは実写映画やドラマの脚本を数多く担当されていますが、オリジナルのアニメ作品を手掛けるとのことで、意識した点はありますか？

古沢：実写では制約が多いけど、アニメでは割と制約が少なくて、どこでも行けるし、何でもできると思って、羽を伸ばしてやろうかなと（笑）。でも制約がない分、やりにくさもありました。とにかく実写でできないことをやろうと思ったけど、アニメでも大変だったみたいで……。

鏑木：かなり大変でしたよ（笑）。

今作の脚本は映画数本分!?　ボリューム感と濃密なアニメに！

――1つのCase（エピソード）が数話に渡る構成や作品の雰囲気など洋画や海外ドラマのようなテイストだなと思いました。

鏑木：今回は23話分を4つのCaseに分け、1Caseは数話ずつで1つの物語になってます。いつものTVシリーズだと20分で1話数毎に打ち合わせしていくんですが、4～5話分を一度に仕上げてゆくスタイルはなかなかタフな書き方だな…と。当然、脚本のチェックも大変でした。

古沢：4本の映画の脚本を書いた感覚ですね。

――それはすごいですね!?　監督が脚本をご覧になった時の感想は？

鏑木：脚本の読み始めの時はうまく騙せるのか心配でしたが、読み進めていくと『大丈夫そうかも…』となりました。ちょこちょこと直しはありましたが、ほぼ元の流れは活かしてあります。

――古沢さんから監督にオーダーされたことはありますか？

古沢：なかったですね。台本を渡したら「お好きなように」というタイプなので（笑）。

鏑木：だから相当やり易かったです。こちらに預けてくれるんだから神様みたいですよ（笑）。

古沢：でもイメージに近いものが出来上がってきて、嬉しかったです。