楠木ともり、TVアニメ『魔王学院の不適合者』EDテーマ「ハミダシモノ」作詞を通して描いた作品の世界|いろいろな“強さ”が描かれた楽曲に
「ハミダシモノ」のアレンジとMVのこだわったところとは?
――「ハミダシモノ」は、アレンジもすごくカッコいいですが、歌詞を書く前にはアレンジもできていたのですか?
楠木:1番まで(TVサイズ)はほぼできていて、このまま行くんだろうなと思っていました。イントロのピアノがすごく印象的だったんですが、あのピアノのフレーズで、すごくアノスの映像が浮かんできたので、最後まで残っていてくれて嬉しかったです。
――途中でアレンジが変わることもありますからね。アレンジで好きなところはどこですか?
楠木:今回は構成も面白いですし、ドラムのリズムも面白いし手数も多いんです。なのでアニメでは流れない2番に入るところですね! 1番は静かに入るんですけど、2番でちょっとリズムが変わるんです。少しジャズっぽくなるというか。
ここは実は歌詞を書いているときは決まっていなくて、フルでアレンジを聴いたときに初めて知ったのですが、アニメでここまで流してほしい!と思うくらいカッコ良かったので、そこが好きです。
――聴いていてもすごく上がるところですよね、ベースも含めてリズム隊がおしゃれ!
楠木:ベースが美しすぎます! めちゃめちゃ変態的で、すごく良いなと思っています!
――MVもすごくこだわって作ったそうですね?
楠木:そうなんです。まず監督から何パターンかご提案をいただいた中で、ひとつ基準を決めたんですが、そこから「この演出は、曲の印象と合わないので、こちらの案のアイディアを入れたいです」など、たくさん意見交換をすることができました。
撮影自体もすごくスムーズでやりやすかったですし、完成した映像を見たら、自分が目指していたものになっていたので、本当に嬉しかったです。
▼「ハミダシモノ」MV Short ver.
――バンドが演奏している感じが、曲のイメージに合っていました。
楠木:自分の顔のショットというより、体を使って曲を表現するシーンが多いほうがうれしいですというお話をして、全体的に仄暗い感じのMVになりました(笑)。衣装も、ミーシャを演じているので白い衣装があったり、力強い黒い衣装があったりします。
今回の曲では、“強さ”と一緒に、“命の力強さ”というテーマも乗せたかったので、その象徴だったら花だと思い、花も入れていただきました。咲いている花のワンショットだけではなく、咲くまでとしおれるまでという動きのある花のカットにしたかったんです。
――楠木さんは、クリエイトすることが好きですし、そういうアイディアがたくさんありそうです。
楠木:私の好きなアーティストのReolさんがMVに力を入れられていて、そういう映像を見てきたので、自分でもしっかり意見を出したいと思っていました。
ただ、私の意見なんて素人意見なので、どうなのかな?とも思っていたんですが、監督がすごく汲み取ってくださって! 試しに組んでいただいた映像を見たときに、直したいところがほとんどありませんでした。私が描きたいものを感じ取ってくださったので、ただただ楽しく終えることができました。
――どの世界でも、そこで活躍しているクリエイターの方はすごいですよね。
楠木:本当にすごいと思います! 私の脳内のイメージを伝えたとしても、100%伝わるわけではないじゃないですか。それでも狂いなく受け取ってくださるということは、感受性が豊かなのだと思いますし、本当に素敵な出会いでした。
――しかもそれ以上のものにして返したいという思いもあるでしょうし。
楠木:そうですよね。だから私の想像の遥かに上を行っていて、すごいなぁと思いました!