『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』白血球(好中球)役・前野智昭さんインタビュー|がん細胞演じる石田彰さんと肩を並べて表現できることが嬉しかった
感慨深い“がん細胞”との戦い
――最初、特別上映版のストーリーを台本でご覧になっていかがでしたか?
前野:“最強の敵、再び。”というタイトルにもある通り、第1期の時に対峙したがん細胞とまた相対することになりますが、僕は第1期の時からコミックス第5巻のがん細胞とのくだりはいつか(アニメで)やれたら良いですね、と現場で話をさせていただいていました。
なので、今回そのお話を劇場でやらせていただけるということですごく喜びもひとしおでしたし、やっぱり感慨深いものがあって。
がん細胞はああいうキャラクターですけど、すごく自分自身の存在に葛藤を抱いていますし、存在意義を見出して何とか生きようとしている。言い方が悪いかもしれませんが、かわいそうな細胞でもあるんです。
でも、そこをアニメで表現できて、がん細胞を演じる石田さんと肩を並べてマイク前でこのような表現ができることがすごく嬉しくて。あと、台本を持った瞬間は“あぁ、『はたらく細胞』の台本だな”って思いました(笑)。
一同:(笑)。
――前野さんにとって『はたらく細胞』の台本らしさを感じる部分があったんですね。
前野:表紙が『はたらく細胞』のオシャレな感じにしていただいていますし、台本の書き方、ト書きの感じなど、懐かしさを感じながら見させていただきました。
――特別上映版を拝見させていただいて、全編通して見どころがたくさんあるなと感じましたが、特に注目してほしいシーンがあればぜひ教えてください。
前野:もちろん全編通していろいろなところに注目していただきたいですが、1つ挙げるとするなら、“乳酸菌”。乳酸菌と一緒に物語が進んでいきますが、その乳酸菌が人体に及ぼす良い影響が具体的にどのような影響なのか、今回の特別上映版ですごくわかりやすく描かれています。
僕自身、何となく乳酸菌は体に良いもの、腸内を整えるものという知識しかありませんでしたが、実はそれ以外にもこういう働きをして、こういうことをしてくれているんだ、こういう風にすると活性化するんだ、とそういった乳酸菌の情報がわかりやすく詰め込まれているんです。
なので、その辺りも知識として非常に勉強になるポイントですし、そこも見どころの1つだと思います。
――乳酸菌はすごく可愛くてびっくりしました。
前野:しかも1体だけじゃないんです。4体出てくるので、ぜひ注目していただければと思います。
理想の部下に欲しいキャラクターはキラーT細胞!?
――白血球(好中球)を第1期から演じられていますが、演じる上で難しさや面白さはありますか?
前野:白血球を演じる上で難しさを感じたことはあまりなかったです。というのも、白血球は僕にとって理想の上司、お兄さんという部分がありまして。
白血球も僕の中の理想の上司や理想のお兄さんそのままだったんです。その理想を演じれば白血球になると考えていたので、そんなに難しく感じたことはあまりありませんでした。
あえて言うなら、普段真面目で任務に忠実ですけど、ちょっとしたところで出すお茶目な一面など、そのギャップや対比をどのようにつけようかという点で迷ったり難しく感じたりすることはありました。
――白血球(好中球)のどのようなところに理想の上司やお兄さんを感じられたのでしょうか?
前野:行動力も説得力もあって、包容力を持ち合わせているところですね。自分が傷ついても体を守るために動きますし、ピンチに陥ってもきっと最後はどうにかしてくれるだろう、と安心感も持ち合わせているキャラクターです。このような方が近くにいたら、僕はすぐに頼ってしまうと思います。
――白血球(好中球)は理想の上司や理想のお兄さん的な存在だとおっしゃっていましたが、“理想の部下”といえば誰でしょう?
前野:理想の部下と言いますか、キラーT細胞軍団はよく統率が取れているかな、と思います(笑)。小野さんのキラーT細胞はちょっとアタックが強いですけど、そのほかのキラーT細胞は任務に忠実で純朴なので、すごく良い部下になってくれそうですよね。
――小野さん演じるキラーT細胞はメモリーT細胞になったので、上映版の中でも名前の呼ばれ方にこだわりを持っていましたね(笑)。
前野:小野さんのキラーT細胞は我が強すぎるので、部下には向いていない気がします。
――小野さんではなく、キラーT細胞(メモリーT細胞)がですよね?
前野:キラーT細胞がです(笑)。
――小野さん演じるキラーT細胞(メモリーT細胞)は今回も良い味が出ていました。
前野:はい。僕、もともと、白血球とキラーT細胞でオーディションを受けさせていただていたのもあって、やっぱりキラーT細胞を演じる小野さんのお芝居にはいつも刺激を受けていますし、すごくキラーT細胞も体のために必死に頑張ってくれるので好きなキャラクターです。
ほかにもたくさん好きなキャラクターがいます。もちろん、皆さんが大好きな血小板ちゃんも好きですし、香菜ちゃん演じる赤血球もすごく一生懸命で香菜ちゃんそのものだな、といつも感じます。
体の中で共存している細胞たちは、それぞれ自分にとっても強い思い入れがあるので、みんなお気に入りのキャラクターです。
――第1期もキャラクターそれぞれが細胞の働きをわかりやすく説明してきましたが、前野さん自身が今まで役に立った体の情報はありましたか?
前野:いろいろな回で新しい知識が蓄えられましたが、第1期の第4話「食中毒」でアニサキスが出てきた回は勉強になりました。
僕自身、アニサキスで苦しんだ時があったので、“あの時は体の中で好酸球がこういう働きをしてくれていたんだな”と自分に置き換えて身近に感じて。僕自身にとっても良い勉強になりましたし、より自分の体を慈しまなきゃな、と感じました。
――では、今回のストーリーの中で“なるほど!”と感じた細胞の働きや体の仕組みを教えてください。
前野:今回のストーリーでは、腸の中には菌がたくさん存在するというエピソードがたくさん出てきます。善玉菌や悪玉菌は腸の中にあると聞いていましたが、それ以外に、“日和見菌”という優勢なほうにつく菌がいるということを初めて知ったので目から鱗でした。
ちゃんと腸を良い環境にしておけば、日和見菌はいつも良い菌(善玉菌)の味方をしてくれるので、常に良い状態にしておかなきゃ!と思いましたね。
――ちなみに、前野さん自身の腸内環境は善玉菌と悪玉菌、どちらが多そうですか?
前野:たぶん良い菌のほうが多いと思います(笑)。
一同:(笑)。
前野:日和見菌が善玉菌の味方をしてくれていると僕は信じています。