あなたの心、無視します――TVアニメ『無能なナナ』柊ナナ役・大久保瑠美さん&中島ナナオ役・下野紘さんインタビュー
月刊「少年ガンガン」にて好評連載中(原作:るーすぼーい、古屋 庵)の人気漫画『無能なナナ』が待望のアニメ化。2020年10月4日(日)よりAT-X、TOKYO MXほかにて放送スタートします。
舞台となるのは、孤島にある奇妙な学園。「人類の敵」と呼ばれる怪物と戦うために集められたのは、さまざまな「能力」を持った少年少女たち――予想を裏切る展開や、知力、能力の限りを尽くした頭脳戦。そして友情。原作の面白さをどのようにアニメとして見せてくれるのか注目が集まります。
原作を知っている人もアニメではじめて作品にふれる人も展開に驚くこと間違いなしの本作。そのオンエアを目前に控え、人の心が読めるものの空気が読めない転校生・柊ナナ役の大久保瑠美さんと、同級生から「無能」だと馬鹿にされている中島ナナオ役の下野紘さんに、本作の注目ポイントやアフレコ裏話、さらには同期や無能に関するエピソードまでお聞きしました。
ピンクがこっちに走ってくるんです!
――最初は異能力学園バトルものかなと思っていたら雲行きが怪しくなり、完全にやられました。おふたりは原作を読んだ時の印象はいかがでしたか?
柊ナナ役・大久保瑠美さん(以下、大久保):原作はオーディションを受ける時に読ませていただきました。私も最初は「学園異能力もの」の作品かなと思っていたら、「おお、こうきたか。なるほどなるほど」って感じの展開で。これからどうなるのか予想できないな、というのが原作・アニメ共通の第1話の感想ですね。
中島ナナオ役・下野紘さん(以下、下野):そうですね。僕もオーディションの時に初めて触れたんですけど、表紙と中の雰囲気がぜんぜん違っていて、何の情報もなく読んだらパンクしそうになりました。
実は、オーディションを受ける時にマネージャーから「結構頭脳戦みたいなことが繰り広げられるから、そこを特に意識して」みたいに言われていたんです。残念ながら受けた役は落ちたんですけど、今回こういう形でナナオを演じさせていただくことになりました。
――そうだったんですね。ナナオはさすが下野さんという演技でしたが。
下野:ナナオのように「自信がないけど内心ではいろんなことを思っている」キャラクターは、十八番じゃないけどとても演じやすかったです。
――十八番といえば、先日配信された『TVアニメ「無能なナナ」放送直前スペシャル生特番! ニコナナ!』でも話していましたが、大久保さんはまたピンク髪のキャラクターですね。
大久保:そうなんですよ! 毎年ノルマのように、多い時は年に3人ぐらいピンクの子をやらせていただいて。本当に多いんですよ。私じゃなくて、ピンクの方から寄ってくるとすら思えるレベルです(笑)。
下野:昨今のアニメって、ピンクに限らずいろんな髪色の人がいるのにね(笑)。
大久保:多種多様な人がいる中で、ピンクが走ってくるんです。こっちに! オーディションを受ける時に、ピンクの髪だから受けようとかは全く思っていないんですけど……。
下野:そりゃそうだよね。
大久保:色がついたらピンクだったこともありました。でも、そういう意味では、自分のラッキーカラーだなって思うようになりましたね。今はなにか選ぶ時もピンクを手にとったりします。
――そして、今回のピンク髪のキャラクターこと柊ナナですけど、演じてみていかがでしたか?
大久保:第1話の印象としてはすごく可愛い子なので、とにかく元気に明るく演じました。ナナオの視点で物語が進むので「ナナオから見たナナってこういう子」というのも意識しましたね。明るければ明るいほど違和感があるというか、あんなにグイグイくる子はいないですから。
下野:なかなかいないし、空気読めない感がすごいなと。でも、昔のアニメって「そんなに好きか?」っていうぐらいグイグイくる子が結構いたよね。みんなが「こいつはダメなやつだ」となっているところに「ダメじゃないよ! 彼はすごくいいところ持っているんだから!」って。そう考えると、昭和の王道じゃないけど昔懐かしいヒロインという感じもしました。
――現実でそこまで言ってくる人がいるかはともかく、ナナのようにグイグイくる子はどうですか?
下野:僕はナナオの気持ちがわかりますね。「なんでそんなにグイグイくるんだよ!」ってやっぱり思うだろうし。と同時に、ナナオはナナに一目惚れみたいな感情があって、こういう風に人から褒められることもなかったから、「この子よくわからないな」と困りながらも心を許す部分があるのかなと。そんな気がします。
大久保:私は割と好きなタイプです。私自身、仲良くなりたい時は自分から声をかけて、返してくれたら「この人は話してもいいんだ」と思うタイプなので、向こうから来てくれたらハッピーですね。「あ〜嬉しい! 話しかけてくれた!」ってなります。同性だからかもですけどね。異性にめちゃくちゃグイグイこられたら、「なに狙い!?」ってなるかも(笑)。
下野:そうね。大久保さんも子供じゃないからね(笑)。
大久保:ただ、ナナは純粋に「あなたのことを素敵だと思ってます」って伝えてくるから、ナナオくんも心を許していくんだろうなって。それに、ナナのずるいところは、あんなに明るいのにちょっと弱いところを見せる時があるんですよ。それをナナオくんが感じ取って、さらに深みにはまっていく。恋ってこうやって始まるんだなぁと思いながら見ていました。
下野:確かにあれはずるいね。弱いところがちょっと見えてしまう、みたいな。
大久保:しかも、その時に顔を見せないっていう。もう、ずるいですよ!