『蒼穹のファフナー THE BEYOND』新オープニングテーマ「叫べ」angelaインタビュー｜30thシングルについて1万字の熱いメッセージをお届け！

『蒼穹のファフナー』はキャラとファンが一緒に成長を続けている作品

――オリジナルのSFアニメとしては異例の長編となった『蒼穹のファフナー』シリーズですが、関われてきた中で長く愛される理由や魅力を教えてください。

KATSU：アニソンを初めて作った時、プロデューサーに言われたのは「この世界は総合芸術です」ということでした。

それまではアニメに対して、自分たちの曲を作って、アピールするものかなとぼんやり考えていましたが、そこで意識が変わりました。

『ファフナー』も総合芸術で、スタッフが最初のTVシリーズからほとんど変わっていないんですよね。監督の能戸（隆）さんやシリーズ構成の冲方（丁）さんとか。そしてみんなでゼロから考えてストーリーが出来上がっていくという形も。

また関わる皆さんが競い合っていて、angelaが全力で曲を作ったらアニメのスタッフもすごい映像で返してきて。いいライバル関係がいい結果を生んでいるんじゃないかなと思います。

atsuko：シリーズを通して、同じキャラクターが年齢を重ねて成長し続けているのがいいなと。最初は少年少女が戦っていたけど大人になり、次の世代の少年少女たちを育成したり、見守り、支える立場になって、自分ができることを示していくという。

だから感情移入しやすいし、見ている方々も年齢を重ねることで、大人のキャラクターの考えに共感できるようになったり。アニメとファンの皆さんの成長がシンクロやリンクするところが引き付けられるんじゃないかなと思います。

――お二人にとって、『蒼穹のファフナー』はどんな存在になっていますか？

KATSU：よく言っているのは「angelaの骨格」。筋肉が『K』や『シドニアの騎士』で。皆さんにとって僕らのイメージは「『ファフナー』のangela」なんですよね。『ファフナー』の楽曲のことを「ファフソン」と呼んでいて、アニソンを作っている感覚ではないんです。

例えば『はめふら』の曲を作る時、脳は一瞬そちら側に動くけど、『ファフナー』の曲は1年前くらいにオーダーをいただくし、その1年間は「次はどんなことをやろう？」と常に考えている感じで。

『蒼穹のファフナー THE BEYOND』の最初のOP主題歌「THE BEYOND」も、前シリーズの『蒼穹のファフナー EXODUS』を見ながら「もし新しいシリーズがあったらこうしよう」と考えたものを形にしました。

atsuko：ライフワークに近いなと。最近思うのは、私は高音も低音も出すけど、声質は太めで、気持ちよく歌える声質が『ファフナー』なんです。

明るく楽しい曲をレコーディングする時はそっちのテンションに持っていかないとうまく歌えないけど、『ファフナー』の曲は自分の持っているものをそのまま出せば『ファフナー』になって。そう、私が『ファフナー』なんです（笑）。

でも『EXODUS』の曲は大変で、アニメとしては5年くらいブランクが空いていたので、TVアニメとして帰ってきた時、「どんな曲にすればいいんだろう？」って思いました。みんなは「Shangri-La」みたいな曲を期待しているだろうし、「Shangri-La」のほうがよかったと言われるのも嫌だし。

そんなプレッシャーの中、絞りに絞り出して、「イグジスト」を作ったら、『ファフナー』ファンの方から「『ファフナー感』はあるけど、新しい『ファフナー』だ」という反応をいただいて。遺伝子を感じながらもこれからの激しい展開に合っている曲だと認めてくださった空気があって、安心できました。

そこからED曲と挿入歌も書くことになり、『THE BEYOND』までつながるわけですが、それほどブランクがなかったし、『EXODUS』からの流れを意識しながら『THE BEYOND』のOP主題歌「THE BEYOND」、今回の「叫べ」と作れた感覚があります。

――現在、『蒼穹のファフナー THE BEYOND』が劇場先行上映中ですが、かなり各陣営が入り乱れ、複雑化し、生まれ変わった総士も大変なことになっていて、驚くやら、目が離せないやらです。

KATSU：前シリーズの『EXODSU』がすごすぎたので、今作を制作するスタッフにもきっと緊張感があったと思うし、それがいい意味で現れていておもしろいですね。

atsuko：作詞するにあたって、シナリオを全部読ませていただいているので、ストーリーはわかっているけど、絵がどんなふうになるのかはわからないままでした。劇場先行上映されたものを見ていくと、視覚的に飛び込んでくるいろいろな映像や情報に圧倒されたし、見れば見るほど「この映像に合った曲を作れたのだろうか？」と自問自答してしまいます。

――いよいよ11月13日より7～9話が劇場先行上映されました。

atsuko：少しは希望の光が見えるといいなと（笑）。最初のOP主題歌「THE BEYOND」の時、作り切ったと思っていたんですけど、しばらく経って能戸監督から「後半の更なる怒涛の展開に向けて、新しいOP曲を作ってください」と言われて、「マジで!?」とビックリして。だからここからまた激しくなると思います（笑）。

KATSU：僕は新OP曲のオーダーがあった時、「ですよね」と（笑）。「THE BEYOND」も作品の世界観や展開をしっかりとらえた曲になったと思いますが、後半はどうするのかなと僕も感じていたので、納得したし、作りたいと思いました。

でも1年前に作った曲なので、果たしてここからの展開にどうハマっていくのかが楽しみで。楽曲を担当したアーティストではなく、いちファンとしてワクワクしました。