『蒼穹のファフナー THE BEYOND』新オープニングテーマ「叫べ」angelaインタビュー|30thシングルについて1万字の熱いメッセージをお届け!
「おやすみ」はKASTUさんが興味を持っていたソルフェジオ周波数を導入
――カップリング「おやすみ」ではソルフェジオ周波数を取り入れたそうですが、そのきっかけや理由を教えてください。
KATSU:コロナ禍の状況になって、宮野真守君などYouTubeで発信を始めるアーティストが増えていますが、僕らも以前からやってみたいと思っていました。
具体的に何をしたいというアイデアも僕の中にあって、自分は都市伝説が好きで、愛好家もいるソルフェジオ周波数をやってみたいなと。スピリチュアルなものと思われがちですが、耳で癒されるアロマテラピーみたいものです。528Hz(ヘルツ)とも呼ばれ、一般的な音階の「ド」よりもちょっと高い「ド」で、全体のチューニングを上げるとソルフェジオ周波数を使った楽曲を作れるんです。
――更にダミーヘッドマイクを使ったバイノーラル録音の技法も使われていますね。
KATSU:YouTubeでは食べ物を食べるそしゃく音や雪を踏みしめる音を聞くなどASMR(自律感覚絶頂反応)が流行っていますが、アニメ業界ではダミーヘッドマイクを使ったバイノーラル録音の手法はかなり前から取り入れていました。ドラマCDではよく使われているし、angelaでもレコーディングで使っていますが、技術もどんどん発達していて。
でもASMRの音を聞くと「使い方が違うな」と思うことがあって、angelaならこう使うというのを聞かせたかったし、ソルフェジオ周波数と合わせて使えるんじゃないかと思い浮かびました。
その実験をしていた時に、「叫べ」のカップリングを考えることになって。「叫べ」はメッセージ性が強いので、真逆でメッセージ性がまったくなく、ただ聞いて楽しむことに特化する曲を一緒に入れるのはおもしろいかなと思ったし、音楽全体でCDのセールスが厳しい状況で、配信ではできない手法をやる意味も感じて、提案してみました。
――歌詞は20行にも満たない文字数ですが、5分半もあって。
atsuko:曲自体は結構長めですね。歌詞は意味を持つので普段だったら「私はなぜ生きているのか?」とか「人々はどこに向かうのだろうか?」と書きがちなんですけど、今回はヒーリング寄りの楽曲なのに、そういう言葉が入っていたら聞きながら考えてしまうし、心も休まらないと思うんです。
だから何も頭に残らない歌詞を書くという今までやったことがない珍しい作詞法でした(笑)。ただ耳障りが心地いい言葉を紡いで、1つの話にするという。
KATSU:眠れなくなるから意味を持たせないでとお願いしました(笑)。
――ミディアムテンポでatsukoさんのささやくような歌声も心地いいんですけど、サウンドがシンプルかと言われればそうでもなくて。
KATSU:『ファフナー』に引きずられて、ちょっと壮大になってしまっている部分はあります(笑)。ソルフェジオ周波数で生演奏をするのはほとんど不可能なんですよね。絶対音感を持っている人にとってはもはや「ド」ではないので。
だからアレンジの機材を駆使した特殊な方法で作るのは大変でしたし、アレンジしていると眠くなるんですよね(笑)。俺だけかなと思ったらエンジニアさんもミックスする時にそうだったみたいで。
atsuko:眠くなる曲というのを、身を持って体験できたわけですね(笑)。
――リスナー側の聞く環境はスピーカーかヘッドフォン、どちらで聞くのがいいのでしょうか?
KATSU:この曲は「ハイブリッド・ヒーリングミュージック」と僕は呼んでいます。人間の体の70%は水分と言われていますが、ソルフェジオ周波数は体で音を浴びた時にその水分が反応して、きれいな波紋になるんです。だからスピーカーから聞くことで効果がありますが、ASMRは逆にヘッドフォンで聞かないと効果が薄れてしまうという両極端のサウンドなので、どちらで聞いていただいてもヒーリング効果が得られるように作っています。心地よい楽曲をぜひ一度、体験してみてください。