ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2010年編】|『STAR DRIVER 輝きのタクト』銀河美少年が見せた綺羅星☆に遥かなる夢を見た
いつだって流星のように
『STAR DRIVER』という作品で一番、僕が共感したキャラクターは福山潤さん演じるシンドウ・スガタだ。
これは有名な話だが、本来『STAR DRIVER』はシンドウ・スガタを主人公とした物語となっていて、
ツナシ・タクトは第8話「いつだっで流星のように」でシンドウ・スガタにこう言い放つ。
「お前ってさ、本気で誰かに向き合ったりしてないよな。いつも1人壁を作って遠い世界にいる」
子どもの頃から島に縛られた生活を送っているシンドウ・スガタ。
福山潤さんが「はじめてクールに見えて実は違うキャラではなく、本当にクールな男を演じた」と後に語っていたように、感情の起伏が薄い理由が明らかになるエピソードだ。
これが中々、個人的に刺さった。
僕自身が誰かに本気で向き合うことをしてこなかった人生を送ってきたと気付いてしまった。
だから見ていて中々キツかった。しかも“実質無職”のタイミングで見ているのだから会心の一撃の如く身体の芯に響く。
それまで学校や職場で周囲の人と仲良くすることは苦手じゃなかったが、人間関係が長く続いたことはなかった。
よく言えば人当たりがいい。悪く言えば八方美人だ。
誰にでもいい顔をする代わりに、誰とも深く関係を持つこともしなかった。
その背景には中学校の時の経験があるのだが……と、この話は別の機会に。
『STAR DRIVER』は友情、恋愛、家族と様々仲良く人間関係を巧みに描いた作品という見方もできる。
心理学者のアルフレッド・アドラーは、人の悩みの9割は人間関係であると断言している。
つまり、“青春”をテーマに描いた『STAR DRIVER』も人と人の間の話なのだ。
人は誰かと一緒にいるからこそ、人の間に立つからこそ“人間”になれる。
与えられた役割を演じるピノキオではなく、決めるのは自分自身なのだ。
音楽が素晴らしい作品は記憶に残る
ここまでストーリーやキャラ、台詞について書いていたが、『STAR DRIVER』は音楽も素晴らしい。
MONACAの神前暁さんが手掛けた4人の巫女(アゲマキ・ワコ、ニチ・ケイト、ヨウ・ミズノ、ヒョウ・マツリ)の楽曲はそれぞれ印象的なシーンで起用されており、今でも記憶に残っている方も多いはず。
個人的にはアゲマキ・ワコが歌う『木漏れ日のコンタクト』が印象深い。
美しいメロディに乗った透明感があって、真っ直ぐで素直な歌声に一度聴いただけで魅了されてしまった。
メタっぽい感じになるのでこの表現はあまり好きではないのだが、あそこまで歌が上手い高校生であれば、それは歌手になるのが夢というのも頷けるというものだ。
特に印象的なのは、シンドウ・スガタの誕生日に歌ったエピソードと最終回だろうか……。
この他にもMONACAが手掛けた劇伴は感情を誘導することに大きく寄与している。曲がいい作品は名作という枠を超えることができる。
僕の心にずっと『STAR DRIVER』が残っているのは音楽の影響も強いと改めて感じた。
そして、2019年に惜しまれつつも活動休止となった『9nine』。ここではEDテーマの『Cross Over』に触れておきたい。
僕自身が何度も見ているからだとは思うが、非常にエンディングの映像が心に残っている。
映像の中で登場するのはツナシ・タクトとシンドウ・スガタ、アゲマキ・ワコの3人だけ。彼らの日常的な1シーンが描かれているのみなのだがこれが本当に美しいのだ。
こうやって書いていたら久しぶりにエンディングが見たくなってきた。