伝説は続くよどこまでも！　なぎさ、ほのか、ひかりにまた会える『ふたりはプリキュアMaxHeart総集編～ありがとう＆あいしてる 2021edition～』発売に寄せて、本名陽子さん、ゆかなさん、田中理恵さんインタビュー

西尾さんと鷲尾さんの存在感。

──例えば技のときは、西尾監督、鷲尾プロデューサーからどのような指導があるのでしょうか？

ゆかな：イメージと違うときは西尾さんがブースに入っていらして、「こうで、こうで、こうだー!」(と、手を振る)。

田中：身振り手振りで表現されるんです。もう名物と言われるくらいのオーバーリアクションで。時々鷲尾さんも入ってきてギャグを言ったり（笑）。それが和むんですよね（笑）。

本名：力がこもりすぎていたときにはお二方がフッと息抜きできるような瞬間も作ってくださるんですよね。

ゆかな：具体的なエピソードを話すとしたら……「プリキュア・マーブル・スクリュー・マックス」のときに、はじめ私たちは「“マ”ーーックス!」って、マを伸ばして言ったんです。

本名：確か発音として気持ちいいのは「“マ”ーーックス！」のほうが良いというお話になったんです。だけど、西尾さんが──。

ゆかな：そう。西尾さんがブースに入ってこられて「そこはさ、もっと押してさ! マック“ス”ーーーー!にしようよ!」って全身を使って表現されて(笑)。「え、“ス”を押すの!?」って。

田中：（笑）“ス”！

ゆかな：「エキストリーム・ルミナリオ・マックス」(最終回に登場)のときも、“ス”で押して。「プリキュア・マーブル・スクリュー・マックス・スパーク」のスパークもそうなんですよね。「スパー“ク”ーーー!」って“ク”に力が入ってて。普通だったら「ス“パ”ーーク!」だと思うんです。だけど「スパー“ク”ーーーー!」！

（C）東映アニメーション

　
田中：ひええええ……！

本名：いろいろなところに負荷がかかるっていう。

ゆかな：正直“ス”や“ク”で押すのはつらい。身体的にはしんどいんですけれど(笑)。

本名：そう（笑）。翌日仕事にならないくらい。でも敢えてしんどいほうを選択していく作品がプリキュアなんです。

ゆかな：西尾さんが身振り手振りでパワフルに表現されるので、そこまでされたらやらない選択肢はありません。

本名：そこから生まれるものが絵にのっかるんですよね。もうすごいなあって。

──その当時の熱があったから今もプリキュアが続いてきたんだろうなとも感じます。

ゆかな：それはもうすごかったですね！

──もっとお話をうかがいたいんですが、驚くほどあっという間に時間がきてしまって。次が最後の質問に……。

田中：ええ、早い！

ゆかな：でしょ!? いつもこうなの。毎回時間が足りない。…だけどそれも含めて素晴らしいことだと思うんです。時間が足りないって事自体は良し悪しだけど、「もっと会いたい」「もっと話したい」って思える作品であり、メンバーだということなら、それが本当に貴重だなって。

──最初の「また会いたい」の話につながりますね。では最後の質問なのですが……今回改めてお話を見せていただいたときに、一本の映画を観たような感覚になって。「日常の中で勇気を出す」というプリキュアならではのテーマも改めて感じさせられたような気分になりました。総集編を観られて、皆さんはどのようなことを感じられましたか？

田中：私自身がプリキュアを初めて観たときに驚いたのはバトルの体術だったんです。ステッキやコンパクトをイメージしていたんですけど、全然違ってとてもパワフルでカッコいい。

その躍動感が元気につながったり、自分も明日がんばろうって思いにつながったりするのかなと。今回総集編を見て、改めてそれを感じました。うまくまとめられないんですけど、やはり心揺さぶられることが多い、すごい作品だなと。

本名：コロナ禍でなかなか身動きがとれず、これができない、あれができないと窮屈になってしまいがちな昨今ですが、この総集編は、一筋の光のような希望を見いだせる作品なんじゃないかなと感じています。

コロナ禍で生活は一変してしまいましたよね。たとえ顔を合わせていても、マスクで顔の半分が見えない状態が当たり前で、日常の中で感情を読み取ることが難しくなって。でもそんな状況でも子どもたちは前を向いているんですよね。その姿を見たとき、自分も希望を失っちゃいけないなと思いましたし、「日常を取り戻したい！」って強く感じたんです。

そうした時に改めてこの作品を観て、西尾さんが大切に描かれてきたことをまた知れたような気持ちになりました。ほのほのがいつも「西尾さんのアンテナがすごい」といったお話をしてたんですが、本当にそうだなと。

「ふたりはプリキュア」「MaxHeart」は、不快なものや違和感を極力取り払った上で、登場人物のセリフや動き、音に至るまで丁寧に描かれているんです。しかもそれは敵の人間模様までも。しかもありがちな固定観念に縛られていない。

それが、小さいお子様から大人の方々まで、幅広い世代に受け入れられ、しかも長きに亘って観ていただけている理由の一つでもあると感じています。全ては自分たちの大切な日常を守るために。総集編で改めてこの作品の魅力を感じていただけるのではと思います。

ゆかな：それぞれの立場や境遇での選択、覚悟、獲得のようなものが描かれているのかなと思っています。ふたりの関係を1年かけて丁寧に描いたあと、ひかりという新しいキャラクターが入ってきて。今作ではひかりのことはもちろん、あちら側の事情や使命感も描かれています。

『MaxHeart』は、それぞれの境遇を描きつつ、それぞれが「どうするか」を探していくお話なんですよね。ときには“選ばない”という選択肢も含めて、自分自身で決めていく。そこから自分の確固たるものを獲得していく。

さっき理恵ちゃんが“かっこいい”って言ってくれたのは、絵のことはもちろんなんですけど、自らが汗をかいて、掴みとりにいくという姿勢自体を“かっこいい”って感じてくれたんじゃないかなと思うんです。きっとそれは見てくれている方もそうで。

変身することで思いの力が物理の力になって。まさに「マーブル・スクリュー」がそうだと思うんですけど、覚悟が定まれば定まるほど技が強くなっていく。そして、想いと想いの対決の中、「これを守るんだ」「これを得るのだ」というものに対して、それぞれが全力で獲得しにいく。もちろん相手にもそういう想いがあって。

最後のひかりさんとひかるくんが象徴していますが。普通に考えたら「ふたりがいなかったら元に戻るのかな」と思うんだけど、みんなの意思が少しずつ何かを変えて掴みとっていく。なぜならひかりとクイーンは別の存在だから。ひかり個人を、いなかったことなんかにしたくない。

その強烈な選択と獲得。それを自力で掴みに行く強い意思。さきほどの本名さんのお話に沿うとしたら、それが希望を持つということや、明日もがんばろうって思えることに繋がるのかなと思っています。

『MaxHeart』を見て、「カッコいい」って思って下さることも、「希望を感じる」ということも、みんなが覚悟を決めて自力で何かに挑んでいるからこそだと思うんです。ひとりでは不可能でもふたりなら、3人なら……。直接的な言葉ではなくても、そういったことが伝わっていたらいいなと思いました。

本名：すばらしい！

田中：さすがです。「このお話、ずっと聞いていたい」と思ってしまいました。

ゆかな：ありがとう……。

──ありがとうございました。ぜひまた……！

本名、ゆかな、田中：はい。またお会いしたいですね。

[取材・文／逆井マリ]

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※5月18日23：59〆切

▼インタビューはこちらhttps://t.co/vGn6RNFUTG #precure #ATCP0511
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) May 11, 2021