春アニメ『美少年探偵団』原作者・西尾維新さんインタビュー｜8話以降は「美観のマユミ」気分で細部まで注目を！

キャスティングはお任せ。アフレコ見学から着想した新作も!?

――各キャラクターのキャスティングについての感想は？

西尾：キャスティングに際しては原作者の声だけが唯一不要であると考えているので、そこはプロにお任せしております。万が一意見を求められるようなことがあれば、もちろん喜んでお答えしますけれども、いつも、このキャラクターはこんな風に喋るんだと教えていただいてばかりですね。

『美少年探偵団』に関して言えば『美声のナガヒロ』というキャラクターを迂闊に登場させてしまっていますが、放映された六人のやり取りを聞いていると、やはりお任せしてよかったと思えました。

――アフレコの様子をご覧になられたことはありますか？

西尾：執筆初期を思い出すつもりでアフレコ見学をさせていただき、その際に着想を得たのが『モルグ街の美少年』の表題作です。直接的にスタジオが舞台になっているわけではありませんけれど、プロフェッショナルの仕事に触れるというのは、いつだって刺激的です。

見学を終えて新作に取りかかった最中にも、文章内でキャラクターがその声で喋ってくれるというのは、とても執筆が捗りました。そういった意味では、『モルグ街の美少年』ではいつも以上にメンバー同士の会話が盛り上がっているかもしれません。

眉美が加わってから最初の事件はただただ楽しく。また叱咤激励されているような気分も!?

――キービジュアルやPV、本編などをご覧になった感想をお聞かせください。

西尾：キービジュアルやPVが制作されていく様子というのも、感じていて非常に心躍るものがあります。ある意味ではアニメ化における醍醐味というのは、そういった物作りの現場を一番近くで体感できるということなのかもしれません。

一方で放映される完成形を、前情報のない、もっとも素の状態で視聴したいという気持ちもあるので、そこは悩ましい部分でもあります。

――現在、8話まで放送されていますが、ここまでのお気に入りのエピソードやシーンを教えてください。

西尾：どの話数も刺激的だったことを強調しつつ、どうしたってインパクトのある一話を例外とすると、眉美さんが仲間になってから最初の事件となる『ぺてん師と空気男と美少年』が描かれる四話と五話から、ただただ楽しく見れましたね。

男装後の眉美さんは安心して見ていられると言いますか……、『別冊少年マガジン』で連載が始まった『新本格魔法少女りすか』のコミカライズにおいてもそうなのですが、なんだかんだ言って原作小説を書いたのが結構前のことになるので、その点で「何を言い出すかわからん」なんてどきどきしてしまうのはどうしてもあり、しかし実際に放映されたアニメを視聴すると、育てていただいた初期作から叱咤激励されているようで、不思議な気分です。

なので全話を見終わったあとで、また新しい小説が書けるのではないでしょうか。

8話以降は「美観のマユミ」気分で細部まで注目を！　アニメと原作、並行して楽しんでください

――本作はミステリー作品ですが、お好きなミステリー作品や影響を受けたミステリー作家はいますか？

西尾：リアルタイムな話をすれば、次に読もうと思っている推理小説がシャーロット・マクラウド著『蹄鉄ころんだ』です。まだあらすじも読んでいない最高にプレーンな状態で、読者として一番贅沢なコンディションであるとも言えます。記憶を探ってみると、確かではありませんが、江戸川乱歩作品で最初に読んだのはどうやら『パノラマ島奇談』でした。どういうセレクトだったのか……。でも、たぶん何らかの映像作品を先に見ているはずです。

――8話以降の見どころや注目ポイントを教えてください。

西尾：ここは「美観のマユミ」になったつもりで、画面の細部、画面の隅々にまで注目してもらえればと思います。<物語>シリーズや<戯言>シリーズのときとはまた違う絵作りがご覧いただけるのではないかと。小説では描けない背景の美しさを見れる、語れるのが映像の良さのひとつではないでしょうか。

――読者の皆さんへメッセージをお願いします。

西尾：アニメを見て小説を読んでいただくのも小説を読んでアニメを見ていただくのも、それぞれ違う味わいがありますし、もちろん平行して楽しんでいただくのも大いにありです。眉美さんの性格が、原作のほうがちょっぴり悪いかな？　という程度ですかね。

そうは言っても十冊以上あるシリーズですので、もしも興味が湧きましたら、最新作『モルグ街の美少年』からお読みいただければと…、ちなみに最新作の眉美さんが一番性格が悪いです。それはちょっとと思われましたらば、一作目『美少年探偵団　きみだけに光かがやく暗黒星』を、よろしくお願いします。ありがとうございました！

TVアニメ「美少年探偵団」作品情報

■放送情報
2021.4.10 START
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット(『ANiMAZiNG!!!』枠)
毎週土曜深夜 2:00

4月15日(木)21時~
AT-Xにて毎週木曜 21:00 ほか

■配信情報
4月10日(土)深夜 2 時~
ABEMA ※地上波同時・単独最速配信

4月13日(火)12時~
U-NEXT、アニメ放題、dアニメストア、d アニメストア for Prime Video、GYAO!、Amazon プライムビデオ、ひかりTV、バンダイチャンネル、Hulu、TELASA、J:COMオンデマンド、FOD、ニコニコチャンネル、Tver、TSUTAYA TV、ビデオマーケット、DMM.com、music.jp

4月13日(火)23時30分~
ニコニコ生放送

■キャスト
瞳島眉美（どうじままゆみ）：坂本真綾
双頭院学（そうとういんまなぶ）：村瀬歩
咲口長広（さきぐちながひろ)：坂泰斗
袋井満（ふくろいみちる）：増田俊樹
足利飆太（あしかがひょうた)：矢野奨吾
指輪創作（ゆびわそうさく）：佐藤元
麗（れい）：七海ひろき
札槻嘘（ふだつきらい）：鳥海浩輔

■スタッフ
原作：西尾維新「美少年シリーズ」（講談社タイガ）
総監督：新房昭之
キャラクター原案：キナコ
アニメーションキャラクターデザイン／総作画監督：山村洋貴
副監督：岡田堅二朗
美術監督：細井友保
色彩設計：渡辺康子
撮影監督：会津孝幸
編集：松原理恵
音響監督：亀山俊樹
音楽：太田雅友・EFFY
監督：大谷肇
アニメーション制作：シャフト

■主題歌
オープニングテーマ「Shake & Shake」sumika

エンディングテーマ1「Beautiful Reasoning」
美少年探偵団(双頭院学・咲口長広・袋井満・足利飆太・指輪創作)

エンディングテーマ2「Welcoming Days」
美少年探偵団(双頭院学・咲口長広・袋井満・足利飆太・指輪創作)