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『愛天使世紀ウェディングアップル』富田祐弘・遠藤彰二インタビュー

アニメ脚本家のレジェンド富田祐弘さんが、新作ゲーム小説『愛天使世紀ウェディングアップル』を執筆、どんな作品か聞いてきた!

ゲーム感覚でイラストつきのWeb小説や携帯小説が読めるサービス「タップノベル(TapNovel)」と、アニメ脚本家界の大御所・富田祐弘さんがタッグを組んで新作を制作中。
その新作は、現代の“結婚感”をテーマに描いたファンタジーバトルヒロイン作品『愛天使世紀ウェディングアップル』。

これまでに『美少女戦士セーラームーン』や『幽☆遊☆白書』、『超時空要塞マクロス』など、数え切れないほどの脚本を手掛け、「バトルヒロインの父」とも呼ばれる富田さんが、どのような作品を作ったのか!? 今回は正式リリースに先駆けて、お話を伺ってきた。
なお、インタビューにはタップノベルを運営する株式会社TypeBeeGroup 代表取締役であり、本作のプロデューサーも手掛ける遠藤彰二さんにも同席していただいた。

新作『愛天使世紀ウェディングアップル』のきっかけは富田さんと遠藤さんの師弟関係から!?

▲左から遠藤彰二さん、富田祐弘さん

▲左から遠藤彰二さん、富田祐弘さん

──アニメ『美少女戦士セーラームーン』や『幽☆遊☆白書』など様々な脚本でご活躍されている富田さんが、新しく企画を立ち上げたと伺いました。

富田:1995年に“結婚”をテーマにしたアニメ『愛天使伝説ウェディングピーチ』という作品を作りました。それから26年経った現在、世の中の結婚感はだいぶ変わっています。もう一度結婚をテーマにした作品を作れないかな、と。

──過去のお仕事を踏まえての行動なのですね。

富田:あるとき、タップノベルの遠藤社長から「なにか面白い企画ありませんか?」と聞かれたので伝えたんです。そうしたらおもしろがってくれて企画をスタートしました。それが、いま作っている『愛天使世紀ウェディングアップル』です。

──そもそも遠藤さんは、昔から富田さんと付き合いがあったのでしょうか?

遠藤彰二さん(以下、遠藤):僕が日本脚本家連盟の開催する脚本家スクールに通っていて、富田さんが講師をされてたんです。それがきっかけで、富田さんのゼミに入って脚本術をゼロから教えていただきました。

──『愛天使世紀ウェディングアップル』は富田さんがお一人で全て執筆されたんですか?

遠藤:今回は富田さんだけではなく、チームで執筆いたしました。シリーズ構成で富田さんに入っていただいて、脚本は富田さんと若手の脚本家6名で手分けをしています。このような書き方はアニメやドラマの制作方法に近いと思います。脚本家陣には独身の若い女性もいれば、既婚者もいます。独身を貫いているおじさんもいます。現代の結婚観を、いろいろな視点から持ち寄って、ひとつの作品に仕上げています。

富田:私はディティールやテーマ、下地を作っていますが、各話はみんなが書いています。特に若い女性の意見は、毎回驚かされているので新鮮です。

遠藤:若い人から、「今時の女の子はそんな行動をとらないと思います!」とか言われるんですよ(笑)。

──楽しそうな現場ですね。『愛天使世紀ウェディングアップル』は、どのような工程で作業を進めていますか?

富田:私が作ったプロットを元に、皆で何度か集まって設定を膨らませたり、キャラクターを深掘りするための会議を重ねました。その後は、各話を担当する脚本家に各話ごとのプロットを提出してもらい、それが通り次第脚本執筆作業に入ってもらいました。

遠藤: 今回の脚本制作では、通常のアニメの脚本制作とは違った特殊な方法を取り入れました。それはキャラごとに担当を付ける、というものです。物語全体では朝陽林檎という主人公がいるのですが、林檎の他にも4人の女性ヒロインがいて、各話ごとにスポットのあたるキャラクターが違います。このキャラクターがメインの時はこの脚本家が執筆、というような具合です。

──通常の小説の制作スタイルでなく、チームで制作することによるメリットはどう感じていますか?

富田:今回はプロデューサーや幾人かの脚本家がぞれぞれの意見を持っていました。
それゆえ私一人の考えだけでなく、多彩なアイディアが脚本に組み込まれ、幅広い内容になっています。その点がメリットです。

遠藤:今回は、小説スタイルではなくアニメスタイルの制作手法を取り入れました。
富田さんはアニメ脚本家でありシリーズ構成も過去に多く手掛けていますので、これまでのやり方をそのまま適用できるためスムーズに進められました。
また、大勢で書くためスピード感を持ち、且つ多様性を取り入れらることがメリットです。

──逆に大変だと思うことはありましたか?

富田:今回はプロデューサーも脚本家も優秀でしたので、原作・シリーズ構成の私の案を即座に理解して脚本に反映してくださった。それゆえ苦労どころか感謝です。

遠藤:お褒めいただきありがとうございます。プロデューサーの遠藤です(笑)。
キャラクター同士の呼称表の作成や属人的なキャラクターのブレの補正等、事務的な作業は発生しますが、メリットの方が大きいです。

──プロデューサーの立場から、今回富田さんとお仕事をしてみていかがでしたか?

遠藤:今回、脚本の恩師でもある富田さんとお仕事をさせていただき、シリーズ構成のイロハを学ばせていただきました。
TapNovelではこれまで、編集と作家が二人三脚で進めて行くスタイルでしたが、アニメの脚本作りの手法を取り入れることで、
より大勢のライター陣と、より大きなプロジェクトを進められるノウハウを得ることができました。
これは今後のTapNovel作品にも大きく活かせると思っていますのでご期待ください。

新作『愛天使世紀ウェディングアップル』はこうなる! 結婚をテーマにしたバトルヒロイン作品

──『愛天使世紀ウェディングアップル』はどのようなお話ですか?

富田:わかりやすく説明しますと、ヒロインが変身して悪と戦うバトルヒロイン作品です。悪魔が地球に降りてきて、愛とか夢、希望を滅ぼそうとします。そんな悪に、天使のDNAを持った女の子たちが立ち向かうお話です。

──どのようなキャラクターが登場しますか?

富田:『愛天使世紀ウェディングアップル』に登場する天使と悪魔はいがみ合っているけど、心が通じ会えれば争いは起きない。これを背景に考えて、主人公は5人の女の子の天使たちに決めました。

▲朝陽林檎(あさひ りんご)
ウェディング・プランナー会社『アイリス』でアルバイトをしている、17歳の女子高生。
幼い日のロマンチックな思い出から、結婚に強い憧れを持っている。
おっちょこちょいな一面もあるが、素直で純情で、人の心の痛みが分かる心優しい少女。
聖なる『愛』の心を司る、愛天使『ウェディング・アップル』に変身する。

▲霧乃あやめ(きりの あやめ)
ウェディング・プランナー会社『アイリス』を経営する、33歳の女社長。
三年前に夫が謎の失踪を遂げ、現在は一人で小学生の息子を育てている。
仕事と子育ての両立に苦労しており、息子を構ってあげられないことに、しばしば心を痛めている。
聖なる『希望』の心を司る、愛天使『ウェディング・アイリス』に変身する。

▲苗場桜(なえば さくら)
結婚式場内の花屋『苗場生花店』の娘で、中学二年生の少女。
生意気で素直になれない性格。結婚を夢見る林檎に対しては、くだらないと否定している。
両親が離婚を意識していることを、幼いながらも察知し、心の奥では不安や寂しさを感じている。
聖なる『誠実』の心を司る、愛天使『ウェディング・チェリー』に変身する。

▲雪代椿(ゆきしろ つばき)
結婚式場内にある喫茶店やバーでアルバイトをしている、26歳の女性。
恋愛に対して情熱的で、男性に惚れやすいが、長続きしない。常に真実の愛を探し続けている。
実家は名家のお嬢様だが、喧嘩して家を飛び出し、現在は一人で生計を立てている。
聖なる『勇気』の心を司る、愛天使『ウェディング・カミーリア』に変身する。

▲武笠蘭(むかさ らん)
空手道場の一人娘で、林檎と同じクラスの、17歳の女子高生。
男勝りな性格で、同級生の男の子たちは意気地がないと嫌っている。
幼い頃から、男の子のようになりたいと願っており、林檎に対して密かな恋心を頂いている。
聖なる『感動』の心を司る、愛天使『ウェディング・オーキッド』に変身する。

──タイトルにもなっている“結婚”がテーマと伺いました。

富田:結婚の基本的な部分は26年前と変わっていませんが、近年は女性同士、男性同士のような同性愛もよく聞きます。海外では結婚もできる時代です。あとは以前はあまり聞かなかった年の差婚や、離婚をして仕事をしながら子育てをする女性など、さまざまなカタチがあります。『愛天使世紀ウェディングアップル』に登場するヒロインたちは、既婚者だったり結婚自体に興味がなかったり、さまざまな女性が出てきます。

──かなりリアルで、簡単には扱えなさそうなテーマですね。

富田:あ、でも、心配しないでください! いまはインタビューなのでかなりマジメに語ってしまいましたが、エンタメ作品だから基本的には明るく楽しい作品です。ご安心ください(笑)。

──安心しました(笑)。

富田:エンターテイメント的な側面を紹介しますと、女の子たちは悪魔に襲われたとき、悪いオーラから身を守るために変身します。その衣装が花嫁衣装、ウェディングドレスなんです。そして、いざ戦闘するときはお色直しをします。二度変身するバトルヒロイン作品です。

──おもしろいですね!

富田:そして、戦うアイテムも結婚がテーマなので、ウェディングベルや祝電、キャンドル、スモークなど、すべて結婚式に関わるアイテムです。

──敵の悪魔は、どのようなキャラクターですか?

富田:敵はワルだけど、かっこいい男性キャラクターにしました。地球上に現れてライブ活動をしながら、人類を洗脳しようと企む連中です。

──悪魔がライブ活動で人類を洗脳……なかなかに尖った敵たちのようですが、こちらのキャラクターも可能な範囲で教えていただけますか?

遠藤:敵キャラクターたちもヒロインたち同様、幼少期の生い立ちから人物を作り上げています。どんな過去を背負い、どんなトラウマを持った結果、今に至るのか。
戦いの中でヒロインたちと内面の触れあいも描いているので楽しみにしていてください。

──悪魔たちもやはり"結婚"観はあるのでしょうか……?

富田:地球上に降り立った時、恋や愛など否定しているので、結婚の意識などまるでありません。

遠藤:あくまで、降り立った時は、と補足しておきます(笑)。

──想定している読者は、どのような方々でしょうか?

富田:私が企画を考えたときは、『セーラームーン』のような女児向けコンテンツを意識していました。ですが、アプリなのでターゲット層が小学生というわけにはいかない……と(笑)。

遠藤:さすがに小学生だと(笑)。なので、女性だったら16歳以上をメインターゲットにしました。でも、『プリキュア』などの作品は、いまは女児だけのコンテンツではありませんよね?

富田:そうなんですよね。以前、セーラームーンのミュージカルの脚本を書かせていただいたので、本公演を見学しに行ったんです。いざ本番が始まったら、客席の約4割が男性だったのでびっくりしました。いまはそんな時代なので、『愛天使世紀ウェディングアップル』も女性だけでなく、男性も楽しんでいただけると思います。

富田さんの書くシナリオは、キャラクターひとりひとりが生きている

──ネタバレにならない程度に、遠藤さんが読んだ感想を聞かせていただけますか?

遠藤:そうですね……僕はずっと制作サイドにいるので、正しい読者の感想を言えるかわかりませんが。

──お願いします。

遠藤:富田さんが書くシナリオは、キャラクターのひとりひとりが生きているんです。富田さんが作った世界では、すべてのキャラクターがその世界でちゃんと生活している。だからそれぞれのキャラクターの言動が一切ブレないんです。それは特にセリフに表れます。誰が言ってもいいセリフは使わない。この子じゃないと言えないセリフを出してくださるんです。

富田:今回の「愛天使世紀ウェディングアップル」に限らず、物語ができたらキャラクターにしゃべらせるセリフを考えるのが、一番楽しいんです。6月23日に配信される「愛天使世紀ウェディングアップル」も、みなさんに楽しんでいただけたら嬉しいです。

作品情報

作品名:「愛天使世紀ウェディングアップル」
配信日:6月23日(水)
配信サイト: ゲーム小説サービス 「 TapNovel(タップノベル) 」 (https://tapnovel.com/)

TapNovel(タップノベル)とは

TapNovel(タップノベル)は、ゲーム感覚でイラスト付きのWeb小説や携帯小説が読めるサービスです。恋愛やファンタジーから、SF、ホラー、本格ミステリーまで、毎日沢山のストーリーを配信中です。

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