みなとを演じる上で思い起こした学生時代と教育実習の記憶――気付けば7人の水球部が誕生した。夏アニメ『RE-MAIN』第6話までを上村祐翔さんが振り返り【声優インタビュー】
総監督・脚本を西田征史氏、アニメーション制作をMAPPAが手掛けるオリジナルアニメ『RE-MAIN(リメイン)』が2021年7月より放送中です!
水球を題材に、交通事故に遭い記憶を失ってしまった主人公・清水みなとの成長やチームメイトの青春が描かれるこの夏にぴったりな本作。今回はみなとを演じる上村祐翔さんにインタビューを実施しました!
“記憶喪失”という特殊な生い立ちのみなとを演じるにあたってのお話や、すでに放送中の第6話までを振り返った感想を伺っています!
身体は中3、メンタルは小6。みなとを演じる上で思い起こした学生時代と教育実習
――現在、第6話までが放送されていますが、ここまでの物語全体の振り返りや、本作についての感想をお願いします。
清水みなと役・上村祐翔さん(以下、上村):「水球って何だろう?」という状態から始まったみなと。栄太郎や譲に入部を迫られ追いかけられたり、ちぬととんでもない約束をしていた事実が発覚したり……あらゆる転機を繰り返し、気付けば7人の水球部が誕生していました。1話ごと丁寧に、でも大胆に物語が展開していく作品の雰囲気を感じ、見ていてとても心地よかったです。
さまざまな役割を担っている西田(征史)さんが作るオリジナルアニメだからこそできる展開やキャラクターの魅力が紐解かれていく様に、台本をいただく度に心が浮き立ちました。現時点では第6話ということで、バラバラの動機で集結した7人が練習試合や合宿を通してより絆を深めている、部としては上り調子な状態です。
自分は出演者なので今後のお話はもちろんわかってはいるのですが、これからの物語がどうなるか、一視聴者としても楽しみです。
――第1話では、“記憶喪失”からのスタートが衝撃的でしたが、役作りや演技面では、どんなことを意識されましたか?
上村:スタート時のみなとは、身体は中3、メンタルは小6という状態でした。いろんなことを吸収する成長期において、精神の発達のスピードは計り知れないと思います。ですが、今回はある意味「スタート地点にまた立ったような感覚」なのかなと思って、まっさらな状態でみなとの役作りに取り組みました。
まず考えたのが、実際の小6の子がいざ中学に入学して8か月の月日を過ごしたとしても、そこまで大きな変化があるのだろうか、ということです。自分の学生時代を振り返ったり、かつて教育実習で担当した中学1年生の生徒たちのことを思い返したりしましたが、なんだか「小学7年生」みたいな、中学の制服は着ていてもまだまだかわいらしい子ども、という印象が残っていました。だから、あまり年齢感という縛りに捕らわれず、西田さんとディスカッションをしていきながらみなとを作り上げていこうと考えました。
あどけないみなとを表現するうえで特徴的だなと思うのは、モノローグでの感情豊かなセリフ回しや語尾を「変なの~~」みたいに少し伸ばすところですね。そして、何よりも「愛される主人公を目指そう」というのが僕と西田さんの目標なので、視聴者の皆さんに寄り添えるような、優しくてピュアで明るい部分をしっかり持ちつつ、素直に物事に対してリアクションをしていけるような演技プランを意識しながら臨みました。
物語が進むに連れて「みなとはなんて心のあたたかい子なんだろう!」と思うことばかりで、彼に尊敬の念をもって演じさせていただいています。
――第2話以降、江尻やババヤロ、網浜をはじめ、栄太郎、牛窓、譲、それぞれの水球を始めるきっかけが明らかになり、キャラクター一人ひとりの背景や関係性が深まっていくのを感じました。上村さんからご覧になって、気になるチームメンバーはいますか?
上村:みんな個性豊かで魅力的なので、選ぶのが難しいですが……個人的には網浜君が好きです。兄であるモモへの強い想いや「檸檬」の朗読の場面から読み取れる全力さが、とても真っすぐで気持ちがいいです。
彼の中の「これだけは譲れない」っていうポリシーがあって、そこが垣間見えるのもいいですね。ともすると、チームの輪を乱すような雰囲気を纏っていますが、彼がいることでいいエッセンスになっていて、物語も面白い方向に進んでいくので、なくてはならない存在だなと思います。学生時代、彼のような友達がいたら毎日が新しい発見で彩りがあっただろうなと感じますね。
――また、物語としては第5話で山南高校水球部が活動開始、第6話でチームとしての姿が描かれていましたが、ここまでで印象に残っているシーン・エピソードを教えてください。
上村:第5話のみなとと栄太郎の掛け合いはとても印象的でした。「僕は天才なんだ!」と自分を鼓舞して練習試合に挑むも全く歯が立たず、どん底に落ち込んだしまったみなとに、栄太郎が衝撃の告白をする……という大きな展開。見方によれば栄太郎の気持ちもわかるようで、でも自分勝手だなあと思う部分もあって。そんななかでのみなとの行動には驚きました。
どうにか答えを見つけようと備前監督に会いに行って、そして前の自分が「努力の天才」だったということがわかって、だったらもっと努力して前の僕になってみせるぞ、と考えました。その気概に脱帽しましたね。そして栄太郎に対して掛けた言葉「また、僕に憧れさせてみせるから」に、演じ手ながら惚れそうになりました。ここまでのポテンシャル、ここまでのポジティブさ、そこに嫌みのない真っすぐな想いがあって、本当に素敵なキャラクターを演じられて誇らしいなと改めて実感しました。
みなとと栄太郎のシーンは、栄太郎役の西山宏太朗くんとじっくり録らせていただきました。まさに作中同様の二人きりの空間だったので、栄太郎の重い空気感をみなとが徐々に解き放っていくような感覚を味わいながらの収録でした。まだ第5話は拝見できていないので、その感じが皆さんにも伝わっていたらいいなと願うばかりです。