この記事をかいた人
- 篭法
- 内向的で口下手、典型的な陰の者。テーマやメッセージ、登場人物の心情を考えさせられるアニメが好み。小説も好き。
――本作を語るうえでは、オリジナルキャラクター・ミトの存在も欠かせません。松岡さんから見て、ミトはどのようなキャラクターとして映りましたか?
松岡:彼女は言ってしまえばゲーマーで、ゲームの世界を誰よりも楽しんでいる。キリト視点からすると同じ匂いを感じました。
ミトはアスナを守りたい一心で行動していて、本当に優しい子ですよね。その後ふたりにはとある出来事が起こりますが、ミトに共感できる部分もあって……難しいですね。
――本作はアスナ目線の《アインクラッド》編ということで、TVアニメと同じシーンでもいろいろな新しい発見がありました。松岡さんにとってはいかがでしたか?
松岡:台本をいただいた段階では、(自分の演じる役以外の部分は)読み込まないんです。例えばキリト目線で考えると、アスナのことを最初から知ってしまっていると変に感情移入しちゃう箇所が出てきてしまうので。あくまで作品内でキリトが出てくるところからがキリトの人生と言いますか。だから、僕は基本的に映像が完成してから作品の全体を見るんです。
原作のほうも事前に読ませていただきましたが、完成した映像を観た時は、『プログレッシブ』でアスナが抱えている思い、家族関係のお話が映像になるとより如実に出ていると感じました。
今までのアスナは、TVアニメの印象だといきなり強い状態、とにかくツンツンしている印象だったのですが、改めてこの『プログレッシブ』でその歩みを見てみると、やっぱり年相応の子であって、最初はゲームのことも本当に何も知らなかったんだな、と思いました。守ってあげたくなる感じがありました。
――本作のキリトとアスナのやりとりは今までのシリーズとはまた違う初々しさがあって、とても新鮮でした。
松岡:そうですね。改めて『SAO』の年月の長さを如実に痛感する出来事だったと言いますか、最初にアスナと掛け合った時の衝撃たるやなかったですね。
――衝撃ですか。
松岡:明らかな壁を感じるんです。今までのシリーズだと「キ~リ~トくん」みたいに済ませられるところが、全くないんですよね。「こんなに距離があったんだ!」と思いましたし、頭をガツーンと殴られたような衝撃でした。
――そんな衝撃の出会いから始まるわけですが、そこから徐々に打ち解けていくふたりが印象的でした。変化していくふたりの空気感を出すうえでは、どのようなことを意識されましたか?
松岡:ある種“なぞっていく”というのはすごく簡単なことなんです。自分たちは先のお話まで知っていますけど、当人たちは先のことは知らないので、気持ちがどんどん揺れていく過程などは本当に大事にしたいと思っていました。
あと意外とキリトからアプローチをかけているんですよね。
ふたりでミトの話をしたりと、TVアニメでは触れられなかった話やシーンもあって。「自然に」という言い方をすると安っぽく感じるかもしれませんが、本当に“なるべくしてなっていく感覚”で、徐々にアスナとキリトの関係がいつものよく知っている関係だ、と見えてくるところがありましたね。
TVアニメと同じシーンを改めて演じるにしても、アニメのころより深い感覚で捉えられたんです。シリーズを観ている状態だと補正もかかってしまうのかもしれませんが、それでも見比べていただくと『プログレッシブ』のほうが明らかにふたりの距離が狭まっていることが分かると思います。
――それはぜひ、TVアニメと映画両方を見比べて確認したいですね。ありがとうございました!
[取材・文/篭法 写真:鳥谷部宏平]
中学までは運動部だったが、だんだんインドア趣味になり、今では完全に陰の者。小説が好き。ライターを志すきっかけになったアニメは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。その他に好きな作品は『91Days』『SSSS.GRIDMAN』『ワンダーエッグ・プライオリティ』など。アイドル系の作品にはあまり触れてこなかったが、1年ほど前から『シャニマス』にハマり、ライブにも足を運ぶようになった。
▼アスナ役・戸松遥さんインタビュー|今回のキリトは「可愛い」が勝る!? “不器用なアスナ”からのスタートにも注目
▼ミト役・水瀬いのりさんインタビュー|水瀬さんが憧れたミトとアスナの関係性の魅力とは?
10月30日(金)全国公開!!
全世界での累計発行部数は2,600万部を突破!! 原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、完全新作アニメーションで映画化!!!
第15回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原礫氏による小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(「電撃文庫」刊)。次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた物語は、2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、2021年現在、全世界での累計発行部数は2,600万部を突破。
TVアニメは2012年に第1期が放送され、現在までに4シリーズ(全97話※1)が放送されている他、ゲーム、コミカライズなど、幅広いメディアミックス展開がなされている。2017年には『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が公開。興行収入25億円を突破する大ヒットを記録した。
『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は、《SAO》物語のすべての始まり、アインクラッド第一層からの軌跡を、深く掘り下げながら詳細に描く作者自身によるリブート・シリーズ。原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、完全新作アニメーションで映画化。
これは、ゲームであっても遊びではない――。ゲームオーバーは現実の死に直結する。全ての原点であるデスゲーム『ソードアート・オンライン』が、劇場のスクリーンで新たに幕を開ける。
※1総集編および、「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」を除く
これは、《閃光》と《黒の剣士》が、その名で呼ばれる前の物語―。
あの日、《ナーヴギア》を偶然被ってしまった《結城明日奈》は、本来ネットゲームとは無縁に生きる中学三年生の少女だった。
ゲームマスターは告げた。《これはゲームであっても遊びではない。》ゲームの中での死は、そのまま現実の死につながっている。
それを聞いた全プレイヤーが混乱し、ゲーム内は阿鼻叫喚が渦巻いた。そのうちの一人であったアスナだが、彼女は世界のルールも分からないまま頂の見えない鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略へと踏み出す。
アスナに訪れる運命的な《出会い》。そして、《別れ》―。
《目の前の現実》に翻弄されるが、懸命に戦う彼女の前に現れたのは、孤高の剣士・キリトだった―。
原作・ストーリー原案:川原 礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
サブキャラクターデザイン:秋月 彩・石川智美・渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾・中島 宏
2Dワークス:宮原洋平・関 香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM・ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO-P Project
キリト:松岡禎丞
アスナ:戸松遥
ミト:水瀬いのり