初登場のギルドに大興奮! アニメに期待しているものがすべて詰まっていた──冬アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』ユウキ役・阿部敦さん インタビュー【連載第5回】
大人らしさを排除!? 第1期の演じ方を中心に、第2期では振れ幅を大きく
――お芝居の話がありましたので、第3話の前にそちらについてお聞きします。アニメ『プリコネR』では、どのようなことを意識してユウキを演じたのか教えて下さい。
阿部:金崎監督とは第1期で初対面だったのですが、第1話のアフレコで「4人目のヒロインでいて欲しい」と言われて。絵的にも結構丸っこくてほんわかしているから、可愛く演じた方がいいのかなと思ったんです。でも、実際にやっていくと、そっちじゃないなと。なんというか、男女という垣根を超えた“仲間感”、“家族感”、“友達感”だと思いました。なので、(記憶をなくしているから)赤ちゃんっぽいところは出しつつも、いい意味でみんなとフラットになるように意識して演じています。
――具体的にはどのようなことでしょうか?
阿部:僕たちは大人ですから、会話する時に相手の言葉の裏を想像することもありますよね。自分が言葉を発する場合でも、本当はこう思っているとか。でも、ユウキくんを演じる時は、それを一切排除しています。具体的には「文字に起こした時に全部ひらがなに聞こえるように」とか「ちょっと口元を緩く言う」といった感じですね。
――第2期になって、そのような意識に変化はありましたか? それとも全く同じ感覚でしょうか?
阿部:もちろん、いま話したことは第2期でも中心に据えて演じていますけど、だんだんと振れ幅が大きくなっていますね。ユウキくんって赤ちゃんっぽくて、親目線で見ちゃうところがあると思うんです。それが、シリアスなシーンなどではあんなに幼かった彼が力強く言うことも増えてきて、幅が広がったなと感じます。
――そういえば、先ほど「4人目のヒロイン」との話がありましたけど、第2話では【美食殿】のほかのメンバーと同じように、ユウキもアイドル衣装を着ていましたね。
阿部:あれは可愛かったですね(笑)。アフレコの時も絵がついていたので、おぉ〜! と思いながら演じていました。(アイドル衣装を着た)【美食殿】の4人を下からカメラでパンしていくシーンでは、コッコロとペコリーヌはセリフがあったけどユウキくんは最初セリフがなかったんです。入れたほうがいいかなと思って恥じらいの息を入れたら、共演者から「可愛い声だった」と言われて(笑)。僕的にちょっと遊んでみました。
――ちょっとしたセリフや息のアドリブを入れることもあるのですね。
阿部:ありますね。あまり入れ過ぎちゃうとちょっとうるさくなったり、ユウキくんっぽくなくなったりするので、そこはバランスを見つつですが。台本に書いていないところにアドリブを入れることもありますし、「台本にはこう書いてあるけど、この状態ならこうじゃないですかね?」と僕から金崎監督に提案して、了承をもらうこともあります。絵と違和感がないようにしながら、攻められるところは攻めて、みんなでより良いものにしています。
エンディングの【美食殿】の構図もあったかくて好きです
――物語の方に話を戻しまして、【なかよし部】が登場した第3話はどのように感じましたか?
阿部:今回はユニ先輩にフィーチャーし、彼女が世界の秘密にうっすら気づいて追っていくのをドタバタ描きつつ、最後には綺麗に締めて次の話数に繋げる。ドタバタと謎がとても上手く絡んだお話だったなと感じました。
――【なかよし部】はゲームでも大人気で、みんなすごくキャラが濃いですよね。アニメでの3人の印象はいかがでしたか?
阿部:ひとりひとりもそうですけど、あの3人のマリアージュですよね。ユニがボソッと言いつつ、チエルがギャーギャー騒ぐ。クロエもちょっとボソッとつぶやくけど、ユニとは結構方向性が違っていて。そんな3人がミックスして、わちゃっと喋った時のお互いがお互いを高め合っている姿が人気の所以なんだろうなと思います。
あと、一緒に登場したアオイもヤバい子ですよね(笑)。演じる人の話になってしまいますが、(花澤)香菜ちゃんの芝居も上手いなと。アオイのジタバタしている感じとか、あのセリフをこういう風に言うんだとか、本当に上手いです。
――キャラクター同士の絡みで言えば、ゲームではあまり見られなかったユウキ以外の【美食殿】のメンバーと【なかよし部】の絡みがあったのも新鮮でした。
阿部:そうですよね。ゲームだと主人公は始まった時点でほぼすべての女性と知り合いという立ち位置ですけど、アニメでは全員と初対面。基本的に【美食殿】単位でほかのキャラクターたちと関わるので、こんな感じに描いていくんだと思いました。常についてきてくれるコッコロ、いやいやながらも付き合ってくれるキャル、話を聞いたら「協力しましょう!」と言ってくれるペコリーヌ。そういう関係ができていますよね。
――このインタビュー連載の第1回で、プロデューサーの守屋竜史さんとアニメーションプロデューサーの上内健太さんにお話を伺った際、「中心は【美食殿】の4人が活躍するアニメにしたい」と話していて。まさに今の話に繋がっていると感じました。
阿部:やっぱりみんなで進めていくお話なんだなと思います。それってオープニングやエンディングも同じで。今回のエンディングでは、コッコロが写真を見て寝てしまい、それに気づいたペコリーヌとキャルが降りてきてコッコロに毛布をかけてあげる。そして、2人もそこで寝ちゃって、3人に毛布をかけてあげるユウキくん……この構図がすごくあったかくていいですよね。
『プリコネR』って『みんなでご飯を食べる』が、もうひとつのテーマだと僕は思うんです。それって簡単なようで難しい。いろいろわだかまりもあれば、それぞれの思いもありますから。でも、みんなが一緒にご飯を食べることによって、お互いが理解していく。
第1話のラストで、みんなが(冒険から)帰ってきて、あまりものだけどお粥を作って「いただきます」と言って食べるシーンがありましたよね。あのシーンを見て、食べている時は無言でも、いろいろなことを雄弁に物語っていると感じました。「いただきます」から無言で食器のカチャカチャする音があって、空の食器を置いて「ごちそうさまでした」という流れがすごく好きなんですよ。
――特別な食事会ではなく日常のワンシーンというか。会話がある時はあるし、ない時はない、といった感じですよね。
阿部:そうなんですよ。第2期の最後がどうなるかは(インタビュー時点では)わからないですけど、みんなで美味しくご飯を食べて、雄弁な沈黙があって、みんなで「ごちそうさま」とほっこりして欲しいなって思いはすごくあります。