珠玉の名曲たちが手をつなぐ デビュー10周年イヤーを記念した『やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム -Roundabout-』タイトルは“さまざまな人との巡り合い”を表現 やなぎなぎさんインタビュー
ロックバンド・THE SIXTH LIEとのコラボレーションや、麻枝准さんの新作『ヘブンバーンズレッド』への参加など、2022年もさまざまな活動が話題となっているやなぎなぎさん。今年はデビュー10周年イヤー。それを記念して、ファンの投票をもとに構成された『やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム -Roundabout-』がリリースされました。
本作には北川勝利さんが作曲・編曲を手掛けた新曲「Roundabout」からはじまり、デビュー曲「ビードロ模様」、「メルト10th ANNIVERSARY MIX」をはじめとしたコラボレーション曲、さらにデビュー前の貴重な楽曲まで全16曲をパッケージ。
さまざまな人との出会い、思い出が詰まった珠玉の名曲たちが手をつないだ本作について、やなぎなぎさんにうかがいました。
みんなの「推し曲」を集めた宝箱
――『やなぎなぎ 10周年記念 セレクションアルバム -Roundabout-」』がリリースされました。めちゃくちゃ豪華な作品ですね。
やなぎなぎさん(以下、なぎ):ありがとうございます。
――以前のインタビューのときも10周年について少し伺っているのですが、改めて10周年を迎えられたお気持ちを教えていただいてもいいでしょうか。
なぎ:体感的にはあっという間で。こうして作品を集めたり、10周年のライブの準備をしていたりすると「いろいろやってきたな、思い入れがあるな」って。お部屋の片付けをしているときに、思い出の品がいっぱい出てくるといった状態でした(笑)。この曲も入れたいし、捨てがたいし、という感じになってしまって。
――その中から選ばなければいけないというのは難しいですよね。今回はファンの方が事前に(2021年10月)選ばれた「やなぎなぎの推しの1曲」を中心に構成されています。
なぎ:やなぎなぎとして活動して17年くらい経つのですが、その間の曲をファンの皆さんが投票してくださった曲とすり合わせていきました。
――以前やなぎなぎと発表された曲は150曲くらいあるとおっしゃっていたと思うんですが、現状何曲あるんでしょうか?
なぎ:何曲くらいだったっけかな……アンケートをするときに一度リストにまとめてもらっていて。そのときに少なくとも200曲はあったようです。
――200曲! その中から1曲選ぶというのはかなりの至難の業ですね(笑)。実際にファンの方が「選べない!」と叫ばれていたTweetも拝見しました。
なぎ:ちょっと多すぎますね(笑)。投票していただくページに載せた曲自体は数を絞っていたのですが、自由に表記ができるようになっていたので、そこにすごく昔の曲を書いてくださる方もいて。
――中には意外な曲のリクエストも?
なぎ:そうですね。自分自身も「これいつ歌ったかな?」って思うような曲もありました(笑)。ホームページに1回だけ載せた曲とか。「皆さんよく覚えてるなぁ」って。
――逆にいちばんリクエストが多かった曲はなんだったんでしょうか?
なぎ:デビュー曲の「ビードロ模様」でした(2012年2月29日発売、テレビアニメ『あの夏で待ってる』エンディング主題歌)。やっぱりこの10年間一緒に歩んできた曲だったので、私でもこの曲を選ぶかもしれないなって。だから皆さんが推してくださったのが嬉しかったです。あと、意外だったのが「三つ葉の結びめ」。この曲は『凪のあすから』という作品の2期のエンディングテーマだったんですが、なんとなく1期のエンディングテーマの「アクアテラリウム」のほうが印象が強いんじゃないかなと思っていたんです。でも「アクアテラリウム」よりも「三つ葉の結びめ」に票が集まっていたので、自分自身も好きな曲ではありますけど意外だなって。
――へぇ! 『凪のあすから』もとても人気のある作品。私自身もすごく好きな作品なのでどちらの曲も選び難いです……。
なぎ:(笑)。海外に行ったときも『凪のあすから』の人気がすごくてびっくりした記憶があります。確か……インドネシアに行ったときだったと思うんですけど、いろいろな記憶がもしかしたらごっちゃになっているかもしれません。
――『凪のあすから』も気づけば9年前に放送がスタートした作品ですもんね(2013年〜2014年放送)。時が経つのは早いなと、この作品を聴きながら思いました。そして改めていろいろな作品の楽曲を彩られてきたんだなと。
なぎ:本当にあっという間ですね。
幕開けを飾るのは新曲「Roundabout」
――新曲についても教えてください。オープニングに収録されているのは、なぎさんが作詞を、北川勝利さんが作曲・編曲を手がけられた「Roundabout」。北川さんらしい曲ではあるんですけど、はじまりは少し意外な感じもしました。
なぎ:あのイントロ自体、最初にデモをいただいた段階ではついていなくて。最初いただいたときは歌始まりだったんです。北川さんにもらう曲は歌始まりが多いので、それも北川さんらしいなと思ったんですけど「この曲はアルバムの1曲目にしようと思っているので、はじまりの曲としてイントロが欲しいなぁと」と伝えたらすぐにつけてきてくださって。
――なぎさんからのリクエストだったんですね! 他に何かお話されたことはあったんでしょうか?
なぎ:曲を作っていただくときに「Roundaboutというテーマで、はじまりの曲として、いろいろな道につながっているようなポジティブな曲にしたい」といったことを北川さんにお話しました。北川さんもそこをすごく汲んでくださって。
北川さん自身はテンポを悩んでいたそうなんです。テンポをあげるというよりかは、「ストリングスで動きを出して疾走感や感情の起伏のようなものを表現できたらいいよね」って感じで話していました。だからテンポは抑えて、音の動きで明るさを出して頂いたような感じです。
――それもあってか、実際のテンポ以上の疾走感も感じます。レコーディングはどうでしたか?
なぎ:ディレクションも北川さんがしてくださっていて。めちゃくちゃポジティブな雰囲気でした。10年は節目ではあるんですけど、ここで行き止まりというわけではなくて、通過点に過ぎないと思っていて。またこの先、20年、30年と自分なりのペースで歩んでいけたらいいなって思ったり、歌詞にもあるんですけど行き交う人たちと接している時間が短くても長くても、その瞬間、瞬間みんなが同じところにいた気持ちを意識したり……。
――<それぞれ違うけれど行き交う軌跡が流れ星の様に駆ける>という歌詞がありますけど、軌跡でもあり、みんなと出会えたことの奇跡でもあるなと思いました。また<冷めたコーヒーの香り>という言葉がありましたが、コーヒーを飲みながら聴くのにも似合う曲だなと。
なぎ:そうですね(笑)。ドライブソングにしてもいいかなと思います。
――ドライブソングと言えば、アルバムタイトルにもなっている「Roundabout」には、環状交差点という意味があるんですよね。
なぎ:そうです。10周年のセレクションアルバムを作るとなったときに、どういうテーマでアルバムというものにひとつにまとめようかなって考えていたときに出てきた言葉です。環状交差点って丸くなっていて、いろいろなところからいろいろな車が入ってきて、一回みんな輪の中で合流して、また別の道に出ていく。それがすごくピッタリだなと。
10年歩んできたやなぎなぎの環状交差点があったとしたら、昔から聴いてくれてずっと合流してぐるぐる回ってくれている人もいるかもしれないし、そこから新しい道に出発した人もいるかもしれないし。でもその人も戻ってくることもできる。そして、これから先、新しく合流してくれる人もいるかもしれないって。そういう人との巡り合いのようなものが表せるんじゃないかなと思って、このタイトルになりました。
――その環状交差点の輪というのは、年々大きくなっていますよね。
なぎ:ふふっ、そうですね。10年やってるとやっぱりたくさんの人との出会いがあるので。
――特に今作はそれを感じました。北川さんをはじめ、麻枝准さん、MANYOさんといったクリエイターと作り上げてきた曲もあり。
なぎ:私も改めて見ると、いろいろな方と一緒に作ってきたなぁって思いました。幅広い曲が集まった作品になったなって。