
れんげにとって夏海は師匠!? 噛み合わなそうでちゃんと噛み合っているふたりの関係――『のんのんびより りめんばー』発売記念 小岩井ことりさん&佐倉綾音さん 対談
いまだから明かす、『のんのんびより』が始まった頃のお互いの印象は……?
――『のんのんびより』はアニメの第1期がスタートしてから8年以上経ちました(第1期は2013年10月放送開始)。アフレコ開始はもっと前になりますから、かなり長い期間を共にしてきたわけですが、お互いに最初の印象から変わったことなどありますか?
佐倉:最初からあんまり変わっていないかも。
小岩井:私も変わっていないかな。
佐倉:こっこちゃんは最初から完成されていた感じがあって。
小岩井:本当に? 最初は全然うまく話せなくて。私は人と話すのが得意じゃないなってずっと思っていたんです。“声優さん”というものが好きだったからこそ、声優さんと話すのはすごく緊張しちゃって……。だから、みんなと仲良くなれて嬉しいです。それに、綾音ちゃんのことは最初から、なんて聡明な子なんだって思いましたね。こんなこと言ったことないかもだけど、結構憧れの人なんですよ。
佐倉:いや〜だ〜(照)
小岩井:聡明で、育ちの良さが滲み出るというか。その上で、我々のようなオタクにも寄り添ってくれて。すごく聡明で素敵なお嬢さんなのに、栄養ドリンクを飲むんだ! とか思ったんです。
佐倉:飲むよ(笑)。
小岩井:当時はまだ10代だったと思うけど、綾音ちゃんが朝から栄養ドリンクを飲んでいて、そこも親近感を覚えました。すごい方が世の中にはいるんだな、出会えてよかったなって思いましたね。
佐倉:嬉しい。でも、そういうこっこちゃんは私には持っていないものをいっぱい持っているんです。私って、不安だからいろんなテンションに手を出しちゃうタイプなんですよ。
テンション高い自分も欲しいし、テンション低い自分も欲しい。オタクの時の自分も欲しければ、オタクじゃない感覚も欲しいと思っていて。いろんな人の人生を見て、いろんな人の人生に手を出そうとするんです。そうやって自分の中に取り込もうとする節が昔からあるんですね。でも、こっこちゃんはずっと“小岩井ことり”という個性的な人生だけをしっかり歩いている感じがして。
小岩井:え〜、マジか。
佐倉:私にはできないことをやっている人だったから、とても羨ましいです。だからこそ、こっこちゃんは自分では「話すのが苦手」とよく言うんですけど、私はそんなこと感じたことないし。それってたぶん、私がこっこちゃんのことに興味があってずっと話しかけていたからなんですよね。無理やり喋らせていたんだと思うんですけど(笑)。だから、とてもお話が上手なイメージでした。
あと、私が大切にしたいなと思う人の特徴として、「いつ会ってもその人でいてくれる」というのがすごく重要で。その時に機嫌が悪いとか、機嫌がいいとか、そうやってブレる人とは一緒にいにくいですよね。でも、こっこちゃんはいつ会ってもこっこちゃんでいてくれる。なんなら、『のんのんびより』に出ている人ってほとんどそういう人なんです。その安定感がメンバーの中でひとりも欠けていないのはすごいなと思っています。
小岩井:確かに。『のんのんびより』の現場に行くと実家感あるよね。帰ってきたな〜って感じがすごくあって。
佐倉:あるある。あの人、急に変わったなと感じたことがなくて、それがありがたい。こっこちゃんがのんびり引っ張ってくれていることにも安心感を覚えます。
小岩井:『りぴーと』のときだったかな、「私、香盤表の一番上に書いてもらっているんだから、もっと現場を盛り上げなくちゃ……」と思って、すごく一生懸命喋ったときがあったんですよ。そしたら、綾音ちゃんに「どうしたの?」って言われて(笑)。
佐倉:覚えてる(笑)。嬉しかったんだけど、いつもは私から話しかけるのに急にこっこちゃんからガツガツくるから、無理してないかな?と思って。
小岩井:バレてた。無理してみたけどやっぱり合わなかったな。
佐倉:あはは! だから、ここでは無理しなくていいよって。
――そういう関係性があるからこそ、この4人はイベントでもラジオや配信番組でもいい意味で変わらないんでしょうね。すごく安心感があります。
小岩井:私、『のんのんだより(のんのんびよりうぇぶらじお のんのんだより)』めっちゃ好き! ずっと元気で。あれこそ私にないものだから憧れます。すげー! 輝いてる!って。
佐倉:あれはりえしょん(一条蛍役の村川梨衣さん)が引っ張ってくれているから。りえしょんの世界にりえしょんが連れていってくれる(笑)。
小岩井:そうなんだ。『のんのんだより』はりえしょんの世界なんだ(笑)。
佐倉:ほら、私はいろんな人の人生に手を出すから(笑)。ラジオだと相手のペースに合わせたりとか、いろいろしてみたくなっちゃうんですよね。
小岩井:すごい。役者ならではというか、いろんなインプットを増やしているんだろうなって思います。
れんげ、夏海にかけてあげたい言葉は、人生においても大切なこと
――では最後に、この作品やキャラクターに対する思いをお聞かせください。
小岩井:これだけ長く続いてきた作品で、原作とアニメが一緒に完結を迎えるのは初めての経験で、どんな気持ちで完結に臨んだらいいのかずっとわからずにいたんです。でも、今回のOADがあったことで、続いていくんだとすごく感じられて、私自身も救われたなと思っています。これからも『のんのんびより』から得たものを心の中に大切に持って、人生を歩んでいけたらいいなって改めて思いましたね。
――れんげは学年が上がってひとつお姉さんになりましたけど、なにか声をかけてあげたいことはありますか?
小岩井:私みたいになっちゃだめだよって(笑)。
佐倉:なりそうだけどなぁ(笑)。でも、こっこちゃんの人生、楽しそう。
小岩井:楽しいのは楽しい。でも、学生時代は周りに馴染むのが難しくて。れんげもそういう段階を経るような気がするから、夏海とかいいお姉さんたちに恵まれて欲しいです。
私も自分らしさなんてどこにあるかわからないけど、今はこうやって私のことを素敵だねって言ってくれる綾音ちゃんみたいな人がいてくれて。居る場所によって全然違う見方をしてもらえたりするから、れんげも希望いっぱいの人生を生きてくれることを望んでいます。きっとそうなると思います!
――佐倉さんからも、作品やキャラクターへの想いをお聞かせください。
佐倉:私と『のんのんびより』の出会いは、本屋さんだったんですよね。本屋さんで横向きの表紙を見て、「なんかアニメみたいな表紙だな〜」と思って。買って読んで、面白かったから手元にずっと置いていたんです。そして、オーディションがあると渡された封筒の中に入った原作を見て「これ持ってます」と言ったところから始まったんですよ。「どの役を受けたい?」と言われて、とっさに夏海、と答えたのが夏海との出会いでした。
そこからオーディションを受けて、アニメになって。ラジオだったりなにかの収録だったり、ずっとコンスタントに『のんのんびより』という作品に触れている生活だったので、正直、まだ実感がわかなくて……。たぶん一生、「またいつか演じるんだろうな」って思い続けながら生きていくんじゃないかなと思います。
――夏海に「ここはしっかりしなさい」などと声をかけたいことはありますか?
佐倉:私、お世話になっていてすごく尊敬している人に、「欠点を直すことは人生で不要。欠点じゃなくて個性を伸ばしていかないと。欠点を直していくと、みんな同じ人間になるよ」と教えてもらったことがあるんです。「欠点はそのままに個性を伸ばしていくと、それがその人の人生の個性になるから」って。それはとても大切なことだなと思って生きているんです。
小岩井:素敵。
佐倉:なので、夏海にも苦手なことを全部直しなさいって言いたくなるんですけど、そこは放っておいていいから、自分の興味のあることや得意なことを伸ばしていって欲しいなと思います。……ガチアドバイス(笑)。
小岩井:個性ってイコール欠点だし、短所と長所って逆パラメーター。どっちに振っているかだけだもんね。
佐倉:そうそう。丸い子はいっぱいいるけど、それではつまらないなと思って過ごしています。
のんのんびより りめんばー OAD付き特装版
売日:2022/03/23 発売
価格:4,884円(税込)