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春アニメ『阿波連さんははかれない』水瀬いのりインタビュー

春アニメ『阿波連さんははかれない』阿波連れいな役・水瀬いのりさんインタビュー|演じる中で「この子は“はかれない”」と実感!? 不器用で人間らしい登場人物が織りなす関係性に注目

「少年ジャンプ+」にて連載中の水あさと先生による漫画『阿波連さんははかれない』。人との距離をはかるのが少し苦手な女の子・阿波連れいなと、彼女の隣の席の男子・ライドウのふたりが、少しずつ心を通わせていく様子を描いた“密着系ラブコメディ”です。

本作を原作としたTVアニメ『阿波連さんははかれない』が、2022年4月1日(金)より、MBS/TBS/BS-TBS “アニメイズム”枠にて放送スタートとなります。

TVアニメ放送に合わせ、アニメイトタイムズでは、声優陣へインタビューを実施! 今回は、ヒロイン・阿波連れいなを演じる水瀬いのりさんです。

これまで多彩なキャラクターを演じてきた水瀬さんにとっても、阿波連さんは一筋縄ではいかないキャラクターだったそう。収録時に苦労もあった分、愛着もひとしおのようで、彼女の魅力や共感できる点についてたっぷりと語っていただきました。

そのほか、阿波連さんの掛け合い相手となるライドウくんの印象、作品にちなんだ水瀬さんのパーソナルな部分など、さまざまな角度から作品について伺いました。

演じる中で「ああ、この子は“はかれない”……!」と実感

――原作漫画の印象や、水瀬さんが演じられる「阿波連れいな」の印象をお聞かせください。

阿波連れいな役・水瀬いのりさん(以下、水瀬):オーディションを受けさせていただく際に、初めて原作を読ませていただいたのですが、主人公のれいなちゃんと、彼女と仲良くなろうと奮闘するライドウくんのふたりの距離感がすごくハートフルだと思いました。

最初はふたりのやりとりがコミカルに描かれていくのですが、その中で芽生えていくふたりの絆や距離感が、ちゃんと人間同士の距離感の詰め方になっているんです。笑えて、でも泣けるのがこの作品のひとつのポイントだと思います。

れいなちゃんは静かで口数の少ない子で、私は過去にもそういったキャラクターに結構挑戦していたので、私の名前を聞いたファンのみなさんには、もしかしたら声が想像しやすかったかもしれません。

ただ、れいなちゃんは“声のボリュームが一定である”という点が演じてみて非常に難しいキャラクターでした。声の強弱を付けないように意識しつつ、でも無感情ではなく気持ちは動いているお芝居をしなければならないので、私も「(演技面において)ああ、この子は“はかれない”……!」とすごく実感しましたね。一度できたと思っても、次はもうできなくなったりと、難しさを痛感しながら演じていました。

――声が小さいというよりも、声のボリュームが“一定”というのが大事なんですね。

水瀬:そうなんです。「感情は出すけど声は出さない」ので、脳と腹筋を乖離させて、気持ちを考えながらも声は抑えるように意識していました。声のお仕事は集中力を研ぎ澄ますものですが、「中でもれいなちゃんはピカイチな存在なんじゃないか」と思うくらい技術が必要なキャラクターで、プロフェッショナルを問われるアフレコでした。

――声はもちろん、ひとつひとつの息遣いなどもより重要になってきそうですね。

水瀬:そうですね。なので本作では、台詞はもちろん、アドリブの息芝居もたくさん拾っています。音響監督さんや監督さんたちと相談しながら、多めに、あえていろんな息のお芝居を入れました。

私はまだ完成したものを観ていませんが、音響監督さんは「静かな世界だからこそ、要所要所のアドリブが効いている」と仰っていました。普段だと何気ないアドリブとして流してしまいがちな部分も、この作品ではれいなちゃんのひとつの動作として感情が乗っていると思うので、ぜひ注目して観ていただけると嬉しいです。

――単純な数としても普段より多かったのでしょうか?

水瀬:「ここにも入れるんだ!」と思うことが多かったです。れいなちゃんは口数が少ない分、特に前半は台詞自体があまり多くなく、それをカバーするように、制服を着る、袖を直す、といった細かいところにも息のお芝居を付けているので、普通のアニメよりも息のアドリブの数は多いと思います。

原作の絵そのままにアニメも描いてくださっているので、「れいなちゃんの面白くてかわいい部分をアドリブでも出せたらいいな」と思って演じていました。

――監督、音響監督からのディレクションで印象に残っていることや、エピソードなどはありますか?

水瀬:コロナ禍もあり、スタッフの方がアフレコ現場に全員いらっしゃる環境ではなく、リモートで見てくださっていたので、音響監督さんとも最終話のアフレコでようやくお会いできたんです。「わあ、実体がある!」と、遠い親戚に会えたような謎の感動がありました(笑)。

すごく気さくな音響監督さんで、「元気?」と体調確認してくれたり、「ダビングで聴いてみてすごく面白いよ!」「ふたり(水瀬さん、寺島さん)のお芝居もどんどん良くなっていると思う」といった、励みになる言葉を毎週かけてくださいました。最終話でお会いしたときも、今までれいなちゃんを演じてきてくれたことへの感謝や、「難しい役柄にも関わらず、こちらの要望を一生懸命に汲もうとしてくれてありがとう」と仰っていただけて嬉しかったです。

最初はれいなちゃんを作ることが難しかったのですが、今となっては、彼女に教えてもらったことや、演じたことで自分の新しい演技の扉が開いた部分もあるので、すごくたくさんのことを教えてもらいました。「手のかかる子ほど可愛い」ではないですが、れいなちゃんの成長を自分も一緒に見守りながら歩めた3ヵ月間がすごく長く、濃く、あったかい時間だったなあ、と思います。

最終話までふたりを見届けることが、この作品でみなさんに届けたいことのひとつなので、ぜひ1話から少しずつれいなちゃんを知っていって、ライドウくんとの距離を縮めていく様子を観ていただきたいです。きっと観終わったときにあったかい気持ちが残ると思います。

――アフレコを進めていく中で特に演じるのが難しかったシーンや、苦労した部分などはありましたか?

水瀬:この作品では、れいなちゃんの女の子の心というか、淡い恋心的な描写もすごく描かれているんです。人間関係や距離のはかり方を描きつつ、そこから生まれる、初めて知るピュアなあったかい気持ち、好意やそばにいたいと思う気持ち、といった優しいものがどんどん増えていく作品だと思っています。なので、そのあたりの乙女心を、声のボリュームと対比させて織り交ぜなきゃいけない、というのが難しかったですね。

普通のラブコメならもっとピュアっピュアに、キュンキュンにできるのですが、れいなちゃんの中にある、本当にまだ生まれたてな恋心を描くのはすごく繊細な作業でした。本当に初心な可愛さ、作らない可愛さを追及するのはとても難しかったです。自分の思う“ピュアな可愛さ”を出すというか、「私はこれを“可愛い”と思ってやっているんだな」というのが、スタッフさんにバレるのがちょっと恥ずかしくもありました(笑)。

(C)水あさと/集英社・BILIBILI
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