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映画『ソー:ラブ&サンダー』日本版声優 ソー役 三宅健太インタビュー

三宅健太さんが確信! 映画『ソー:ラブ&サンダー』は笑いあり、涙ありの集大成作品/インタビュー

マーベル・スタジオ最新作『ソー:ラブ&サンダー』が7月8日(金)に公開されます!

本作は神の国<アスガルド>出身の破天荒な雷神ソーを主人公にした「ソー」シリーズの最新作。公開当時、「全世界歴代興行収入No.1」という映画史に残る栄誉に輝き、マーベル・スタジオ作品の頂点を極めた『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界を描いています。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、アベンジャーズの主要メンバーであるビッグ3(アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー)として戦ったソー。その後ガーディアンズと宇宙へ旅立っていったが、いつしか戦いを避けるようになっていたソーが、「ヒーローは卒業だ」と自分探しをはじめる物語となっています。

本稿では映画公開記念企画として、ソー役の日本版声優・三宅健太さんにインタビュー! これまでの作品を振り返りつつ、新作の魅力についてもお話していただきました。

STORY

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の激闘後、多くの仲間を失い、戦いを避けるようにガーディアンズと宇宙へと旅立ったソー。そんな中、神々の殲滅を目指す”神殺し”のゴアの危機が宇宙に迫ることを知り、地球に戻る。

ゴアが新・アスガルドを襲撃し、ソーとヴァルキリーが応戦するが、そこへ突如、ムジョルニアを操るもう一人のソー、マイティ・ソーが参戦する。それはムジョルニアによってソーの力を得た、ソーの元恋人ジェーンだった。一度はゴアを退けるも、その脅威は未だ続いていた。

ジェーンとの再会で自分がヒーローとして本当に守りたいものに目覚めたソーは、マイティ・ソーとなったジェーンと共に全宇宙の神々の危機に立ち向かう。

2人のソーは、宇宙の神々に迫る最大の危機を食い止めることができるのか!?

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守られているものから守るものへと成長したソー

――マーベル・スタジオ作品に対する印象をお聞かせください。

三宅健太さん(以下、三宅):すごく緻密に作られていて、キャラクターが時空を飛び越えたりと、発想が壮大ですよね。ひとつひとつの人間関係の描写、ストーリーの重厚さ、アクション、スケールの大きさ、どれをとっても全てが見応えの連続なんです。

なので、「本当にその世界がマルチバースとして存在するのではなかろうか」と思って、映画だと忘れてしまう瞬間があります。そういう空間、世界があるんだと思わせる説得力があるのが素晴らしいなと思っています。

SFと言ってしまえば、それまでなのかもしれないですが、本当に映画というのを全部飛び越え、全ての世界線を凌駕しているような感じがして、別次元のできごとを覗いているような気分になりますね。

――これまでのシリーズ3作品についてお聞かせください。

三宅:第1作目は、『星の王子さま』(※1)のような、全く違う世界からやってきた、ちょっとわがままで世間ずれしている王子が成長していくようなイメージでした。全体的に爽やかで、そんな描写はなかったんですが、「(さわやかな口調で)僕、ソーだよっ!」という感じがしました。


※1『星の王子さま』:1943年にアメリカで出版されたアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説。初版以来、200以上の国と地域の言葉に翻訳されている。

――“『星の王子さま』という感じ”はしっくりきます。確かに、第1作目のソーは爽やかな感じでしたし、今より体型もほっそりしていましたよね。

三宅:まだ若かったし、「オッス! 俺、ソー! これから王になるんだ!」という感じの無邪気さのような軽さが全編にありましたね。

それが第2作目になると、僕の中では「王になるという重み」のようなものを踏まえた、ちょっと落ち着いたトーンを感じました。それはソーが本当にこれから王になっていくためには必要な過程かもしれません。結局はそうやすやすとは行かなかったという展開になっていきましたが(笑)。

そして、第3作目ではじけましたね。「アベンジャーズ」(※2)を経て、作品全体としてのコメディ要素というのは顕著に出てきたところではあったのですが、僕は「遊び心というか、ヒーローとしての余裕が出てきたんだろうな」という風にも感じました。

それまでのソーは、第1作では「俺様は強い」、第2作では「しっかりせねばならん」という使命感に燃えていて、そこを過ぎてからの第3作だったので、「いろいろ背負っちゃいるけど、俺は今日も元気だぜ!」という余裕を感じて面白いというか。3作品でいろいろとカラーが違っていると思います。


※2『アベンジャーズ』:マーベル・コミックの同名のヒーローチームをベースにした作品。人類を守るため、最強ヒーローたちが集結した究極のチーム。

――作品全体を通して、アクション、コメディ、恋愛といった要素もありますが、家族や人間ドラマの要素もしっかりあって、作品が奥深いですよね。

三宅:奥深いです。第1作の時はヒーローでありながら、ソーが周りを守っているというよりは、実はソーは守られている側だったんですよ。父親の王・オーディンも恋人のジェーンもいるし、仲間たちもいて、王になるにはまだまだ未熟すぎるので。弟のロキとの対立・対峙というのも、みんなに守られている中で自分を奮い立たせていくので、より守られている意識が強かったです。

第2作では、今度は守られているだけじゃなくて、「王として自分がしっかり前に立って引っ張っていかなくてはならない」といった変化を感じました。

――第2作はストーリーや映像も落ち着いたトーンでしたよね。

三宅:本当にそうなんですよね。「ダークワールド」というだけあって、お客さんもちょっと「おっ!」って思うようなストイックな印象があります。とはいえ、ハッピーなシーンもちょこちょこあるのですが(笑)。

 

――一方の第3作はハチャメチャで、とても面白かったです。

三宅:そうなんですが、祖国アスガルドはね……。ラグナロク(アスガルドの滅亡)によってね……。

――そんな中での「アスガルドは場所ではない、民だ」というセリフがかっこよかったです。

三宅:あれは真理だと思います。だって民がいるから、そこに行き着いたんだと思いながら、突然、あの宇宙船がまたやってきて、あの悲劇に繋がっていくっていうのがね……。

 

――お話は少し変わりますが、第3作ではソーの人間性もこれまで以上に魅力的に描かれていました。弟のロキにまた騙されると分かっていながらも、行動を共にするというのがいいですよね。

三宅:そうなんですよ。ロキとの関係性が第3作で変わったんですよね。

第1作は「何でこんなことをするんだ、お前は!」という気持ちからスタートして、第2作で「今度は騙すなよ」という気持ちになったけれど、また騙されちゃったことで第3作では「もうお前はお前だし、俺は俺だから」と受け入れているんですよね。

第3作の「助けてをやるか」というシーンの前あたりのやりとりは、まさしくそういう会話で、「俺とお前はもう混じり合うわけではない。でも俺は俺だし、お前はお前なんだろう」と、お互いの違いを少し受け入れ始めていると思います。

――正直に言いますと、第1作、第2作でロキが好きになれなかったんです。でも、第3作でロキに対して魅力を感じて、好きになりました。

三宅:第3作のロキはちょっとかわいくて、憎めないんですよね。いろいろと策を講じて、引っかき回すんですが、やっぱり肝心な時は助けてくれるんです。

ようやく2人の関係がちょっと雪解けになってきた時に、サノス(※3)が現れて……という展開だったので、愕然としました。「あ~~~! ロキ~~~!」って……(笑)。


※3『サノス』:マーベル作品に登場するヴィラン。「アベンジャーズ」シリーズでは最凶最悪のラスボスと呼ばれた。

――そうなんですが、ロキには観客も何度も裏切られていますからね。

三宅:そうそう。また誰かになりすますというのがあったりするから……。

(C) Marvel Studios 2022
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