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『映画デパプリ』菱川花菜・高森奈津美 対談インタビュー

『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』公開記念! 和実 ゆい/キュアプレシャス役の菱川花菜さん、コメコメ役の高森奈津美さん対談インタビュー「映画では笑顔だけじゃなく、悲しみも、涙も表現」

 

すごく素敵で、切なくもある

──改めて、『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』の台本を読んだときの印象を教えて下さい。

菱川:私はケットシーがずっと敵だと思っていたんです。コメコメ、パムパム、メンメンたちとケットシーが可愛らしくお子さまランチを食べるシーンがあるんですけど「いつコメコメたちに酷いことするんだろう」って台本を読みながら身構えていました(笑)。

でも完全なる敵ではないというか……それが悲しくて。ケットシーが経験したこと、ケットシーの気持ちを考えるとつらい気持ちになりました。

だからゆいたちも「倒す」「憎しみ」という感情よりも、「助けたい」という思いが強いように感じました。そこが『デパプリ』らしいなって。

普段のテレビアニメでも、『デパプリ』は戦ったあと、最後に浄化しておなかっぱいにしています。だから誰もつらくならないんです。ゆいの「助けたい」という気持ちが詰まっていて、すごく素敵で、切なくもある映画だなと思いました。

高森:おおよそのことは花菜ちゃんが言ってくれたとおりです。でも、まさかこんなにコメコメにスポットが当てられている映画だと思っていませんでした。だから台本読んだときはシンプルにびっくりしました。

テレビアニメの1話の、ゆいちゃんとの出会いの場面での最初にある感情って(ゆいに対する)憧れで。映画でそれをこんなにも大きくピックアップしてもらえて、本当に嬉しいなと。

コメコメとしてひとつ夢が叶った……とも言いきらないですけど、自分の中の気持ちとして整理がついたような気もしています。

 

 

──TVアニメと違うところはどんなところに感じました?

菱川:ゆいにとっては、いつもの一日だと思うんです。でもその一日の中にいろんな出来事があって、今までのゆいが見せなかった表情もあります。

「ゆいちゃんだったらこう言うだろうな」というイメージが全部ひっくり返るというか。監督からは「もっと悲しんでください」というディレクションを受けました。

ゆいも人間なので悲しむこともあるとは思うんですけど、悲しんでも自分一人で前に向ける原動力を持ってると思うんです。でも自分一人ではどうにもならないっていうとき……「どう演じたらいいんだろう?」って壁がありました。

でもそこは「ゆいちゃんの人生を変える」と言っても過言ではないくらいの気持ちで演じました。

──それは、当日に感じられたことだったんですか? それとも監督からのディレクションだったのでしょうか。

菱川:最初にテストの段階では「ゆいちゃんは寂しそうな声は出さないだろうな」と思っていました。

技術的な話になってしまうんですけど、もっと声を張ったり聞こえたりするだろうなって。でも座古(明史)監督のディレクションを受けて、何回も録りなおして大きく変わりました。

──高森さんはいかがですか?

高森:最初にエナジー妖精たちは「テレビアニメよりも、もっとコミカルにしてください」と言われたんです。だからテレビアニメではやらない度合いの、リアクションだったりとかアドリブだったりを……3匹……いや、3体?(笑)全員入れています。

映画ならではのお祭り感というか。非日常な感じを出されたいのかなと。本編だったらなかなかやらないリアクションもいっぱいあって楽しかったです。

 

 

TVアニメとは違った観点の、“伝えたい大事なこと”がある

──『デパプリ』のTVアニメではなかなかやらないことがたくさんあったとのことですが、TVアニメの魅力や、映画ならではの注目ポイントを教えてください。

菱川:TVアニメの『デパプリ』で伝えたいことって、とても明確だと思うんです。「ありがとう」だったり、「笑顔を守りたい」「笑顔をシェアしたい」という気持ちだったり……それを(インタビュー時点で)23話まで、ずっとずっと大事にしてきました。でも映画では笑顔だけじゃなくて、悲しみも、涙も表現されています。

クライマックスで「悲しみも涙も全部あたしに分けてよ」とケットシーにいうシーンがあります。私としてはすごく衝撃的で。共有するものは、笑顔だけじゃなくてもいいんだなって。

みんなと一緒に想いを共有して、気持ちをひとつにして、最後に分かり合えたらとても素敵なんじゃないかなと思いました。

この映画ではいつものTVアニメとは違った観点の、“伝えたい大事なこと”があると思います。ぜひ皆さんにそこを感じ取っていただければと思いました。

高森:TVアニメを通して、負の感情のようなものを表に出さないような気がしていたので、涙を見せた時にビックリしました。

映画では葛藤だったり、「ダメなのかもしれない」といった明確な諦めだったりの感情が、表情だけじゃなくて言葉として出てきています。私としても花菜ちゃん(和実ゆい)の涙を見るのがものすごく衝撃でした。コメコメもあんまり泣かない子だと私は思っていたんです。

コメコメは一貫して「ゆいみたいなヒーローになりたい」という思いが根底にあって。コメコメが「ヒーローってどういうものなんだろう」と考える場面があるのですが……『デパプリ』のヒーロー性って母性みたいなものとも繋がるのかなと思いました。

 

 
コメコメは最終的に母性出すところがあるんです。「ここは母性なのかな」と思って喋った台詞でそのままOKいただけたので、「これでよかったのかもしれない」と思いました。

今までは「強くなりたい」「(ゆいたちを)物理的に助けられるようになりたい」という思いがあったと思うんですけど、「感情面での支えができる人が本当のヒーロー」とコメコメが気付けるお話になったのかなと思います。

 

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