放送中アニメ『ブルーロック』より、我牙丸 吟役&エンディング主題歌担当の仲村宗悟さんにインタビュー! 「作品のテーマ“エゴ”は、自分を貫き通す意志。それは僕ら声優やアーティストにも必要なもの」
クールダウンできるエンディング主題歌「WINNER」では、主人公の潔が抱える内面の熱さも表現。
――ご自身で作詞・作曲された、エンディング主題歌「WINNER」についてもご紹介いただけますか?
仲村:渡邉徹明監督から、“オープニングはガンガン攻める楽曲でいこうと思っているので、エンディングは試合後のクールダウン的な、チルな感じでお願いします”とオーダーをいただきました。
なので、おしゃれさがあって、サビも歌い上げず、空間に漂っているような心地いいメロディを意識して作っています。
歌詞は『ブルーロック』をイメージしつつ、監督から“主人公の潔 世一をクローズアップしてほしい”と言われたので、特に潔のことを考えて書きました。
――クールダウンのイメージといえどミディアムバラードではなく、ファンクっぽさがありますよね。歌詞の「消えない炎が静かに燃えてる」や「屍の山の頂きに立ったらそこからの景色はどう見えるの?」には、潔の内面に眠る獣のようなものを感じました。
仲村:潔が、県大会の決勝で敗れたところでブルーロックに招集されて、“悔しさをバネにもう一度這い上がろう”と、立ち上がる姿を表現したかったんです。彼が時折見せる、ギラギラとした感覚も練り込みました。
――特に気に入っているフレーズは?
仲村:「まだ未完成な頭の中の 最後のピースをはめるのは俺だ」の部分ですね。作中でも、ゴールへの最後のピースがハマった時、潔が“自分だけの方程式が生まれる”とつぶやくシーンがあり、そこにエゴも感じられて、彼のテーマになっている気がして好きなんです。
――レコーディングで意識したことや、こだわった点はありますか?
仲村:歌い上げないことです。熱を込め過ぎず、余裕を残しつつ歌うことを意識しました。
――確かに今までのシングル曲にはなかったテイストで、その面でも驚きました。
仲村:そう思ってもらえたら嬉しいです。MVも今までにない不思議な世界観で、己の中にいる、悔しい自分や、負けたくない自分などを表現しています。
――MVは、光と影のコントラストの激しさや、仲村さんが同時に何人もいるという映像表現が印象的です。
仲村:僕が何人もいるシーンでは、“ここからイスまで歩いて座ってください”“今度はイスから次の場所へ移動してください”といった感じの指示のもとに動いて、それを編集で重ねています。
撮影中はどんな映像になるのかわからなかったのですが、完成した映像は、不思議でおもしろい仕上がりになっていて嬉しかったです。同じ曲でも、TVアニメのエンディング映像とはまた違った印象で楽しんでいただけるのではないでしょうか。
カップリング曲「いっせーのせ」は“ラスボス感”のあるサウンドに乗せて、1番と2番で違う人物を歌う!?
――カップリング曲「いっせーのせ」も、同じく仲村さんご自身の作詞・作曲です。
仲村:今までなら選んでこなかったメロディラインを取り入れ、Bメロは派手で“ラスボス感”がある、トガったサウンドを目指しました。
歌詞は1番と2番で視点が違っていて、1番では“目立たずに期待もされない方が楽でいい”と思っている人を。2番では、みんなから期待されて慕われているけど、内側では“もし自分が失敗したらガッカリさせちゃうかな?”という不安や重圧に苦しんでいる人を、それぞれ歌っています。
――だから最後が「二つに一つ? いかがですか?」なんですね。
仲村:“でも本当は二つに一つではないんですけどね”という気持ちも込めています。歌詞は物語を描くように綴っているので、僕に何かあったわけではありませんよ(笑)。
――カップリングにしては、強烈な存在感があるサウンドだと思いました。
仲村:表題曲とはまったく違う方向性のトゲトゲした曲ですが、どうしてもこのシングルに入れたかったんです。かなりカッコいい曲になったかなと思っています。
もう1つのカップリング曲「かたちにして」では、自分のリアルな状況を歌に!?
――本作にはもう1曲、ご自身作詞の「かたちにして」が収録されています。
仲村:レコーディングの日が近づいてきて“ヤバい、歌詞書かなきゃ!”という、テンパった状態を歌にしました。だからこのタイトルなんです(笑)。
そんな状況でさえも(楽曲として)“かたち”にできるのがこの仕事の強みで、ありがたいなと思いました。
――そうだったのですか! ライブで盛り上がるようなサウンド感だったので、そこを意識して作られたのかなと。歌詞は、忙しくて余裕がない人が聴いたら共感できる、聴くドリンク剤のように感じました。
仲村:そう思ってもらえたなら嬉しいです!
“できない、できない”と慌てたり、“まぁいっか、もういいや”と諦めるのではなく、“そんなことを言っている暇があるなら、まずかたちにしようぜ”という思いで作りました。
――「WINNER」「いっせーのせ」「かたちにして」の3曲を通して聴くと、シングルというよりミニアルバムのように変化に富んでいます。
仲村:すべて同じ人が作ったようには思えないですよね(笑)。我ながらおもしろいシングルができました。
――ジャケット写真のコンセプトや、撮影の裏話などあればぜひ!
仲村:サッカーアニメの主題歌シングルなので、スポーティな衣装かつ、『ブルーロック』ということで青はマストで。ジャケット写真はキリッとした表情ですが、にこやかな顔や、別パターンの衣装も撮影しました。アザーカットは「初回限定盤」に付くフォトブックで見られますのでお楽しみに!