秋アニメ『陰の実力者になりたくて!』OPテーマ担当 OxT(オーイシマサヨシさん・Tom-H@ckさん)インタビュー|歌詞が主人公・シドそのものな「HIGHEST」、二人がおすすめするフレーズとは【連載02】
カップリングにMYTH & ROIDの「Paradisus-Paradoxum」をカバーした経緯とオーイシさんが選曲した決め手とは?
――カップリング曲はMYTH & ROIDの「Paradisus-Paradoxum」(『Re:ゼロから始める異世界生活』後期OPテーマ)のカバーですが、どうしてこの曲をカバーしようと思われたのでしょうか?
Tom-H@ck:カップリング曲をただ作るのではなく、企画的なニュアンスを入れたり、やる意味を持たせていけないと考えていました。MYTH & ROIDのシングル「Endless Embrace」が8月にリリースされたばかりですし、『オーバーロード』ではどちらかがOP曲、もう一方がED曲を担当するという関係性もあったので、OxTがカップリングでMYTH & ROIDMYTH & ROIDの曲をカバーするのもいいかなと。そしてMYTH & ROIDの激しい曲をバラードでやるなど違う雰囲気で見せたりしようかというアイディアも上がりました。「Paradisus-Paradoxum」を選んだのはオーイシさんのリクエストです。
オーイシ: MYTH & ROIDが先に僕らの「Clattanoia」(『オーバーロード』1期OP曲)をKIHOWちゃんのボーカルでカバーしてくれて。そして今回、MYTH & ROIDの曲をバラードアレンジでカバーしてみないかという提案をいただいて、真っ先に浮かんだのが「Paradisus-Paradoxum」でした。過去にイベントで一度歌ったことがありますが、この曲を選んだ大きな理由はMYTH & ROIDの曲の中でも極端に英語が少なくて(笑)。僕はバイリンガルではないですし、英語に自信があるわけでもないし、バラードだとBPMがゆっくりになる分、英語の発音がかなり目立ってくるので、日本語が多い曲のほうが様になるのかなと思って、この曲を提案しました。あと個人的にこの曲も『リゼロ』も大好きでシンプルに歌ってみたくて、気持ちを込めて歌わせていただきました。
――原曲は女性ボーカルで、神秘的だったり、妖しさなどもある不思議な空気感でしたが、オーイシさんの歌声は温かさがあって。でも全然違和感を感じませんでした。
オーイシ:違和感というのは愛情の深さだと思っていて、特にカバーの場合は。「この人が歌うとあんまりハマってないな」とか「この人が歌うとオリジナルっぽく聴こえる」と感じる人がいるのは、その作品や楽曲への愛情、解像度の深さなのかなと、アニソンカバーの番組をやっているから、より思っていて。僕自身、この曲が好きだったし、原曲のニュアンス感プラス自分のボーカルでできることをうまく天秤にかけられたかなと思っていたので、その指摘は嬉しいです。今日は気持ちよく眠れそうです(笑)。
――オケは改めて作り直したり、付け足しされたりしているのでしょうか?
Tom-H@ck:あまりイジらなかったです。コード感もそのままで、MIDIデータをそのまま持ってきて、ストリングスラインをシンセパットで鳴らしたり。もちろんイントロのセクションのフレーズを変えたり、微調整はしましたが、基本的にはそのままです。またオーイシさんの歌が届いてからも追加アレンジしています。レコーディング前に軽くアレンジはしましたが、オーイシさんのボーカルに合うアレンジを考えて。例えば生楽器にするかしないかは今回しないという選択だったので、どういう落としどころがよくなるかなと。ピアノはテンポが変わるとフレーズに違和感を感じたので、全部弾き直しました。
あと柔らかい音色を選んでいったところもあります。神秘的な部分をバラードにしても、テンポを落としても残したいというのはマストであって。柔らかい音色や透き通った音色で、世界観が窓の向こうのもっと奥にあるみたいな部分を表現できたらいいなと思いながら構築していきました。
――6分半ある楽曲というだけでも壮大ですが、オーイシさんの歌声や音色と相まって、「聴いたな」とすごく充実感や満足感を感じられました。
Tom-H@ck:そうですね。
オーイシ:確かに。でも歌うのは大変でした。「大変」とか「難しい」しか言っていない気もしますけど(笑)。気持ちよく歌わせていただきましたが、薄いオケ感でブレスや吐息ですらメロディになるので、息を吸うだけでも神経を使いました。しっかりボーカルのプランニングをしておかないと気持ちよく響かないところもあるので、自分なりのストーリーを思い描きながら歌っていますし、1番と3番のボーカルのニュアンスは全然違っています。こういうアレンジだからこそできるボーカルのストーリー作りを意識して行ったので、レコーディングも結構時間がかかりました。
お二人が初めて明かす黒歴史!? 過去にしていた中二病的とは?
――シドが適当な設定を作ったことが物語のきっかけとも言えますが、子供の頃や少年期にご自身で謎設定を考えたり、こんな自分になれたらと妄想されたことはありますか?
オーイシ:誰でも一通りやりますよね。かめはめ波が撃てるとか、傘を手にして「飛天御剣流」とか「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)」とかやっちゃいがちですよね。また昔、友達と鬼ごっこをしていた時、「お前と忍術パワーが違うんだよ」と言ったことがあって。小学生の頃、僕の中で忍術パワーという設定があって、僕は忍術パワーが10で、他の小学生は3だったから絶対に捕まらないと。
Tom-H@ck:同じですね。こういう仕事を志す人はそういう傾向が強いのかなと思います(笑)。
オーイシ:心外だな(笑)。
Tom-H@ck:僕の家に大きな柿の木があり、枝も長くて、うちが大工だったので、人が乗れる台がありました。その台に乗りながら枝を両手でつかんで操縦ごっこをしてました。あとガチャガチャで、プラスチックの宝石っぽいキーホルダーをゲットして、友達と一緒に校庭に隠して、それを見つけられたら自分のパワーが上がる、みたいな。
オーイシ:これは本当に記事になるんですか? ただ我々の黒歴史を披露しただけになっている気がしますけど(笑)。
――いえいえ。ファンの方も聞いたことがない貴重なお話ありがとうございました。
Tom-H@ck:確かに取材やイベントなどでこんな話をしたことはありませんからね(笑)。
――今後のご予定やお知らせなどあればご紹介お願いします。
オーイシ:まず11月12日(土)に静岡大学の学園祭に出演します。そして11月19日(土)開催の『ANIMAX MUSIX 2022』にも出演します。「HIGHEST」を皆さんの前でリリースする機会もあると思うので、楽しみです。
Tom-H@ck:そして10月26日発売のシングル「HIGHEST」をよろしくお願いしますということで。
――このアニメに今後期待していることや注目していることはありますか?
オーイシ:アニメが始まったばかりのため、まだ各キャラの個性や掘り下げもされていないので、これからどのキャラが人気出るのかな? と陰ながら、陰ながら、大切なことなので二回言いました(笑)。皆さんと一緒に楽しみながら見守っていきたいと思います。
Tom-H@ck:右に同じということで(笑)。
――では皆さんへメッセージをお願いします。
オーイシ:アニメが放送されてから、いやPVの段階から監督やスタッフさん、キャストさんの気合を感じました。これからの展開が楽しみですし、いちファンとしても皆さんと一緒に盛り上がっていきたいと思っています。その盛り上がりに僕らの曲が役立てたら嬉しいです。『陰実』ファン同士として仲良くしてください。
Tom-H@ck:おもしろい作品であることは既にご覧になっている皆さんが一番感じられていると思いますので、僕としてはアニメも長いシリーズになればいいなと期待していますし、僕らも音楽面で関わっていければいいなと願っています。
そしてOxTの楽曲をこれまで聴いてくださった方にはきっと新しさを感じていただけると思うので、ぜひフルで聴いてください。そしてライブなどで、生で聴いていただきたいです。ライブでよりパワーアップするかもしれませんから。もし機会があったらライブやフェスなどに参加してください。
連載バックナンバー
画像をクリックすると、関連記事にとびます。CD情報
OxT「HIGHEST」
2022年10月26日発売
1,320円(税込)
発売:KADOKAWA