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- タイラ
- 99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えない間「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行いライターに。
公開目前となった今作は、ヒロイン鈴芽が「閉じ師」と呼ばれる旅人、草太と共に、全国に散らばる災いをもたらす"扉"を閉じて行くという冒険物語となっています。今までの作品とはまた違った日本全体を舞台としたロード・ムービーですが、主題はやはり「災い」になっていますよね。
この「災い」がどのようなものなのかは、本編が公開されてから判る事ですが、これまでの作品で向き合ってきたものと同じ、「世界や社会に起きる問題」であることは確かです。
あらためてあらすじを振り返ってみましょう。
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九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、 「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。 彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、 まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。 なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが… やがて、日本各地で次々に開き始める扉。 その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。 ―星と、夕陽と、朝の空と。 迷い込んだその場所には、すべての時間が溶けあったような、空があった― 不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
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本作の鍵となるのは災いが訪れるという「扉」ではないでしょうか。この扉を閉じるために全国を旅している草太と鈴芽が出会って物語が動き始めます。
近年の新海作品に比べて、今作はアクションシーンやファンタジー要素がプラスされ更にエンターテインメントよりの作品になっています。
過去作である『星を追う子ども』も、「アガルタ」と呼ばれる死後の世界が登場したり、神が乗船している「シャクナ・ヴィマーナ」などファンタジー作品となっており新海作品の中では一風変わった作品です。
『すずめの戸締まり』でもそのような設定として「扉」や「閉じ師」といったものが追加されているので、物語にどのような影響を与えているのか注目です。
新海監督の特徴として背景美術の美しさがあげられます。映画のどのシーンを切り取ってみても、全てに細かな工夫やこだわりが感じられ、ビジュアルだけでも観客の心を動かすことのできる映像になっていますよね。
今作では「廃墟」がメインの建物として描かれるようですが、廃墟と言えば古臭い印象や、お化け屋敷やホラー映画などの舞台として使われることも多く、恐怖のイメージを持つ方の方が多いかもしれません。
そんな廃墟が新海監督独自の視点や表現方法によってどのように描かれるのか、そこも作品の見所の1つです。
上記で紹介したように、「彗星(隕石)」や「異常気象による長雨」など新海作品には1つのモチーフとして災いが描かれることがあります。
今回鈴芽たちの前に現れる災いがどのようなものか定かではありませんが、『すずめの戸締まり』の予告映像や公式Twitterでの注意喚起などにより「地震」および「緊急地震速報」が劇中で描かれると言及されています。
もし、地震が1つの大きな災いとして描かれているならば、これまでの彗星や長雨よりも更に現実的な問題にふれることになります。災いに対して鈴芽たちがどのように向き合っていくのでしょうか。
『すずめの戸締まり』の公式ホームページには「新海誠監督 集大成にして最高傑作」というコピーが使われています。
『すずめの戸締まり』はこれまで作品に携わって来たスタッフの方々や、約20年に渡る新海監督のものづくりの全てが詰まっている作品とも言えます。
過去作のキャラクターたちの行動やや、作品で描かれてきた事を踏まえて、鈴芽と草太、そして新海監督が出す1つの答えを、ぜひ劇場で確かめましょう。
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!